2009年05月15日

お知らせなど

お知らせです。


朱川湊人×笹公人
「遊星ハグルマ装置」
更新されました!

今回は朱川さんの小説
「弟と鳥」
です。

いうまでもなく、寺山修司の有名な歌

・新しき仏壇買ひに行きしまま行方不明のおとうとと鳥

をモチーフにした物語です。
寺山が戦争で父親を亡くしたことも絡めていますし、
もしかしたら、

・おとうとの義肢作らむと伐りてきしどの桜木も桜のにほひ

という歌も絡めているのかもしれません。
寺山ファン必見の名作です!!
ぜひご覧ください!

寺山さんといえば、先日、某誌に
寺山修司未発表歌集『月蝕書簡』田中未知・編
の書評を書かせて頂きました。

この『月蝕書簡』については、期待をしたけどがっかりしたと言っている人も少なくないですが、
僕は寺山修司を初めて読んだ時にも似た新鮮な感動を覚えました。
たしかに過去の作品に類似した歌はたくさん見受けられますし、あきらかに未完成の作品もありますが、
それでも、寺山ならではの秀歌がたくさんあるので凄いと思います。


北海の障子地獄の荒しぶき針をくわえてふりむく母は

葬式におくれし叔父がひとり来て午前零時の玉突きはじむ

妊みたる母が溺れている夢がぎらりと暗し夜の鏡台に

霧の中酔いたる父が頬を突くひとさし指の怪人として

父ひとり消せる分だけすりへりし消しゴムを持つ詩人の旅路

幻燈のひなたぼこりに一匹の猫がけむりとなるを見ており

父恋し月光の町過ぐるときものみな影となるオートバイ



う〜ん。どこをとっても寺山修司!

やっぱりテラヤマは凄い!
未だに好きだなぁ。
寺山さん本人は、この本を世に出してほしくなかったと天国で苦笑してるでしょうけど……。


最後に悲しいお知らせを。

笹井くんのことを書いておいて、
中澤さんのことを書かないのはどうかと思いつつ、
気が重くてなかなか書けずにいましたが、書きます。

短歌結社「未来」の先輩であった
中澤系さんが4月24日にお亡くなりになりました。

中澤さんは難病を患っていて、長いこと意思疎通のできない状態にありました。

中澤さんは強烈な個性の持ち主でしたが、僕とはウマが合いました。
お世話になったし、良い思い出しかありません。
若い短歌仲間が立て続けに逝ってしまい、
なんともいえない気持ちです。

中澤さんには、重たい肉体から解き放たれて、天国でもおもしろい歌を書いてほしいと願っています。
中澤さんのご冥福を心からお祈りいたします。

笹井くんの歌とともに、中澤さんの歌も、
一生語り継いでいきたいと思います。

以下の文章で中澤さんの短歌が的確に評論されてますので、
ぜひご覧ください。


「中澤 系  または、システムという鉄条網のなかで拡散してゆく〈私〉」
東郷雄二氏

「3番線のザジ」
斉藤真伸氏


「総評」少しずつがんばります。

よろしく哀愁☆
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2009年01月26日

笹井宏之さん

笹井宏之さんが亡くなりました。
1月24日、インフルエンザを拗らせて、26歳という若さで……。

J-WAVE「笹公人の短歌Blog」そして「笹短歌ドットコム」の常連投稿者であり、
短歌結社「未来」の後輩でもあった笹井くんは、
自分にとって可愛い弟のような存在でした。
信じられない。
ただただ途方に暮れています……。

彼の天才的なポエジーは昨年歌壇の話題をさらい、
今後の活躍がもっとも期待される若手歌人でした。
まぎれもない短歌界の新しいスターでした。

もっぱら葉書やメールでのやりとりでしたが、
その謙虚でピュアで繊細な人柄を好ましく思っていました。

後輩でありながら、先輩の自分をいろいろフォローしてくれたり、本当にやさしい人でした。

アマゾンの『笹公人の念力短歌トレーニング』のページの一番上のレビューは、
犀名義で笹井くんが書いてくれたものです。
これも僕や投稿者のみなさんへの
笹井くんからの大きなプレゼントとなりました。
宝物にしたいと思います。

笹井くんのご冥福を心からお祈りいたします。

こんなに素晴らしい短歌をつくるひとがいたということを、
みなさん忘れないでください。

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・それは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどのあかるさでした

・あやとりの東京タワーてっぺんをくちびるたちが離しはじめる

・集めてはしかたないねとつぶやいて燃やす林間学校だより

・ゆっくりと国旗を脱いだあなたからほどよい夏の香りがします

・表面に〈さとなか歯科〉と刻まれて水星軌道を漂うやかん

・ここは銀河系のわらじ さむがりやの馬鹿者どもがすあしをつつむ

・太平洋戦争を生き抜いてきたサンタクロースたちの腹筋

・「スライスチーズ、スライスチーズになる前の話をぼくにきかせておくれ」

・天井と私のあいだを一本の各駅停車が往復する夜

・横たわるワイングラスにあんこうの頭がひかる古いお話

・水田を歩む クリアファイルから散った真冬の譜面を追って


       『ひとさらい』笹井宏之歌集(BookPark)より

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・1999年ちょーピンチだったと語るNASAのガングロ 

・目のところ3になってる藤子キャラ あれは大概ピンチの時だ

・安らかにお眠り下さい きんさんとぎんさんにメダルなんか要らない

・鉞(まさかり)にくちびるつけて金太郎 愛する人ができたんだ、と


「仮面ライダー」
・そのうちにたった一人を守りたくなる日が来るよ お面ライダー 

「月光仮面」
・もう何処の誰だかちゃんと分かってる月光仮面の墓にマントを 

「エイトマン」
「近頃の新幹線には勝てない」と漏らす焼き鳥屋のエイトマン

「食パンマン」
・西日差す食パンマンの背後へとバターひと箱持って近づく 


「つのだ☆ひろ」
・つのだ☆ひろ そのまんなかの星にある国ではメリー・ジェーンが国歌 

・じゃんかじゃんか踊りをおどる案山子には稲穂がちゃんと失笑します 

・おばさんが雪を何度も確かめる しばし盲導犬をわすれて

・配線の切れた黒電話を耳に歌う Imagine all the people... 

・母の手に陶片ひとつ握らせて去ってゆくレインコートの男 

・うごきだす新幹線の車窓には白い帽子でうつむく彼女 

・カーテンをあければ体育館中の蛍の光ひっそり消える

・アルバムに折り畳まれた校庭が砂をこぼしている文机


          J-WAVE「笹公人の短歌Blog」より抜粋

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・真っ白になりたいときはiPod miniへ転送した風を聴く 

・ミュージックステーションへとゆくはずの特急を待つギター少年


・いのちあるものに等しくおとずれる白い砂嵐の時間帯

・父の手をはなれたテレビリモコンが朝、床に身を横たえている

・廃品になってはじめて本当の空を映せるのだね、テレビは

・チャンネルをあなたの部屋にあわせてもカーテンが波打っているだけ


・液晶を泳ぐイルカのきょうだいを親指のうごきでねむらせる

・鰯雲のうろこのなかへ釣り針のように突っ込んでゆく旅客機

・消えてゆく尊いもののひとつとして金魚掬いのときのおじさん

・未来への問いはゆるゆる吸い込まれシーラカンスの水槽の中

・化石にはならないでしょう 庭土に尾ひれのようなふたばがひらき

・やどかりは潮騒を聴くためだけに貝殻を背負っているらしい


「ドラゴンボール」
・あめかぜにうたれなぶられひきつづき出番を待っている筋斗雲

「妖怪人間ベム」
・人間になれますように 廃駅のいたるところで雨、ひかりだす


・道場にあやめのような人がきてしばし花瓶となる師範代


 「耐震強度偽装問題(建築士)」
・野ねずみの巣立ちのように拘置所を出てゆく姉歯さん まるぼうず

 「90年代北朝鮮大飢饉」
・かろうじてその生きものは人でした 火にも水にもなれないままの

 「黒船来航」
・そいそーすふれいばあ 四月の浦賀 風邪っぴきのマイケル二等兵

 「終戦」
・ぶらんこにひとつふたつと乗せられるつめたいあぶらぜみの肉体


  「平原綾香(Jupiter)」
・歌声のひらはらとふる冬の夜に私はすこし木星でした 

  「中島美嘉(雪の華)」
・簡潔な情事ののちをうっすらとカーテン越しにふる雪の華

  「一青窈(もらい泣き)」
・もらい泣きしてくれそうなひととみる映画の海がやたらきれいだ

  「Sarah Brightman」
・そしてサラ・ブライトマンの声帯をふるわせている黄昏の風


・目の奥に黄砂のけぶる土地があり雨を、君の雨を待っている 

・水面を緋鯉おおきくひるがえり別れ話は白紙になった

           
   「笹短歌ドットコム」より抜粋

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・マンボウのようにヨーロッパの人が長椅子を立ち上がって消えた 

・ひとしれず海の底へと落とされた大王烏賊のなみだを思う


・酒屋からファミリーマートへ変わっても日暮れの窓は果実酒の色

・雨になるゆめをみていた シャンパンを冷蔵庫深くにねむらせて


・さすらいの蜂蜜売りは知っている 馬場さんが欅だったことを


「ガンダム」
・雪の降るみなもに全砲身を向けしずかに錆びてゆくガンタンク

「ONE PIECE」
・ゆくあてのない旅をする人々へ麦藁帽のキーホルダーを

「スラムダンク」
・しあわせのかたちは春の日溜まりの安西先生ではないかしら
  

 『笹公人の念力短歌トレーニング』(扶桑社)より抜粋
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2009年01月01日

謹賀新年

2009年 元旦

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あけましておめでとうございます。
Romanticが止まらない一年となりますように。


いきなりC-C-Bかよ!
しかも似合ってるし……。


_____________________


     2009年 新春短歌


四回転ジャンプに挑む信成の額に浮かぶ織田家の家紋


鬼畜米英とプリントされたシャツを着て微笑むペンフレンドのジョニー


激熱愛特攻堕天使参上!と女暴走族(レディース)総長からの恋文



笹 公人

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今年も「笹短歌ドットコム」をよろしくお願い致します!

よろしくお願いいたします!

お知らせです。
新年一発目を努めさせて頂きます!

1月4日(日)21:05〜21:55

NHKラジオ第1
「夜はぷちぷちケータイ短歌」


1月7日(水)25:29〜

「ウキ→ビジュ」(中京テレビ)
ゲスト・笹公人(第3回目)

前回までの放送はこちらでご覧いただけます。


みなさんよかったら今年の抱負を短歌で書き込んでみてください!
短歌以外の書き込みも歓迎!
次の「お題」のリクエストもどうぞ!

次の「お題」が決まりしだい、短歌の募集をはじめます!

ということで、
今年もよろしく哀愁☆
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2008年12月24日

12月24日(水)25:29〜 「ウキ→ビジュ」

メリークリスマス!

ミスターローレンス!

本日というか明日

12月24日(水)25:29〜

「ウキ→ビジュ」(中京テレビ)

ゲスト・笹公人(第2回目)

が放送されます!

愛知・岐阜・三重にお住まいの方はぜひご覧ください!

前回の放送はこちらでご覧いただけます。

前回は、魚虎さんと、あきえもんさんの歌が採り上げられましたね。
今回は誰の歌が採り上げられるのか楽しみです!

前回は、奇しくも視聴できるエリア内のお二人の歌が選ばれました。

ところで「総評」は?

明日、徹夜でやります……。

がんばってください!

よろしく哀愁☆
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2008年11月29日

「店屋・店名」締め切り日延期&30日の「毎日新聞」


笹師範です。

「店屋・店名」の締め切り日が中途半端な曜日だったため、
投稿し忘れたという人が何人かいるようなので、
特別に締め切り日を延期いたします!!

今度の締め切りは、
12月6日(土)いっぱいまで
とさせて頂きます!
やはり一人につき5首までとさせて頂きます。

今回、殿堂入り投稿者の
松本響さんと異能兄弟さんの歌がなくて寂しいので、
よかったらぜひ投稿してほしいです。

「殿堂入り投稿者コーナー」
大変遅ればせながら更新しました!
ぜひご覧ください!

新・あきえもんアワー

鶴太屋劇場

松本交響曲

異能セントワールド

かんなのうた

アイドル短歌もありがとうございました!

お知らせです。


朱川湊人(小説)×笹公人(短歌)
「遊星ハグルマ装置」
更新されました!。
今回は朱川さんの小説
「魔術師の天国」です。
今回も傑作です!

「魔術師の天国」は、芥川龍之介の『魔術』へのオマージュ的な作品です。
芥川の『魔術』は、谷崎潤一郎の『ハッサン・カンの妖術』へのオマージュ作品なので、
今回の朱川さんの「魔術師の天国」を含めたこの三作品が、
いずれ「魔術三部作」として定番になるかもしれませんね。


明日、

11月30日(日)
「毎日新聞」朝刊
の短歌欄に、
書き下ろし新作短歌5首
「念力電車」
を発表しています!

世相を反映してか、ちょっと暗い作品になりましたが、
興味がある方は、KIOSKかコンビニで買って読んでください。

※なおこの面は、北海道全域と中部3県(愛知・岐阜・三重)においては、日曜ではなく翌日月曜朝刊(12月1日)の掲載となります。

よろしく哀愁☆
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2008年11月19日

誤植&秀歌鑑賞

笹師範です。

昨日の夜、凄くひさしぶりにC-C-Bの関口誠人さんと飲みました。

関口さんは10キロに及ぶダイエットが成功していて、前回お会いした時とは別人のようでした。
今年のC-C-B復活の舞台裏話などで盛り上がり、楽しいひとときを過ごさせていただきました。

映画「その日のまえに」の話になったとき、
大林映画に出演したという話をしましたら、

「僕も好きですよ! 「同級生」も「みちのく三部作」も観ました!」

と言われました。

「同級生」!?
「みちのく三部作」!?
……それ絶対観たい!!! 

学生服を着た山本譲二が石段を転がり落ちる映像が浮かんだけど……。
ちなみに「転校生」と「尾道三部作」の間違いです。念のため。


間違いといえば、
『路上』という短歌誌で僕のエッセイの校正ゲラが届いていたのだけど、
松島トモ子の「ミネラル麦茶」が、

「ミラクル麦者」

と誤植されていて、

「ミラクル麦者」

ミラクル → ライオンに首を噛まれても生きている

麦者 → 麦茶のCM出演を生業にしている者

ということで、あながち間違いでもないかも……と思ったり……

深読みしすぎだろ!

ということで、斉藤真伸さんの「秀歌鑑賞」の原稿が届きました。
今回は僕の憧れの歌人でもある「栗キョン」こと栗木京子さんの歌です。お楽しみください!
よろしく哀愁☆

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「スネ夫を殺して、ぼくも死ぬ!」

斉藤真伸です。

いまから四半世紀ほど前、某長期連載作品で知られる某有名漫画家が、「日本で銃器の保持がおおっぴらに認められるようになったらどうなるか」というテーマで読切を発表したことがあります。
 もちろん、ささいなことから他人を射殺する事件が頻発して治安は急激に悪化。判定をめぐって後楽園球場(当時)で巨人ファンと阪神ファンが大銃撃戦をやらかしたりします。困った政府は、「誰でも殺していい日」を制定し、国民の攻撃エネルギーを発散させることに…と、かなりブラックな内容です。出来は良かったんですが、その後、この作者の短編集などには一切収録されていません。

 それはさておき、こんな一首があります。

・普段着で人を殺すなバスジャックせし少年のひらひらのシャツ

 作者は栗木京子さん。「観覧車回れよ回れ思ひ出は君には一日(ひとよ)我には一生(ひとよ)」という一首が広く世に知られている歌人です。「観覧車〜」の歌だけ取り出すと、「激しい相聞歌の人」といった感じですが、実は社会詠・時事詠の分野でも多くの優れた歌を発表しています。

 掲出歌は第五歌集『夏のうしろ』に収録されており、「そして平成十二年、十七歳の少年が…」という詞書(ことばがき)が付けられております。平成十二(二〇〇〇)年五月三日に、九州で高速バスが、刃物をもった十七歳の少年に乗っ取られた事件です。
 事件の詳細は、「西鉄バスジャック事件」でググるといろいろ出てきますので、そちらをごらんください。結局犯人は逮捕されるんですが、六十代の女性が刺されて死亡しています。十七歳の少年によるあまりに無謀・無軌道な犯行に、世間は呆れると同時に恐怖しました。

 掲出歌ですが、「ひらひらのシャツ」という把握が実に怖い。この一点を捕らえることによって、犯人の内面とその行為の空虚さが見事に浮かびあがってきます。それと初句の「普段着で」に注目。格助詞の「で」って、短歌ではあまり好かれない語なんですが、この歌の場合は「で」のごつごつした、あらあらしい感じが、実によく似合っています。
 この一首、よく読むとある疑問が浮かんできませんか? じゃあ、「普段着」でなければ人を殺していいのか? ってね。実はこの歌、別の歌とセットになっているんです。

・主義のため人殺したる少年は学生服着てゐたりき哀し

 「普段着〜」のまえに置かれた一首です。「昭和三十五年、社会党委員長浅沼稲次郎氏は十七歳の少年に刺殺される」という詞書のとおり、「浅沼委員長刺殺事件」に取材した歌です。こちらも詳細は申しませんが、戦後日本の政治家暗殺事件としてはもっとも有名なものです。
 ごらんの通り、「学生服」と「普段着」はみごとな対比となっております。「学生服」の少年は政治信条から「世のため人のため(もちろん独善的で、他人からみたら到底納得しがたいものですが)」政治家を殺した少年、一方、他人には理解できない身勝手な理由から丸腰の女性を殺した「普段着」の少年…。この二人の「十七歳」の違いは何なのか、また、共通するものはなんなのか。作者の思索はそのへんを彷徨します。

・コイン投げて手の甲にうく思春期の自傷と多傷は同じと言へど

 この二首の次に置かれた歌です。結局、この二人は、「他人」を殺すことによって「自分」を滅ぼしてしまったのではないか。そういう思いに作者は至ります。「普段着」の少年がどうなったかは知りませんが、「学生服」の少年は獄中で自殺したそうです。

 もちろん、いかなる理由があろうとも、この二人の少年がやったことは「人殺し」です。人間社会ではもっとも忌避される行為です。そして犯人側の事情など、殺された人間やその遺族にとってはなんの慰めにもならない、という厳然たる事実があります。

・被害者の葬りに集ひ来る人はみな喪服着る学生服着る

 バスジャック事件の犠牲となった女性は長年教育関係のお仕事をされていて、お葬式には大勢の元教え子さんたちがいらっしゃったそうです。この歌でも、「喪服」「学生服」といった「服装」が重要なキーワードになっております。


 さて、もう一度「普段着〜」の歌に戻りましょう。この事件を覚えている人は大勢いるでしょうが、犯人が「ひらひらのシャツ」を着ていたかどうかは、実は「どうでもいいこと」でしょう。しかし作者は、あえてそこに注目して一首を作りました。
 社会詠や時事詠は、多くの人間が経験したこと・目撃したことを題材に詠まれますが、それだけに「大勢の人間が注目しているところ」を歌にしても、いい作品にはならないのです。むしろこの歌のように「どうでもいいこと」に着目して、そこから事件の本質や真理を引き出していく、これこそ優れた社会詠や時事詠をつくるコツだと思います。ついでにいうなら、世に言うところの「殺人」という行為の大半は「普段着」で行われるものでしょうね。

それでは、また。
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2008年11月15日

15日(土)、「HERO酒場」生出演

11月15日(土) 20:00-22:00
※生中継。視聴者のライブチャット参加あり。

アキハバラTV(ネットTVです) 

「HERO酒場」
出演者:大葉健二 串田アキラ のなかみのる 田中朋子(角川映画) 笹公人 ほか

「宇宙刑事ギャバン」の大葉健二さんの番組に、
「その日のまえに」の宣伝で生出演します!

よかったら見てください!

……

無事、出演を終えました。

var_20081116033255.jpg 串田アキラさん、僕、大葉健二さん。
よろしく勇気☆

われわれの世代で憧れなかった少年はいなかったであろう大葉健二さん(宇宙刑事ギャバン・バトルケニア・デンジブルー・などなど)は、あいかわらずかっこよかったです。

てっきり2時間ずっと出るのかと思っていたら、出番はほんの数分。
酔っ払っていて終始ぼーっとしていましたが、
角川映画の田中朋子さんとともに、
「その日のまえに」の宣伝はしっかりとさせて頂きました。

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串田アキラさんが熱唱する「サファリパークのCM」「キン肉マン」「ザブングル」「太陽戦隊サンバルカン」「宇宙刑事ギャバン」の主題歌などを生で聴けたことも収穫でした。

♪ザブングル〜の時は腕の筋肉をゲンコツで叩いたのですが、誰もその行為に気づいてくれませんでした……。

そっちのザブングル(芸人)かよ!


そして、なんと! 
北海道の映画祭に参加中の
大林宣彦監督、南原清隆さん、村田雄浩さんの電話生出演もありました!
ネットTVにしては豪華すぎる!

「HERO酒場」は、バックナンバーみたいな感じで見られるそうです。

よろしく勇気☆
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2008年09月25日

絵本『ヘンなあさ』発売!!&映画「その日のまえに」

初の絵本
『ヘンなあさ』笹公人(文)、本秀康(絵)
が、ついに9月27日発売となります!

var_20080925161238.jpg style='border:none;'>おめでとうございます!!


1年以上も前から本さんと担当の堀内さんと3人で何度も打ち合わせを重ねてやっとできたので、感無量です。
文章はともかく、絵はかわいくて最高です!!

ほんとにかわいい!
今回苦労したエピソードとかありますか?

今回苦労したのはタイトル。
予想以上に苦戦したね。
その日、僕と担当編集者は喫茶店にこもって、ひたすらタイトルのアイディアを出し合ってたんだけど、200近いタイトル案を書いても「これだ!」といったものがなく、焦ってたんだ。
終電も近づいてきたその頃、何を思ったのか俺は苦し紛れに永六輔のモノマネでこう叫んでいた。

「今夜はヘンな夜!」(永先生の作詞作品)

「もうすぐヘンな朝!」


それ、ヤバイ客ですよ!

その瞬間、担当編集者の堀内さんのメガネがキラリと光ったのです。
俺自身もハッとしたよ。
夢オチの話なので、「夢」とつくタイトルばかりを考えてたんだけど、「朝」という視点があったことに気づいたんだ。
こうしてめでたくタイトルが決まったというわけ。

なるほど! 永先生サマサマですね。

ということで、ぜひ読んでください!



ヒロイン(永作博美さん)の兄役で出演させていただいた映画

大林宣彦監督作品「その日のまえに」

も11月1日からの全国公開が決定しました!

怒涛の映画デビュー!! 「その日のまえに」出演レポ

これも楽しみですねぇ。

試写会に参加したんだけど、凄かった。いろんな意味で。
僕の初々しすぎる演技(?)について、スタッフのみなさんから
「笹さんが戦犯になるかも……」などと脅かされていたので、
上映前から背中に冷たい汗をかいてましたが、
実際、僕のシーンは衝撃的だったね。

どんな風に?

自分がここまで下手くそだとは思わなかったな……。
プロの中にひとりだけド素人がまぎれこんでいる感じ?
この違和感は、大槻ケンヂさんに
「場の雰囲気をまるでわかっちゃいない異常な芝居」
といわしめた「ねらわれた学園」の手塚真さんの怪演に近いものがありました。
実際、大林監督も「怪演」と言ってくださったし。

ヤバイんじゃないですか……?

しか〜し!!  
一人や二人のヘンな素人が紛れ込んだくらいで駄目になるほど
大林映画はヤワではない!!
若干というかかなり自己弁護も入ってますが、
大林マジックで不思議とそれが「いい味」になってるような気もしました。

完全に自己弁護ですよ!

var_20080925161302.jpg 「今回は本当に苦労した」と大林監督。

var_20080925161243.jpg 市川森一先生、大林監督、南原さん。

市川森一先生も「ふつうと違う感じでよかったですよ」と意味深な褒め言葉をくださったし、南原さんも「笹君の存在感はいかにも大林映画っぽかった」と言ってくださったし……。

うーん、ますます心配だなぁ……。

映画全体としては、本当に、予想以上の傑作でした!!
重松清さんの原作の7つの短編エピソードをパズルのように絡めながら 2時間弱のドラマにまとめた市川森一先生の脚本も神がかっていたし、 それを丁寧に撮り上げた大林監督の映像の魔術師ぶりも際立っていました。
名作「異人たちとの夏」のコンビは本当に相性が良い。
評論家の石上三登志さんも「間違いなく今年の数本に入る」
「大林監督の新たな代表作」と絶賛されていた。
日本映画今年最大の収穫となると予言しておきましょう。

「その日のまえに」は初期の大林映画ファンは特に楽しめると思います。
オープニングにいきなり「HOUSEか!」と思うような、手づくり感あふれる特撮映像があったりで、ポニョで宮崎駿監督が予想外の大暴れをしてくれた感じに非常に近いかもしれません。
監督の「70歳にして新人監督」とおっしゃった意味がわかりました。
あいかわらずカット割も細かくて非常に丁寧に撮られている作品です。どのシーンにも静謐な抒情と、どっしりとした風格が漂っています。
永作さんの演技は上手すぎるし、南原さんもハマリ役でした。
あたたかく泣ける映画です。

大林監督の映画は40本くらいほとんど見てきたけど、自分の中でベスト7には入る作品です(よく入れ替わりますが)。
ぜひ観ていただきたく思います!

もちろん観に行きますよ!

var_20080925161248.jpg 永作さんの次男役を演じた天才子役の小杉彩人くん(小5)と。
小杉くんも『ヘンなあさ』を推薦!(なかば無理矢理)

style='border:none;'>ということで、よろしく哀愁☆


「その日のまえに」
原作:重松清・著『その日のまえに』(文芸春秋刊)
脚本:市川森一
監督:大林宣彦
製作:WOWOW PSC 角川映画
主な出演者:南原清隆 永作博美 風間杜夫 筧利夫 


公式サイト
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2008年07月02日

お知らせ&「短歌における物語性とは・その2」

こんばんは、大久保利通です。

あっ、社会科の調査で認知度が一番低かった人だ!

そういう覚え方するなよ!
明治の志士に対して失礼だろ!

挨拶ネタにするほうが失礼ですよ!

しかしこの調査、かなり信憑性あるんじゃないかと思ったね。

なぜですか?

今回のお題「日本史上の人名」
卑弥呼を詠んだ歌が13首もあって、
ザビエル、野口英世、福沢諭吉を詠んだ歌もあるのに、
大久保利通、木戸孝允、大隈重信を詠んだ歌は1首もなかったからね。

・・・・・・本当だっ! シンクロしてる!

うちのBlogは小6の平均か!



かと思うと木戸修の歌はあったりするから侮れないよな、このBlogは。

木戸修ってプロレスラーでしょ!
しかも「いぶし銀」的な存在の・・・・・・。

どちらも、きっちり七三分けという共通点も見逃せません。
まぁでも、うちのBlogはそういう方向が強いから、いいんですよ。

ということでお知らせです。


朱川湊人×笹公人
「遊星ハグルマ装置」
更新されました!
今回は僕の短歌「ガロの夜」です。


今年も開催されました!

みんなでSTOP STD!
第3回「好きな人に贈る百人一首」短歌コンテスト2008

応募期間: 2008年7月1日(火)〜10月31日(金)

結果発表: 2008年12月下旬〜2009年1月初旬、弊社ホームページ上で発表します。

賞 品: 入選作100首に対し、作者各位に図書カード(10,000円相当)および、やくみつる氏のイラスト入りオリジナル入選作品集を贈呈します。また、STD予防啓発活動にご協力いただいた学校へは別途特別賞を授与します。賞品の発送は2月中を予定しています。

選 者: 梅内美華子、笹公人、海原純子、やくみつる

詳しくは特設サイトをご覧ください。

1首選ばれただけで1万円の図書券がもらえるなんて、
こんなにおいしいコンテストはなかなかないですよ。
1万円あれば笹ワールドセット(全著作5冊)を買っても、お釣りがきちゃうからね。

いつのまにそんなセットが・・・・・・。

ぜひご応募ください!
ところで、梅内さんって「角川短歌賞」の選考委員になったんだね。スゲエ・・・・・・。


7月5日(土)発売の
「図書新聞」
の8面をまるごと使った僕のロングインタビューが載ります。
1回では収まりきらず(どんだけ喋ったのか・・・)2週連続で載ります。
興味のある方はぜひご覧ください。


朝日カルチャーセンター新宿教室にて
講座を行います!!
「念力短歌トレーニング」

曜日:水  時間:19:00-20:30  
回数:全3回
日程:7/23, 8/27, 9/24

ぜひご参加ください!!

『念力短歌トレーニング』(扶桑社)をテキストにします。
単行本未収録原稿もテキストにします。
いまのままでは第二弾が出そうにないので、
ぜひ記念にゲットしていただきたいです。

『短歌往来』(ながらみ書房)
という雑誌から「カルチャーのうた」という原稿を依頼されていて、 その原稿の締め切りが7月末日なので、 23日の講座に提出された歌の中から16首を掲載させて頂きます。
ほとんどの人の歌が載ることになると思います。
この機会にぜひ短歌誌デビューを飾ってください。


今回の「日本史の人名」、おもしろい歌が多いです。
遅くなっていて申し訳ありませんが、なるべく早く「総評」を書き上げたいと思っています。

それまでは、斉藤真伸さんの短歌エッセイをお楽しみください。僕も上野先生の歌のファンです。
よろしく哀愁☆

_________________________

斉藤真伸です。

前回、歌の「核」ということを申し上げました。上野久雄の師匠は近藤芳美という人なんですが、「歌は“一点豪華主義”でいいということを近藤芳美から自分は教わった」と、上野はどこかで述べています。
 つまり、歌にはなにか一点キラリと光るものがあればそれだけでいいという考えです。もちろんこの一点は、意味においてもイメージにおいても幅の広さや深みを持ったものでないとダメなのですが。
 上野短歌の場合、それは鮮烈な実風景(もしくは心象風景)でしょう。


・油蝉やかまし妹を灰にする一時間三十数分の暑(しょ)や

 前回と同じく歌集『冬の旅』のなかから引きました。。「妹逝く」と題された六首の中の一首です。「一時間三十数分」と、妹の火葬が終わるまでの時間をここまで細かく言うところに鬼気迫るものを感じるんですが、歌の焦点はやはり「油蝉やかまし」でしょう。この「油蝉」の声は、作者の苦悩・懊悩・後悔の代弁者であり、作者自身がそれらに耐えきれなくなっているからこそ、「やかまし」という言葉が口をついて出てくるのです。


・宙空に波あるごとく蝶ゆれてこの葬列に従い来たる

 同じく「妹逝く」から。「蝶」は死者の魂、などとよく言われますから、そういう意味ではイメージとしては手あかがついて俗っぽい感じはします。しかし「宙空に波あるごとく蝶ゆれて」という把握が面白い。この「蝶」が死者の魂だとすれば、人界とは別の世界を漂っているような感じを抱かせます。


・リストラとなりたる犬か立ちどまり路上の熟柿しばらくは嗅ぐ

 紹介する歌の傾向をちょっと変えてみましょう。初句の「リストラと」が目立つんですけど、実はこれにはたいした意味はありません。

なんだか心細げに立っている犬をみて、ふと思いついたものでしょう。上野の歌には時々、こういう割と俗っぽい物言いがあります。
 歌の焦点は「路上の熟柿しばらくは嗅ぐ」という具体的な犬の動作です。むしろこの動作を引き立たせるために「リストラとなりたる犬か」というフレーズがあるのです。引き立たせ役と考えれば、この「リストラ」という言葉の俗っぽさ(生臭さと言ってもいい)も生きてくるのです。


・犬よ牙よもっと咬みつけわが指のそこだけが春の香をたつるなら

 もう一首犬の歌を。この歌の犬はもちろん仔犬でしょう。成犬じゃ食いちぎられちゃう。幼さ(しかし犬はあくまで獣ですから、小さくても「牙」をそなえている)ゆえのひたむきさ、そしてそれをみつめる作者自身を描いた一首です。
 「そこだけが春の香をたつるなら」なんてよく思いついたなぁ、という気がします。強引といえば強引なのですが、しかしその強引さが、理屈を超えた短歌独特の味わいを醸し出すのです。


上野短歌のもうひとつの面白さは、虚無主義(ニヒリズム)と“人間愛”が奇妙な形で同居しているところでしょう。


・21世紀のこと語り合う編集会誰あれもいなくなる世紀にて 

『冬の旅』のラストに置かれた一首が、いまいったことを一番象徴しているでしょう。「人間は必ず死ぬ」という絶対的な真理を踏まえた上で、「編集会」という人間と人間が関係し合う場を見つめる作者。なんで人間は必ず死ぬことを知っているのに、未来や将来、希望を語り合うのか。もし結句が「世紀なのに」だったら突き放し過ぎでしょう。それに理屈っぽくなるし。「世紀にて」と簡潔に歌い収めたところに、作者の人間という存在に対する愛情を感じとっていただけたらなぁ、と思います。

という訳で、今回はここまで。
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2008年06月22日

今夜はヘンな夜&「短歌における物語性とは」

※斉藤さんの原稿を追加しました。

今夜はヘンな夜!(永六輔のモノマネで)

なんですかいきなり・・・。

いやー、ストレートかつインパクトがあっていい曲名だなぁと思って。

さすがは永先生ですね。

9月に出る本秀康さんとの絵本の作業がいよいよ大詰めなんだけど、オチをまるごと変えたらタイトルも変えなくちゃいけなくなっちゃって、毎日暇さえあれば考えてます。
もう200くらい考えたかな・・・・・・。

師範はタイトルにこだわりますから、大変ですねぇ。

担当編集者とルノアールで、ああでもないこうでもないとやってるうちに、候補タイトルが100を越えたあたりからドツボにはまって何が何だかわからなくなって、
後で考えるとなんじゃこりゃー!っていうのに
「これいいかも!!」とか言ってるんだから、おそろしいもんですよ。

ちなみにその時「いいかも!!」と言っていたタイトルとは?

「レモン記念日」

俵万智あるいは、つんく♂プロデュースか!!

いやー、危なかったね。

それを読まされる子どもと親御さんの身になってください・・・。

はい、がんばります。
他にも時間がかかりそうな難しい仕事をしているので、
「総評」もう少々お待ちください。

読売新聞 6月25日(水)夕刊
「マイ・ヒーロー&ヒロイン」に執筆しています。
小林よしのり先生の『遅咲きじじい』を取り上げています。


朝日カルチャーセンター新宿教室にて
講座を行います!!
「念力短歌トレーニング」

曜日:水  時間:19:00-20:30  
回数:全3回
日程:7/23, 8/27, 9/24


ぜひご参加ください!!


出演させていただいた映画「その日のまえに」の撮影レポは、製作発表があってからにさせて頂きます。

var_20080622034037.jpg 先日の食事会(さびしんぼう座談会)にて。
南原清隆さん、僕、大林宣彦監督。
お二人ともオーラで輝いてらっしゃいます。

映画、名作の予感がします。お楽しみに!!

斉藤真伸さんの原稿が届きました!
では、お楽しみください。

よろしく哀愁☆

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斉藤真伸です。

今年はパ・リーグ面白いなぁ。まさか楽天があそこまで善戦するとは思わんかった。

田中投手って、三十過ぎても「マー君」って言われるんだろうか?

あのチームの最大の問題点ってそこだよな。まあ、西武もG.G佐藤が大ブレイクしたし、パはスター続出で景気がいいなぁ。

ところで、清原は今年以降どうなるんだろうね?

なんか心配だよ。なんだか「おちた英雄」扱いになっちゃってるし。昔「ネクラ」の代名詞だった桑田の方が、今は憑き物が落ちた様な感じで、実に生き生きとしているもんなぁ…。

・ベースボールに憑かるるものの係累に多くし日灼けの顔面並ぶ

上野久雄歌集『冬の旅』の中の一首です。「父母の法事」という詞書(ことばがき)がついています。係累は、この一首の中では「一族」という意味で使われています。「野球に取り憑かれた一族」というのも、“犬神家”にはさすがに負けますが、なかなか壮絶な感じがしますね。
 そしてこの歌の内容を支える骨格が「日灼けの顔面並ぶ」という描写です。この描写があるからこそ、読者はこの「係累」の様子を鮮明に捉えることができるのです。

前回、「おはなし歌は、実は“おはなし”にすらなっていない」ということを話しました。この上野久雄という人は、実は僕の短歌の師匠であり、「歌はおはなしにあらず」というのが絶対の信念になっている人です。それなのにその一首一首は、奥行きのある「物語」を感じさせます。今回はその秘密をさぐることで、「短歌における物語性とはなにか?」ということに迫ってみたいと思います。


・行くところ婦女さわがせしダンディーが器具を心臓に埋めたる噂

辛辣な歌です。しかもその辛辣さは詠まれている対象と自分自身に容赦なく向けられています。「さわがせし」と過去形ですから、この「ダンディー」はけっこういい歳なのでしょう(そして作者自身も)。「器具」はおそらくペースメーカーでしょうね。「とうとうあのええ格好しいも、年老いてそこまで病んだか」という気分が歌の背景にはあります。この気分は、同情と揶揄がごたまぜになったものでしょう。
 先ほど、この歌の「辛辣さは自分自身にも向けられている」と書きました。なぜなら、相手が年老いたということは、自分もまた年老いているのですから。この歌はある男を描くことで、照射するような形で自分自身をも描き出しているのです。


・終日を親父(おやじ)のすごす家などに棲めるかと言う吾も然思う 

父と子の葛藤を描いた歌です。「終日を親父(おやじ)のすごす家などに棲めるか」という子(おそらく息子でしょう)の言い草も凄まじいのですが、「吾も然思う」とさらりと言ってしまう父(作者)も怖い。
 一首に込められた感情はドロドロとしたものですが、作者が己と子を徹底的に突き放して視ているために、かえってユーモアすら感じさせますが、本当は「吾も然思う」というのは、実に哀しいつぶやきなのです。

上野の歌は饒舌さを拒否しています。その代わり、歌に必ず「核」(コア)と言えるものを据えています。そしてこの「核」こそ、上野の歌の物語性を支えているのですが、これについてはまた次回で。

(引用歌はすべて、砂子屋書房・現代歌人文庫『上野久雄歌集』から引きました)
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