作・かんな
夏の日のビッグエッグを飛び跳ねるオレンジ色のスーパーボール
巻き貝のなかをたどってゆくような古灯台の螺旋階段
たんぽぽの綿毛ほわんと六本木ヒルズの上に花を咲かせる
コンパスを優雅にまわす丸ビルの設計技師の細い指先
取り壊し期限が迫るアパートの外階段に腰掛け眠る
少年は太陽の塔の影の下、時限爆弾胸に抱えて
ポッキーを並べたような影が消え高層ビルは闇へと溶ける
はりぼてのケーキのような教会で確かめられる「真実の愛」
「その昔、耐震偽装があったとさ」古い厨で蓮根を切る
タイトルと選・笹公人
お題「建物」