2007年06月04日

新・あきえもんアワー 第10回

園長先生の春

作・あきえもん


風に乗り桜の花が舞うたびにヘンゼルはまた元の道行く 


質問をされて質問で返した園長先生の春一年目


春キャベツ新たまねぎを買いに行く毛玉の付いたセーターのまま


バス停のたびに両目を泳がせる女生徒が一人 また春が来る


幸せを祝うツバメの巣を落とし乙女のようにはしゃぐ雀よ


前輪をもがれて二度と動かない車に桜の花びらが落ちる


米を研ぐ水道水の冷たさに気付かぬ朝は春の始まり


お散歩の列から離れ泣きじゃくる園児がひとり(去年はふたり)


春菜という少女が来ます 花見では軍歌をうたうような顔した


タイトルと選・笹 公人

お題:「春」


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2007年04月18日

新・あきえもんアワー 第9回

戦え!メタボリック黄レンジャー

作・あきえもん


置き場所に困りてピンクパンサーを死体のごとく鴨居に吊るす


我の名を思い出せずに金色の階段上る麻酔薬の夢


桃色の片思いとはあれやこれ独りムヒヒと笑い出すこと


誤って黒木香と口にする瞬間に似た沈黙があり


若葉色のシャツの背中に抱きつけば大草原の匂いが満ちて


メタボリックパワー全開! 体内を哀しく変身させる黄レンジャー


守られることなく独り生きる日の武装としての赤き唇



タイトルと選・笹 公人

お題:「色」
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2007年03月04日

新・あきえもんアワー 第8回

まぼろし角松Time

作・あきえもん


「荒井由実」
呉服屋の軒先に落ちる雨音に髪長き子はリズムを刻む


「DJ OZMA」
初春のめでたき朝に先ず以て受話器に唾をまき散らす祖父


「辛島美登里」
雪を吐く女の声に涙して共に凍える時間は優し


「角松敏生」
街並みをすり抜けてゆく幻が二度とあなたを攫わぬように


「ビートルズ」
ハイフンで連ねた名前 僕たちはどのアルバムを作るのだろう


「ル・クプル」
カフェで聴く「ひまわりの詩」待ち人はまだ来ないのを良しとして泣く



タイトルと選・笹 公人

お題:「バンド・ミュージシャン・歌手」
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2007年01月23日

新・あきえもんアワー 第7回

黒い三十一文字

作・あきえもん


「音羽幼稚園児殺害事件」
重そうに黒いバッグを抱きしめて「のぞみ」車両を降りる人あり


「コンクリ殺人事件」
父の名を検索すればヒットするコンクリ殺人事件スレッド


「本能寺の変」
捨てられた歌舞伎役者は見得を切る 「己の敵は本能にあり」


「アダムとイブ エデン追放」
見ないでと黒い瞳を潤ませるアダムとイブの血を継ぐ者よ


「附属池田小児童殺傷事件 」
還る家無くして眠る殺人鬼「宅間守」の哀しき響き


「東電OL殺人事件」
修道女は淫らな夢を見続ける それが女というものでしょう


「石原真理子暴露本発売」
折り紙の華やかな色まっさきに使って君はグレーを残す


「フランス革命」
痩せぬなら食わねばよいと仏蘭西の王妃のごとき笑顔を見せて



タイトルと選・笹 公人

お題:「事件」
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2006年12月11日

新・あきえもんアワー 第6回

ふたりのアンドレ

作・あきえもん


軽やかにミル・マスカラスのスカイハイ歌い飛び去る覆面強盗 


経産婦のセルライトにはブッチャーの額に負けぬ苦闘がにじむ


亡き馬場を思いて芸を封印す関根勤の男気を見よ


ほろ苦き恋の終わりにただ僕はラッシャー木村のマイクパフォーマンス


一番になればなるほど哀しみを背負いて女相撲チャンピオン


本当のヒールはOLに紛れてさとう珠緒の手振りで話す


試合より激しきフルーツバスケット K−1ファンのタレント席は


「体力の限界」と泣き崩れても引退できぬ妻と母の座


リビングで寝坊の我を呼ぶ母のリングコールの上手そうな声


基地外の意味を始めて知った日のテレビに映るシンのサーベル 


我が恋は哀しきことにいつの日もグレコローマンスタイルでした


若き日のニックネームのアンドレはベルばらであると今も信じる



タイトルと選・笹 公人

お題:「格闘技」
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2006年11月17日

新・あきえもんアワー 第5回

サザエ一家が笑ってたから

作・あきえもん


「サザエさん」

「共通の敵が円満の秘訣」と訳知り顔でカツオうそぶく 

5階からテレビを投げたその訳はサザエ一家が笑ってたから

おひさまも人もアタシの過ちを嘲笑(あざわら)う いいお天気ですね

喋らないイクラに悶々としているタイコを見せることなきテレビ

二人目が欲しいと思っているけれどカツオが何か感づいている


「まんが日本昔話」
人間っていいなと言える日もあった むか〜しむかしの事じゃったとさ


「フランダースの犬」
うたた寝のわれに寄り添う犬一匹 柴田理恵ならもう泣くだろう


「アルプスの少女ハイジ」

学校の机の中へ食パンを押し込む君はハイジの笑みで

ふんわりとハイジを包む干し草は顔を忘れたマンマの香り


「ドラえもん」

ドラえもん ジャガー横田のマンションに早くセワシと行ってあげなよ 

どこへでも行けるドアならあの人の心の奥へ連れて行ってよ

もう何も望まないからドラえもん 私をそっと抱きしめて欲しい

さん付けで呼ばれなければ僕だってこんなに萌えることはないのに


「銀河鉄道999」
天高く道なお続く 美しき君の心の螺旋(ねじ)となるため


「ふしぎなメルモ」
母さんの卒アルに載る美少女に恋して赤いキャンディが欲し


「天才バカボン」
のれむるをもれりもれりとほげまりて ハナモゲラ語でパパは求婚


「ブラックジャック」
僕たちの未来はいつも見えなくてドクターキリコはもうそこに居る


「新世紀エヴァンゲリオン」
「おやすみ…」を綾波レイのモノマネで云えば明日が来ない気がする


「スヌーピー」
くしゃくしゃで薄汚れても離さない毛布のようなそんな愛です


タイトルと選・笹 公人

お題:「アニメ」
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2006年09月21日

新・あきえもんアワー第4回

ビールを運ぶ

作・あきえもん


コンビニの奥でビールを運ぶ吾を客は知らない早朝六時 


ビール瓶ころがる居間に倒されて見事スペアになったわたくし 


卵酒飲んで芯から温かくなればあなたの笑顔近づく


仮面(ペルソナ)がぽとりと落ちる瞬間を見たくて君とウォッカマティーニ


裏道のBARにふらりと迷い込む 我の視線は喪黒のごとく


濡れているジョッキそのまま凍らせてビールにひらり冬が降り立つ


病巣を忘れるように酒を飲む男に妻は二人居ました


コップから升に流れる1/fのゆらぎは明鏡止水


タイトルと選・笹 公人

お題:「酒」
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2006年08月08日

新・あきえもんアワー 第3回

ミジンコブルース

作・あきえもん


庭先のナマズ暴れて三年も帰らぬ兄のケイタイ光る

右回りしている鮪が一斉に左に回る さぁ君が来た

いわし雲を消してみせよう 浮き雲も消してしまおう 君も消えなよ

水圧に押しつぶされた深海魚みたいに部屋で動かずにいる

背開きにするか腹開きにするか息絶え絶えに白鰻(ウナギ)問う

「キミ達はどこから来た」と魚屋でイカに訊ねるミステル・ヤオイ

付き合った男の数を忘れぬよう魚拓のごとく残すプリクラ 

「死にたての舟盛りです」と歯の抜けた女将(おかみ)が笑うひなびた旅館

グレゴール・ザムザは狭いアパートで山椒魚の泣き声を聞く

縁側のタマの眼鈍く光るとき傍でカツオが寝息を立てる

ザリガニのしっぽを餌にザリガニを釣れば川面(かわも)が激しく揺れる

幾人の男が河豚の毒を喰い逝ったのだろう 柔らかい舌 

大葉巻きアジのフライにどぼどぼと醤油をかけて持ち味は無し

ウラシマノワスレガタミとダイバーがひそかに呼んでいる熱帯魚

幸せに生きようなんて一ミリも思っちゃいないミジンコブルース

高温で素揚げをしたら塩だけで乙に食いたいタツノオトシゴ

芳一の心経のごとくびっしりと湯呑みに並ぶ魚の名前



タイトルと選・笹 公人

お題:「魚介類(海の生き物)」
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2006年07月13日

新・あきえもんアワー 第2回

テレビのじかん

作・あきえもん


忘れずにロンハーを見る 低俗な部下と話を合わせるために 

ベストテンの聖子とトシに割り込んだ徹子のように邪魔をしてやる

総務部の泉麻人に似た人が我はテレビを見ぬと言い張り

キョウカラハエイゴデジュギョウヲハジメマス 3年B組金髪先生

「入る」っていう字も支えあってるね 課外授業の金八先生

チャンネルをまたいで同じCMを見たことだけが今日の良き事

大声でなんじゃこりゃあと言ってみた リストラという我の殉職

まだ恋も知らぬ幼き子供らが「ちょっとだけよ」に「いいぞ」と叫ぶ

富士真奈美うつみ宮土理がべらべらとコメントをするいなか、の、じけん

欽ちゃんに懇願されて点数を加えるような恋がはじまる 

アナログはあと五年だと告げられて我のことかと胸を押さえる

六人のゲストが見えて隠された吾の力知るオーラの泉

無遠慮に横を通ればヘソまげて映らなくなる実家のテレビ

花嫁のごとく飾りしレース編み 今もテレビの上に鎮座す

デキている事を即座に言い当てる三十路の姉のテレビ鑑賞

人の輪はときに奇跡を産み落とす 上映初日のテレフォンショッキング



選とタイトル・笹 公人

お題:「テレビ・テレビ番組」
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2006年06月21日

新・あきえもんアワー  第1回

佐川君からのクール便

作・あきえもん


西川の羽毛布団にくるまってふわりふわりと独りで生きる

こんにちはしまじろうだよ振り向いてもらえなくても何度も行くよ

真っ白なグンゼのブリーフ見た途端 震える君は自称二十五

稲葉クンが100人のオンナに乗ったって見ないふりする日陰の私

「ボンソワール・・・佐川クール便です」と冷凍肉のおすそ分け来る

皿に出すプッチンプリンあっけなく別れた君の甘さが香る

リビングでドラドラ叫ぶパパの声たぶんみんなとドンジャラだろう

チョコ味のパピコを一つ喰い終わり残る一つを辻ちゃんと呼ぶ

うまければ何でもいいときみは云う 鈴木くんでも佐藤くんでも

百円のMONO消しゴムをプレミアに変えるナンシーはここに居ない

優しさの大安売りの君に告ぐ バファリンだって優しさはある

さぁらりとした梅酒だけ知っている ドロドロだった恋の終わりを

母はまた同じTシャツ同じ靴 ラブ&ベリーの着せ替え楽し

ポリンキー食べては泣いてまた食べて二袋目の途中で眠る

欲望のままに彼女が喰らいつくビックマックに消えてゆく愛

ローソンのレジ横にあるフランクのように私は嫁に行きます



タイトルと選・笹 公人

お題:「商品名を詠む」
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