2009年01月24日

笹井宏之ポエジー図鑑


「事件」 「高須賞」 の巻


「事件」


「耐震強度偽装問題(ヒューザー)」

ひゅうざあと波打つきわの平家蟹 小嶋さんたらこんなところに




「耐震強度偽装問題(建築士)」

野ねずみの巣立ちのように拘置所を出てゆく姉歯さん まるぼうず




「90年代北朝鮮大飢饉」

かろうじてその生きものは人でした 火にも水にもなれないままの




「黒船来航」

そいそーすふれいばあ 四月の浦賀 風邪っぴきのマイケル二等兵




「終戦」

ぶらんこにひとつふたつと乗せられるつめたいあぶらぜみの肉体




「高須賞 〜日本美容短歌大賞〜」



くちべにを試す少女は紅葉をむかえるまえの山野のように




マスカラが涙のすじを下るときあなたはどうしようもなく素顔




銀の湯をひろがってゆく黒髪がかすかに月のひかりを奪う



2006年12月


「笹公人の短歌Blog」より

笹井宏之 2009-03-16 : 07:38:26コメント(0) | トラックバック(0)


「格闘技」 の巻


「格闘技」


元旦の朝にようやく百八の瓦を割りおえる師範代



道場にあやめのような人がきてしばし花瓶となる師範代



さすらいの蜂蜜売りは知っている 馬場さんが欅だったことを



三日月の凍る湖面にアントニオ猪木の横顔があらわれる



2006年10月


「笹公人の短歌Blog」より

笹井宏之 2009-03-16 : 07:37:08コメント(0) | トラックバック(0)


「アニメ」 の巻


「アニメ」


「スラムダンク」

しあわせのかたちは春の日溜まりの安西先生ではないかしら 



「セーラームーン」

ひといきにダークグリーンの髪を解きセーラープルートはさよならを



「ハウルの動く城」

ふるえている私の城へ寄り掛かりソフィーのように泣いた恋人



「ドラゴンボール」

あめかぜにうたれなぶられひきつづき出番を待っている筋斗雲



「アンパンマン」

あんぱんが目や鼻をもち言語野のすぐれたカバと会話している



「ガンダム」

雪の降るみなもに全砲身を向けしずかに錆びてゆくガンタンク



「ONE PIECE」

ゆくあてのない旅をする人々へ麦藁帽のキーホルダーを 



「銀河鉄道999」

てらてらと銀河鉄道行きのバス (バス?) そうすこしわたし現実



「サザエさん」

うたたねにはいる夫のかたわらでおフネさん、縁側をみている



「天才バカボン」

赤道のあたりで頬のうずまきに違和感をおぼえだすバカボン 



「妖怪人間ベム」

人間になれますように 廃駅のいたるところで雨、ひかりだす




2006年9月


「笹公人の短歌Blog」より

笹井宏之 2009-03-16 : 07:35:33コメント(0) | トラックバック(0)


「酒」 の巻


「酒」


ひとすくいワイングラスに海をいれ夕陽のあたるテーブルへ置く


焼酎を墓標にかけているときのおじいさん いっそううつくしい


酒屋からファミリーマートへ変わっても日暮れの窓は果実酒の色


雨になるゆめをみていた シャンパンを冷蔵庫深くにねむらせて


マスターが夜な夜なワイングラスから呼び起こす研磨師の精霊


おもいきりつめたくされてシャンパンのコルクが冷蔵庫へ飛んでゆく


シャンパンの瓶もシャンパンそのものも傷ついてしばらくの沈黙


往年の酒井法子のプロマイドを古代象展示室に隠す


じわじわと浜昼顔にまきつかれ色をなくしてゆく梅酒缶


酒瓶にプリントミスがある夜の天球を走りまわる麒麟



2006年8月


「笹公人の短歌Blog」より

笹井宏之 2009-03-16 : 07:34:11コメント(0) | トラックバック(0)


「魚介類」 の巻


「魚介類」


マンボウのようにヨーロッパの人が長椅子を立ち上がって消えた 



鰯雲のうろこのなかへ釣り針のように突っ込んでゆく旅客機



グリズリーに跳ねあげられた紅鮭の片方の眼に映る夕虹



ひとしれず海の底へと落とされた大王烏賊のなみだを思う



消えてゆく尊いもののひとつとして金魚掬いのときのおじさん



未来への問いはゆるゆる吸い込まれシーラカンスの水槽の中



2006年7月


「笹公人の短歌Blog」より

笹井宏之 2009-03-16 : 07:29:07コメント(0) | トラックバック(0)




「商品名」 「テレビ・テレビ番組」 の巻


「商品名」


真っ白になりたいときはiPod miniへ転送した風を聴く



2006年5月



「テレビ・テレビ番組」


ミュージックステーションへとゆくはずの特急を待つギター少年


いのちあるものに等しくおとずれる白い砂嵐の時間帯


廃品になってはじめて本当の空を映せるのだね、テレビは


チャンネルをあなたの部屋にあわせてもカーテンが波打っているだけ



2006年6月


「笹短歌ドットコム」より



笹井宏之 2009-03-16



「卒業」 「ベタンカ」 の巻


「卒業」


カーテンをあければ体育館中の蛍の光ひっそり消える 



卒業生代表として入ってるタイムカプセルの木村をおもう



アルバムに折り畳まれた校庭が砂をこぼしている文机



アルバムを開けばセーラー服を着たあなたがよみがえります、校長



2006年3月



「ベタンカ」


うごきだす新幹線の車窓には白い帽子でうつむく彼女 



「笹公人の短歌Blog」より



笹井宏之 2009-03-16



「犬」 「家族」 「音楽」 の巻


「犬」


狼に別れを告げた一匹へ名前をつけるならコロンブス 



おばさんが雪を何度も確かめる しばし盲導犬をわすれて 


2005年12月



「家族」


母の手に陶片ひとつ握らせて去ってゆくレインコートの男 


2006年1月



「音楽」


配線の切れた黒電話を耳に歌う Imagine all the people... 


2006年2月



笹井宏之 2009-03-16



「気になる有名人」 「アニメキャラ」 の巻


「気になる有名人」


「レイザーラモンHG」


猫を抱くレイザーラモンHG もちろん猫の性別はオス 



「アンガールズ」


じゃんかじゃんか踊りをおどる案山子には稲穂がちゃんと失笑します 



「つのだ☆ひろ」


つのだ☆ひろ そのまんなかの星にある国ではメリー・ジェーンが国歌 



2005年11月



「アニメキャラ」


「近頃の新幹線には勝てない」と漏らす焼き鳥屋のエイトマン



西日差す食パンマンの背後へとバターひと箱持って近づく 



2005年12月


「笹公人の短歌Blog」より



笹井宏之 2009-03-16




「スポーツ」 「ヒーロー」 「本」 の巻


「スポーツ」


いつまでも落ちてこない白球を追う そういう恋をしていたんだね 



2005年9月



「ヒーロー」


そのうちにたった一人を守りたくなる日が来るよ お面ライダー 


もう何処の誰だかちゃんと分かってる月光仮面の墓にマントを 



2005年9月



「本」


ゆうゆうとフロントガラスを抜けてくる光のなかに伏せられた本 


2005年10月


「笹公人の短歌Blog」より



笹井宏之 2009-03-16



「金」 「ホラー」 の巻


「金」


安らかにお眠り下さい きんさんとぎんさんにメダルなんか要らない


手打ちうどん職人たちを監視して金星人の夏が過ぎゆく 


鉞(まさかり)にくちびるつけて金太郎 愛する人ができたんだ、と 



2005年6月



「ホラー」


「ほんとうの親父を探す」とぬりかべの背に添えられた筆ペンの文字 



2005年8月


「笹公人の短歌Blog」より



笹井宏之 2009-03-16



「メール」 「ピンチ」 の巻


「メール」


婆さんより即レス「地蔵の画像などいらんその笠最後じゃろうが!」 


添付した心霊画像に一心に謝っている 顔増えていた 


2005年 5月



「ピンチ」


錆び付いたボタンはむかし「緊急の時押して」って渡されたもの 


目のところ3になってる藤子キャラ あれは大概ピンチの時だ 



2005年5月 


「笹公人の短歌Blog」より


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