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『抒情の奇妙な冒険』一首評 by・斉藤真伸

おかげさまで、「風呂」の総評をほとんど書き終えました。UPしようと思ったら、斉藤さんの一首評が届いたので、先にこちらをUPさせていただきます。
ちなみにこの金田一耕助のオマージュ短歌は、劇団☆新感線の「犬顔家の一族の陰謀〜金田真一耕助之介の事件です。ノート」
(作・演出 いのうえひでのり 出演 古田新太 宮藤官九郎 勝地 涼 ほか)という舞台のパンフレットについた角川文庫のパロディー文庫本に発表した歌です。

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ほかの執筆者が、中島かずき、戸梶圭太、大倉崇裕、米光一成、ほしよりこ、喜国雅彦、大森望、(敬称略)などなど超豪華で、執筆者のみなさんと一緒に舞台を観に行ったのも良い思い出です。おもしろかったなぁ。
では、お楽しみください。

よろしく哀愁☆

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「この人が村に来たら要注意!!」

こんにちは。斉藤真伸です。

アシスタントのカワです。

前回に引き続き、笹師範の『抒情の奇妙な冒険』の一首評をやっていこうかと思います。
今回取り上げるのはこの歌!


血塗られし系図の上を駆けてゆく黒い羽織をひらりなびかせ


「角川ジェネレーション」という章のなかの、一首ですね。

いわゆる「角川映画」の映画史的評価については、映画評論家にまかせるけど、金田一耕助を国民的なキャラクターにした功績は大きいね。

そりゃまたどういうわけで?

一時期の日本の推理小説って、松本清張に代表される「社会派」一色になってたんだ。だから、金田一シリーズのような、おどろおどろしい伝奇ミステリの面白さを日本人に再認識させた功績は大だ。
 金田一ブームがなければ、いわゆる「新本格」や、京極夏彦だって存在できなかった可能性もある。その意味では日本のミステリの多様性を守ったとも言える。

実際の作品について語ってください。

上句の「血塗られし系図の上」ってのは、金田一シリーズの特色をよく言い表してるね。金田一さんの扱う事件って、因習や伝統に縛られた大家族で起きる殺人事件が多いから。で、そこを「駆けてゆく」としたのも、躍動感があって面白い。
 しかし、下句の描写も読み落としてもらいたくないね。

どうしてです。

上句だけだと、どうしても作者の「機知」が勝った印象になっちゃうんだ。「機知」だけで作られた歌って、案外面白くないんだよ。そこへいわば「血肉」を与えるのが「黒い羽織をひらりなびかせ」という描写なんだよ。金田一さんのあの野暮ったい和装って、映画やドラマでもうお馴染だから、読者の心にイメージがぱっと湧くしね。ここで読者の「感心」が「感動」に転換されるんだ。

歌集に「金田一シリーズ」と銘打たれた歌は三首あって、この歌はその真ん中の作品ですね。他にもう一首取り上げてみます。


廃駅に兆せる凶事のまぶしさに金田一耕助が手を振る


「廃駅に〜」も、金田一シリーズをよく捉えた一首だね。やはり「手を振る」という動作が効いている。
 山梨の某所に、金田一シリーズの原作者・横溝正史の記念館があるそうだから、今度笹師範を誘って一緒に行こうかな。

笹 師範 2008-05-09

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