2011年03月02日

酒井ファンタジーセンター 第6回

夕日のモアイ部

作・酒井景二朗



あたたかい罐珈琲を抱きしめて天文部員のカウントダウン



女子部員のベリーロールの瞬間があるからもつと走れる僕ら



飴色の夕日に染まる校舎横モアイ部がまだじつとしてゐる



さうですよリミックス部の部室ならカンディンスキー色のあれです



タイトルと選・笹 公人

お題「部活動」
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かんなのうた 第15回

冬のシャトル

作・かんな


アルプスにマウスピースが転がって吹奏楽部の夏も終わって


料理部が家庭科室を抜け出して泡立てにゆく8月の雲


活動の時間が終わりパレットに美術部員がしまう夕暮れ


天文部のプラネタリウムに虫喰いの超新星があらわれて春


終わりのない夏がはじまり帰宅部の二人黙ってぶらんこを漕ぐ


アベ先輩の張り巡らした結界で陰陽道部に入部者はなし


雪の日のボトルメールは遠泳部副キャプテンから「しあわせです」と


砂浜が波にとけてしまっても遠泳部員の午睡はつづく


校庭にユニフォームを着た君がいてスポットライトのような日溜まり


地球へとシャトルは還り冬の日のバドミントン部の部室に眠る



お題「部活動」

タイトルと選・笹 公人
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2011年02月27日

「鏡」 入選作品発表!!

どうも、遅れてすみません!

5月頃に単行本が2冊出る予定で、
ただいまその大詰めの作業に入っているので、
なかなか時間がとれませんでした。

では、入選作品の発表にまいります!!

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特選


青い鳥の幻影映る ポンコツのブルーバードのバックミラーに
【かんちゃん】

高度経済成長期を代表する乗用車である
「日産ブルーバード」。
そのバックミラーに映った「青い鳥の幻影」とは、
高度経済成長期の幻であったのかもしれません。

「ポンコツ」が効いてます。


賞品

石黒謙吾・著『2択思考』(マガジンハウス)
著者サイン本(提供:石黒謙吾様)

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大ベストセラー『盲導犬クイールの一生』などでおなじみ
石黒謙吾さん渾身の一冊です!
人生に役立つ、とてもいい本です。

小生も「特選」と「秀逸」を選ぶときは
けっこう迷うので(今回も時間がかかりました……)、
この本を実践して一瞬で決められるようになりたいです。

オススメの一冊です!!

石黒さん、賞品のご提供ありがとうございました!


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秀逸


悪口で過ごした翌朝内面を映さぬ鏡を幸福として
【長田絵理子】


共感できる歌でした。
「幸福として」が説明的で惜しかったです。


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佳作



何回も手鏡見てたあの頃はきらきら輝く恋をしていた
【ひいらぎ】

「きらきら輝く恋をしていた」という下の句は
完全に歌謡曲ですが、
「何回も手鏡見てた」という描写は、
とてもよかったです。



鏡のようにきみの仕草を真似てみてそれでも分からない胸の内
【小林ちい】



優しさに触れてしまったから今日は鏡を見るのがとってもこわい。
【滝沢勇一】



押し黙る君の背中の向こう側 三面鏡の分かつ感情
【たちはらそう】

別れ話の場面でしょうか。


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では、次の「お題」発表を楽しみにしていてください!

よろしく哀愁☆
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2011年02月17日

「鏡」 総評

どうも、御無沙汰してます。

まずは、お知らせから。

みなさんご存知だと思いますが、

笹井宏之くん
遺歌集にして第二歌集
『てんとろり』
が発売されました!

『ひとさらい』
も復刊されました!

どちらにも重版がかかって反響を呼んでいるそうで、
素晴らしいです。

「笹公人の短歌Blog」への投稿作品も少しだけ収録されています。
もっとたくさんあるので、
ぜひ「笹井宏之ポエジー図鑑」も読んでみてください。


『ひとさらい』巻末の笹井君のお父様による文章に、

第一歌集『ひとさらい』の「さらい」とは「(川底や井戸などを)さらう(浚う)」
「掃除する、きれいにする、浄化する」という意味で、
まさに「人の心をさらう、浄化する」という意を含ませていたようです。


とあります。

笹井くんの短歌に人の心を癒せる不思議な力があるのも、
根底にそんな気持ちが込められていたからなのでしょう。
歌は心ですね。

もっともっと彼の新作を読みたかったけど、
いまそれを言ってもはじまりません。

彼は限られた時間の中で全力を尽くして
歌を出し切ってくれたと思っています。

立派だったと思います。

笹井短歌はこれからもたくさんの読者の心を癒し、
魅了していくことでしょう。


・一夜漬けされたあなたの世界史のなかのみじかいみじかい私 
(笹井宏之)


こちらの書評(by・東郷雄二先生)
もぜひ読んでみてください。


さて、もうひとつお知らせです。


1月29日(土)の「中日新聞」(一面)&「東京新聞」連載

「けさのことば」(岡井隆)

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にて、
われらが常連投稿者のカー・イーブンさんのこの二首

・どの酒も同じコップで呑(の)む父を本物の酒呑みだと思う
(カー・イーブン)

・消毒と称し毎晩呑んでいる父を殺していくアルコール
(カー・イーブン)

『笹公人の念力短歌トレーニング』(扶桑社)

が紹介されました!

こういう、やんちゃなペンネームの作者の歌が
新聞の一面に載ったというのは、
かなり画期的なことだと思いました。
どんなに優れた歌であっても、
新聞歌壇では(このペンネームでは)掲載されないでしょう。

さすがは岡井先生です。

岡井先生は、小生の師であり、小生も所属する
アララギ系の短歌結社「未来」のボスです。
斎藤茂吉に会ったことがある最後の歌人とも言われています。

「アララギ」の歴史を眺めると
けっこう排他的だなと思う部分があるのですが、
岡井先生は、そういった悪しき伝統を断ち切った歌人としても
評価されるべきでしょう。

小生の兄弟子にあたる加藤治郎さんも
その考えを受け継いでいるように思います。

「なんでもアリ」になりすぎてもいけないとは思いますが、
このバランス感覚、見習いたいです。

でもカー・イーブンさん、
歌集を出す時は本名にしたほうがいいですよ。

どっちなんだよ!!

文章の最後に、

一見軽いノリのようだが「笹師範こと笹公人」の実践は
今の短歌の生き残りをかけた奮闘の一端を示している。


という激励のお言葉を賜り、
感激するとともに、

「あぁ、これでますます短歌Blogをやめられなくなったぞ……」

と思ったのでした。

もうすぐ5周年、頼みますよ!

齢80を超えてなお
短歌という伝統文芸を守りたいという一心で
老体に鞭を打って全国を駆け回っている師匠には、本当に頭が下がります。
僕のこの短歌Blog活動なんて、
それに比べたらなんでもないですよ。

そうですよ!
まったくその通り!

おまえに言われると腹立つ。
このブログが少しでも短歌というジャンルに
貢献できているのだとしたら、
隔月でも季刊でもやめずに、
もうしばらく、がんばっていかなければ
ならないと思っています。

がんばれ師範!
もうちょっと更新が早ければ、なおいいんですけど。

すみません……。君は、
「笹師範はいくら更新が遅れてもへっちゃらだ」と
思っているのかもしれないけど、
しっかりプレッシャーは感じているんだよ。
いつも宿題を抱えている気分で生活するのって
けっこうキツイよ……。

ご苦労様です。

ということで、
「鏡」の総評にまいります!


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まずは、
かんちゃんさんです。


・うらぶれた風俗街でキックオフ 潰れたディスコのミラーボールで
(かんちゃん)

「潰れたディスコのミラーボール」
をサッカーボールにするという発想がおもしろいです。
バブル時代への怨念が込められているかのようです。

「うらぶれた」は説明的なので、
改良の余地ありです。


・電車にて化粧する人の手鏡をことごとく割るサイコキネシス

・遥かなる星々すべて閉じ込める 望遠鏡のレンズの中に

・お転婆な魔法使いを追いかけて鏡の中にまた逃げられる

・青い鳥の幻影映る ポンコツのブルーバードのバックミラーに



どの歌も
固有名詞の料理の仕方がうまいです。


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・鏡から逃げてるような人生を叩き壊して前に進みぬ
(人間失格)

・他者という鏡に監視されていて無言のうちに殺される自我

いろいろ考えさせられる歌です。


・鏡見てヒゲ剃る時の間抜け面 その顔のままで行けぬ社会は

・サイドミラー見てるだけでは本当の死角は見えず 人生もまた


たしかに。

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・人知れず樹海の底にあるという鏡求めて今日もさ迷う
(メカパンダ)

・祭礼の鏡覗けば常世より鬼神様が踊り来たれり

・ゆきずりの女が鏡に残したメッセージ都市伝説が眼前にある

・さながらを映す鏡はなかなかにまことのままで立ちがたかりき


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・落っこちた鏡は光る ゆっくりと 蛍のように 呼吸しながら
(ヤマー)

・ひび割れた鏡のような蜘蛛の巣にかけたまじない「ダレカミツケテ」

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・ブティックの美人鏡にだまされて着ることのないミニワンピ買う
(須田まどか)

答えを言ってしまっているところが惜しいですが、
おもしろい歌です。


・にこやかに「お酢で鏡をふいてます」そんなアイドル信用できぬ

たしかにアイドルをやってる人は、
夢を与える存在であってほしいものです。
中途半端が一番よくない。
その点、郷ひろみさんや松田聖子さんは
演じきっていて偉いと思いますね。


・七草が過ぎてもデンと構えてる私だんだん鏡餅に似る

・半日の人間ドック後鏡見てバリウム髭の確認をする

・身体だけデカイ息子が怯えてる合わせ鏡の都市伝説に



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・鏡台の一番下の抽斗の奥に眠れる母の黄楊櫛
(佐々一竹)

・圓蔵がまだ圓鏡と呼ばれたる頃を懐かしみ燗酒を呑む

・子は親の鏡だというあの母の何を引き継ぎ生きて居らんや

・ひび割れぬ鏡餅まだ飾られて自分探しの堂々めぐり


「ひび割れし」
にしたほうがいいです。


・頑として老眼鏡を掛けざりし母の意固地を愛おしみたり

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・内視鏡検査でやはり見つかったポリープみたいな君への想い
(ウクレレ)

・パステルのコート試着しカーテンをきみが開ければ春がはじまる

さわやかで、実にいい歌です。


・もう何もうつさなくてもよくなって鏡よただの硝子におなり

・別々の空を映してぼくたちは割れたカガミのごとく生きよう

・青空を映して閉じたコンパクトミラーを鞄にそっとしまえり


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・鏡のようにきみの仕草を真似てみてそれでも分からない胸の内
(小林ちい)

・美容師が延々話しかけて来る鏡の中の目も見ないまま

・泣きぬれた朝も鏡と向き合えばチークを入れるための微笑み

・鏡越し目が合う女 表情を変えずに化粧室を出て行く

・午後の陽を鏡ですくい教室のまどろみの海泳がせてやる



今回、リアルな手触りがあって
とてもよかったです。

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・正しさとは何か眉毛をかたどりしテンプレートを片手に鏡へ
(長田絵理子)

・悪口で過ごした翌朝内面を映さぬ鏡を幸福として

これは鋭い。
読む者をドキっとさせる歌です。


・恥ずかしい格好なのは君もだし天井の鏡見てごらん


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・手鏡を見せても反応しない子をぼーっと抱いてる虐待する母
(高橋徹平)

・じゃれてくる子を見下して笑うママの母親という鏡は割れてた

・親は子の鏡なのよと怒られた 確かに私も被虐待児

・パーマネント屋の大鏡 髪の毛で隠されていたアザまでうつす



精神科医の高橋さんです。
児童虐待に対する
真剣なメッセージを感じました。


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・閉じかけた三面鏡には幾つもの迷う心の群れが住んでいる
(ももや ままこ)

・煮てもよし、焼いてもよしと腹くくる鏡開きの餅になる彼

・散らばった鏡の破片に映るのはちょうど壊れた関係のよう


「ちょうど」が説明的かな。


・深夜2時化粧直しをしていれば鏡の世界へ消えるキャバ嬢

・少しだけ未来を知りたく悪魔との契約交わす鏡を合わせて



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・冤罪に疲れて帰宅した父が鏡をみんなはずし始める
(虫武一俊)

おもしろい歌です。
「みんな」は、
「すべて」に変えたほうがいいです。


・お前が裸足で望遠鏡を踏んだからとどめをさしてやる兄として

クレイジーでおもしろいけど、
やはり破調が気になります……。


・やりなおしのきかないものに名を呼ばれ三面鏡の扉を閉じる


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・前髪が気になり映した窓ガラス寝癖の奥に誰かの笑顔
(黒髭)

・午前二時消したテレビに現れる疲れた顔の男が一人

・満天の星空宿す水鏡小石を投げて宇宙蹴散らす

・なあお前そっちはどうだイケてるか鏡の中も世知辛そうだ



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ひさびさの登場
新井蜜さんです。

・幾十の破片となりてそれぞれの宇宙を映す投げた手鏡
(新井蜜)

・捨てられた鏡に映る青空を踏んでしまつただけなのに俺は

・みづいろの鏡をひろふ さむいねとはなしかけてもくもつてしまふ


俵万智さんの本歌どり?


・深海に鏡の欠片沈みをり提灯鮟鱇の光、煌めく

歌集『暗黒星雲』おもしろかったです!


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・四月初日、鏡に映る僕もまた嘘だね、あからさまに不細工。
(滝沢勇一)

・さみしくて合わせ鏡の中にいるたくさんの僕にやあと言った。

・優しさに触れてしまったから今日は鏡を見るのがとってもこわい。


深いですねぇ。

「。」をつけるのはポリシーでやっているのかな。

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・鏡面が変形している道路反射鏡に映りし魔の十字交差点
(月見里亞玖津)

・ディズニーランドのトイレに鏡設置される日おそらくそれは世界が終わる日

そういえば、
ディズニーランドのトイレに鏡はないんでしたね。
目の付け所がよかったです。


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・不機嫌なミラーボールを撃ち落とせ僕らはきょうも星屑まみれ
(きたぱらあさみ)

・フレームのゆがんだ眼鏡 青空が正しいなんてだれが決めたの

・だれだってだれかのために必要でエレベーターの鏡のように

・役割は理解している だきしめる あのこのミラーサイトとなって

・アナスイの鏡をのぞくすこしずつおんなになってしまうくちびる


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・指触れてひんやりとする三面鏡左と右の私は違う
(ぐるぐるフルール)

・後方の君を映して閉じ込める恋に染まったコンパクトミラー

・月面の足跡探す望遠鏡フローリングの冷えた真実

・手を伸ばし鏡に映る人の頬伝う涙の拭えない夜



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・しし座流星群近付いて国道のカーブミラーにあつまるひかり
(富田林薫)

・アンティーク鏡台の引き出し深く異国の姫の微笑みをかくす

・ジャバウォックの詩を失くして解らない鏡の国のアリスの死因



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・置手紙“素直になれ”のひとことに 鏡文字しか書けなくなりぬ
(ポンポンダリア)

・寂しくて 合わせ鏡の中に立ち 無限の我に話しかけてる

シュールな光景が浮かび上がってきます。


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・濁り水深淵の空映しおり覗く我が身を引き込むように
(夕夏)

・うつむいてみなもながめるおののいてゆれるみなもにこころもゆれる


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・この道を 行けば大滝 滅びみち そを知りつつも なおも 道行く
(乾泰宏)

「道歌」っぽいですね。


・妻を捨て 子を捨て十年 今もなお 孤独の広場 立ちつく しおり

・とめどなく 涙ながるる 悪の種子 隠して生きし 歳月の 思えば

・「悪かった」 悔悟の思い 果てなくも ただ生きるしか  なき身なるかな

・大手町の ビル群灯ともり 明々し かって棲みたる 日々 のあざとき
 


1字空けにしなくてもいいと思います。

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・万華鏡覗いて人生ふり返る華も花火も一瞬のうち
(おはぎ)

・池の面鏡の如く映る雲天に届けと小石を投げる


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・廃屋の鏡に映る肖像画の瞳の奥に群青の空
(手乗り文鳥)

・いもうとは合わせ鏡のその奥に置き忘れたもの取りに行ったまま

怖いなぁ。
伊藤潤二先生の漫画みたい。


・膝小僧抱へ八月一五日 母の手鏡にいつか見た空

・アクセルを握る右手に力込めバックミラーに過去吹きこぼす



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・空想のボール投げれば向こうから投げ返すもうひとりのわたし
(魚虎)

・バックミラー越しの老婆を見ないふりなどできなくて夜の高速

・襟立てて鏡の前で偽者のカントナになるためのユニフォーム

・君を待つあいだに漏らしたため息が冬の双眼鏡(オペラグラス)を曇らす



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・手鏡でふざけ照らした横顔がふと蘇る甘き疼きと
(壮太)

・日々の老いといふ悲哀を欺ける魔女が住むらし或る鏡には

・鏡面のような湖面に眼を落とし二人聴いてた「雨のウェンズデー」

・なごり雪ホントに降ったわトンネルを駆ける車窓に映った瞳に



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・漆黒の太平洋にルナルナル映える己をながめる月は
(喜楽熊)

・捨てられる鏡に槌を振り下ろす勤めを果たす日々 雪が降る 


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・ふたたびは会えない人を追いかけて回しつづける百色眼鏡
(高松紗都子)

・夏の日のカーブミラーの分かれ道白い素足が浮かびはじめる

・天空をめぐる孤独な目だろうかハッブル宇宙望遠鏡は



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・横たわるカーブミラーに怪獣のかたちで吼えるたそがれの雲
(猫丘ひこ乃)

・水鏡うつろな君を映すとき椿がぽとりコサージュになる

ぽとり(と落ちて)コサージュになる
ならわかるけど、
ちょっと省略しすぎですね。


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・本当のことだけ伝え損ねてた鏡にうつる真昼間の月
(はせがわゆづ)

・雨音の全部を残さずうつしてたあなたの黒目は鏡のように

・鮮やかな夕焼けみてるきみはまだ鏡の向こうから帰れない



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・モノクロが正しいと言うみずたまりこっちの世界が偽物なんだ
(中森つん)

・C3領域までもさらけ出し私を暴く口内鏡よ

・湖がピエロのように笑ってる いまそっと流れるほうき星



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・姿見に映りし者は父に似て母にも似てるネクタイ曲がってる
(104hero)

・投げつけて割れた鏡に映る君君君君君君の涙


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・みうらしんじのボケ死にやがれと思いつつ割れた鏡をじっと見ている
(みうらしんじ)


>ところで、以前、
>・南国の太陽として歴代の宮崎県知事みな禿げている
>という歌を採っていただきましたが、20日で退任する東国原知事の後任は普通にふさふさしている人が当選しました。
>長きに渡った電灯、いや伝統(?)が途絶えたことを残念に思っています。
>もしそちらの知事に立候補の際はあたたかく迎えてやってください。

とのことです!

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・鏡越しのうしろの世界=現実は混沌として華やかで、好き。
(川瀬のぞみ)

・あの夏のカーブミラーの屈折にヤラレテシマッタ「きみが好きです」


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・押し黙る君の背中の向こう側 三面鏡の分かつ感情
(たちはらそう)

・左手が頼りとなった僕だけど鏡の僕の右手は元気


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・優等生の鏡としての金次郎が背負いしものはひたすら重い
(広瀬智深)

・鏡では六四分けだが実際は四六分けではないかと思う


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・しまむらの試着室には凹面の鏡があってエルフに会える
(飯田和馬)

・傷ついたはずだったのに手鏡の中の私は闘魚のようだ


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・中央に鏡の付いた遁甲盤三年間に光ることなし
(そう蛸)

・カーテンの隙間に今日は望遠鏡出ていないこと犬と確かむ


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・髪をとく手鏡付きの黒い櫛それが中二のプライドだった
(佐々木優)

「中二」が効いてる。


・洗面所 マジックミラーの中にいる奴へと向けて放つ屁ひとつ


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・なぜママが鏡の前にとりどりの瓶を置いたか分かり始めた
(小野伊都子)

・次の駅までの車窓の暗闇に髪整える もうすぐ会える

・鏡には昨日の私は映らない今日の私できみに会いたい

・きみの目の鏡はまるで空でした 見上げるだけで旅したくなる



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・泣き顔を鏡に映してもう一度頑張ろうとか思えた新卒
(ひいらぎ)

・何回も手鏡見てたあの頃はきらきら輝く恋をしていた

・鏡には退屈そうな表情が映って恋でもしてみませんか



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・銀食器は鏡の様に磨かれているけど君は倒れたままで
(佐井永)

・にじみゆく君も桜も涙ではないよ眼鏡を外しただけで


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・洗面台で手首を切りし女生徒の鏡に映るほの暗き顔
(憂太郎)

・変身はテクマクマヤコン少しだけ善意を贈る伊達直人になあれ

・左利きのA子はいつもスカートの右ポケツトに手鏡を入れる

・うづたかく積み上げられしスクラツプのサイドミラーが乱反射せり



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・通勤の電車のステンレスに映る俺は何だか老けてるんだが
(ムラサキ・ピープル)

・合わせ鏡で二口女が几帳面に直している紅

・甘そうなデコ手鏡に「わたしはきれい」 乙女は夜毎鍛えられてる

・水銀を塗られたわたしが毒を孕まないだなんてどうして思った?



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・ちゃんと百円いれたけど無人野菜売り場の鏡 見るのがこわい
(重たいウサギ)

良心を映す鏡?


・六十八円の鏡餅しろいほうがあたらしいんだと母ちゃん怒る


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・鏡ごし見ている顔は本当のワタシなのかは神のみぞ知る
(沙羅)

・みぎひだり逆転してる人生を映し続ける鏡の憂鬱


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・この呪文「テクマクマヤコン」唱えれば貴方の妻になれたでしょうか?
(螢子)

・女なら一度は聞いてみたきこと「鏡よ鏡、私ってきれい」

・ぴんとはる空気の中で凍りゆく路面に歪む十六夜の月



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☆鏡の中の1首劇場☆


・隆盛を万華に踊った終着地 壇ノ浦こそ懺悔鏡なり
(西畠勇氣)


・ブルースをうまく歌える年頃さ鏡の裏をひっかく猫よ
(帯一 鐘信)


・大丈夫 ダイジョウブって 云ってみて 鏡の自分に 笑ってごらん
(台所のキフジン)


・ひび割れた鏡は形保てずに崩れ落ち行く君の想いも
(薫智)


・まぶしすぎる未来 ジュリアナ東京のミラーボールに砕けてたのは
(カー・イーブン)


・紅葉の門に鏡花が入りし秋弟子は十七師は二十三
(船山登)


・饒舌な鏡の精を叩き割るまつしろな嘘をまたひとつつく
(穂ノ木芽央)


・ランナーズハイの境地にあらわれた女人がまとう鏡のドレス
(不動哲平)


・懐かしくそして残酷な想いは溶けて消えゆくサイドミラーに
(ユメバク)


・ケロンパの「かがみよかがみかがみさん」あのころよい子にあこがれていた
(螢子)


・必殺のミラーナイフが宙を切りついでに通知表とかも切る
(山城秀之)


・口紅が鏡の中で滲んでく夜に置いてけぼりをくらって
(加藤久美)


・目の前の 自分を見つめ はや二年 後ろに映る 合せ鏡
(彩葉華琉多)


・100光年まっすぐ進んで反射した池の氷の音を聴く夜
(渡邊)


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鶴太屋さんです。


・曇り日の鏡に沈む海鼠かな愛をむさぼるその虚無の口
(鶴太屋)

・冬の鏡に枯れ蔓つたひ鷹睡るこの生命の愛(いと)しきろかも

・鏡のごとき春の泉に膝折れば惑ひの水精もいつしか水仙


どこか神話めいた歌です。


・女鳥羽川、寒の流れの泡寄せる泉鏡花を読みそめて冬

「泉鏡花」できましたか。


・火の鏡に数瞬の夏封じこめオリーヴの実を眼に埋づめ去れ

・合はせ鏡の無限にわれら遠ざかり夢幻の桃を欲る終身刑

・夏の鏡に髪梳(と)く乙女 兄われに薄紅色の雨ひとしきり

・われらが祖(おや)の霊は満ちたり係累の血の鏡から虚無が滴る



やはり「鏡」というお題は、
鶴太屋ワールドにぴったりはまりますね。


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酒井景二朗さんです。


・「死んでやる」そんなルージュの傳言が酸をかけても消えてくれない
(酒井景二朗)

・圓鏡の藝風だねと言ひ乍ら輕い自虐を分け合ふ僕ら

・千早振るカミオカンデの靜水に沈む鐵腕アトムの遺骸

・そんなにも眞正直で疲れないか?夜に鏡にささやいてゐる

・アリス、もう君を待つ者ことごとく消えてしまつた鏡の國だ



今回は、愚痴の短歌でしたね。
4首目、酒井さんの人柄が出ていると思いました。
真っ正直なところが酒井さんの美点だと思いますよ。


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お疲れ様です!

今回も力作揃いで
選歌が大変でした。
「おっ!」と思う歌がいくつかありました。

それは素晴らしい!
ますますレベルが上がっている
「笹短歌ドットコム」
今年もよろしくお願いいたします!

よろしく哀愁☆
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2011年01月02日

謹賀新年&お題発表!!



2011年元旦

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします



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    2011年 新春短歌


仁丹を噛んで痛みに耐えており長老の打ちし煙管の堅さ


疎開っ子の枕の中にひそみいし煎り豆ほどのやさしさをくれ


ふりむけばオバサン万引きGメンのサンバイザーに映る冬薔薇



笹 公人

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ということで、みなさま
お正月いかがお過ごしでしょうか?

何が起きるかわからない時代です。
矢追さんも大晦日のテレビで
「異次元の扉が開きはじめた」って言ってたし。

矢追さんの言うことを真に受ける奴がいるか!

でもほんとに何が起きてもおかしくない状況になってきたね。
AKBとSKD(松竹歌劇団)がコラボレーションする時代がそこまで来てますよ。

SKDって水の江滝子とか、
寺山修司の奥さん(九条今日子)とか、その世代だろ!
死んでる人もけっこういるし、ありえねえよ!

コンサートのDVDにしか映らないメンバーも続出したりとか。

怖い話にするな!

物故者メンバーだけなぜか白黒映像。

ジャパニーズホラーか!
ディティールが細かいよ!
……
それより新年初の「お題」をお願いします。

では、なにが起きるかわからない年になる
という期待をこめて、
「異次元への扉」ともいわれていたり、
またお正月を象徴するアイテムの頭文字でもあります。





です!!


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<笹公人師範による模範短歌>



獣らの監視厳しき夜の森で鏡をはこぶ僕たちの罰


三面鏡きらきら崩れ後家さんは霙(みぞれ)ふりしきる夢の中です


鏡から鏡へ移る魔術師に手錠をかけて夜がはじまる


ひなびたる旅館の鏡を割りながら組み立て直す青春パズル


三角縁神獣鏡を磨くのみの卑弥呼の家来の家来の一日




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短歌ができたら、
この記事のコメント欄から投稿して下さい。
※投稿の際にはメールアドレスをお忘れなく。
記入が無いと優秀作に選ばれても賞品をお送り出来ない場合があります。
(メールアドレスはブログページには反映されませんので、安心して記入して下さい。)

では、もう一度基本的なことを確認してみましょう。

【笹流の理想短歌基準】

単なる説明に終わっていたり、当たり前の発想のものは、
人を感動させるどころか印象にさえ残りません。
表現に工夫をしましょう。そして、心を込めましょう。
読んだ時に心にジーンとくるようなものが詩であり、良い「短歌」です。

迷った時は、この
「チェック表」
を参考にしてみてください。

書けなくて困った時は、
「短歌の型」についての記事
を読んでみてください。

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投稿数は、1人につき5首までとさせて頂きます。

締め切りは、

1月16日(日)いっぱいまでとさせて頂きます。

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新年一発目にふさわしい作品を期待してます!

期待してます!

本日21時〜21時30分
文化放送(AM1134)「トランジスタラジオ」
に出演します。
一人で曲をかけながら解説しています。
気が向いたら聞いてください。

では、今年もよろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 11:30| Comment(90) | TrackBack(0) | 「お題」発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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