
先日の朝日カルチャーセンター
天久聖一×笹公人「短歌実験室」
に来てくださったみなさん、ありがとうございました!
おかげさまで過去最高の盛り上がりを見せました。
二日酔いで赤い顔をしたままやってきた天久さんでしたが(松尾スズキさんと朝まで飲んでいたらしい)、
爆笑トークを繰り広げてくれました。
未公開の「味写」まで披露していただいて、ラッキーでしたね。
講座の内容ですが、
まずは、「獄中短歌の世界」と題し、
郷隼人『LONESOM隼人』(幻冬舎)をテキストにして、
漫画家になる前は神戸留置所で看守をされていたという天久さんに塀の中での懲りない面々の因果ロマンあふれる壮絶エピソードの数々を披露していただきました。
内容が凄すぎてここでは一つもご紹介できないのがもどかしいです。
そして、天久さんが編著の一人を務めた『バカサイ』(太田出版)のコーナー「奇語575」に寄せられた句を僕が短歌にするという実験をしました。
一部ご紹介します。
「小学生」
・轢き逃げもマキロンで復活小学生 (神奈川県・鈴木工)
轢き逃げをされたる近所の小学生 マキロン塗れば生き返りたり
・肩ぐるまされて火事見る小学生 (豊島区・山野健磁)
肩ぐるまされてヨシオは燃えさかる民家をじっと見つめていたり
どこか啄木っぽい。
「警官」
・暴走族!? 見たい見たい!と 新米警官 (目黒区・竹下ひろし)
「暴走族?見たい!見たい!」とはしゃぎいる新米巡査を照らす月光
「ブリーフ」
・夢精したブリーフ洗う四万十川 (板橋区・山崎宏一)
夢精にて汚した白きブリーフを四万十川にひたしておりぬ
「野グソ」
・極道ステーキ ケンカラーメン 野グソカレー (大阪府・トップベビー5)
極道ステーキ ケンカラーメン 野グソカレー 十九歳の俺のメニューぞ
短歌にすると、抒情が滲み出たり、名詞が暗喩として深読みされる可能性が高くなるので、結果的にそれが足をひっぱることになって、
俳句や川柳に比べて短歌で破壊力を出すのは難しいという話になりました。
逆にそういった部分がなければ短歌として成立しないわけで、
これは僕が長年のテーマにしてきた問題でもあります。
次に、それでも作者本人がイっちゃってる場合は意外と破壊力が出るというテーマで、 新興宗教盲信系の人の歌とか、いわゆるトンデモ系短歌の数々を鑑賞しました。
小生は雑誌のインタビューなどで
「笑える短歌をつくるコツは?」
と聞かれることがありますが、そんなとき小生は、
「どんなにくだらないことも大真面目に詠むこと」
と答えています。
ようするに「どや、おもろいやろ?」みたいな部分が
ちょっとでもあったら読者は一気に冷めてしまうのです。
明治時代や昭和初期ならともかく、松本人志や吉田戦車やバカドリルの笑いをも通過したわれわれには、その手のいわゆる「諧謔の歌」ではちっとも笑えないわけであります。
「大真面目に詠む」ということをもっと具体的に言っていただけませんか?
短歌にはボケに対するツッコミまで入れるスペースがないので、ボケだけで笑わすことを考えるのが基本です。しかもボケをボケと思わせないような狂信的、盲信的な
態度で臨まなくては、その少ない情報量で破壊力を出すことは難しいのです。
なるほど。
だから、「この作者ヤバいんじゃないの?」と思われるくらいでちょうどいいかもしれません。
では、師範が理想とするのはどんな作品でしょうか?
いい線いってるなと思うのはたとえばこの歌です。・粘土子という名の女この国にふたりくらいはいないだろうか (大滝和子)
大滝さんの場合、本気でこういうことを考えてそうだから怖いんだけどね・・・。
そして今回の講座のメインともいえる「和歌ドリル」では、俵万智さんの『サラダ記念日』の短歌の穴空き問題を出し、
受講者とともに珍回答に明け暮れました。
(輝かしい名歌の数々をこんなくだらないことに使ってしまって、俵さんごめんなさい。)
中でも盛り上がったのは、この問題。
・この曲と決めて海岸沿いの道とばす君なり「[ ]」 (俵万智)
正解・ホテルカルフォリニア
受講者の回答で個人的にヒットしたのは、石黒謙吾さん(『盲導犬クイール』原作者)の
「君が世」。
嫌だなぁそれ・・・。師範の回答は?
「ヨイトマケの唄」
テンション下がるよ!
笹公人の対談シリーズ、次回も豪華ゲストに来ていただこうと思っています。
楽しみにしていてください!
僕のうしろに写っている男は常連投稿者の酒井景二郎さん。いい味出してます。
懇親会のあとのスナップ。
何の賞品も出ませんし、批評もしないかもしれませんとが、
「和歌ドリル」ここでもやってみましょう。
思いついたらコメント欄に投稿してみてください。
この曲と決めて海岸沿いの道とばす君なり「[ ]」
(俵万智)
「 」の中に入る曲名を答えなさい。
↓





最優秀作品
優秀作品
佳作
笹公人賞
高須先生と俺とスタッフのみなさんに感謝してほしい。
そんな中で臨んだ
馬場先生のオーラと客席(200人以上の超満員)の年齢層の高さに圧倒されて、
穂村さんの名司会もあり、馬場先生も俵さんもノリが良く、
今週の土曜日(23日)、