2012年06月14日

「楽器」 総評

sasa-6.gifどうも、きみーぱみゅぱみゅです。

kanta_06.gifえーっ!
これだけ待たせておいて第一声がこれ……?!
それに、もっと歌人らしい発言をしろ!!

sasa-5.gifえーと、じゃあ……
きゃりーぱみゅぱみゅって、
原阿佐緒にちょっと似てない?

原阿佐緒.png


kanta_09.gif今のは歌人ぽい発言ですし、
たしかにちょっと似てますけど、
「何かが間違ってる!」とだけ言っておきましょう。

sasa-4.gifりょーかいぱみゅぱみゅ

kanta_05.gifぱみゅぱみゅはいいから!
10月から「未来」の選者に就任されるとのことですが、
準備のほうは順調ですか?

sasa-6.gif思ってたよりも大変な仕事だということが判明してね……。
子を持って知る親の恩的に師匠への感謝の念が湧いてきましたけど、
同時に、会に誘うのも勇気がいるなぁと思いましたよ。
まぁこのブログの作業に比べたら、だいぶ楽だけど。

kanta_04.gifそうでしたか。
がんばってくださいね!
「未来」の広告にも師範の名前が加わりましたね。

DSC_0796.JPG

sasa-6.gifああ、この戦後の匂い漂う広告ね。
13年前の6月、短歌雑誌に掲載されたこの「未来」の広告を見て、
問い合わせの電話をしたんですよ。
それで歌会を見学することになったんだけど、
歌会会場の中野サンプラザで
「こんな若者(当時23歳)が来るわけがない」って
受付の女性に追い返されそうになってね。

kanta_05.gifで、どうしました?

sasa-3.gif「間違いあらへーんっ!!!」
って叫んだよ。

kanta_06.gifなぜに関西弁!?

sasa-6.gifそしたら会場の奥に座っていた近藤芳美先生が
「お若いの、来なされ……」
って言って杖で招いてくださってね。

kanta_07.gif杖で!

sasa-6.gifそれで、
「自信作を二首書きなさい」
って言われたから、
ホワイトボードに汚い字で秘密基地の歌と山の歌を書き込んだんですよ。

kanta_05.gifで、反応は?

sasa-6.gif「うむ、おもしろい」と言われたよ。
近藤先生に褒められたのは、これが最初で最後だったね。

kanta_05.gifいい話ですねぇ。

sasa-7.gifそんな思い出の広告に自分の名前が載ってるというのが不思議な感じですが、
笹選歌欄の旗揚げメンバー募集、
今月いっぱいで締め切る予定です。
おもしろいメンバーが集まっています!
入ろうかどうか迷ってる人は、
気軽に見本誌(無料)を取り寄せてください。

「笹短歌ドットコム」の常連には、
結社&短歌界で活躍できそうな人がたくさんいますから、
どんどん入ってほしいです。
投稿歌人で終わってほしくないです。
ということで、楽しい場にしたいと思います!!

kanta_01.gif期待してます!!
ところで、選者になって忙しくなっても
「笹短歌ドットコム」やめませんよね……?

sasa-5.gifうん……たぶんやめないよ。
季節ごとにやる小さなお祭りみたいなもんだからね。

kanta_02.gif祭りでもいいから、続けてくださいよ。

sasa-4.gifオッケー!
季節外れの祭り太鼓が心に鳴り響いたところで(?)、
「楽器」の総評です!
今回はニューカマー(死語)の活躍が目立っています!

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sasa-7.gifまずは、
はせがわゆづさんです!

・新月の道しるべとしてどこからかひっそりと鳴るトライアングル
(はせがわゆづ)

新月とトライアングルの組み合わせが
絶妙でした。

・夕暮れを隠してきましたハモニカの重なる音のどれかひとつに

・フエラムネをのぞきこんだら君がいて変わることない初夏へと向かう


フエラムネは、
食べられる楽器。

・ひとりにだけ聞こえるような口笛を雑踏のなかで吹きつづけている

どの歌もよかったです。

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・水底の魚人に思いを馳せながらステールドラムに身体を揺らす
(須田まどか)

たしかにスチールドラムの音色が似合いますね。
でも、ふつうに「人魚」にしたほうが
美しくていいと思います。

・ロートルのアコーディオンは新しい空気をあゝと旨そうに吸う

鋭い感覚。

・ヤクルトの容器の米は涼やかにリズム奏でるシェーカーとなり

・先人は骨と骨とを打ち合って閃いたのかクラベス鳴らす

・合わさって不思議なリズムを奏でてる君の心臓吾の心臓


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・ポロポロと爪弾くように手遊びに 女の名前は確かマリールー
(ムラサキ・ピープル)

sasa-6.gifそして、それを見守るマダム・ヤン

kanta_06.gifなんじゃそりゃ!

・円いバニティにはタンバリンが一つ いつか踊りたい夜に備えて

カラオケでも重宝しそう。

・パイプオルガンに吹き飛ばされた決意 ダスティン・ホフマンになれなかったよ

・午後九時四十二分大阪駅前歩道橋上草笛を吹く


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・おねえちゃんがはがし忘れたドのシール ドキドキのドだ けんばんを弾く
(小野伊都子)

・オルガンは野原の風の音がした バッタのみどり色のこくばん

・ロールパンたて笛にして吹いたんだ 今日きゅうしょくはホワイトシチュー

・たんぽぽの色の帽子を弾ませて打楽器になるランドセルたち


>今回は、小学生になった末っ子の
>あたらしい日々を題材にしてみました。

よくできてますよ。

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・黒鍵と白鍵のその間にはついに見ることなき音眠る
(鈴木午後)

・ヴィオロンの母のようなる胎内に蝌蚪はつぎつぎ生まれ放たる

シュールな絵が浮かびます。

・ピアニカを咥えて少女まっすぐに指揮棒を見る明日の夢見る

・担当はトライアングル 一曲に三度鳴らせば光を集む

・カスタネット赤青何度も打ち鳴らし指むらさきに染め上げている


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・ヒカシューを好んで聴きし祖父遺す形見にスイスの口琴ありぬ
(広瀬智深)

「遺す」とあるので「形見」は省略して、
スイスの口琴の形状などを描写すると、
もっとよくなります。
巻上さんの口琴、
目の前で聴いたことあります。

・プロフェットの音色をきわめようとした叔父が悟りをひらいたらしい

たしかに神秘的な音色。

・リコーダーでRYDEEN吹く帰り道ぼくらは魔術楽団だった

黄色魔術。

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・チェンバロの音色は翅を震わせて羽化せし蝶のやわらかき伸び
(手乗り文鳥)

・長き夜のトンネル抜けて産声は春あけぼのの金管楽器

・無機質な都会のビルの一角にチェロの音色で夢を売る店


「無機質な都会」
を他の言葉で表現すれば、
もっとよくなります。

・マラカスをドレッシングに持ち替えて鮮やかに振る君と三年

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・一人だけ鳴らせなかった口笛のようだねきみのこの悲鳴
(長妙理子)

・金属を繰り抜く空虚あんなにも綺麗な音を鳴らすため

・草笛は合図だったよ 人間の作り方など知らなかった頃

・無人駅脆く錆びたる柵に下がる「ピアノ教室 生徒募集中」


絵が浮かびます。

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・12弦ギターのごとき木洩れ日にさらされて叔父は七三を梳く
(しまやまひかる)

・「野田ピアノ教室(仮)」という看板掲げてバツイチの姉

・チューバに絡みつかれてムツゴロウさんのメガネも割れているセレモニー


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・憧れのトランペットを金持ちにかっさらわれるような失恋
(山本左足)

わかる。

・犬笛を聞き分けられる斎藤がやたら怯えている夜明け前

・ボーカルの母とギターの父が今日、音楽性の違いで離婚

・見くびるな!ぼくはあの娘の縦笛じゃなけりゃ舐めたいとは思わない

・豆腐屋のチャルメラはもう響かない 夕陽に染まるすべての路地に


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・時計屋が楽器屋もするこの町に一羽も鳩を見かけていない
(虫武一俊)

・ハーモニカの穴それぞれに人が住み子を眠らせるそれぞれの唄

黒川紀章のメタボリズム建築を彷彿とさせます。

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・愛なんて信じてみたい もう一度チューニングからはじめてみたい
(きたぱらあさみ)

・リコーダーやピアニカじゃないとくべつなひとになりたかったのわたしも

・ちはやぶる神の右手のかき鳴らすテレキャスターにより感電死


山田かまちか!

・からっぽのほうがきれいに鳴けるからわたしは楽器だから さわって

・愛でした それはやさしく臆病でしずかにふるえる音叉のような


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・チャルメラが鳴り響いてた昔日の面影のない町に住みたり
(ニルソニア)

・神業のドラマーの腕二本には見えず千手観音如し

「の如し」

「の」
を入れましょう。

・捕まえた子ねずみセロに入れて弾く男の趣味は動物虐待

・そう俺は無用の長物スネながら男が吹いてるアルペンホルン


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ゆづさんではなく、ゆかさんです。

・佳い音で鳴らしてみせてその舌で私の弦を奏でて欲しい
(はせがわゆか)

・台北の士林夜市のカラオケは一曲10円マラカスもあり

・ヴァイオリン奏でて募金つのる人台湾旅行の旅情彩る

・風神の怒りの太鼓鳴り響き竜巻街を破壊してゆく



「W浅野」(古いっ!)ならぬ
「Wはせがわ」として活躍してほしいです。

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・尺八の白き音色に共鳴りしたんぽぽの穂崩れ散りゆく
(渡邊単子)

「尺八」と「たんぽぽの穂」の取り合わせが、
新鮮でした。

・イルカ鳴く海に草笛吹いている終わりの雨の後の箱舟で

・賢治ケンジひとりのおまえ石原のひかりのオルガン天へと鳴らせ


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・新緑を透かして光るサイダーの泡となりゆくウィンドハープ
(アイダ)

・きららめく魔法の粉は舞い散れり金のふるうと「愛の挨拶」

・キンコンカンつゆ迷ひなく飛び立ちぬ真白き鳩にウエディングベル


いい感じです。

・ひたぶるに目に見えぬもの待ち焦がる水琴窟は密やかな声

どの歌も一字空けの必要がなかったので、
詰めました。

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・その中に並んだ管の色合いを思い描いて鳴らすオルガン
(小林ちい)

・随分ぼくら歳をとったねセロ弾きのセロがチェロだと気がつくまでに

なるほど!

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・君のこと今は愛していませんとトロンボーンの音色で伝える
(夏実麦太朗)

たしかにそういう音色。

・丹念にフォークギターを燃やしても燃えないゴミはいくらか残る

青春の残滓。

・オカリナの穴やわらかくふさがれて漆黒の世に風ふきわたる

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・鉱石がイーハトーブを穢すとは賢治のチェロの無声慟哭
(壮太)

・銅鑼響き護岸離れし船尾から手を振る父が今もまぶたに

・ユーミンがピアノとジャケに写ってたあの頃波は穏やかだった


名盤「MISSLIM / 荒井由実」の
あのジャケットです。

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・笛ラムネ噛むか舐めるか決めかねて噛んで漏れ出る音の鈍さよ
(蜂谷希一)

・テルミンに蝶舞わせれば五線譜を引く由も無く音だけが在る

・犬笛も聞こえるような聴覚で悲しみを聴いてるんだね、お前



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・コントラバスのようなあなたはいつも寡黙でビターなルサンチマン
(キョースケ)

・夕焼けがよく似合う彼女は今日もカスタネット鳴らして渋谷を闊歩する

・あの子が吹いたハモニカを放課後にひとりで吹けばゴーヤーの味

・リコーダーの口先の強い噛みあとぼくは何が悔しかったのだろう


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・愛の歌にはまだ上手く馴染めない けつポケットのブルースハープ
(佐々木優)

・チーンって音をならして荼毘に付す悲しき恋のトライアングル

・なぁ尾崎 自由ってなんだろうなぁ? アコギと三十五の夜の帳



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・遊び終へて家路を歩くとき響くコーラングレは夕暮れの音
(憂太郎)

・ほのかなる妖気感じて立ち止まる君の背後にテルミンが鳴る

・飽くこともなくパットドラムでリズム打つ試験前夜の兄貴の儀式

・私の思ひ浮かべるアイデアの効果音は所詮ベルリラ


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・VOCALOIDも電子楽器の一種なりされど初音ミクは俺の嫁
(松木 秀)

・「けいおん!」の影響でギターはじめたる姪がイングヴェイのように太りき

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・朝早く教室に来てきみの席すわって吹いたきみのたて笛
(みうらしんじ)

・夕暮れの校舎の前にたたずんで空からこぼれるハモニカを聴く

放課後抒情が漂っていて、
いい感じです。

・空洞の胸を響かせふるえてたあの日の俺がかき鳴らすギター

・雨音とピアノがコラボしたような声あげて泣く隣りできみは



>ところでご存知かもしれませんが、以前この記事(http://www.sasatanka.com/article/245430053.html
>で取り上げられた若山牧水記念文学館のギリギリで収まってた牧水像は、今は日向市駅舎内に移設されています。
> http://www.yukan-daily.co.jp/news.php?id=25370
>駅に行かれた時はぜひご覧になってください。

先日、伊藤一彦さんと牧水像移設の話で盛り上がりました。
ぜひ見に行きます!

みうらさんにもまたお会いしたいです。
メールをください。

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・三味線に姿を変えた猫想い弾くまえの膝あたためており
(猫丘ひこ乃)

・見るだろう走馬灯には君の顔ストリートオルガンの音にのせ

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・青空のせまさが君の窓でした 象牙の色の鍵盤たたく
(ヤマー)

・漆黒の片翼ひろげ鳴り響くピアノが果てにある滑走路

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・高音のチェロは命を削る音きみの言葉に背筋をただす
(高松紗都子)

・「ねむるのがこわいの」という人の弾くマリンバの音は木々のざわめき

・オカリナを卵のように包む手にあたためられて音は生まれる


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・雨音の奏でる歌もかき乱す夜と朝とのつなぎ目の熱
(台所のキフジン)

・連弾のキミとの距離が近すぎて苦しいよ僕恋したみたい

連弾ってところがいいですね。

・お下がりの父さんのギター傷だらけ指先にふと17の父


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・黒いとこさわらないまま消えちゃったおもちゃのピアノのソドミの和音
(西畠勇氣)

・雨の日に隙間をつくる傘たてにすやすや眠る青いブブゼラ

・てなわけで今日はギターを持っていく方位磁石はわざと忘れて


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・マヌーシュは過去を持たない弔いの花に塗(まみ)れてギター燃やさる
(魚虎)

・幼子がメッタ打ちする出鱈目のキャンキョンカリキョレおもちゃのピアノ

・風のごとき乾いた音の出るばかり桟橋でマウスピースを吹けば


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・初音ミク、初音ミクになる前の少女の声で歌っておくれ
(岡本雅哉)

笹井くんの「スライスチーズ」の歌の本歌どり。
おもしろいです。

・夕立が地面をたたく音にまぎれアップライトのピアノをこわす

・めちゃ猫背のヴォーカリストの首にかけられて歌いだすタンバリン


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・遺言を守る賢き少年よ土饅頭に竪琴添へて
(穂ノ木芽央)

・黄昏に響くカリヨンこの指のやはらかさもまた忘れていくよ

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・楽器虫潰して鳴ったシの音は町の教会のオルガンの音
(滝沢勇一)

・すきっ歯で吹くハーモニカ「フェー。」って鳴ってボブ・ディランとおんなじおんなじ。

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・怒りため基地へと歩む少年にとうふ屋のラッパ高らかに鳴る
(ユメバク)

・誘惑の緋はひるがえり情熱のカスタネットを激しく打てり

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・足踏みドン手拍子パーンお腹がグウお尻がプウで口笛ヒュー
(螢子)

・刻まれるドラムのリズムぶれもせずラベルのボレロ佳境に入る

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・さみだれがこっぱみじんにはじければたいこのひびきいまもありあり
(夕夏)

・けいかいなたっぷだんすのちゃっぷりんじだんだふむかえいがきわめて

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・あの窓もこの家からも聞こえ来るリコーダー吹く子の変な音色が
(おはぎ)

「あの窓やこの家からも」
としましょう。

・朝六時僧の代りに鐘を撞き昼はオルガン幼児と遊ぶ     
>住んでた家お寺で保育所でした。
>番僧は何時も遅刻起きてきません。

sasa-3.gif苦労してらっしゃる。

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・野球場トランペットの音にのって 僕らの席まで白球届け
(大久保 浩)

・ギターでの彼の弾き語り聴くたびに 天は二物を与えるんだと思う

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☆1首を奏でる☆


・ほとんどの人が箸と茶碗から抜け出せなくてドラマーでない
(飯田和馬)


・ピアノからジムノペティが流れてる 他人事みたいに聞く「別れよう」
(山口ヤスヨ)


・野に立てば草笛の音がどこからか聞こえる日々を昭和と呼ぶよ
(文月郁葉)


・弾けもしないビオラを買って永遠のくびれを撫でる不器用な指
(富田林薫)


・テルミンの音色のような春の日に追いかけているきみのゆびさき
(嶋田電気)


・ひすらあと壊れた笛を吹く少女捨てられた人形(ドール)のごとき笑顔で
(104hero)


・表現ができていないと止められるピアノの鍵盤ひとつ押すたび
(くどうよしお)


・荒ぶれる和太鼓に身を浸しゆく時は恍惚性愛よりも
(海月)


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鶴太屋さんです!


・漣(さざなみ)の輝き響(とよ)む春潮のヴィオラ・ソナタのあなたを聴きたい
(鶴太屋)

・月夜茸あはく光れる夜の森チェレスタの音(ね)が星より届く

・浜木綿忌箏(こと)の響(な)り来る邸宅の襖を開けてもあけても燕

・校塔の鳩は睡りの死に墜ちて月光が敲く銹びし鉄琴

・掃海艇しづかに沖を移りゐるこの夏の日を奏でるフルート

・街角の恋人たちのおしやべりが鍵盤鳴らすチェンバロの夢

・水くぐる碧(あを)き河鴉を視たる一瞬の後(のち)炎(も)えあがるチェロ

・泥鰌鍋啖(くら)ひてゐたり春雪の戸外を響く幽(くら)き尺八


この歌、とても好きです。

・透きとほる泪の河に翡翠(かはせみ)が餌(ゑ)を漁りゐしあの黄昏の笛

・夕雲にチャルメラ消(け)入り行商の蜆の鳴くこゑのみの裏町

・欅の蔭に牧童のリュート残されて花咲くをとめは海光の中

・血より濃き涙は知らずうすぐらき家系の暗渠を壊せよギター


パンクですね。
世界観は寺山っぽい。

・クラリネット・ソロは虚空に掻き消えれど音楽とふは回帰する魔

・鳥のカタログ飽かず聴きゐる冬の夜のヴァイオリンめき咳する家妻

・うち濁る魂の柵跳び越えむ銀のサキソフォンたをやかに掴み

・喉元ひかるホルン奏者のあはき恋青き蝶くちびるにさまよひ

・黎明に生(あ)るる光の泡零(ふ)ればコントラバスを奏でゐる初夏



力作揃いで圧倒されました!
めちゃめちゃ気合入ってますね。
どの歌もいいです。

鶴太屋さんの攻めの姿勢、見習いたいです。

10月からは「未来」での活躍も期待してます!

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未来のキツネツキ(ex青春エスペランサ)
こと
酒井景二朗さんです!


・狼を追ふな資本を疑へとがなり續ける巨大テルミン
(酒井景二朗)

・滿天星(どうだん)が血のやうに咲く春なのにピアノヶ岬で自殺のニュース

「血」と「自殺」のニュアンスが若干重複するので、
「血」を他の言葉に変えたほうがいいです。

・忸怩たるものを抱へて景品の白いギターを捨てる旅に出る

・プリペアド・ピアノの中で死んでゐる小學五年生を救ひ出せ

・轆轤首(ろくろくび)映る障子を開け放てば篳篥(ひちりき)千切る一陣の風

・愛のこと何も受け付けない君はただ横たはるシタールだつた


うまい!

・大人ならやるべきことがあるだらう早く歸れとカリヨンが鳴る

・ナナハンを樂器と言ひ張る男達なんか夕日に燒かれてしまへ

・遠い日のでんでん太鼓聞くやうに眠れば去るか今日の不遇も

・抱き難いぜ シンクラヴィアに成る爲の手術を受けた後のお前は


このわけのわからなさがいい!

・土星人でしたか夕べ訪れてオンド=マルトノ彈いたあなたは

・銀色の古いSF服を着てミブリ操る人の若白髮

・熱い海に沈沒していくメロトロン ダリの最後の叫びを鳴らし

・ギュロを彈く要領だよと燒きそばをかき囘す手に惚れてしまふな

・もう一行書かない譯にゐられない奴のチューバの風を受けたら

・蓮の花開く三味の音 この町で僕は退化を始めるでせう



あいかわらず怪しい世界で、とてもよかったです!
今回はちょっと鶴太屋さんの影響も感じました。
酒井さんも明日のスター候補ですね。

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kanta_02.gifお疲れ様です!
いい歌がたくさんありましたね〜。
どうでしたか?

sasa-7.gif予想以上におもしろい歌が多かったです!
まだまだこの短歌ブログから
短歌界の未来を背負う人材が出てくるだろうと確信しましたよ。
頼もしいです。

kanta_05.gifやっぱり、まだやめるわけにはいきませんね!

sasa-7.gif
入選作品の発表も楽しみにしていてください!

sasa-4.gifよろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 20:46| Comment(7) | TrackBack(1) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月05日

「枕詞を使った歌」 総評

sasa-7.gifえー、どうも遅れてすみません!


kanta_12.gifこれだけ更新が遅かったのは
「お題」の関係でしょうか?


sasa-3.gifまさしく。
知らない枕詞や、枕詞の使い方が正しいかどうかを
調べるたびにググったりしてたんだけど、
だんだん調べる内容そっちのけで
ネットサーフィン(死後)をはじめてしまって、
それで気づいたら1時間30分経ってたとか、
そういうことが多くて、大変遅れてしまいました。


kanta_09.gifダメな浪人生みたいですね。


sasa-6.gifまぁね。
しかし、ひさしぶりに後悔した「お題」だったな。
「あしひきの」とか「ぬばたまの」とか
メジャーなものばかりくると思ってたんだけど、甘かったね。
まったく師範よりも勉強熱心な人が多くて困りますよ。


kanta_07.gifご苦労様です!


sasa-6.gif誤用も多かったね。
わざとだとは思うけど、


細波の志垣太郎

石の上フリーメーソン

飛ぶ鳥の「明日から来るな」


とか、こういうのは今回は採りませんでした。


kanta_07.gifダメですか?


sasa-6.gifうむ。
おもしろいとは思うけど、
今回は正しい使い方をしている歌のみ採らせて頂きました。
なんでもありだったら、
新しい枕詞の創作コンテストをやったほうがいいからね。
それもいずれやりたいけど。


kanta_02.gifおもしろそう!


sasa-7.gif今回、1首も採ることはできませんでしたが、
富田林薫さんが7年くらい前に、


風立ちぬ松田聖子の〜


という歌を投稿してくれて、
おもしろいなと思ったのですが、
これは「新しい枕詞」に加えたいくらいです。
ま、アラウンド40にしかわからない枕詞だとは思いますが。


kanta_05.gifたしかに!


sasa-4.gifということで、
復活後初の「総評」です!


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まずは、林いずみさんです!


・いさなとり海浜駅の改札にサーファーカットの老猫棲めり
(林いずみ)


・垂乳根の母の糸きる歯のかげに水子供養の刻印ありや



・露霜の秋の円卓チョロQが墜死のきわに浅く喘鳴




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・蝉の羽の一重まぶたで遮断する27時の煙の世界
(飯田和馬)


・兄帰るたびに私は白雲の立場失う。長く歯を磨く


・魂極る生命保険「34歳のあなた」に一瞥をせり




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・たらちねの母の形見の金時計今売り時と天の声あり
(おはぎ)

世代を感じる歌でした。
とてもいいと思います。


・あしびきの山さえ割れん十戒の神をも超えし自然の威力



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・スピノザになってレンズを磨きたいちはやぶる神に愛されぬまま
(松木 秀)


・あしひきの大雪山にヤマノボリハナアルキなる鼻行類おり


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・ぬばたまの髪梳く指の長き夜眠る乙女よ何を夢見る
(海月)


・空だけが見ていた二人夏草のかりそめの恋あおく染まって


・むらぎもの心変わりを責めたとて戻りはしない輝く日々は




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・みすずかる信濃の風に吹かれたき秋桜の花に生まれ変わりて
(よかめいさん)


・ たらちねの母には見せぬ笑顔にて児が花嫁を振り向き歩む


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・烏羽玉の黒木メイサの肖像画 依頼されたい天野喜孝
(岡本雅哉)


・岩走る滝川クリステルの手にだらしなく崩れおちるエクレア

これはいい感じですね。


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・風の音に耳すましつつ射干玉の夜は無慈悲に過ぎてゆくなり
(魚虎)


・テクニカルエリアに佇てり千早振る神ならぬ身のストイコビッチ


・あられふる鹿島スタにて連敗を止めて迎えし朝ぼらけかな



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・ひさかたの光にかざす千円札富士山に目が重なるを見ん
(猫丘ひこ乃)

フリーメーソンの都市伝説を
モチーフにした作品でしょう。
おもしろかったです。


・躑躅花にほふ舗道のガス灯の明かり恋しや節電の夜


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・参道をゆく花嫁はいさなとり海を見つめるときのまなざし(いつも翠)


・しらやまの雪見だいふく少しずつ呼吸の熱にくずれるからだ



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・安全を枕詞にすることで意味は考えないようにした
(カー・イーブン)

枕詞というお題を逆手にとった作品。
時事詠としても読めます。


・氷上に傷はきらめくぬばたまのポニーテールの揺れにこがれて



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・天飛ぶや鳥より軽いポイポイピーあやまんじゃぱんに合わせて躍る
(須田まどか)


・あらがねの土に去年の夏の恋なくしたはずのパールのピアス


・コラーゲンコンドロイチングルコサミン空蝉の世に吾も闘う


うまい。


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・ぬばたまの夜行バスから手を振って吾の時間に帰るハイウェイ
(手乗り文鳥)


・節電を高く掲げて敷島の日本列島発熱の夏



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・行く水の流れる律の楽しさに草魚の口は音なく歌う
(ユメバク)


・鯨取り浜に集まる男衆のお尻の肉(しし)に密かに萌えて


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・千早振る神よ助けてあられもない娘のツィートは嘘だと言って
(山口やすよ)

どんなツイートだったのか気になる…。


・ははそはの母の心に沿えぬままグループホームへ送る黄昏


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・から衣袖をつかめば曇る目に照らされさらに影は濃くなる
(小林ちい)


・花ぐはし桜香し花びらがひらひら扉から帰り来る


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・久方の光あつめて手のひらは希望の花を明日咲かせる
(小野伊都子)


・天つ風雲の上には青空があることを今教えてほしい



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三日月枕で1首劇場三日月



・ひさかたのピカチュウ放つ電撃に倒れた弟を運び出す
(船山登)

ぎりぎりアリと判断しました。
おもしろい!
あの事件、もう忘れてあげてください。



・柏崎と浜岡に挟まれてますみすずかる信濃の国よ我がふるさと
(長田絵理子)


・月草の仮の免許を手にすればはるか心は旅路に浮かぶ
(高松紗都子)



・あしひきのやまのすそのにがきのすむぎじのやかたになにみなさるか

(夕夏)



・あかねさす昼間の月は味気なく真昼の月はなお味気なく
(夏実麦太朗)



・真金吹く吉備団子食む縁側で君とふたりの時はゆるやか
(螢子)



・水薦刈る信濃の国を声あげて唄ふ者こそ羨ましけれ(佐々一竹)



・生黄泉のうちの甲斐犬ひし餅をのどに詰まらせ大手術せり
(あまみず)

黄泉の国を彷徨ったのでしょうか。



・「症状が出てから来なさい」白妙の衣を着ける医師と向き合う
(やまだよう)



・白妙のセーラー服に結ばれたリボンゆるめて我に問ふ君
(憂太郎)



・しかばねとかばねのあいだうつそみのひとはなみだをもちてあゆめり
(飯田彩乃)



・いそまつの常に魔の手が狙ってて炎を焚いてないといけない
(人々)



・空蝉の命ちらして逝く虫(もの)と新参虫(もの)の声きく夕(ゆうべ)
(坂寿曙光)



・あかねさす海をみわたす いつ死んでもいい人なんていない陸地で
(みうらしんじ)



・ぬばたまの黒木瞳の目にうかぶあれは失くした深紅の浮輪
(樹林)



・あしびきの山犬の群に護られるオカルト少女のネイルの勾玉
(ムラサキ・ピープル)



・ぬばたまの口をひらけばねばねばと女の愚痴は百足の匂い

(ヤマー)



・あしひきの「峰」吸う祖父の指先にたゆたう煙菊と変わりぬ
(しまやまひかる)



・ぬくもりがすべてだった手ぬばたまの夜におぼれていくような冬
(はせがわゆづ)



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__________________



鶴太屋さんです。


・かぎろひのスコット・ラファロ死の後も翡翠のベースまだ響(な)りやまぬ
(鶴太屋)


・あづさゆみ春の愛恋はかなくて木瓜(ぼけ)の花のみ咲き雪崩るるよ


・フェルメールのひかりにふれて濡れ佇てるかな玉藻刈る市川実日子


・なまよみの甲斐の温泉(ゆ)に入る神無月戞戞と征く魔(もの)の跫おと


・たまきはるバッハの楽は雲母(きらら)刷くわが耳に棲む蜥蜴を嘉し


・精液・銃・泥・血・戦争・馬の子宮、ああ風の音(と)のクロード・シモン


・うづらなく郷里も棄てて橋歩(あり)く突如わが肉透かす月光




ひさしぶりに読んだ鶴太屋作品。
独特の美学を感じます。


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酒井景二朗さんです。


・三枝の水にくるぶし浸す兒の笑へば夏の轟く光
(酒井景二朗)


・男等はまなこ閉ぢたり麻裳よし風紀委員の立ち去りし後


・美少女のフィギュア作りの水無瀬川下着に凝れば朝明け早し


・磯松の常に起き臥すこの部屋に開けず舊りたる書のうづたかし


・白眞弓春になつたら會ひませう大人の惡いとこを削つて


・子を包むタオル展げて垂乳根の母は雨降る軒下に立つ


・ささやかな言葉綴つてゐるのです葦の根の世を明らめかねて




ブログ休止中に腕を上げていらっしゃいます。



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_____________________



kanta_02.gifいや〜、おもしろい歌多かったですね!!


sasa-7.gif多かったね。
これだけ難易度の高い「お題」なのに、
健闘したと思います。

凄くひさしぶりな上に、
このブログの操作に慣れていないので、
今回はコメントを少な目にさせて頂きました。


kanta_07.gif次の「お題」は?


sasa-6.gif考え中。
とりあえず、いちいちググって調べないといけないような
「お題」はやめようと思ってます。


kanta_05.gif今回の教訓ということで。


sasa-7.gif「未来短歌会」
の笹公人選歌欄、
続々入会希望者が集まってくれています。

旗揚げメンバーは夏頃まで受け付けていますので、
気軽にメールしてください。
twitter
で「入ります!」と話しかけてくださっても大丈夫です。


kanta_01.gif優秀作品の発表もお楽しみに!!


sasa-4.gifということで、
よろしく哀愁☆


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2011年08月19日

「花」 総評

いろいろありすぎて
何から書けばいいのかわかりませんが、
みなさんお元気ですか?

師範、おかえりなさい!
ボクはこの半年間、掛川の花鳥園でバイトしてたんですよ……。

動物園じゃなくて花鳥園! 
優雅よのう。

優雅って、別に動物園と変わらねえよ! 
エサの種類だって。

えー、諸事情(サーバーの故障も含む)あり、
大変遅くなってしまって、申し訳ありません。

ここまで遅いと
リアクションが見つかりませんよ……。

待たせたねぇ。
で、「序文」ってどんな感じで書くんだったっけ……?

知るか!
自分で思い出してください!

さて。
震災と短歌について思うところを書こうかと思ったのですが、
気づくと、どんどん長くなくなり、
書いては消し、書いては消しを繰り返した挙句
書くのをやめることに決めました。

被災者以外の人は今回の震災をどう詠めばいいのか、
中途半端な気持ちであれば読まないほうがいいのではないか?
と迷っている人もいるでしょう。
短歌を詠む暇とエネルギーがあったら募金しに行け!
という意見もあるでしょう。

短歌雑誌でもいろんな歌人がいろんな捉え方をしていますが、
他人の意見は気にせず、
自分の信じる道を行くしかないのではないでしょうか。

震災詠ではないのですが、
常連投稿者の104heroさんの詩(朝日新聞で採用されたそうです)
が心に響いたので、紹介させて頂きます。


「かめら」 104hero


小さい頃の写真がないのは
うちにカメラがなかったから

遊園地の思い出はあるのに
遊園地の写真はほとんどない

かあさんと一緒に
写ったのはないけど
かあさんと食べた
オムライスのことは覚えてる

とおさんとぼくを
撮ったのはないけど
ふたりで球場にいったことは
覚えてる

むかしの写真が少ないのは
うちにカメラがなかったから

むかしの写真はなくっても
夢にはときどき現れる

セピア色にならない
あの時の空



家族のご遺体だけでなく写真さえ見つかっていない方たちの悲しみは想像を絶するものがあると思います。
104heroさんのこの詩は、
そんな方たちを勇気づけるかもしれないと思いました。

泣けました。

こういう短歌も詠めたらいいですね。

この度の大震災は、
「時事詠」の範疇に収まるものではありませんが、
震災詠を作る際も「時事詠」を詠むときの注意点が参考になるかと思います。

まずは、震災の直後に集まった「花」短歌の総評にまいります。
犠牲者、被災者に思いを寄せた歌が多くてしんみりしちゃいますが、
その分しっかりと鑑賞していきたいと思います。

var_20110322160228.jpg 「花」イメージイラスト
by・日野小豆

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まずは、高橋撤平さんです。


・頑張っぺラジオで聞いてる国ことば月下美人の花閉じる頃
(高橋徹平)

東北弁ってあったかいですよね。


・阿武隈の川原一面咲いているアワダチソウの黄色よ燃えろ

・冬を終え一度に桃、梅、桜咲く故に三春と避難所で聞く


「三春」という地名の由来を初めて知りました。
むかし、三春の玄侑宗久さんの家に
遊びにいったことがあります。枝垂桜が見事でした。
宗久さんは、三春に残って放射能汚染の問題と
命がけで向き合っていらっしゃいます。


・大正の桜の押し花 古本で花袋が相馬を訪ねし頁


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・秋たけて町の風呂屋の裏庭に百日草はむきむきと咲く
(鯨井可菜子)

「むきむき」がいいですね。


・好きな花の分からぬままに君がため編む花束よ冬の駅前

・消しそこね一文字残るグーグルの窓に霞の花揺れており

・もう一度歩きはじめよあぜ道に風吹き渡り揺れるたんぽぽ

・つぼみたちは祈りのごとしはつ春の光まぶしき木蓮の枝



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・わたしからひかりの花を送るためいま海ほたるあつめる渚
(富田林薫)

「ひかりの花」が決まっています。


・気がつけばあなたは遠く振り向けば小さな百合の白い祭壇

「ば」が続いて、意味不明になっているので、

「遠く振り向いて」

にしましょう。


・うすももの記憶を辿り春の日のあなたが花であったかのよう


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・恋愛は狂ってなんぼと嘯いて曼珠沙華なお赤々と咲く
(本荘ゆり)

曼珠沙華の本意本情を
うまく活用しています。


・今はもう昭和の夢の中にだけレンゲ畑よ永遠に咲け

・海からの水被りてもチューリップ 淡きつぼみで卒業祝う

・鎮魂の願いを込めて吹き飛ばすたんぽぽ綿毛天へ届けと

・この国のすべての桜風に乗りその花びらをかの地に降らせよ



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・花柄のスカートの裾くるり舞いわたせせいぞうの涼風を見ゆ
(ユメバク)

下の句が魅力的でした。


・鎮魂の風は向日葵群をそよぐ遠き原発の柩を避けて

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・たくさんの固いつぼみのため息を夜半の烏は目を閉じて聞く
(須田まどか)

いい感じです。


・モノクロの荒れ果てた庭に色を差す一本のバラそして青空

・流されて棺に入れる花もないそれでもいつかここに花咲け



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・菜の花をきれいに食べる一家からいまなめらかにあふれる善意
(虫武一俊)


・行き止まるたびになにかが咲いていてだんだん楽しくなるいきどまり


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・しゃぼんだま空に消えたらまた飛ばす 花は何度も咲くはずだから
(小野伊都子)

下の句のモノローグ、
とてもよかったです。


・切株に新芽を見た日 まだ先の桜便りを祈りつつ待つ

・たんぽぽの強さで笑うきみだから見守りたくてはかない綿毛

・いつだって通り過ぎてから気がついた沈丁花の香 たいせつなひと

・ゆっくりと開いていったチューリップ ちいさな指が春をめくって


>桜の花びらを象った紙に
>被災者の方へのメッセージを集めて
>支援物資といっしょに送る活動を始めました。

メッセージも喜ばれるみたいですね。
ぜひ短歌も添えてみては?
活動の順調をお祈りしてます。

__________________



・夕顔の花の蕾のひらくごと魔法少女は魔女となりたり
(魚虎)

結句は「魔女になりけり」
にしたほうがいいかも。


・お使いにゆく子狐の足元を蛍袋よ照らしておくれ

・置き去りにされし真昼のバス停の錆びたベンチの下にたんぽぽ

・一面にヤナギラン咲くこの場所で君が帰る日を待っている


「ヤナギラン」の花言葉は「集中する」とあります。
それをかけているのかもしれません。
魚虎さんは植物に詳しいんですね。

__________________



仙台在住の猫丘ひこ乃さんです。

・閉ざされた小手毬の花咲く通り足跡ひとつ増えて繋がる
(猫丘ひこ乃)


・卯の花の炊ける匂いに集いたる人らに浮かぶふるさとの顔

・枯れるなと胸に開きし魂の花にきかせる君が詠む歌


いい歌です。

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・サボテンも枯らしてしまう弟が毎日水を与える初恋
(小林ちい)


・「チビだから咲くの遅いな」と笑われた私がママでごめん朝顔

・製氷器に矢車菊を凍らせて青紫が永遠になる



>私事ですが地元宮城に住む家族が無事と分かりほっとしました。

地元でしたか。
ご家族が御無事でなによりです。

_________________



・雷が遠く聞こえるキスだった 梓の花の咲いてた下で
(佐々木優)

うまい。


・君は馬 駆け抜けていく黒馬が目立ち過ぎてる蘆花のざわめき

・向日葵に抜かれた背丈 この道はあの夏を逃げ出した続きだ

・好きだった君が笑ってくれるなら花びら付けておどける別れ



__________________



・一輪の花はきいろい薔薇であり眠れぬ夜に散りはじめたり
(新井蜜)


・春風に困つたやうな顔をして真つ赤に咲いてゐるボケの花

・白い花につつまれぢつと目を閉ぢて冷たくなつて何を思ふの

・さざんくわに鴉が寄りて見てをりぬ鍋の材料買ひし帰りに


上の句が凝っているので、
下の句は
「買い物籠の鍋の材料」
くらいにしたほうがいいです。


・細かつた桜の若木を思ひだす長い会議の終らぬ夕べ

※新井さんの歌は、3月10日に投稿されたものです。
3・11以降、歌の解釈が変わってくるかと思いますので、
作者に代わって書いておきます。
新井さん以外の投稿作品は、すべて3月11日以降に投稿されたものです。

__________________



・木を見ずに花語る人あまたいて燃やした薪の前に根おろす
(帯一 鐘信)


・流木に語っていたら春になり花は咲かねど四葉になった

・春を待つ瓦礫のなかのピアノから空に向かって開きだす花


生々しいです。

____________________



・自宅よりともだちの家は懐かしい 玄関脇に造花のミモザ
(いつも翠)

上の句のモノローグ、とても鋭いです。


・何の花ともわからないモチーフのネクタイのあの人が担任

・それぞれに色づいてきたあじさいは雨の後ろで小さく歌う



____________________________________



・名前では絡めん弄られへんけれど 俺は好きやで可憐な木瓜が
(壮太)


・「俺のさあ、人生なんか足んなくて」「それは華よ」と秒殺の妻

これは切ない……。


・小雨降り人気の失せた遊園地 菊人形も脱髄したり


__________________



・真夜中の冷めたディナーに花散らす薔薇に罪などなかったけれど
(海月)

欧米風。


・眠ってる間にほろり落ちてきた銀木犀は片恋の星

・薫風にハイビスカスが揺れており違う恋にも目覚めはじめて



__________________



・三代目引田天功消えにけり銀龍草の花弁のなかに
(夏実麦太朗)

「消えてゆく」
でいいと思います。


・振られても振られてもまた振られても久美子の庭に桃の花咲く

なにか暗示的です。


・毒水を集める係じゃないけれど桔梗の花をこじあけている

謎めいています。

__________________



・ふたしずく蜜をすすって少年はまたサルビアの花弁をむしる
(喜楽熊)


・雪原のなかで花瓶を抱くようにあるきつづける無塵の廊下

・大輪に爆ぜ散った種子あとわずかの地目指し燃ゆ流星として

・紫陽花が絵文字リストに欠けていて送れぬメール『雨だね_』のまま


「 _ 」がうまく生かされています。

これは新しいかも。

___________________



・孤独だと思い俯く足元にホトケノグサの蕾が一つ
(ぐるぐるフルール)

ちょっと予定調和かな。


・雑草と言われてしまう花たちへ学者気分で名前を付ける

・工場の片隅に咲くヒマワリは太陽探し首を傾げる



____________________



・微睡みの中で女は花となり朝の雫を静かにこぼす
(ヒーロ)


・花を踏むまた一歩づつ花を踏む コンクリ歩く人の数だけ


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・裏庭の名もなき花に名をつけて晩酌相手今日も一献
(黒髭)

さみしすぎる!


・義憤だと思うことこそ私憤だと諭すよに降る花見の雨よ

奇抜な発想の歌でおもしろいです。
とってつけたような「よ」が気になるので、
「花見の日の雨」
くらいにしたほうがよさそうです。


・ほころんだ蕾みが運ぶ幸せよ桜前線急いで北へ


___________________



・白妙の水仙たちが柵ごしにただみつめてる「自由」な世界を
(坂寿曙光)

こちら側から見たら、
水仙たちこそ自由に見える時もあるでしょう。
そんなことを考えさせてくれる歌です。
最後の「を」はいらないと思います。


・白妙のちりゆく梅と打ち靡く咲き乱れてる春の野花は

・白妙の梅の花びらふみながら通学路行く修了式の日

・こけむしろ青い小さな犬フグリ強固な土さけあちらこちらに

・冬ごもり春の雨さえ宝石にかえてかがやく名を知らぬ花



__________________



・アザレアは浅く根を張る大丈夫やりなおせるとあなたが言った
(高松紗都子)


・失踪の話のように失恋を語る窓辺に芽吹く木蓮

・あの花は何と問われて木蓮とこたえる春がうごきはじめる

・木蓮が咲きそめている地の揺れにうつむく人のはるか高みに

・花散らす風吹きやんだ耳のなか君の言葉がひとつこぼれる



__________________



・年聞かれいつも笑って「紫陽花」と答えたきみをおもう六月
(みうらしんじ)

「アジ歳」か。なるほど……。
どこか青春フォークっぽい世界。


・蒼い薔薇胸にたずさえかの人が迎えに来ます夢のなかでは

ベルばら風?


・こきざみに風にゆれてた恋がありアルバムに挟む三色すみれ

・春が来て花は咲くからぼくたちは永い冬でも乗り越えてゆく


___________________
 


・灯の消えた夜道の先に白木蓮 標(しるべ)無ければ標探らむ
(穂ノ木芽央)


・百年に一度の花のために継ぐ魂(たま)の系譜をひろげつづけて


________________



・ひまわりが好きな花だと言えていた影なんてまだ知らない頃に
(都季)


・ひと夏の光の中の向日葵に無限大型のリボンを結ぶ

・薄桃の春の吹雪に包まれて君は光の中へ溶けゆく



_________________



・菜の花の黄色に溺れ もがくほど沈む気持ちは恋に似ている
(清水海斗)


・花吹雪 祭りみたいに騒がしく降り注いでた君の肩にも


________________



・懐かしきマンドラゴラの叫び声 イチカワ青果店の奥より
(山城秀之)


・川べりを歩く天人唐草をずかずか踏んで蹴散らしながら

・夕闇のあの排水溝から流れくる赤い椿を合図とするか


「椿三十郎」?

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・白煙をあげる瓦礫の片隅にいまだ小梅は花をゆらしぬ
(かわら)

・灰となるその僅かまえ白菊のまぐわいありとつぶやく炎

・紫陽花に埋めたき頬を幾十度(いくそたび)打つ討つ鬱わが妻なりき


森駈けてきてほてりたるわが頬をうずめんとするに紫陽花くらし
(寺山修司)

を踏まえた歌で、おもしろい発想ですが、
下の句は改良の余地あり。

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・看板の灯りを消したコンビニは街の喪章だ野の花飾る
(山口ヤスヨ)


・泣き声とサイレンばかり耳につく夕暮れ迫る花冷えの街

・これが咲くころにはきっと笑顔だろうベランダに蒔く早生(わせ)のひまわり

・大地震(おおない)で棚から落ちた天花粉舞い立つ香りに亡き祖母想う

・真っ白な前掛け隣のお嫁さん乙女椿の生け垣越しに



今回とてもよかったです。

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・生かされた梅が地を這い咲いている。龍の体の少女の顔で
(飯田和馬)


・蜜蜂は菜の花だけを気にしてる。飛び込みたくて生きてきました。

・不器用なハモニカみたいなフリージアわたせなかった 手紙とともに

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・食卓のめだつところに咲いている解答用紙の赤い花マル
(岡本雅哉)

なるほど。


・ひとしれず一輪ざしのガーベラが花占いをはじめる窓べ

・やわらかなバラの花弁をおもわせる試食のハムの薄切りかげん

・さようなら 船尾の白い波めがけデルフィニウムをちぎって投げる

・集まるとかわいく見える女子たちにスプレーバラはとてもお似合い


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・花摘みの王子様たち空を見てみんな故郷が恋しいと言う
(しまやまひかる)


・そこに花があるだけでいい 駆け出しのマジシャンひとりいるだけでいい

妙に味があります。

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・桜もちの葉っぱをむしる人を視て「なんて野蛮」ともごもご思う
(ムラサキ・ピープル)


・開花前、樹皮が一番朱くなる 貴方をみつめる躯(からだ)が熱い

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・この世では会えない人に会いたくて桜吹雪と共に散りたい
(おはぎ)


・夜の間に椿の花がぽとり落ち朝露に濡れまだ生きている

散った椿の花びらの生々しさを、
「まだ生きている」と表現しています。


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・根元には誰が埋まっているのだらふ桜紅色月に微笑む
(螢子)


・「サイタ サイタ サクラガ サイタ」教科書を開けば春が飛び出してくる

ずいぶん昔の教科書ですが、
螢子さんは戦中派世代でしょうか?
だとしたら「おはぎ」さん以来です。

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・出産のお見舞いだよとカスミソウ抱えてきたね新米パパわ
(台所のキフジン)

「パパは」にしましょう。
貴婦人らしく。


・アナタへの便りに萩を摘んで入れ澄みわたる空届けと祈る


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_____________________


がんばっぺ1首劇場


・再建の礎として社を去るも両手に花とはまいりませんね
(おおみはじめ)

リストラ短歌。
下の句の皮肉たっぷりのモノローグが味わい深いです。


・九日にキンモクセイのつぼみから生まれた女が香りすぎてる
(人々)
 

・水仙の配達終えて近頃はのすたるじあが抑えきれない
(ヤマー)


・悲しみの涙で濡れた言の葉はかがやく言の花の前兆
(西畠勇氣)


・なにもかもわすれさせてしまいはるのやさしさがこわいさくらのさく
(夕夏)


・焼け野原からの隆盛ふたたびと被災の林檎あかくあかるく
(たちはらそう)


・向日葵の咲いた植木鉢がマンションの十二階から飛降り自殺す
(霧野烏紅)


・したたかに茎が地をはうジシバリの黄の花群れが風に乱るる
(いのさん)


・吊る吊らない吊る吊らない花びらを散らして決める首のゆくすえ
(小日向)


・わすれないようにするから僕達が世界に一つだけの花でなくとも
(長田絵理子)


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鶴太屋さんです。

ひまはりの首断ち切れば耳もとに氷のきしる氷河の呼びごゑ
(鶴太屋)

下の句に意外性がありました。


・さるすべり夏空占めて輝けば頬を掠めて黄金(きん)のクラゲよ

・茄子の花むらさき零す夏の光(かげ)露とばかりにいちにんの訃

・夏色の少年兵のゑがほなどピンで留めおけ高きたかきカンナ

・青き菊を風に挿したり鉄にほひわれの骨壺歌ひだす日に

・断弦のギター炎やせよ狂院の桜鯛煮(た)く死後のキッチン

・師の墓の侘助椿ふるふると淡墨(うすずみ)の風に怺へゐるのみ

・紅梅の一輪冱える羞(やさ)しさに雪明りするこの傘の中



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かんなさんです。

木蓮のような日傘を傾けて少女は春の終わりを歩く
(かんな)

木蓮と少女の響きあいがいいですね。


残るのはハマボウフウと六月の雨と止まったままの時計と

早すぎる春の別れに薄紅のスイートピーはふるえ続ける

花びらの形に涙は切りとられ四月の海に向かうのでしょう

色褪せる押し花のごと思い出の輪郭だけが今は残って



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酒井景二朗さんです。

・少年のはにかむやうに咲いてゐる冬は骸骨だつた紫陽花
(酒井景二朗)

「骸骨」が絶妙でした。


・病院の事務職員がつきつける厚い書類はチューリップ色

・咲きほこる皐の下に開けられた目白一羽の爲のトンネル

・うつむいて咲くのが菫 うつむいてゐてはならない我ら人類


この言い切りが気持ちいいです。


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__________________


お疲れ様でした!
半年ぶりの「総評」いかがでしたか?

祈りの込められた歌が多くて、よかったと思います。
初参加の人の作品でもおもしろのがけっこうありました。
あと、やればできるじゃんって思う人も何人かいたね。

うれしいことです!
Blog、また昔のペースでやってくれますよね?

う〜ん……。
わからないけど、
もうちょいがんばります。

ところで、
たぶんみなさんのことですから
既に2冊は買ってくださっていると思いますけど、
念のために宣伝。

var_20110819023907.jpg target='_blank'>『遊星ハグルマ装置』朱川湊人 笹公人・著 (日本経済新聞出版社)

絶賛発売中です!!

8月22日(月)の「読売新聞」夕刊の
「編集者発」というコーナーで、
『遊星ハグルマ装置』が紹介されるようです。
(以前も記事を載せて頂きました)
ぜひご覧ください!

9月9日(金)
青山CAY「名物かいぶつ祭り」

僕は、佐野元春さんの詩のパロディや新作短歌などを
「杉ちゃん&鉄平」の杉浦哲郎さんとのピアノセッションという形で朗読します! 

他の出演者も豪華です。 
予約受付中です。興味のある方はぜひメールをください!

ということで、みなさん
猛暑に負けずがんばりましょう!

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 01:38| Comment(16) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月17日

「鏡」 総評

どうも、御無沙汰してます。

まずは、お知らせから。

みなさんご存知だと思いますが、

笹井宏之くん
遺歌集にして第二歌集
『てんとろり』
が発売されました!

『ひとさらい』
も復刊されました!

どちらにも重版がかかって反響を呼んでいるそうで、
素晴らしいです。

「笹公人の短歌Blog」への投稿作品も少しだけ収録されています。
もっとたくさんあるので、
ぜひ「笹井宏之ポエジー図鑑」も読んでみてください。


『ひとさらい』巻末の笹井君のお父様による文章に、

第一歌集『ひとさらい』の「さらい」とは「(川底や井戸などを)さらう(浚う)」
「掃除する、きれいにする、浄化する」という意味で、
まさに「人の心をさらう、浄化する」という意を含ませていたようです。


とあります。

笹井くんの短歌に人の心を癒せる不思議な力があるのも、
根底にそんな気持ちが込められていたからなのでしょう。
歌は心ですね。

もっともっと彼の新作を読みたかったけど、
いまそれを言ってもはじまりません。

彼は限られた時間の中で全力を尽くして
歌を出し切ってくれたと思っています。

立派だったと思います。

笹井短歌はこれからもたくさんの読者の心を癒し、
魅了していくことでしょう。


・一夜漬けされたあなたの世界史のなかのみじかいみじかい私 
(笹井宏之)


こちらの書評(by・東郷雄二先生)
もぜひ読んでみてください。


さて、もうひとつお知らせです。


1月29日(土)の「中日新聞」(一面)&「東京新聞」連載

「けさのことば」(岡井隆)

110217_1557~01.jpg

にて、
われらが常連投稿者のカー・イーブンさんのこの二首

・どの酒も同じコップで呑(の)む父を本物の酒呑みだと思う
(カー・イーブン)

・消毒と称し毎晩呑んでいる父を殺していくアルコール
(カー・イーブン)

『笹公人の念力短歌トレーニング』(扶桑社)

が紹介されました!

こういう、やんちゃなペンネームの作者の歌が
新聞の一面に載ったというのは、
かなり画期的なことだと思いました。
どんなに優れた歌であっても、
新聞歌壇では(このペンネームでは)掲載されないでしょう。

さすがは岡井先生です。

岡井先生は、小生の師であり、小生も所属する
アララギ系の短歌結社「未来」のボスです。
斎藤茂吉に会ったことがある最後の歌人とも言われています。

「アララギ」の歴史を眺めると
けっこう排他的だなと思う部分があるのですが、
岡井先生は、そういった悪しき伝統を断ち切った歌人としても
評価されるべきでしょう。

小生の兄弟子にあたる加藤治郎さんも
その考えを受け継いでいるように思います。

「なんでもアリ」になりすぎてもいけないとは思いますが、
このバランス感覚、見習いたいです。

でもカー・イーブンさん、
歌集を出す時は本名にしたほうがいいですよ。

どっちなんだよ!!

文章の最後に、

一見軽いノリのようだが「笹師範こと笹公人」の実践は
今の短歌の生き残りをかけた奮闘の一端を示している。


という激励のお言葉を賜り、
感激するとともに、

「あぁ、これでますます短歌Blogをやめられなくなったぞ……」

と思ったのでした。

もうすぐ5周年、頼みますよ!

齢80を超えてなお
短歌という伝統文芸を守りたいという一心で
老体に鞭を打って全国を駆け回っている師匠には、本当に頭が下がります。
僕のこの短歌Blog活動なんて、
それに比べたらなんでもないですよ。

そうですよ!
まったくその通り!

おまえに言われると腹立つ。
このブログが少しでも短歌というジャンルに
貢献できているのだとしたら、
隔月でも季刊でもやめずに、
もうしばらく、がんばっていかなければ
ならないと思っています。

がんばれ師範!
もうちょっと更新が早ければ、なおいいんですけど。

すみません……。君は、
「笹師範はいくら更新が遅れてもへっちゃらだ」と
思っているのかもしれないけど、
しっかりプレッシャーは感じているんだよ。
いつも宿題を抱えている気分で生活するのって
けっこうキツイよ……。

ご苦労様です。

ということで、
「鏡」の総評にまいります!


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まずは、
かんちゃんさんです。


・うらぶれた風俗街でキックオフ 潰れたディスコのミラーボールで
(かんちゃん)

「潰れたディスコのミラーボール」
をサッカーボールにするという発想がおもしろいです。
バブル時代への怨念が込められているかのようです。

「うらぶれた」は説明的なので、
改良の余地ありです。


・電車にて化粧する人の手鏡をことごとく割るサイコキネシス

・遥かなる星々すべて閉じ込める 望遠鏡のレンズの中に

・お転婆な魔法使いを追いかけて鏡の中にまた逃げられる

・青い鳥の幻影映る ポンコツのブルーバードのバックミラーに



どの歌も
固有名詞の料理の仕方がうまいです。


_________________


・鏡から逃げてるような人生を叩き壊して前に進みぬ
(人間失格)

・他者という鏡に監視されていて無言のうちに殺される自我

いろいろ考えさせられる歌です。


・鏡見てヒゲ剃る時の間抜け面 その顔のままで行けぬ社会は

・サイドミラー見てるだけでは本当の死角は見えず 人生もまた


たしかに。

___________________



・人知れず樹海の底にあるという鏡求めて今日もさ迷う
(メカパンダ)

・祭礼の鏡覗けば常世より鬼神様が踊り来たれり

・ゆきずりの女が鏡に残したメッセージ都市伝説が眼前にある

・さながらを映す鏡はなかなかにまことのままで立ちがたかりき


____________________



・落っこちた鏡は光る ゆっくりと 蛍のように 呼吸しながら
(ヤマー)

・ひび割れた鏡のような蜘蛛の巣にかけたまじない「ダレカミツケテ」

______________________



・ブティックの美人鏡にだまされて着ることのないミニワンピ買う
(須田まどか)

答えを言ってしまっているところが惜しいですが、
おもしろい歌です。


・にこやかに「お酢で鏡をふいてます」そんなアイドル信用できぬ

たしかにアイドルをやってる人は、
夢を与える存在であってほしいものです。
中途半端が一番よくない。
その点、郷ひろみさんや松田聖子さんは
演じきっていて偉いと思いますね。


・七草が過ぎてもデンと構えてる私だんだん鏡餅に似る

・半日の人間ドック後鏡見てバリウム髭の確認をする

・身体だけデカイ息子が怯えてる合わせ鏡の都市伝説に



________________



・鏡台の一番下の抽斗の奥に眠れる母の黄楊櫛
(佐々一竹)

・圓蔵がまだ圓鏡と呼ばれたる頃を懐かしみ燗酒を呑む

・子は親の鏡だというあの母の何を引き継ぎ生きて居らんや

・ひび割れぬ鏡餅まだ飾られて自分探しの堂々めぐり


「ひび割れし」
にしたほうがいいです。


・頑として老眼鏡を掛けざりし母の意固地を愛おしみたり

________________



・内視鏡検査でやはり見つかったポリープみたいな君への想い
(ウクレレ)

・パステルのコート試着しカーテンをきみが開ければ春がはじまる

さわやかで、実にいい歌です。


・もう何もうつさなくてもよくなって鏡よただの硝子におなり

・別々の空を映してぼくたちは割れたカガミのごとく生きよう

・青空を映して閉じたコンパクトミラーを鞄にそっとしまえり


_________________



・鏡のようにきみの仕草を真似てみてそれでも分からない胸の内
(小林ちい)

・美容師が延々話しかけて来る鏡の中の目も見ないまま

・泣きぬれた朝も鏡と向き合えばチークを入れるための微笑み

・鏡越し目が合う女 表情を変えずに化粧室を出て行く

・午後の陽を鏡ですくい教室のまどろみの海泳がせてやる



今回、リアルな手触りがあって
とてもよかったです。

________________



・正しさとは何か眉毛をかたどりしテンプレートを片手に鏡へ
(長田絵理子)

・悪口で過ごした翌朝内面を映さぬ鏡を幸福として

これは鋭い。
読む者をドキっとさせる歌です。


・恥ずかしい格好なのは君もだし天井の鏡見てごらん


_______________________



・手鏡を見せても反応しない子をぼーっと抱いてる虐待する母
(高橋徹平)

・じゃれてくる子を見下して笑うママの母親という鏡は割れてた

・親は子の鏡なのよと怒られた 確かに私も被虐待児

・パーマネント屋の大鏡 髪の毛で隠されていたアザまでうつす



精神科医の高橋さんです。
児童虐待に対する
真剣なメッセージを感じました。


_____________________



・閉じかけた三面鏡には幾つもの迷う心の群れが住んでいる
(ももや ままこ)

・煮てもよし、焼いてもよしと腹くくる鏡開きの餅になる彼

・散らばった鏡の破片に映るのはちょうど壊れた関係のよう


「ちょうど」が説明的かな。


・深夜2時化粧直しをしていれば鏡の世界へ消えるキャバ嬢

・少しだけ未来を知りたく悪魔との契約交わす鏡を合わせて



_________________



・冤罪に疲れて帰宅した父が鏡をみんなはずし始める
(虫武一俊)

おもしろい歌です。
「みんな」は、
「すべて」に変えたほうがいいです。


・お前が裸足で望遠鏡を踏んだからとどめをさしてやる兄として

クレイジーでおもしろいけど、
やはり破調が気になります……。


・やりなおしのきかないものに名を呼ばれ三面鏡の扉を閉じる


___________________________________



・前髪が気になり映した窓ガラス寝癖の奥に誰かの笑顔
(黒髭)

・午前二時消したテレビに現れる疲れた顔の男が一人

・満天の星空宿す水鏡小石を投げて宇宙蹴散らす

・なあお前そっちはどうだイケてるか鏡の中も世知辛そうだ



________________



ひさびさの登場
新井蜜さんです。

・幾十の破片となりてそれぞれの宇宙を映す投げた手鏡
(新井蜜)

・捨てられた鏡に映る青空を踏んでしまつただけなのに俺は

・みづいろの鏡をひろふ さむいねとはなしかけてもくもつてしまふ


俵万智さんの本歌どり?


・深海に鏡の欠片沈みをり提灯鮟鱇の光、煌めく

歌集『暗黒星雲』おもしろかったです!


_____________________



・四月初日、鏡に映る僕もまた嘘だね、あからさまに不細工。
(滝沢勇一)

・さみしくて合わせ鏡の中にいるたくさんの僕にやあと言った。

・優しさに触れてしまったから今日は鏡を見るのがとってもこわい。


深いですねぇ。

「。」をつけるのはポリシーでやっているのかな。

___________________



・鏡面が変形している道路反射鏡に映りし魔の十字交差点
(月見里亞玖津)

・ディズニーランドのトイレに鏡設置される日おそらくそれは世界が終わる日

そういえば、
ディズニーランドのトイレに鏡はないんでしたね。
目の付け所がよかったです。


________________________________________



・不機嫌なミラーボールを撃ち落とせ僕らはきょうも星屑まみれ
(きたぱらあさみ)

・フレームのゆがんだ眼鏡 青空が正しいなんてだれが決めたの

・だれだってだれかのために必要でエレベーターの鏡のように

・役割は理解している だきしめる あのこのミラーサイトとなって

・アナスイの鏡をのぞくすこしずつおんなになってしまうくちびる


____________________



・指触れてひんやりとする三面鏡左と右の私は違う
(ぐるぐるフルール)

・後方の君を映して閉じ込める恋に染まったコンパクトミラー

・月面の足跡探す望遠鏡フローリングの冷えた真実

・手を伸ばし鏡に映る人の頬伝う涙の拭えない夜



_________________



・しし座流星群近付いて国道のカーブミラーにあつまるひかり
(富田林薫)

・アンティーク鏡台の引き出し深く異国の姫の微笑みをかくす

・ジャバウォックの詩を失くして解らない鏡の国のアリスの死因



____________________



・置手紙“素直になれ”のひとことに 鏡文字しか書けなくなりぬ
(ポンポンダリア)

・寂しくて 合わせ鏡の中に立ち 無限の我に話しかけてる

シュールな光景が浮かび上がってきます。


___________________



・濁り水深淵の空映しおり覗く我が身を引き込むように
(夕夏)

・うつむいてみなもながめるおののいてゆれるみなもにこころもゆれる


__________________



・この道を 行けば大滝 滅びみち そを知りつつも なおも 道行く
(乾泰宏)

「道歌」っぽいですね。


・妻を捨て 子を捨て十年 今もなお 孤独の広場 立ちつく しおり

・とめどなく 涙ながるる 悪の種子 隠して生きし 歳月の 思えば

・「悪かった」 悔悟の思い 果てなくも ただ生きるしか  なき身なるかな

・大手町の ビル群灯ともり 明々し かって棲みたる 日々 のあざとき
 


1字空けにしなくてもいいと思います。

_____________________
 


・万華鏡覗いて人生ふり返る華も花火も一瞬のうち
(おはぎ)

・池の面鏡の如く映る雲天に届けと小石を投げる


___________________



・廃屋の鏡に映る肖像画の瞳の奥に群青の空
(手乗り文鳥)

・いもうとは合わせ鏡のその奥に置き忘れたもの取りに行ったまま

怖いなぁ。
伊藤潤二先生の漫画みたい。


・膝小僧抱へ八月一五日 母の手鏡にいつか見た空

・アクセルを握る右手に力込めバックミラーに過去吹きこぼす



__________________



・空想のボール投げれば向こうから投げ返すもうひとりのわたし
(魚虎)

・バックミラー越しの老婆を見ないふりなどできなくて夜の高速

・襟立てて鏡の前で偽者のカントナになるためのユニフォーム

・君を待つあいだに漏らしたため息が冬の双眼鏡(オペラグラス)を曇らす



____________________



・手鏡でふざけ照らした横顔がふと蘇る甘き疼きと
(壮太)

・日々の老いといふ悲哀を欺ける魔女が住むらし或る鏡には

・鏡面のような湖面に眼を落とし二人聴いてた「雨のウェンズデー」

・なごり雪ホントに降ったわトンネルを駆ける車窓に映った瞳に



________________



・漆黒の太平洋にルナルナル映える己をながめる月は
(喜楽熊)

・捨てられる鏡に槌を振り下ろす勤めを果たす日々 雪が降る 


________________



・ふたたびは会えない人を追いかけて回しつづける百色眼鏡
(高松紗都子)

・夏の日のカーブミラーの分かれ道白い素足が浮かびはじめる

・天空をめぐる孤独な目だろうかハッブル宇宙望遠鏡は



__________________



・横たわるカーブミラーに怪獣のかたちで吼えるたそがれの雲
(猫丘ひこ乃)

・水鏡うつろな君を映すとき椿がぽとりコサージュになる

ぽとり(と落ちて)コサージュになる
ならわかるけど、
ちょっと省略しすぎですね。


_________________



・本当のことだけ伝え損ねてた鏡にうつる真昼間の月
(はせがわゆづ)

・雨音の全部を残さずうつしてたあなたの黒目は鏡のように

・鮮やかな夕焼けみてるきみはまだ鏡の向こうから帰れない



_________________



・モノクロが正しいと言うみずたまりこっちの世界が偽物なんだ
(中森つん)

・C3領域までもさらけ出し私を暴く口内鏡よ

・湖がピエロのように笑ってる いまそっと流れるほうき星



________________



・姿見に映りし者は父に似て母にも似てるネクタイ曲がってる
(104hero)

・投げつけて割れた鏡に映る君君君君君君の涙


________________



・みうらしんじのボケ死にやがれと思いつつ割れた鏡をじっと見ている
(みうらしんじ)


>ところで、以前、
>・南国の太陽として歴代の宮崎県知事みな禿げている
>という歌を採っていただきましたが、20日で退任する東国原知事の後任は普通にふさふさしている人が当選しました。
>長きに渡った電灯、いや伝統(?)が途絶えたことを残念に思っています。
>もしそちらの知事に立候補の際はあたたかく迎えてやってください。

とのことです!

___________________



・鏡越しのうしろの世界=現実は混沌として華やかで、好き。
(川瀬のぞみ)

・あの夏のカーブミラーの屈折にヤラレテシマッタ「きみが好きです」


________________



・押し黙る君の背中の向こう側 三面鏡の分かつ感情
(たちはらそう)

・左手が頼りとなった僕だけど鏡の僕の右手は元気


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・優等生の鏡としての金次郎が背負いしものはひたすら重い
(広瀬智深)

・鏡では六四分けだが実際は四六分けではないかと思う


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・しまむらの試着室には凹面の鏡があってエルフに会える
(飯田和馬)

・傷ついたはずだったのに手鏡の中の私は闘魚のようだ


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・中央に鏡の付いた遁甲盤三年間に光ることなし
(そう蛸)

・カーテンの隙間に今日は望遠鏡出ていないこと犬と確かむ


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・髪をとく手鏡付きの黒い櫛それが中二のプライドだった
(佐々木優)

「中二」が効いてる。


・洗面所 マジックミラーの中にいる奴へと向けて放つ屁ひとつ


___________________



・なぜママが鏡の前にとりどりの瓶を置いたか分かり始めた
(小野伊都子)

・次の駅までの車窓の暗闇に髪整える もうすぐ会える

・鏡には昨日の私は映らない今日の私できみに会いたい

・きみの目の鏡はまるで空でした 見上げるだけで旅したくなる



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・泣き顔を鏡に映してもう一度頑張ろうとか思えた新卒
(ひいらぎ)

・何回も手鏡見てたあの頃はきらきら輝く恋をしていた

・鏡には退屈そうな表情が映って恋でもしてみませんか



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・銀食器は鏡の様に磨かれているけど君は倒れたままで
(佐井永)

・にじみゆく君も桜も涙ではないよ眼鏡を外しただけで


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・洗面台で手首を切りし女生徒の鏡に映るほの暗き顔
(憂太郎)

・変身はテクマクマヤコン少しだけ善意を贈る伊達直人になあれ

・左利きのA子はいつもスカートの右ポケツトに手鏡を入れる

・うづたかく積み上げられしスクラツプのサイドミラーが乱反射せり



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・通勤の電車のステンレスに映る俺は何だか老けてるんだが
(ムラサキ・ピープル)

・合わせ鏡で二口女が几帳面に直している紅

・甘そうなデコ手鏡に「わたしはきれい」 乙女は夜毎鍛えられてる

・水銀を塗られたわたしが毒を孕まないだなんてどうして思った?



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・ちゃんと百円いれたけど無人野菜売り場の鏡 見るのがこわい
(重たいウサギ)

良心を映す鏡?


・六十八円の鏡餅しろいほうがあたらしいんだと母ちゃん怒る


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・鏡ごし見ている顔は本当のワタシなのかは神のみぞ知る
(沙羅)

・みぎひだり逆転してる人生を映し続ける鏡の憂鬱


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・この呪文「テクマクマヤコン」唱えれば貴方の妻になれたでしょうか?
(螢子)

・女なら一度は聞いてみたきこと「鏡よ鏡、私ってきれい」

・ぴんとはる空気の中で凍りゆく路面に歪む十六夜の月



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☆鏡の中の1首劇場☆


・隆盛を万華に踊った終着地 壇ノ浦こそ懺悔鏡なり
(西畠勇氣)


・ブルースをうまく歌える年頃さ鏡の裏をひっかく猫よ
(帯一 鐘信)


・大丈夫 ダイジョウブって 云ってみて 鏡の自分に 笑ってごらん
(台所のキフジン)


・ひび割れた鏡は形保てずに崩れ落ち行く君の想いも
(薫智)


・まぶしすぎる未来 ジュリアナ東京のミラーボールに砕けてたのは
(カー・イーブン)


・紅葉の門に鏡花が入りし秋弟子は十七師は二十三
(船山登)


・饒舌な鏡の精を叩き割るまつしろな嘘をまたひとつつく
(穂ノ木芽央)


・ランナーズハイの境地にあらわれた女人がまとう鏡のドレス
(不動哲平)


・懐かしくそして残酷な想いは溶けて消えゆくサイドミラーに
(ユメバク)


・ケロンパの「かがみよかがみかがみさん」あのころよい子にあこがれていた
(螢子)


・必殺のミラーナイフが宙を切りついでに通知表とかも切る
(山城秀之)


・口紅が鏡の中で滲んでく夜に置いてけぼりをくらって
(加藤久美)


・目の前の 自分を見つめ はや二年 後ろに映る 合せ鏡
(彩葉華琉多)


・100光年まっすぐ進んで反射した池の氷の音を聴く夜
(渡邊)


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鶴太屋さんです。


・曇り日の鏡に沈む海鼠かな愛をむさぼるその虚無の口
(鶴太屋)

・冬の鏡に枯れ蔓つたひ鷹睡るこの生命の愛(いと)しきろかも

・鏡のごとき春の泉に膝折れば惑ひの水精もいつしか水仙


どこか神話めいた歌です。


・女鳥羽川、寒の流れの泡寄せる泉鏡花を読みそめて冬

「泉鏡花」できましたか。


・火の鏡に数瞬の夏封じこめオリーヴの実を眼に埋づめ去れ

・合はせ鏡の無限にわれら遠ざかり夢幻の桃を欲る終身刑

・夏の鏡に髪梳(と)く乙女 兄われに薄紅色の雨ひとしきり

・われらが祖(おや)の霊は満ちたり係累の血の鏡から虚無が滴る



やはり「鏡」というお題は、
鶴太屋ワールドにぴったりはまりますね。


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酒井景二朗さんです。


・「死んでやる」そんなルージュの傳言が酸をかけても消えてくれない
(酒井景二朗)

・圓鏡の藝風だねと言ひ乍ら輕い自虐を分け合ふ僕ら

・千早振るカミオカンデの靜水に沈む鐵腕アトムの遺骸

・そんなにも眞正直で疲れないか?夜に鏡にささやいてゐる

・アリス、もう君を待つ者ことごとく消えてしまつた鏡の國だ



今回は、愚痴の短歌でしたね。
4首目、酒井さんの人柄が出ていると思いました。
真っ正直なところが酒井さんの美点だと思いますよ。


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____________________



お疲れ様です!

今回も力作揃いで
選歌が大変でした。
「おっ!」と思う歌がいくつかありました。

それは素晴らしい!
ますますレベルが上がっている
「笹短歌ドットコム」
今年もよろしくお願いいたします!

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 15:03| Comment(16) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月16日

「部活動」 総評

どうも笹師範です!
なにかと忙しく、今回も予想以上に遅れてしまいました。
まずは、お知らせから。

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12月19日(日) 午前6時〜

教育テレビ「NHK短歌」(司会・東直子さん)

に出演します!

再放送は、
12月22日(水) 14時30分〜

です。

姉弟子(岡井隆門下)にあたる東さんとの共演です。
ぜひご覧ください!

今回はコスプレじゃないんですね。

司会の濱中アナウンサーにもご挨拶するなり、
「今日はレイザーラモンHGの格好じゃないんですか?」
と聞かれて、いまだに語り草になっているのかと驚きましたよ。

根深いですねぇ……。
ところで写真右の師範の左手を避けているマイケルさんはいまどこに?

知らナイケ〜ル(懐かしい……)
ということで、ぜひご覧ください!

ひさしぶりに、
みなさんにおすすめしたい短歌入門書に出会いました。

栗木京子さんの『短歌をつくろう』(岩波ジュニア新書)です!

前作『短歌を楽しむ』(岩波ジュニア新書)よりも、
さらに実践的で、わかりやすい内容になっています。

「桃太郎」を短歌にすると

「吾輩は猫である」を短歌にすると


などなど、栗木さんならではの
オリジナリティあふれるコーナーもあっておもしろいです。
そのまま授業でも使えそうなので、
中学・高校の国語の先生にもおすすめしたいです。

前作にもあった空欄に言葉を埋めるクイズもますますおもしろいです。
光栄なことに、小生の拙歌も問題に使われています。


・君からのメールがなくていまこころ【    】より暗し
(笹公人『念力図鑑』) 

カンタくんならどんな言葉を当てはめる?

う〜ん……まったく思いつきません。

その前に、おまえ助手のくせに
師範の第二歌集すら読んでないのかよ!

すみません!
お小遣いが厳しいもんで……。

小遣い制だったのか。
この本が出た5年前は、もっと景気がよかったはずだけど……。
まぁいいや、答えを知らないならちょうどいい。
栗木さんは、こんなヒントを書いています。

メールを送ったのに返信してくれない君。
忙しいの? 病気なの? それとも嫌いになったの? 
と悩みながら、心はどんどん重くなってゆきます。
どっぷり沈み込んだ心は、どんなものより暗いのでしょう。
暗い状態をいろいろ思い出してみてください。

「宇宙に満ちる闇より暗し」「底なし沼の色より暗し」
「停電をした夜より暗し」 「お化け屋敷の闇より暗し」
など、恐ろしげな空間を想像することができます。
「原始時代の闇より暗し」 も面白いな、と思います。


さぁ、どうだ?

うーん、じゃあ……

「海老蔵のいるバーより暗し」

ふざけんな!!

テヘ。すみません……。

これ書いた当時は「海老蔵」じゃなくて
「新之助」だったんだよ!
そういうケアレスミスはダメだろう!

怒るポイントが違うでしょ!

では、答えを発表します。
答えは、

【平安京の闇】

でした。正解者に拍手!(コンピューターの声で)


・君からのメールがなくていまこころ平安京の闇より暗し
(笹公人『念力図鑑』幻冬舎) 


でもこれ、難易度高すぎでしょう?!
正解した子がいたら逆に怖いですよ……。

たしかに……。

生徒:「は〜い先生、わかりました! 【平安京の闇より暗し】で、どうでしょう?」

先生:「マサシくん、正解!」

なんてやりとりあったら不気味だよなぁ。

もう霊視のレベルですよ……。

たしかに守護霊さんに聞いたとしか思えない。

とはいえ、勉強になる楽しいクイズですね!

他の問題も出しますので、
正解を知りたい人は、本を買うか、
作者に問い合わせてみてください(迷惑だと思いますが)!


【    】のような頭を傾けてうんと考えいるなりわが子は 
(中川佐和子『海に向く椅子』)


バック・シートに眠ってていい 市街路を【    】のように走るさ 
(加藤治郎『サニー・サイド・アップ』)


【   】のごとく差し出す履歴書の写真の顔は天井を向く 
(松村正直『やさしい鮫』)

まだ正解を知らない人は、思いついたら、
ぜひコメント覧に書き込んでみてください!

では、「総評」にまいります!

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まずは、富田林薫さんです。


・何時までも卓球少年あの娘にはシェイクの仁って呼ばれたぜ
(富田林薫)

・最強の稲妻サーブ繰り出せばバレーボールの引っ掛かる屋根

どっかで見たような歌だけど。


・おそらくは崩れゆく砂と文芸部のテーブルに残される一片の詩

・卒業式の夕やみに紛れ外されるシャア同好会の部長のマスク

・落下物ご注意下さい。たった今弓道部が秋空を射抜きました


この歌はいいです。

今回とてもよかったです。
僕の短歌講座などがあると必ず参加してくださる富田林さんですが、ここへきてその成果が出ている感じです。

ブログをおもしろくするためには、また講座をやらなきゃダメなのかなぁ……。
来年はやるかもしれません。

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・柔道部の畳を借りて正座する袱紗さばきが決まる茶道部
(手乗り文鳥)

・肩ごしに先輩のぞく気配して夕日の色に染まる自画像

相聞歌でしょう。
夕日の色に染まった自画像が暗示的です。
情景が浮かんできます。


・ばあちゃんを背負って裏山上り下りワンダーフォーゲル自主練習中

・力石とジョーの腕(かいな)が交差する腕相撲部の勧誘チラシ



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・蛇口から飲む水さえも甘くなる ダッシュ10本終えた後には
(小野伊都子)

わかる。


・夕陽へと蹴りこむシュート 揺れたのはゴールネットじゃないと気付いて

うまい。


・手紙部をつくりませんか メンバーはきみと私のふたりきりです

・映研の部室フィルムに閉じこめたふたりが今日もはじめて出会う



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・サッカー部元女子マネで集まればエッコも由美も翼のママで
(山口ヤスヨ)

なるほど。
「キャプテン翼」世代。


・封印を解いてチア部のユニフォームで、最終面接の君にエールを


・吾の代でつぶしてなるか演劇部ひとり芝居でやる「飛龍伝」


おもしろい。
「飛龍伝」が効いてる。


・凹んだら腹式呼吸で言ってみる「あえいうえおあお」さあ前を向け!

・手芸部に初めて男子入った日、顧問女教師の白髪染め匂う


「、」はいらないです。


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・ピッチャーの汗もバッターの視線も見える文芸部室の小窓
(価格未定)

・肌色がうまくできないことにして貴方と二人きり美術室

・サッカーがもてるんじゃないイケメンがもてるんだってわかってたのに


Jリーガーになれば、話は別かと。


・もう僕は戻れない女子テニス部の太ももを見るだけの日々には


__________________



・フルートの音色聴き入る放課後の私の席は白昼の海
(中森つん)

・野良ゆえの行くあてのない帰り道ひたすら伸びるまっくろくろすけ


__________________



・暮れなずむ学園世界巴投げ 心の帯は何色ですか
(飯田和馬)

・いつ来ても部室で寝てる先輩のカバンにのぞく赤本の赤

・塾帰り素振りをしてる山崎に会う。山崎は大人の顔だ。

・試合後の高校生ら帰り行く 汗なきメガネの一日想う



___________________



・噂では浪人クラブと呼ばれてる進学校の熱血ブラバン
(螢子)

下の句は、ふつうに
「○○高校ブラスバンド部」
としたほうがいいです。


・腹筋とランニングしてもう三月文化部なのかよ吹奏楽部

・額縁のような窓もつ部室にはレンブラントの光ひとすじ



___________________



・モテたくて買ったギターは赤色で3万円の青春価格
(きたぱらあさみ)

「青春価格」がよかったです。


・サッカー部主将の背中追いかけし我のスカートひるがえるなり

・片想い部部長です 真夜中にラブレターとか書いちゃってます

・ほんとうはきみのこと好きだったんだ部室の壁に彫ったイニシャル



__________________



・フォルテシモ 硝子が割れやしないかと怯えてもいた 試してもいた
(喜楽熊)

・映画観たようにアナタが涙拭くために私は負けたんじゃない


__________________



・七月の潮騒を背に先輩のパレットへウルトラマリンをしぼる
(カー・イーブン)

・二学期になって一度も部に来ない和也へ駆け出しそうなスパイク

青春短歌ですね。


・帰宅部のエースを自認してたころ疑わずいた帰るべき家


__________________



・放課後のドアをあければ匂いたつ絵具まっすぐ君の背を見る
(高松紗都子)

・八月の果ての空気を知っている水泳部員が絵のなかに棲む

・恋をする水に絵具を溶くように水泳部員と美術部員は



_____________________



・いいことが少し続いたくらいではまだネガティ部を退部できない
(魚虎)

うまい。


・巨人軍のテーマばかりを奏でたるブラスバンドの夏は短し

「短し」は説明的です。
「夏が去りゆく」
くらいにしたほうが詩的な広がりが出ます。


・出し抜けに目の覚めるような自殺点決めてしまえるお前が憎い

「憎い」まで書く必要はないです。


・グランドの土持ち帰る球児らのごとく駒場の芝持ち帰る

魚虎さんは、オチをつけたがるというか、
言いたいことを全部言おうとする癖があるようです。
どこかに謎を残して、一番言いたいことをぐっと抑えて、
あえて「匂わせる」くらいにとどめましょう。

_____________________



佐藤東吾 改め 不動哲平さんです。

・ベランダの蒲団のまえに腰しずめ元テニス部がきかすスナップ
(不動哲平)

「腰しずめ」という描写がよかったです。
右手には蒲団叩き。
主婦界の伊達公子です。


・ケータイをとりあげた担任が恋文代書部のおもいで語る


________________



・部活動対抗リレーを駆け抜ける剣道部員の袴の藍よ
(鯨井可菜子)

剣道部員は目立ちそうですね。


・学ランでソロ吹きしこと「どや顔」という言葉まだなかったころの


___________________



・キノコ部の部室に生えるベニテングタケの数だけ部員消えゆく
(猫丘ひこ乃)

・放たれて鳩も卒業奇術部のシルクハットが空を舞うとき

この歌はおもしろかったです。


___________________



・面金の向こうに気迫押し返し竹刀に響く小手の手応え
(黒髭)

・剣道をはじめたきっかけくれたのは武蔵ではなく六三四の方で

・冬寒く春秋厳しく夏臭い剣の道とはかくも険しき


「春秋厳しく」が弱いですね。
再考を。


・青春は帰宅部にこそありなんて嘯いていた空っぽの春

・憧れのピッチャーマウンド踏みしめてボールを握る夜の校庭



____________________



・ジャズ部にはいかした彼のエレキギター今白髪(はくはつ)のロックンローラか
(おはぎ)

・オルガンが十台並ぶ音楽部まともに鳴るはたったの二台  

たしかに鳴らないオルガン多いですよね。
昭和の話ですが。


__________________________________________



・相撲部の新人木村 誰もいない土俵で軍配素振り百回
(かんちゃん)

・半刈りでハンガリーに行く美術部のアートパフォーマンス成田で終わる

・甲子園への夢捨てしOBのグラブ部室で冷える厳冬


厳冬は、
「3月」とか
具体的な月にしたほうがいいです。


・いじめっ子の風刺画校庭一面に描きし美術部員は君か


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・カバディ部
カバディの声出しだけで沈み行く夕日の中に浮かぶインディア
(蜂谷希一)


・サークルの輪に入れないやつばかり集まるサークルでも独りきり


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・ノールックパス出すときの不器用なポーカーフェイス たまらなく好き
(小林ちい)

・発声で始まる練習 君を呼ぶように、遠くの君を呼ぶように

・演劇部というだけなのに日常のすべてが嘘のように見られた

・傷付いた顔は演技でごまかせる(昨日のエチュードを思い出せ)



_________________



・目に見えぬロープが君を跳ね返すプロレス同好会の死闘は
(船山登)

・デパートの就職率は群を抜く包装研究会の手さばき

・ほとんどの部員がラジオ体操部にも所属する乾布摩擦部



________________



・放課後の廊下で腹筋する君を不本意ながら見下ろして行く
(たちはらそう)

・帰宅部をファンファーレにて送り出す君に僕らは何を贈ろう


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・文芸部あかずの棚に隠された走れメロスはBL仕様
(文月郁葉)

・廃校の校舎はまれに真夏日の球児の声のまぼろしを聞く


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・「いい加減、夜のクラブ活動やめろ」 うまいこという息子は野球部
(壮太)

・ブラバンの部室の床は濡れていて ツバキだらけとひとは知るまじ


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・帰宅部は野良猫なで部になりましたミルク片手に河原集合
(岡本雅哉)

・演劇部女子の告白昼休み渡り廊下に響きわたって


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・校長の不倫疑惑をすつぱ抜き号外ビラを撒く新聞部
(山城秀之)

・全世界めぐる肉筆回覧誌ガリ版にこだはる文芸部

・泣きながら持つて帰つてきた砂が部室で日増しにふえる野球部



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・野球部のエースにふられハンカチを恋のリングへ投げるいもうと
(みうらしんじ)

・落日に向かって走るランナーをめざす陸上部の補欠たち


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・林業部チェーンソー実習ジェイソンのマスク付け木を切り倒して行く
(黄乃タロウ)

・神秘研究部部長アキ子が子を孕み処女懐胎と言い張り続ける


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・大宇宙クラブの部室見つからずブラックホールと命名される
(野比益多)

・一丸となって闘うバレー部の部長はのちに教祖となった


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___________________



灰皿とテキーラと1首劇場


・溶けきれぬポカリスエットカタカタとちひさく鳴りて予選敗退
(穂ノ木芽央)


・青空をはんぶんに分ける方法を知った 弓道部だったあの日に
(逢)


・弾道が予測できないシュート打つ地図を読めない女子サッカー部  
(帯一 鐘信)


・シシャモ足率が意外と高いのです。バドミントン部はバスケ部よりも
(川瀬のぞみ)


・息荒く君と回った運動場 さよなら僕のメリーゴーランド
(西畠勇氣)


・へたくそなトランペットがパープーと欅の葉影を揺する朝練
(須田まどか)


・湯気を出し走る冬の日あの角で少しだけ見えていたテニス部
(佐々木優)


・ファミレスのドリンクバーで打ち上げた学祭のあと冬がはじまる
(高橋徹平)


・きゅうどうぶいっぽんのやにひとすじのねがいをこめてしせいをただす
(夕夏)


・こんな日のサードは寒い 日差しすらしっかりわたしだけを外して
(しまやまひかる)


・ライパチの股のトンネルくぐりたるボールに雪の花の舞い落つ
(かわら)


・一回はみんな経験してるはず籠手を使ったロケットパンチ
(薫智)


・友達はチアガール でも、もてるのは、おとなしそうな料理研の女
(女子マネ)


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かんなさんです。

・アルプスにマウスピースが転がって吹奏楽部の夏も終わって
(かんな)

・料理部が家庭科室を抜け出して泡立てにゆく8月の雲

・活動の時間が終わりパレットに美術部員がしまう夕暮れ

・天文部のプラネタリウムに虫喰いの超新星があらわれて春

・終わりのない夏がはじまり帰宅部の二人黙ってぶらんこを漕ぐ

・アベ先輩の張り巡らした結界で陰陽道部に入部者はなし

・雪の日のボトルメールは遠泳部副キャプテンから「しあわせです」と

・砂浜が波にとけてしまっても遠泳部員の午睡はつづく

・校庭にユニフォームを着た君がいてスポットライトのような日溜まり


・地球へとシャトルは還り冬の日のバドミントン部の部室に眠る


まるで地球へと帰還するスペースシャトルが、
バトミントンのシャトルに変身して、
部室のシャトル入れの籠の中におさまったかのような
マジカルで鮮やかな展開がよかったです。

2011年1月23日(日)放送
文化放送「浜美枝のいつかあなたと」
で、この歌を紹介させて頂きました。


・叶えたい願いがあって天文部だけに流星群の降る午後

・「短歌部」が部名変更して春に「TKB31」になります



やっぱり力のある作者だと思いました。

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酒井景二朗さんです。

・あたたかい罐珈琲を抱きしめて天文部員のカウントダウン
(酒井景二朗)

・女子部員のベリーロールの瞬間があるからもつと走れる僕ら

・飴色の夕日に染まる校舎横モアイ部がまだじつとしてゐる


ははは。モアイ部!


・先輩のバッシュをそつと抱きしめる小猿に似てゐる女子マネージャー

これは悪意? それとも褒め言葉?
そのあたり、もうちょっとわかるように
つくったほうがいいです。
悪意の歌だとしたら、採らないところですが。


・さうですよリミックス部の部室ならカンディンスキー色のあれです


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今年最後の「総評」でした!

お疲れ様でした!

今回、1首も採られない人がたくさん出ましたが、
気にすることないです。
苦手な「お題」というのはありますからね。
僕も『サイゾー』とかでまったく興味のないテーマを出された時は苦戦するからね。
12月18日発売の『サイゾー』1月号は、
海老蔵事件がテーマだったから、おもしろく書けたけどね。

ぜひ読んでみます!

では、風邪が流行っているようなので、
みなさん気をつけてお過ごしください。
「優秀作品」の発表も楽しみにしていてください!

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 13:52| Comment(20) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月04日

「虫」 総評

おひさしぶりです!

遅いよ!!
あんまり遅いんで、もう終了したのかと思っちゃいましたよ。

そう思うのも無理ないよね。
笹短歌ブログを生んだ
J-WAVEの「MUSIC PLUS」も終わっちゃったしね。

終わったんですか!

そう。
母校が廃校になったような寂しさがあります。

でも、このブログはまだやめません。
更新はどんどん遅くなってるけど。

そうこなくっちゃ!

いまこのタイミングでやめたら
酒井さんの黒魔術にやられるからね……。

そういう理由ですか!
酒井さんって、いったい何者なんですか?!

それは、
おそろしくて口が裂けても言えない……。

ま、続けてくれればなんでもいいんですけどね。

お待たせしちゃって本当に申し訳ないです。
今回は選歌が本当にきつかった……。

なぜですか?

初参戦の方が多かったからかもしれないけど、
短歌になっていないものが多かったです。
あと、採るべきか採らざるべきかで悩む歌も多かった。
いつもそういう歌に立ち止まって時間がかかっちゃうんだよね。
こっちは1首でも多く採りたいわけだから、悩むわけです。
で、気分転換するうちに他のことをやっちゃったりして。

なるほど、そんな苦労があったんですね。
今回1首も採られなかったという人になにかアドバイスを。

もっと歌集を読んでほしいです。
特に古典和歌や近代短歌を。
図書館にいくらでもありますから。
何が短歌で何が短歌でないのか、
その違いをつかんでほしいです。
そのヒントは古典にあると思います。

それをつかんじゃえば、短歌は作れると?

そうだね。
あんまり外れた歌は作らなくなると思うよ。
地方の短歌大会とかで、
ご高齢の方の歌をたくさん読むことがあるけど、
尋常小学校で短歌を学んだ世代は、
そのへんさすがにしっかりしてるよ。
歌ってる内容はともかく、歌はちゃんと形になってるからね。
当時の学校の先生は短歌を教えることができたんだろうね。

口語短歌でも根本的なところは一緒です。
つかむまでに時間はかかると思うけど。
もし本格的に短歌をやりたいのであれば、
避けては通れない道だと思います。
また、短歌以外の創作をやるにしても、
役に立つものだと思います。
ぜひつかんでください!

ということで近代短歌関係で、
最近読んでおもしろかった本をご紹介。

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伊藤一彦、堺雅人・共著
『ぼく、牧水!』(角川書店)

若山牧水の歌と人生をテーマにした異色の師弟対談集です。

二人ともただ者じゃないな、と思える名対談です。

牧水の話のみならず、作歌の姿勢についても語られているので、
短歌初心者にもお勧めしたい本です。

感銘を受けた言葉がたくさんありましたが、
その中から一部ご紹介します。


<堺> 白秋、啄木という、キラキラと研ぎ澄まされたナイフが二本ある間に、鋭くて重いナタが一本ドンと置かれている感じ。


<伊藤> 四十年間歌壇を見てると、時代に合わせた歌人は消えています。
自分の何かにこだわって作り続けた歌人は日の目を見たり見なかったりするけれど。



<堺> はい。オーディションに合格したこと、ほとんどないです。だから、コツがあるならお聞きしたいと思って。ああ、そうか。こういう姿勢がダメなのか(笑)。

<伊藤> いくつもの新聞に同時に投稿する人がいます。選者に合わせて出す人もいる。
そういう人はダメでしょうね。流行に合わせて変わる人がダメなのと同じ。選者に合わせて歌を作るというのは邪道です。



大いに共感しました。
ようするに、自分にしか書けない世界を追及してくださいということです。
いろんな選者の元に投稿するのは良いと思うけど(自分もそうだったし)、傾向と対策で選者好みの歌を作ろうとしちゃいけないということです。


ぜひ読んでほしい一冊です!


ということで、
「虫」短歌の総評にまいります!

※コメントたまに付け加えていきます。

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まずは、
富田林薫さんです。

 
草原のバッタの脚が√のように願わくば少年は夏の数学者
(富田林薫)

意味がよくわからないのですが(特に下の句)、
見た目とか歌に漂っているムードはよかったです。
意味がわかるように改良したら、もっとよくなります。

おそらく、

草原のバッタの脚が√のように(見えた)願わくば少年は夏の数学者(たれ)

という歌意だと思うのですが、
言葉を省略しすぎでしょう。

富田林さんの歌には、こういったなんとなくの表現が多くて惜しいです。


・蝉時雨 取り残されたこの森の木々の隙間に手を取り合って

・ゆるやかに秋の日は増え夏の日の忘れてしまう昆虫標本

・バタフライの飛沫の記憶水のないプールの底を蝶は飛び立つ

・蝉の声を最後に聞いて八月は麦わら帽子の凹みのなかに



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・脚長の蜂をくわえて吾睨み大オニヤンマは白亜紀に去りぬ
(壮太)

・ギョウチュウにカイチュウしかりサナダムシみんな消えたね青洟とともに


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・浴室にはぐれた蚊がただよえりフルチンで追う我の赤い目
(守山)

・玄関で「奴」の寝床に足を入れひとり舞踏のインプロビゼーション

・葬儀屋のドライアイスの不手際に冷却剤とキンチョール集める

・OLが蝉の抜け殻ミキサーにかけてふりかけ上司に降り舞う



守山、初登場です。
某真言宗の僧侶(生臭坊主?!)です。
守山のことは、彼が高校生の頃から知っています。

選者へのリスペクトがまったく感じられない作品をありがとう。

3首目は、僧侶が詠んだとはとても思えない作品。
檀家のみなさんが気の毒です……。合掌。


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・虫かごにとじこめていた夕暮れをそろそろかえしにいこうと思う
(はせがわゆづ)

・なき虫のふるえるはねに似たまぶたからこぼれてく確かな温度

・きみに向かうとんぼの一匹になってはねいっぱいの夕焼けを届ける



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・雪白の手をもつ君もキッチンに置いているのかゴキジェットプロ
(鯨井可菜子)

・匂い立つ雨後の密林 キアゲハはジャポニカ学習帳に休めり

いいんだけど、
こういう歌はちょっと既視感があります。


・とまどいに羽先うすく染めながら吹かれつつおり塩辛蜻蛉


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・良い虫の知らせがあってもいいだろうクラリネットのシの音が出ない
(ウクレレ)

・ひたひたと迫りくる影まぼろしかふんころがしか雌カブトムシ

・ほんとうは虹に生まれて来たかった針も刺せずに息絶える虻



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・なーんだ?とさし出す君の手のかたちからしてきっと蛍でしょうね
(岡本雅哉)

・まじめです ストロー袋のいも虫にメロンソーダをたらす程度に

・自動車のフロントグラスにちょんちょんと産卵しては去るアキアカネ
 

「渋滞でとまっている複数の車のフロントガラスに、
アキアカネが産卵しては飛び、産卵しては飛びしていた、
風景をそのまま詠んだものです。」(岡本さん談)

とのことです。

紅葉の葉っぱでしょうか。と書いてしまったのは、
「フロントガラスにちょんちょんと」という時点で
紅葉の葉っぱがフロントガラスに降ってくる映像が頭に浮かび、
「紅葉」がフロントガラスに「産卵」したという表現は凄いなぁと早とちりして、下の句を読み飛ばしてしまったからです。
寝る前に選歌しているとよくあるんです。こういうことが。

このままでもいい歌ですよ。

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・白墨が折れてしずまる二限目の窓に舞いこむ紋白蝶々
(高松紗都子)

・何ひとつあきらめることはないのだと気づいた 蝉が羽化をしている

・比喩にする直前までを見届けた夏蝶ひらと中空に飛ぶ

・虫の音と蝉の声を聞く午前五時季節の窯がかきまぜられる



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・蜘蛛を見て殺さずにおきいつの日か救いの糸が垂れるのを待つ
(黒髭)

・働いて小突かれ倒れまた歩く蟻の悲哀を子供は知らぬ

・ぶんぶんと辺りを虫が飛ぶ俺はもしかしてもう死んでるのかも



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・マーロウという台風が近付いて樹液の海に蝉と隠れる
(小野伊都子)

・蝶々の羽ばたく先に空がありまたきみのことばかりを思う

・ひなたにはゆっくり歩むダンゴ虫 あとひとことが言い出せなくて

・イチモンジセセリのように落ち着かず返信を待つ夜は鈍色(にびいろ)



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・魂は檸檬の味をしていると知ったほたるを呑みこんだとき
(佐井永)

・その笑顔とめる虫ピンありますか卒業証書君は手に持ち


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・標本箱はまるで棺桶虫たちの火葬の国で華麗な死体
(黒条空紫)

・虫籠に蝉三十匹詰め込んだ声にならない叫びもある街

・竹虫籠を組み立てていく職人の手に憧れた少年期かも



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・あの頃の水辺に浮かぶ蛍達今は僕らの思い出の中
(真城 佳)


・大蜘蛛を見て逃げ惑うその横で絡め取られた妻の視線に


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・触覚を毟り取られた蟻ごとく母星へ帰れぬ宇宙人かも
(砲蛾奇尾璽)

「蟻のごとく」としましょう。


・自殺した男の中のサナダムシ宿主間違えたと叫んでいるかも


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・回虫を腹で一匹飼いならし手間もかけずにダイエットする
(おはぎ)

・悪い虫付かない様に箱に入れ大事に育つ金食い虫は


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・ああ蝉よ死にゆくまえにわたくしがこころ欲しがるさまをごらんよ
(尾崎 陽子)

「ぼく以外みんな死んで」とつぶやいて叫びになって死んでゆく蝉


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・超後期高齢者なお生存し謄本の紙魚ミイラとなりぬ
(文月郁葉)

・平和への祈りむなしくカマキリは両手を合わせ戦うばかり

・バタフライナイフ操る少年の手の傷よりも心的外傷(トラウマ)深し



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・部屋ぢゆうが虫だらけになる夢を見て昨日のことば反省するも
(穂ノ木芽央)

・塗り椀のごとき甲虫壁を這ふ誰に許しを乞へば可いのか

・瑠璃色の羽の隣に並ばむと標本箱を百足這ひずり



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・人類のライバルとしてゴキブリは地球の滅ぶ日まで現る
(人間失格)

・明快な殺意を持って蚊を殺すこの喜びは原始の記憶


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・鬼ヤンマみぎ・ひだりゆく上空に太古の風を守るがごとく
(たみ)

・過ぎし日の小さき殺生裁くごと我に向きいる閻魔コオロギ

・明後日を明日の明日という子にもセミの儚さ伝わりており



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・西日さす喫煙ルームに舞う蝶のごときツケマツゲのバイト女子
(佐藤東吾)

・井の頭池のベンチで目を覚ます土曜のおれに挑むカマキリ


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・いも虫のように布団にくるまって毎日春を夢見ていたい
(小林ちい)

・迷い込んだのがここだったばっかりに君はもうすぐ死ぬよちびクモ

・蚤になり恋人を咬む詩があって私は私のまま君を咬む



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・グラウンド・ゼロへ飛んでけ赤とんぼ宮崎駿が描くみたいに
(しまやまひかる)

・シパシパと誘蛾灯へと舞ってゆく ああ、谷啓のまばたきのごと

・雲梯を尺取虫が渡ってくぼくらのロスタイムの代わりに



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・踏みつぶす俺と踏みつぶされている蟻に似ている世間と俺は
(みうらしんじ)

・虫喰いの穴だらけだな『わたくしの人生』というぺらぺらの古書


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・鱗粉が苦手な君が好きだからつがいの蝶を背後に放す
(萩(はぎ) )

・「わたくしの仕事です」とて真夜中に開かずの扉蛾は守りたり

・道に落つ蜻蛉の羽に触れたなら焼き海苔みたくぱりりと割れて



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・八月の夕焼け空から降ってきたセミの死骸が燃え尽き果てる
(世杏)

・蚊柱に突っ込むまでは覚えてる 神隠された晩夏の日暮れ

・妹が声を張り上げ諳んじるかげろう日記にこもる怨念



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・君がヤゴならば私はビオトープ飛び立つときは鏡になるよ
(猫丘ひこ乃)

・冬を越すてんとう虫の集まりに草間彌生の魔法を想う


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・まるまった背中にとまっていた蝉よ 残り少ない未来へと飛べ
(佐々木優)

・ベランダで死んでた蝉に問い掛ける あなたの恋は叶いましたか?


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・その日まで生きていくしかないのだしぎょう虫検査の見本は天使
(虫武一俊)

・偶発式排出装置虫武号 だいたい鼻血、ときどき短歌


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・食虫花の花弁のように艶めいた脚の間でひらめくバタフライ
(ムラサキ・ピープル)

・そろそろと焦(じ)れた右手に降りてきたタカアシグモのような君の手


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・うだるほど暑い日だから蝉時雨、俺も世界もいっぱいいっぱい
(滝沢勇一)

・嘘だけはつかないでって、言ったから言うけど指が芋虫みたいだ

・飛蚊症なんだと思う大量の蚊が飛ぶ俺の怒りに合わせて

・粉々に砕けた茶色い粉末はこの夏の蝉の亡きがらでした



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・校舎へとつづく坂道思い出はみみずの日干しゆるむアスファルト
(螢子)

・小夜更けて虫時雨聴く部屋の中あたしとパソコンふたりの世界


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・蚊遣り豚ぽっかりと口開けにけり冥土へ誘う煙吐きつつ
(魚虎)


・床の上で仰向けに死んでいる飛蝗ゆうべにがしてやればよかった


・樹海にて死にたる人の眼(まなこ)より雫のごとき蛆こぼれ落つ



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・青き日に視えぬちょうちょを追いかけて危険な崖に立っていた僕
(広瀬智深)

・海越えて狭きケースに蹲る甲虫(こうちゅう)たちは空夢見るや


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・むしむしとむしあつきよるみみもとにむしできぬほどとびまわれるか
(夕夏)

・いたいほうがまだましだとおもえるかとびさったあとかゆさふくらみ


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秋味1首劇場


・オードリー・ヘップバーンの顔面に蝿の止まりし雨だれの部屋
(蜂谷希一)

ユニセフ親善大使として活躍した
晩年のワンシーンでしょう。


・女王蜂六角形の罠しかけ一妻多夫の濃厚な蜜
(若山かん菜)


・静けさや岩に染み入る蝉の声は命をかけたセックスアピール
(西畠勇氣)


・いつ蟲が湧いて出てきても良いような二十二歳の私のこころ
(エリ)


・手の中でうごめいていたかぶとむし20年後にそっと手洗う
(あげはた)


・アイドルの虫垂炎の傷跡はなかつたやうに修正されぬ
(佐々一竹)


・さざめいた夜光虫だけ知っている水面に映る堕ちゆく恋を
(清水海斗)


・蝉しぐれ かつて少女であった日にきみも少年だったと気づく
(きたぱらあさみ)


・二億年以上形が変わらないガガトンボモドキの交尾の形(ハート)
(花岡賢)


・チョウチョウの羽は耳です草花のいろんな話あつめて回る
(船山登)


・捨てられていくものならば拾います あなたの欠片あなたの虫歯
(鈴木)


・キモイって理由ひとつでつぶされて生まれ変わった俺 カブトムシ
(野比益多)



・標本箱に囚われた虫凝視して硬直している虫型宇宙人
(山田幻窓)



・別れとはただ一粒の塩ゆえに溶けつづけゆく白きなめくじ
(かわら)


・のののののつつつつつつつへへへへへ みみずがみんなひからびている
(中森つん)


・カマキリの尻からハリガネムシが出るやうにまれには外に出る我
(山城秀之)



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鶴太屋さんです。


・紙魚奔れるを天金の書に封じこめ怠(だる)き安息日なにもて遊ぶ
(鶴太屋)

・小春日和のひとつ雀蛾ただよへる天金の書は神のあそび場

・くろがねの爆撃機去り蝉にぎり潰しし香の青くさき香なるや

・蟋蟀の肢冷えてゐる夜の秋あふるれとこそ水楢の実零(ふ)れ

・虻逐へる牛のしつぽの夏来たり干し草の香のスカラベ・サクレ

・夏蝶は墓標を越えて翔びゆけば森の扉(と)に凭る胸痛きまで


寺山修司本歌どり。


・黒揚羽谿深くこそ揺らめけれ銃(つつ)の音鳴れば木霊は速く


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かんなさんです。


・デクレッシェンドマークを9月に書き込んで蝉の最終楽章を聴く
(かんな)

・ナナフシのようなる君を見失う炎天下の歩行者天国

・駅舎にはみの虫だけがぶら下がり何処かへ行ける切符を探す

・蜩の羽が舗道に落ちてきてその向こうには秋風が吹く

・6才の記憶の中にはさまれた紋白蝶のちぎられた羽

・本当は伝えたくない事だから伝書でんでん虫に託して

・窮屈な制服を着てもう少し蛹のふりをしたい三月

・おもいでを思い出せなくなり冬の虫取り網で真水を掬う

・そこだけに時は流れる蟻たちに夏の骸がはこばれてゆく

・虫かごを空っぽにした夕暮れにまだ夏の陽の匂いがのこる

・くもの糸で繋いだ電話 伝えたいはずの言葉がこぼれてしまう

・一緒にはもう歩けない行列の蟻を一匹だけ捕まえる



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酒井景二朗さんです。


・毛だらけの蛾の羽ばたきを思はせる音を響かせ去りゆく單車
(酒井景二朗)

・しどけなくつぶれた蝉をまたいだら向かひの屋根に秋が來てゐる

・太陽に傷つけられた子の夢は尺取蟲で測れるぐらゐ

・薔薇十字會の跡地といふ場所に光る蛹がいくつもいくつも

・透明な巨大水黽(あめんぼ)あらはれて消えたロプ・ノール湖の水面に

・斑猫(はんめう)をさしむけられたあの日から毛拔き迄もが怖くてならない

・ラフレシアに噛みつく蟲の數々を集めて作る 囘春藥を

・てつぺんにミンミンゼミをとまらせてヤケにはりきるトーテムポール

・國道をまたぐ竹節蟲(ななふし)から落ちる少女(をとめ)の涙、裂けた携帶

・軒先に蜂の巣下がる家見れば何か家ごと泣いてゐるやうだ



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お疲れ様です!
もうほとんど季刊雑誌ですね。

量(更新回数)よりも質です。
クオリティが高ければそれでもいいんじゃない。
まだまだだけど。
クオリティを高めるために、がんばりましょう!
遊びだからこそ真剣にやりましょうぞ!

押忍!


今夜は、

「世にも奇妙な物語20周年スペシャル人気作家競演編」

です!

朱川湊人さんのベストセラー小説『かたみ歌』
に収録された傑作短編がドラマ化されます!

【朱川湊人『栞の恋』×堀北真希】
一冊の本に挟まれた栞がとりもつ不思議で切ない恋物語。
堀北真希が恋に胸をときめかせる同世代の主人公を好演!
お互いの顔も知らぬまま思いだけが募る淡く切ない恋の行方は…

とのことです。
ぜひご覧ください!


朱川湊人×笹公人
「遊星ハグルマ装置」
もよろしく!

では、入選作品の発表を楽しみにしていてください。

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 18:27| Comment(19) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月18日

「電話」 総評

どうも!
みなさんお元気ですか?
大変お待たせしちゃって申し訳ありません。
しかし、こう暑いと何もやる気が起きませんね〜。
カンタくんとの冒頭のトークもすっ飛ばしたいくらいです。

出番なしかよ!
山口県の宇部市からわざわざ飛んできてるんですから、
そりゃないでしょ!

わかったわかった。今回もやるよ。
そういえば、先日、カンタくんのお父さんの
カッタくんについて何気なく検索してたら、
ちょうどその日がカッタくんの命日で、
しかもカッタくんの誕生日が
師範と同じ7月8日であったことも判明して、
これはちょっとどういう因縁なのかな……と思いました。

運命的ですね……。


まぁ、よくある
どうでもいいシンクロニシティ(どうでもニシティ)でしたけど。

どうでもニシティって!

ところで師範、
今年の夏で印象的だった出来事は?

僕がやってるラジオ番組(FM西東京)のゲストに、
あの酒井景二朗さん(ex.未来のキツネ憑き)
を呼んだことかな。

なんでまた!


寺尾紗穂さんとか
長谷川明子さんとか
豪華ゲストが続いたから、
次はちょっと気楽にやりたいなと思って。
猛暑も手伝って思考能力が低下していたのか、
気づいたらオファーしていたという。

思い切りましたね〜。

酒井さんだけじゃ心配だったんで、
酒井さんと同じ匂いのする守山くんという
25歳の若き変態僧侶(ex.真言宗)も呼んでね、
それで、ますます危険な放送になっちゃったわけだけど。

未来のキツネ憑きVS真言宗のバトルですか。

そう。
まさにエクソシストの世界ですよ。
実際、スタジオにラップ音鳴りまくるしさ、
スタッフも終始暗〜い表情をしてたよ。

映像で見たいくらいです。

で、酒井さんは、
「五芒星」をはじめとする全持ち曲(たったの4曲!)を持参して、
作者自身による丁寧な解説
(「福山雅治風です」とか、「ちょっとコーネリアスっぽいかも?」とか)
もあって、守山も適当に頷いてて。

シュールですねぇ。
福山さんやコーネリアスのファンが聴かないことを祈ります……。

予想以上のバッドトリップだったけど、 酒井さんが喜んでくれたからよかったです。

どうでもいい話が終わったところで、
「総評」にまいります!


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まずは、鯨井可菜子さんです。

・制服のリボンも明るい窓もないだろうアコムのコールセンター
(鯨井可菜子)

実際そんな感じでしょう。
鋭い切り口だと思います。


・着信は君だと告げて泳ぎ去るLEDの魚の青(ブルー)

・あずさゆみ受話器を揺する銀の音にゆっくりとゆっくりと手を伸べ


「梓弓(あずさゆみ)」という枕詞は、
受話器にかかるのですか……?


・しずもれる夜更けの海に灯台のつぶやくごとし着信ランプ

結句の「着信ランプ」に
すべてかかっていく詠み方です。
「つぶやく」ですか。う〜む。


・真夜中に自殺を止めるダイヤルの受話器は重く艶のある黒


成功しているかどうかは微妙ですが、
いろいろ工夫しているところは評価したいです。


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・何事もなかったように虹は消えきみへの電話をかけそびれてる
(小野伊都子)

「虹」という言葉を非常にうまく詠み込んでいます。


・受話器からこぼれる祖母の訛りから咲く彼岸花 耳に根付いて

「耳に根付いて」は、いらないです。
「咲く彼岸花」までの内容で十分いい歌になります。


・10円を入れてください 今もまだあのアパートに続く電話機

・床下に小人をずっと住まわせるように続けたひみつの電話

・雨音を聞かせる電話サービスでプエルトリコの夕立ちを買う



_________________


・「電話よ」と母に呼ばれる思春期の恋は昭和の階段の下
(高松紗都子)

「昭和の」は、ちょっと安易な説明的な表現かも。
上の句だけで昭和(あるいは平成初期)の風景だとわかるので、
「昭和の」というフレーズはないほうがいいです。


・美しくひらかれた胸に深く打つ楔であった君の電話は

・語るべき言葉などなくうつむけば無言電話のような暗闇

・駆け引きの道具に堕ちた電話から言霊さえも滑り落ちてく


「言霊」が効いてますね。


・距離をおく、疎遠になるということば予言のように残る留守電


安心して読める作者です。


__________________


・静かなる黒き電話の「りんっ」といふ最後の一音響き残して
(メカパンダ)

懐かしい、あの音です。


・柔らかい電子の音に変わっても不意のベルには不幸を想う

・真夜中の留守番電話に吹き込んだ僕の本音を君は知らない

・*2*2は何の意味だったのか指の記憶にいざなわれつつ



__________________


・黒電にとまる黄蝶は留守中の故郷からの着信履歴
(たみ)

黒と黄色のコントラストが鮮やかです。


・忍びやかなやりとり刻印するようにテレカに開いた小さな穴は


__________________


・回想からも忘れ去られた青電話有利なことがあったはずだが
(松木 秀)

・磯野家が未だ黒電話なることになぜか安心しているわたし

そういう変わらないところが
「サザエさん」の人気の秘密でしょう。


・おしゃれだった「ダイアル回して手を止めた」たかだか四半世紀前の歌

あのドラマ自体、今見るとかなりダサ〜い感じだけどね。
歳月ってそんなもんです。


__________________


・押さないという正しさと臆病さ 公衆電話の赤いスイッチ
(きたぱらあさみ)

上の句が鋭いと思いました。


・トイレットペーパーみたくひらひらと「もしもし」ばかりくりかえす僕

・母母友弟知人会社友母友元彼(着信履歴)

・物理的距離ではなくて心理的距離だよ 受話器越しに降る雨



________________


・内緒事みたいに伝わるきみの声 震える糸にくちづけをした
(はせがわゆづ)

・圏外のすきまを泳ぐもうすこしだけでいいからつながっていたい

・真夜中の小雨にまじって送られたメール いつでもやさしかったひと

・ひだまりの温度によく似た携帯のきみと話したあとのぬくもり



___________________


・リンリンと鳴られるとマジで腹が立つ。鳴らなきゃ不安でさみしくはなる。
(滝沢勇一)

擬人化がうまくいっています。


・どこだっていつだって繋がっている振りでした。気づけば電池も切れていました。


__________________


・本当に試してみたの110番に初めて家に電話付いた日
(おはぎ)

いつの時代の話でしょうか。


・お隣の電話借りてた取り次いでくれたあの人今や何処に


_________________


・受話器から聞こえる音は雨の音?てんぷらの音?誰かがいるの?
(川瀬のみ)

・親指と小指以外を折り曲げた「電話してね」に首ひねるカレ

・熱を帯び発火しそうなケータイは、わたしのこころを一番知ってる


うまい。


・テレフォンカードの残数を気にする恋は10年まえに終わった


___________________


・ハローハロー貝の受話器に呼びかけるノイズばかりで声は聞こえず
(黒髭)

・俺俺とがなりたてるな聞こえてる男やもめに息子ができた

おもしろい。


・テンコールそれで終わりと決めたのに未練の音がまた一つ鳴る

・もう顔も思い出せない人たちをケータイだけが忘れずにいる



__________________


・「雪降っているでしょ電話で分かるのよ」青空の下うなずいてやる
(蜂谷希一)

・新宿の浮浪者金も入れぬまま虚空に語る公衆電話

・数時間なやんであの娘に打つメール【今から電話していいですか?】



________________


・髪の毛やコードに指をからませる姉の電話の終わらない夜
(岡本雅哉)

・「電話番しなきゃいけないから帰る」 あいつは野球苦手だったな

・おなじ機種使ってるのにCMとおなじようには光らない、まだ

・母がまた風呂に入れと叫んでる 君の電話を待っているのに

・君からのメールにあった「死にたい」がどれほどなのか電話してみる



____________________


・進化したケータイ電話に支配され人は毎日画面を拝む
(ユーリーボ)

・麓まで電話を借りに走ってたアルムの山にもIP電話

・「古里は雪がとっても白いから帰っておいで」と真夏に電話



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・似ているかどうか以前の物真似が着ボイスとなりてやがて梅雨明け
(魚虎)

・声色を整えていざ電話機の前に立ちたりズル休みの朝

「ズル休み」とオチを言っちゃってるところが惜しいです。
「ズル休み」と書かずに、
ズル休みかな?と読者に思わせるようにつくってほしいです。
魚虎さんの歌にはそういう傾向(説明的な)があるので、
注意してみてください。


・たくさんの別れ話を聞いただろう純喫茶リオのピンク電話も

・回線の復旧すれど爆音に途切れし声の主は戻らず


__________________


・アロハ着た男が復唱した番号プッシュしてみるハローワークで
(穂ノ木芽央)

・電話線引き抜くだけで簡単にひとりになれたあの頃を返せ

携帯も電源を切れば
ひとりになれるのでは?


・メモリーはみなケイタイに吐きだしてからつぽのまま向かふ未来は


________________


・真夜中の無言電話のおとうとの座右の銘は不言実行
(ウクレレ)

・ケータイを密かに恋愛モードにし妻の視線に震えています

・40年経ってリカちゃん電話から待ちくたびれた老婆の吐息

・赤い糸電話でぼくらは繋がって「もしもし、明日結婚しよう」



__________________


・メモリーが消えたら切れる人達を閉じ込めておく携帯電話
(小林ちい)

・ケータイを昨日も今日も目覚ましとしてしか使ってやれない現実

・一日中あなたに触れられていたい折りたたまれた電話のように

・電話さえしなきゃ心配しないのに風邪の日は母の声が聞きたい



_________________


・無器用な親指を持つ僕たちの3分間は10円の価値
(憂太郎)

そういえば、
10円玉1枚で通話できるのは3分間でしたね。
すっかり忘れてました。


・ため息が飽和してゐてケータイの着信光る午後の教室

・雨の日の3日続けば躁鬱の親が教師に電話をかける



__________________


・君からの返事ないのはiPhone4の受信感度の悪戯だよね
(富田林薫)

・それは二年前の多機能ケータイ流れ着くガラパゴス諸島の渚
 
これがほんとのガラパゴスケータイ。


________________


・遠い日の花火のはずのポケベルが141016(アイシテイル)と今日も告げおり
(文月郁葉)

・癒える日はいつか来るはずさよならの重さで受話器ガチャリと沈む


__________________


・おれおれが詐欺と解れば誰だって 電話にでんわシャレにならんわ
(壮太)

・玄関を出て電話鳴る なぜか親父の死を確認す


________________


・プルルルル プルルルルルル プルルルル プルルルプチン でんわばくだん
(西畠勇氣)

・カムチャッカの海や大河を飛び越えて 私に届く小さな寝息


_________________


・おっちゃんも詩人のときがありまして小指絡めた公衆電話
(帯一 鐘信)

・受話器から「うちの娘になんの用」昭和男児の儀式その1

________________


・しんとする電話のむこうの音を聴く君の小声に小声で話す
(須田まどか)

・左手の一部になった携帯は勝手に君と話したがる

_________________


・世の中にダイヤル式とプッシュ式 二種類の人がをりし頃かな
(山城秀之)

・何もかも捨てたくなりし夜なればスターのテレホンカード差し込む

むりやり文語にする必要はなかったと思います。


・満員の車内に携帯電話出し人びとはみな自涜の姿勢

_________________


・聞こえないふりをしていた高速の非常電話のみどりかぞえて
(しまやまひかる)

・何も言えなくなってサイドミラーに溶けてく非常電話のみどり

・タウンページ開くときってこんなときくらいなのかもう 夜の病院



___________________


・オレオレと二十年ぶりかけてきた「金を返せ」と旧友(とも)の電話は
(みうらしんじ)

・あの夏のあの一本の電話からこんにちへつづくひきこもる日々


__________________


・サヨナラと告げる電話の留守録に終わった恋の検証をする
(清水海斗)

・黒電話 喪に服すよう ちんまりと 恋は死んでも容赦なく鳴る

・かくれんぼ 誰も私を見付けずに 淋しく電話だけ鳴り響く



__________________


・アドレスが一件増えて着信のすべてに期待が生まれてしまう
(都)

わかる、その気持ち。


・泣きながら電話ボックスに篭もってる少女がいる夏2010年

・受話器越し微かに揺らぐ君の気配 僕らは同じ夜を生きてる



_________________


・忘れない うわ雨だ って駆け込んで二人占めした電話ボックス
(佐々木優)

・「30になってお互い一人なら」いつかみたいに電話をしてよ


_________________


・赤ちゃんと仔猫見かけたときの声「ピンクの電話」のよっちゃんみたい
(猫丘ひこ乃)

・「長電話してる子いねが」とおとうとのなまはげ風の声が近づく


________________


・生めなかった子供のような受話器の重さを確かめている
(ムラサキ・ピープル)

・「お前のところは交換手が出る」と伯母は伝言残さず逝けり

・出ないと判ってる電話を掛ける ひとりテンカウントを聞くために



_________________


・さっきから浴衣のたもと光るのは蛍じゃないよね着信は誰?
(山口ヤスヨ)

・ママの膝に家の電話が乗っていた時代もあった知らないだろう


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・くろでんわふうりんすずむし消えた夏凛と月だけ輝いている
(104hero)

・内ポケにそっとしまった携帯があなたの想いを震わしてくる


________________


・いつまでも寝ていた無職 編集の電話に怯え早起きになる
(へなちょこ文士 )

・編集の電話に怯え引きこもる脱出した筈なのにニートを


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_________________


AKB1首劇場


・「な」の文字の第一変換君となり私の気持ちを暴くケータイ
(長田絵里子)


・「遠距離もひかり電話はお得です」織女の顔がよぎる牽牛
(佐井永)


・「また今日も君に殺されなかったよ」リカちゃん電話に生存報告
(花岡賢)


・禅僧がイタズラ電話三万回された後ふと悟りを開きぬ
(SONODA REM)


・悪戯の無言電話は流行らない自己主張する俺俺俺と
(夕夏)


・電話するなるべく声は明るくし親の前では悩みのない子
(ふふ)


・彼の人の真の姿があらわれる間違い電話の時の対応
(佐々一竹)


・猛獣の哮びの漏れる電話にて兄の行方を知らされる、夏
(世杏)


・木綿のハンカチーフをおくった後かかりはじめた電話は無言
(広瀬智深)


・テレショップのダイヤル回す指確か 老母も黒電話も死なない
(虫皮)


__________________
__________________


あきえもんさんです。


・旅立ちを伝えるときの黒電話はいつもより少し大きく鳴った
(あきえもん)

あの世への旅立ちかな。


・貴方には固定電話を教えましょう自営の父が出る番号を

・今すぐに忘れられるよ番号を手が覚えない恋愛なんて

・ヒグラシを着ボイスにして夕暮れのバスの中では電話に出ない

・欲望の匂うチラシを眺めつつ好きだと言った電話ボックス



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鶴太屋さんです。


・電話ボックス暮春の街に立ちたるを開けば異土への扉めき冷ゆ
(鶴太屋)

・大霊界の赤電話一基飛びたるを夏の憶ひ出のよすがとすらむ

・逝ける友への電話 ふるへる受話器から洩るる『中国の不思議な役人』

・電話線蔓草のごと繁れるを視てこの夢の果て踵(くびす)かへさむ

・電話機に残るささやかな通話録永遠(とは)の一部とし珈琲飲めり

・薔薇色の電話機夢に溶けてゆくわが日日を恥ぢアイロンかける

・電話線かじるねずみの脳点(とも)る紫の夜明けにつつまれぼくら 

・ラムネ飲めば身ぬちを透かす夏が来る昔は携帯電話を運んだ

・晩夏光カットグラスに響きあふこの室内楽も電話がやぶる

・恋人たちの街角の電話鎮座して『冬の散歩道』聴きゐし70's



鶴太屋ワールドと電話の相性がよくて、
引き込まれました。

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かんなさんです。


・夕立に溶けたのだろう公園の緑電話は姿を消した
(かんな)

・秋の夜の雨音を聴くためにある酒屋の脇の公衆電話

・下宿屋のピンク電話は知っている守れなかった約束のこと

・受話器から伸びる螺旋は電話魔のDNAに繋がっている

・子が巣立ち一人になって電話機の親機と子機を並べて暮らす

・受話器からこぼれ続けるクレイジーソルトのような声に埋もれて

・廃校の内線1番あの春の卒業式の歌が聞こえる

・鳴りかけて鳴り止む電話まっ黒なショールが肩にふわりとかかる

・無言電話をかけたいほどの夜がありウォッカの瓶を凍らせておく

・夏空に吸い込まれたい午後があり携帯電話の電源を切る

・霧雨につつまれながらネコ達が集会をする電話ボックス

・誰でもいい声を聞きたい夜がありリカちゃん電話の3番を押す



復活うれしいです。
まだ本調子じゃない感じですね。


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酒井景二朗さんです。


・聯絡網前も後ろも敵だとは母にはとても告げられなくて
(酒井景二朗)

・學校を燒く火が欲しい 電話線は導火線にはならないものか

・どんなにか辛い毎日だつたらう もう動かない錆びたダイヤル

・電話機をばらばらにして取り出した磁石を墓に入れてあげよう

・昨日迄悲しみなんか知らなかつた 電話よ俺はお前を憎む

・「好き好んで肥滿兒になつた譯ぢやない」脅迫電話片手に泣いた

・ああ電話詐欺といぢめと陰謀の道具が街を埋め盡くしてゐる

・多摩川で休んでゐたら鳴り出した野戰電話は取るべきなのか

・一本の電話が僕を狂はせた そして狂つたまま生きてゐる


前川佐美雄風。


ラジオで酒井さんが暗い少年時代のエピソードを
いろいろ告白してくれたんですけど、
内容がハードだったので編集でカットされるかもしれません。
でも、僕的には酒井さんのつくる歌の背景や、
酒井さんが歌を詠む動機がわかったので、よかったです。
ぜひこの調子で詠みまくってください!

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お疲れ様です!
今回の「電話」短歌はどうでしたか?

うーん。60点の歌が多かったね。
つまり無難な、おとなしい歌が多かったということです。

5首制限だから、そうなっちゃうのかもしれないけど、
0点か100点かという
一か八かの勝負に出る歌が1首くらいあってもいいと思いますね。
いい歌は責任持って拾いますから。
そのへんは安心してください。

了解です!

ということで、
みなさん熱中症やクーラー病に気をつけてお過ごしください。
よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 00:16| Comment(16) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月30日

「UFO・宇宙人」 総評




かなり遅れてしまいましたが、
「UFO・宇宙人」の総評です!!


いきなりですが、
師範はUFO見たことありますよね?

もちろん、何度もあるよ。
見たとかそういうレベルを越えてる話もあるけど……。

ぜひその話を聞かせてください!

えー、12年前に河口湖で……
痛たたたた!!

どうしたんですか?

首に埋め込まれたチップが……!

ミッキー・カーチスか!

どうやらその話をしてはいけないようなので
やめておきます。
いつか『ムー』(学研)あたりで披露できればと思います。
先日、ムー編集部にお邪魔しましたけど。

宇宙人に監視されてるんでしょうか……。
でも期待してます!
で、今回の「UFO・宇宙人」短歌はどうでしたか?

まず、ピンク・レディーと焼きそばのネタが多いと感じたね。

そのネタを選んだ時点で世代がわかりますよね。

うん。あと矢追さんの番組ね。
30代以上の人が「UFO」ときいてすぐに思い浮かぶのはその3つですけど、
いまの平成キッズがUFOと聞いて思い浮かぶものは何だろう?
決定版がないような気がする……
と、そんなことも考えました。

たしかに。

それはともかく
今回は、定番のネタから離れた歌に
おもしろいものが多かったと思います。

ツイッター効果か新しい投稿者も多かったです。
作品もいい意味で肩の力が抜けているものが多くて、
新しい時代に突入したかな
という感じがしました。

それは楽しみですね!!

では、まいります!


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まずは、田中落下傘さんです。

・メタボ気味の宇宙人がUFOの中でウォーキングマシーンひたすら走る
(田中落下傘)

・UFOにも流行ありて買い替えは宇宙人の妻財布を握る

・UFOから捨てられた尿が混じる雨降る中を無口で帰りぬ

・UFOの機器の間を掃除する今日も松居棒活躍したり



意表をついた発想でおもしろかったです。
こういう発想勝負のおもしろ短歌は
新聞歌壇とかではまず採られませんが、
うちのBlogではポイント高いです。

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・56億7千万年待っている ミロク星人の過ぎし面影
(メカパンダ)

弥勒菩薩はウルトラマンに似ていますが、
そこからミロク星人という発想に到ったのでしょう。
「過ぎし面影」が効いています。


・ヤマトにはますら男の溢れたり むべスターシアの画像届けば

・ともどちの一人とてなき幼子がベントラーベントラーとつぶやきゐたり

・天津風星の通ひ路吹き閉ぢよ プロメシュームの叫びこだます



ひさびさに旧カナを使いこなせる人が登場しました。
1首目が特によかったです。

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以前、インタビューして頂いたことがある
(SFウェブマガジン「アニマ・ソラリス」にて)
壮太さんです。


・激しさも宇宙規模だぜ俺の愛 お前に向けたプロミネンスさ
(壮太)

・一平方センチの皮膚に幾万の菌を棲まわせむわれらも宇宙

なるほど。


・本当に金がないんかこの国は ブラックホールに見えし省庁

おもしろい。


・夜空にはたくさん動物いるんでしょ お星になって食べられないの


「お題」に呼ばれてやってきたのでしょうか。
宇宙人短歌というよりも宇宙短歌でしたが、
今回は初参加ということで特別にOKとします。

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・裏庭の納屋の二階の暗がりに ほこりと共に眠る円盤
(世杏)

小型円盤? それともオモチャ?


・「宇宙から眺める青が好きだから、守るのだよ」と 彼は微笑む

・昼過ぎの窓辺に遊ぶ円盤は猫パンチでも仕留められない

・いにしえの百鬼夜行に銀色のヤツを見つける古書家の日暮れ

・いつからか空を見上げることもなく金星からの使者にも気付かず



不要な1字あけを直しました。

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・未確認飛行物体「KANASIMI」よ飛んでけ第二宇宙速度で
(佐々木優)

・鈍色の少女の祈り 流星は燃え尽きたライカ犬の死骸

ライカ犬のいじり方が
おもしろかったです。

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・トランジスタラジオに混じる歌声に懐かしい星のパイロット想う
(小野伊都子)

・4歳の夏に飛ばした風船を返してくれた金色のひと

謎めいています。


・五月雨の降る朝きっとスピカではハルジオンのようなひとが生まれる

・飛び立ったエッフェル塔を見送ってトリコロールの夕焼けを見る



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・宇宙基地にもあるという吉野家で君はやさしく温玉を割る
(鯨井可菜子(鯨井五香 改め))

・ゆたかなる髪まさぐれば指先に金属製のタグの冷たく

・彗星の近づきし日に朝食の皿を残して消えた恋人



現代短歌風に「お題」を料理しています。
上手です。

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・深海でひそかに生きる宇宙人やはり地球の水は美味しい
(おはぎ)

・UFOが迎えに来れば老人は進んで乗って社会貢献

UFO×姥捨て山という斬新な発想ですが、
おはぎさんが詠うと、
なんだか泣けてきます。


・母さんは星になると言っていた探し辛いよ月でいいのに


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・あの星の秩序を乱す手始めにヌスビトハギを付けてのりこむ
(たみ)

・砂浜でその足跡は途切れたり振りきりしものは重力のみか


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・「窓の外UFOが来て、気付いたら…」娘(こ)は朝焼けを背に立っている
(山口ヤスヨ)

・新人類なんて呼ばれた日々遠く宇宙語あやつる奴らと立呑み

・〆鯖とブルーハワイを交互に味わう君こそ宇宙人かも


この組み合わせは
想像したくない……。


・火星人襲来がもし明日でも晩のおかずの支度している

・親切で人当たり良い、でも顔が思い出せないアイツは誰だ?



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・人類にそろり紛れたスターボーは使命忘れてその日を暮らす
(104hero)


昭和のPerfumeと再評価されつつある(?)スターボー

104heroさんはスターボーのメンバーの一人と
同じ中学に通っていたとか。
そして、自宅を見に行ったとか……。
人に歴史アリです。
スターボーのみなさん、いまは普通に主婦をやっているのかな?
再結成してほしいけど。


・田舎夏(いなかなつ)逃げられたセミ見上げればスキュンと横切るUFOもをり

・銀色に塗って飛ばしたフリスビー犬に取られて宇宙へ行けず


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・UFOを踊れぬ新入社員らは宇宙人だと真理子は憂う
(ズオウとトラー)

・UFOを仲間と見てたトキワ荘寺田ヒロヲは輝いていた

テラさん、いいよね。


・借金が一千万を超えた日に念が通じてUFO来たり

・「もし君が火星人でも愛してる」言った夫が家を出て行く



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・宇宙から指令出たので失礼と終電ひらり飛び乗った人
(野比益多)


・宇宙船持たぬ貧しき人々が次々降りる6月の糸

・UFOをよく見る彼は押し入れで植物育てPEACEと言うの

・UFOの窓から地球見下ろして思い出してる満員電車



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・突然告げられし別れの訳問えば「ベガに帰る」と彼女うつむく
(虫皮)

・若草をつぶさぬように中空に留まるUFO(ふね)のドア開きけり

上の句が巧い。


・音もなく飛び去るUFO 星空に紛れる刹那3度瞬く

・宇宙人としての地球人として普天間の夜の轟音を聞く



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・ロズウェルと君つぶやけばぬばたまの夜にひんやり浮かぶUFO
(高松紗都子)

・かすかなる羽音に闇が動きだす そこにいるのは天使ではない

・「にんげんはしぬんだよね」とささやいて少女は月夜に5センチ浮かぶ



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・砂浜に字をかくように大きなる指がえがいたナスカの地上絵
(みうらしんじ)

北原白秋の「大きなる手が〜」の歌
を踏まえています。
砂浜に字をかくところは啄木っぽい。


・牛に似た宇宙人から殺処分される夢みる咳しただけで

宮崎在住のみうらさんの時事詠。
悲痛なメッセージが込められています。


・宇宙から来た証しです ぼくたちが燃えつきたあと星になるのは


__________________


・UFOが表紙のムーと週プロを読んでた叔父はフリーライター
(高橋徹平)

おもしろいです。
プロレス団体「UFO」とかけているのでしょう。
そういえば、ついこの間の「週間文春」の表紙(by・和田誠さん)
がUFOの絵で、ちょっとびっくりしました。


・UFOの基地見つけたぜと言う子らを横目に通う進学コース

・「UFOも埋蔵金も信じない方は無理です、株式投資は」



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・夫はもう暗黒面に堕ちている寝息の音がダース・ベイダー
(文月郁葉)

・燃料費高騰につき偵察はGoogleEarthで 宇宙人より


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・UFOが飛んでいたって気づかずに君と二人で春風の中
(蜂谷希一)

・(女など星の数ほど居るという)星に届かぬ地球人です。

うまい。

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・本当は火星人だと叫ぶ兄救急車にて星へ帰還す
(魚男)

・グレイ似の友達の母もグレイ似で我が子のために弁当作る

なんだかわからないけど採っちゃいました。


・ミステリーサークル作り20年朝露濡れる葦の香りよ


ミステリーサークル職人?
そういえば、庭の畑にミステリーサークルができたとふつうに語る女性(「みぎわ短歌会」所属の歌人)に会って衝撃を受けたことがあります。
「甲府事件」でも有名な甲府にはやはり何かがありそうです……。


________________


・オーパーツ不思議だらけの忘れ物そろそろ取りに来てくれないか
(黒髭)

・名を聞いてココロに飛来したものはあなたではなく焼きソバでした


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・大気圏スペースノイドの夢の縁 宇宙人とは言わないでくれ
(富田林薫)

・狂おしくピンクレディーにすがりつきUFOからが青春でした

・八月のアダムスキーのデジャヴューの手を取り合って少年少女



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・ヴィーナスと言うだけあって金星の女はみんな美しいらしい
(小林ちい)

・「地球人が優しくするのは始めだけ」火星のバーでママを口説けば

・月面のデートもそろそろ飽きたから今夜はあなたの星に行きたい

・UFOの光のようなオレンジの電球だけを残して眠る



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・あぁ君もあの子と寝たのね 首の裏ICチップが埋め込まれている
(加藤サイ)

・男は宇宙人だと主張せし友は二十歳で男を産みぬ

「男とは」にして、字数を合わせるといいです。


・ねえやっぱりやめましょうよと泣く母を制し銀河に祖母を葬る

宇宙葬。

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・不採用通知がなんだ宇宙にはいま存亡の星もあるんだ
(虫武一俊)

そういう励まし方もありますか。


・触角を重ね合わせてすごす夜メタンの海の燃えつきるまで

・裏山にぎんいろのふね降りてくる わたしはわたしをやめられますか



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・星粒をひろいにいく宇宙船にささやかに咲くひまわりふたつ
(はせがわゆづ)

・ゆるやかに発光している円盤が明日のあなたに向かって飛びたつ


___________________


・矢追氏のやおい本さえあるという姉の書棚に社宅がきしむ
(かんちゃん)

・自民党町村議員 黒塗りのUFOに乗り選挙区入りす

・ドラえもんの絵描き歌にてUFOが墜落した日ソユーズが飛ぶ



_____________________


・自転車のライトはふわらUFOのように照らすよ僕らの道を
(佐井永)


・教室になじんできたのかもしれず「宇宙人」から「電波系」だと

なるほど。
「ほとんど病気」(by・山本晋也)、「プッツン」
なんて呼び方もありましたね。

_____________________


・UFOを目撃したる驚きのポーズで固まりしままの案山子
(魚虎)

・継父の怒号ひびかう食卓でアンドロメダへ思いを馳せる


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・ペロリンガ星人かもよ気をつけて君を妖しく誘うあの子は
(本荘ゆり)

・「『捕まった宇宙人』して」子はせがみ父母と手繋ぎ吊られて笑う


___________________


・こっちではどうもモテないらしいので宇宙人さんさらっていって
(谷川めぐむ)

・「UFOだ!」と言ったときにもUFOを見ないで私を見ていてほしい


___________________


・「宇宙人デスネアナタハ宇宙人デスネ」と迫る 焦るアダムスキー
(起也)

おもしろい。

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・ゆうふぉうってカナシイ声で歌うのは終わった恋を追ってるからよ
(台所のキフジン)

ピンク・レディー「UFO」の歌詞
「地球の男に飽きたところよ」
をかけています。

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ぼくらのアダムスキー型1首劇場


・キャトルミューティレーションに見せかけて生き延びているドラキュラ一族
(ムラサキ・ピープル)


・LOVEというチップを埋め込まれたようだ 世界がやけにぺかぺかしてる
(きたぱらあさみ)


・混血と進化のはたて宇宙人の腹にて生きるわれらの末裔
(かわら)


・UFOも記念写真に参加するスカイツリーの建設風景
(ユーリーボ)


・「TRUST ME」と入力すれば「安請け合い」と出る最新版宇宙語辞典
(アスター)


・見上げても涙はこぼれる ひたすらにつぶやいている「ベントラ、ベントラ」
(しまやまひかる)


・ちちははに手を引かれゆく幼子の黒目がちなるエリア51
(工藤流風)


・もし僕が宇宙人でも笑ったり泣いたり君を好きになりたい
(岡本雅哉)


・鬼が来た。一夜に消えた村落の隠るる子の弁記述に残り
(ユメバク)


・実はこれUFOなんだ渋滞をひとっ飛びしてあなたの胸へ
(伊藤夏人)


・天井を見上げベントラ呟いた休み時間のトイレの個室
(そう蛸)


・未確認飛行物体見た午後の当たりを抜いたスーパーボール籤
(山城秀之)


______________________
______________________


あきえもんさんです。

・蒼白き君は記憶の無い夜に孕んだらしい宇宙人の子
(あきえもん)

・ETの手付きで玄関ベル鳴らすハの字眉毛の営業セールス

・たいていは結婚してから気づくものスカイフィッシュがハエだってことに

何か暗示的です。


_________________


異能兄弟さんです。

・エイリアンの涙の味と思いつつ < キューサイ青汁 > イッキ飲みする
(異能兄弟)

・寝たきりの祖母をひねもす監視するUFO(ユーエフオー)のごとき電灯

・木製の宇宙船(スペースシップ)に一人ずつ眠りぼくらは旅立ってゆく

・ケータイを操作しながら自転車にまたがる奴は火星へ還れ

・アブダクションたくらむように背後から音もなく来る電気自動車

・フリスビー追いかける犬の健気さでUFOを追う矢追純一

・丸暗記したる『地球の歩き方』だけを頼りに地球を歩く
 
・「マケナイデ」ッテダレカガウタウアノホシヲメザソウ「ドンナニハナレテテモ」

・酸性雨浴びてふるえる禿頭の小さきグレイ 泣いたら負けよ

・宇宙人のミイラのように立ったまま枯れてしまった向日葵の花

・ブラウン管テレビに映る研ナオコ知ってる僕らUFO世代



「青汁」と「木製の宇宙船」と「電気自動車」と「向日葵」の歌が特によかったと思います。

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酒井景二朗さんです。

・骨董屋遊歩堂にてご主人とひとしきり飮む彗星ワイン
(酒井景二朗)

・新世紀 鷲のマークのUFOがアジアの空を横切つて行く

・オリハルコン船底に隱すタンカーにおほひかぶさるUFOの群れ

・校庭に歪んだ夢を落つことし町燒き拂ふUFOを待つ

・解剖の痕かも知れぬ君のその鎖骨に浮かぶ淡き梵字は

・秋葉原 ガス生物に乘つ取られ全端子から漏れる憎しみ

・屋久杉を宇宙人とも呼んでみる 叡智はいまだ語られぬまま

・宇宙人とても所詮は人なれば芳賀書店にてお會ひしませう


こりん星?


・宇宙人だからこんなにいぢめられるのかと母に訊いた夕空

泣けます。


・校庭に殺戮裝置、肌の色違へど同じ眼鏡が二人

・宇宙人どもよ即刻去りたまへ地球の價値は地球が決める



酒井さんらしくて、よかったですよ。

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_____________________


お疲れ様です!

「名古屋短歌大会」の選歌で
3000首以上の歌を読んで、
力作揃いだったゆえに疲れ果てて、
しばらく短歌は読みたくないという心境に陥っていたのですが、
「UFO・宇宙人短歌」は予想以上におもしろい歌が多くて、
逆に元気をもらえた感じです。

最近は変わった「お題」でも安心して読めるので、
レベルが上がってきている証拠ですね。

ライトで読みやすいというだけではなくて、
裏に深いテーマを秘めている歌も多かったので、
そのあたり頼もしかったです。

では、優秀作品の発表をお楽しみに!!

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 05:33| Comment(10) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月26日

「神」 総評

どうも、自称クレイジードリーマーです。

辻仁成のtwitterか!

twitterに<笹師範の折々うた>を連載してるんだけど、
あれを書くと、なんか仕事を一つやり終えた気になっちゃって、その後うっかり怠けたりしがちなので、
これは危険だなぁと思いました。

なるほど。その気持ちわかるような……。

みなさんも気をつけましょう!
ということで、まずはお知らせから。

5月2日(日)20時〜
NHKラジオ第1
「夜はぷちぷちケータイ短歌」
に出演します!

ゲスト・サンプラザ中野くんさん 歌人・笹 公人

5月のテーマ「晴れ」
5月28日正午 締め切り!

週の企画5月2日の企画「とげ」
4月30日正午 締め切り!

「ここがポイント!How to 短歌♪」
にもぜひご応募ください!
よろしくお願いいたします!

笹短歌ドットコムが誇る変態紳士・
酒井景二朗さんのコーナーがついに完成しました!

酒井ファンタジーセンター

です!!
ぜひご覧ください!
他の殿堂入りコーナーも更新しました。

酒井さんの自作のボーカル曲
「五芒星」
ヘビーローテーションで聴いてます。
ひさしぶりに涙が出るほど笑って元気を頂きました。
酒井さんありがとう!
ケータイの着メロにしようと思ってます。

そこまで!?

ちょうどいま某声優アイドルの作詞の仕事をしてるから、
酒井さんのこのノールールな作詞法に惹かれたんだと思います。
こんなにも自由でいいのか!!と。

たしかに、これまでのJ−POPの歌詞には存在しなかったボキャブラリーが満載ですよね。

これをJ−POPとカテゴライズしていいのかという疑問は残るけど、
「むしろ滑走路上の曼荼羅にこそ恥を知るがいい」
なんてフレーズ、ふつう出ないよ。
正気じゃないよね。
しかも表記が旧仮名遣いというところも斬新すぎる!

なんとも形容しがたい詞世界ですね。

最初聴いた時は、未来のキツネ憑きかと思ったけど……。

未来のキツネ憑きって……!

地方で不意に珍スポットに出くわした時のような衝撃がありました。
すべてが謎めいている酒井ランドですが、
ディズニーランドから一万光年以上離れたところにある世界
ということだけは断言できるでしょう。

なるほど。
J−ROPを聴き慣れたわれわれの耳を挑発してるんですね。

うむ。
ヤバイよね。妙な中毒性もあるし……。
問題作であることは間違いない。
サンプラザ中野くんさんにもこの曲のCD-Rを差し上げたいです。
あと、僕のやってるラジオ番組でもかけます。

「五芒星」の話題にだいぶスペースをとられてしまいましたが、酒井さんには、短歌にもこの自由さを持ち込んでがんばって頂きたいと思っています。

さて、今回の「神様短歌」、
人それぞれの「神様観」がわかって興味深かったです。
全体的に歌のレベルが高かったと思います。
テーマがテーマだけに、
珍しく純文学系の作品が多かったのも印象的でした。

なるほど。

では、「総評」にまいります!

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まずは、
高橋徹平さんです。

・白衣きて働く我らに神からの問いは常に投げかけられてる
(高橋徹平)

・病室の天井は白い 神様は白い光かと訊くガン患者

・容疑者を責任能力無しとする 裁判所には女神の銅像

・天窓はステンドグラス 十字架の光がつつむ触法病棟

・「出産前診断は神の領域か」ビラが舞ってる学会入口



どの歌もおそらく実体験を詠んだものでしょう。
そう思わせるだけの迫力があります。
この路線(職業詠)、とてもいいと思います。

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・神田川ほそき谷間の夕まぐれ木彫りのごとき鴨の潜めり
(鯨井五香)

「木彫りのごとき鴨」に、
技を見ました。


・今晩の成りゆきおぼろ神楽坂ほしのあゆみの茜ゆうぐれ

・ペン持ちて眠る男にカンテラの灯を近づけて覗く神あり

・十字切る姿うつくし君の背に乳白色の午後の陽は透け



どの歌も上手ですね。

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・自由とはなんとかたくて融通のきかないものか自由の女神
(松木 秀)

・その神は贋物であるその神に人の嘆きが届いたのなら

・寄り道で戻れなくなったアイヌ民話で神の使いであった雲雀は

・神ならば上にある紙 神棚は一年ぶりに掃除するもの



松木さんの第二歌集『RERA』(六花書林)
おもしろかったです!
松木さんの才能は、
短歌をやってない人たちにもわかるタイプのものだと思います。

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・そうかれこれ三百年間こどもたちの足音を聞いている神社の石段
(富田林薫)

石段を擬人化した歌は珍しいと思いました。
ふつうは「神社のケヤキ」とかにしがちですが。
そのオリジナリティを評価したいです。


・ゆっくりと季節は流れてゆくのです精神科病棟の窓からも桜並木

内容はいいのですが、
下の句の字あまりが気になります。


・あけがたの真白き神が降り立ちてわたしをコクピットにいざなう

ガンダム短歌出ました。


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・時折は寸分たがわぬピザの角(かく)神技のひとにひと目逢はばや
(深森未青)

・便所には神いますとふ TOTOの工場(こうば)は創世のうみ


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・スカートの並ぶ横断歩道前 レジ袋持つ俺は風神
(ももや ままこ)

なるほど。


・十六の春に置いてきた初恋を誰かがしている神社の階段

・あの日見た女神はここにもう居らず十五年後の正しい姿

・首筋をなぞる女の爪からは死神の鎌の殺気漂う



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・流星に願いをかける夜の隅で手繰りよせたい神のまなざし
(高松紗都子)

・おそれずに走っていけよ神無月ほそい踵はふるえていても

・会うたびに年老いてゆく人を見る神さびてゆくひとつの命

・この土地で四半世紀を過ごしきて神奈川という器になじむ


下の句がとてもいいです。

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・淡いこもれびからおちた誰も知らないかみさまのまばたきの音
(はせがわゆづ)

・かみさまのいうとおりにはできなくて背中合わせのまま手をつなぐ

・歌わないカナリアになる君はもう君だけのかみさまをみつけた

・手探りでさがす太陽かみさまの気まぐれみたいな花冷えの朝


「かみさまの気まぐれみたいな花冷え」
ってフレーズ、いいですね。鋭いです。

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・神様がしたいことなどわからない ツイッターにもつぶやきはない
(小野伊都子)

・かみさまにおねがいばかりしてぼくら春の光に顔をしかめた

うまい歌ですよ。


・神様は時々とてもせっかちで一度にたくさん奪い去っていく

・こんな日も空はこんなに美しい 神様のこと恨めなくなる

・今日もまたあたしの小さな神様が甘い涙のあとで笑った



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・盟神探湯(くかたち)のごとく湯掻けばアスパラも嫌な女の指に見えけり
(蜂谷希一)

・親権を神権として団地から子供の声が一つだけ止む

幼児虐待の歌ですね。
これは凄い。


・ネットでは神と崇めし彼死んでニートの孤独死とのみ報じる


蜂谷さんはまだ18歳とのことですが、
かなり短歌に向いてると思うので、
絶対やめないでほしいです。

___________________


・呆然としているあたしを通り過ぎカミサマにきっと君は似ている
(わたつみ)

・カミサマはたぶんいませんもしかしてあたしもたぶんここにいません

・騙されているけどそれが夢ごごち安定剤に潜むカミサマ

・それほどの信仰心もないくせに神前で誓う愛って 僕たち



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・地球儀を抱きしめ一人悦に入る 君はさながら神のようだね
(世杏)

・春先の山に呼ばれし我が旧友(とも)よ 神と名を変え帰ってこいよ

・そもそもが怖れるものなどあるものか 人は神をも学問にした



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・神木で羽化を始めた蝉の子が羽化の途中で地面に落ちたり
(山田炬燵)

なにか暗示的です。


・工作の時間に田中が作ってた神棚今も図画室にあり


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・闘莉王を跪かせるためだけに靴紐ほどく蹴球の神
(魚虎)

・猛攻を片手で弾(はじ)く守護神(キーパー)に頼るほかなし残り3分

・神待ちの少女がむなしく曳くキャリーバッグを濡らし春雨の降る


魚虎さんは本当にサッカーが好きなんですね。
何かにこだわって作歌する姿勢は大切だと思います。

__________________


・神さまになったつもりで手を離す春のかおりで満ちた屋上(きたぱらあさみ)

・神さまは神さまというお仕事に飽きた そろそろ世界も終わる

・幸運の女神にはなれそうもないしょせんは座敷わらしってとこ


・八百万かみさまはいて けれどただひとつの願いすらかなわずに


___________________


・神様が気にすると思うかい?今朝パイロンは蹴り倒されていた
(佐々木優)

・皇帝や神になどなれなくていい 旨い酒 虎髭に乾杯

・女神様 落ちたのは金・銀じゃなく薄青のコンタクトですから



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・神棚の初任給の封筒が埃をかぶる家の片付けをする
(ムラサキ・ピープル)

・「神がかり」と形容された女(ひと)がいまラストダンスにボレロを選ぶ

・自販機の吐き出すおみくじ買ってふと神殿を見遣る風のない昼


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・現世を仮想と語る少年のICチツプに神が宿りぬ
(憂太郎)


・教室の片隅に居る少年も掲示板ではネ申と呼ばれり

時代をとらえている歌です。


・神様への3つの願い就職と食器洗いとチロに会いたい

・朝はやく石器を埋めた少年が大人になって神の手を持つ



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・春浅き神戸の夜を味わいぬ過去の自分と別れを告げて
(佐々一竹)

・鉄橋を呻らせながら渡りゆく阪神電車は今朝も変わらず

・桜花水面に浮かべ神田川ざわめく街をゆっくり流る



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・神死んだニーチェも死んだサルトルもみんな悩んで土の下かも
(横田ダイヤ)

リズムがいいですね。


・コロラドでお盆にディックの墓参り神来らずと報告したさ


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・僕たちは祈り小麦の種を蒔く 明日世界の終わるこの日も
(虫皮)

・港のホテル、冥(くら)き部屋、垢染む聖書。誰ぞここで人生を問う。

・祖父の名で吾呼ぶ曾祖母神さびて奥の座敷に鎮座まします



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・幸福の神の前髪掴もうと伸ばしたその手 絡め捕られる
(たみ)

・神の手を持ち給うという医師のいて庭の水辺に揺れる蒲の穂


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・アーメンが口から垂れるベランダで祈りが届く気はしなかった
(かぶともち)


・神様にさっきもらったチョコバナナ溶けてひとりに戻る夏祭り


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・神田川沿いのアパート借りたならさああの歌を口ずさもうか
(中森つん)

・財布には諭吉がいますでもそれは神保町でお別れします


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・容赦なく無理難題を祈られる神のつらさを人は解らず
(ユーリーボ)

たしかに。


・秋田にはウルトラ兄弟凌駕する人気者あり「超神ネイガー」


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・ケータイのメールにさえも神様が居たり居なかったりする。今日は居る。
(貝柱ひとみ)

・頼るもの無き君の胸揺れていたペンダントにはマリアとヨセフ

・ほんとうはお祈りしてる自分など消えてしまえと願う夕暮れ



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・神隠しのようにあなたが消えてから六度目の春一人スタバに
(広瀬智深)

・神経の一つひとつが君の名を呼んでおります改札前で

・神の名を汚すがごとく新雪を体重かけて歩みゆくなり

・穂村氏は恐らく神を誰よりも求めていたとぼくは思った



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・雨の日の貯水タンクの背にきみもバモイドオキの神を見たのか
(虫武一俊)

・少年の真白き指に浚われる神学校の黒い聖書(バイブル)

・死ぬまでに阪神優勝できないと思ったころの歯の隙間風



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・神でなく悪魔でもなくただのいち有機物として生きる非凡さ
(小林ちい)

なにか決意のようなものが感じられて、
気持ちのいい1首でした。


・長電話しながら君が書いていたメモから覗く精神世界


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・宮崎の太陽神をかたどったパネルのおでこがつやつや光る
(みうらしんじ )

・Y字路に立っているだけ神様は けっきょく道を選ぶのは俺

・胸のうちに神を持たない若者がかけてくるのか詐欺の電話は



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・神様にお願いします愛人の願いは叶えないで下さい
(伊藤夏人)

・神様になれたら僕は真っ先に君の記憶を消しに行きます

・神様の数も減らされそうになる事業仕分けの議題にされる



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・思い出は記憶を歪めて作るもの神に誓って僕は幸せだ。
(滝沢勇一)

・偶像の神様僕はヘタレですか、でも祈るしかないじゃないすか。


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・連獅子の余韻のような頚椎の疼きに想う氏神一番
(猫丘ひこ乃)

・荒れ狂う女神輿の先頭に女暴走族(レディース)だった先輩がおり


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・「だるま」ってDharma dollって書いてある神様ナンじゃなかったのかな
(台所のキフジン)

・見てるのよ 云われ続けて振り返る 神様の影見えた気がした


横一行書きに統一させて頂きました。

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・神様の方程式に逆らって誰も知らない秘密が育つ
(都季)

・さようなら神様あなたに頼むより手を伸ばしてみることにしたんだ

エスパー清田さんが昔「さよなら神様」って曲を歌ってました。
なぜかサイン入りCD持ってます……。


・神様の消えた世界で僕たちは正しさ以外の基準を作る


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・深緑の常闇に神のかたち為す祝いの列に帰れぬ娘(こ)あり
(ユメバク)


・知りたくて知りたくて請う壺の中 暗闇に浮く青き惑星(ほし)見ゆ


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・神々の実在を問ふ賭けをして父は一家をなしたりといふ
(山城秀之)

・神の捨て神の拾ひしものどもを我らも拾ひて捨てる黄昏

・かの人は機械仕掛けの神のため二十四時間修理に走る
(山城秀之)

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・守護天使 守護霊 守護神 守護月天 守護大名でもいいからお願い
(花岡賢)

・神様のパターゴルフに付き添ってもう三年も経ってしまった


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☆神聖1首ちゃん劇場☆


・お茶の水橋から見下ろす神田川さくらの死骸を桃潮と呼ぶ
(えむえむぴい)


・ビックリマンチョコをかじって棄てた日の右手の中に神様はいて
(しまやまひかる)


・満員の文明の利器に運ばれて神をなくしたような気がする
(瀧口康嗣)


・バベルにて言葉を壊す罰があり言葉を直す戸田奈津子あり
(西畠勇氣)


・持つ者と持たざる者を選り分けて着色をする神の絵手紙
(垂々)


・神の手か人の慾かとまよふ目にドナーカードの黄いろまぶしき
(アスター)


・神様の暇つぶしなり億万の星のひかりが灯って消えて
(森雅彦)


・つぶやいたすべての言葉封をされ 宛名ちいさく神様とある
(野比益多)


・神様が与えてくれた幸せは 恋に恋していたあの自分
(清水 海斗)


・神様は確かに居たよビル街のすきまで揺れるタンポポは見た
(文月郁葉)


・おぼろなるひかりとかげを収斂し眼鏡の中の神の存在
(椎野なずみ)


・ひらめきをかみのくによりみちびきてひとよのこころよみへつたえむ
(夕夏)


・はつなつの先触れのごと神楽坂中央に立つ銀の陽炎
(久哲)


・神様の帳尻合わせの幸せに頼りつつ日々は過ぎてゆきます
(長田絵理子)


・在らぬものを神となづけてうやまへし昔ごころを忘れたわれらは
(穂ノ木芽央)


・古のネコミミ萌えを想いつつローアングルで見るバステト像
(工藤流風)


・お稲荷さんの鳥居をぬければ真裸の父母(ちちはは)笑って歩いておりぬ
(かわら)


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鶴太屋さんです。


・神神の黄昏溶けゆく白夜なり平岩紙の瞳(め)に澄むオーロラ
(鶴太屋)

・『フィンランディア』響く北の地孤(ひと)りゆく神神の愛が謐(しづ)かに零(ふ)れば

・草いきれに噎せる夏野が眼にあれば神の天衣(てんね)の眩(まばゆ)きばかり

・主よ浄められし今宵はオリーヴのあぶらに映る月のカデンツァ

・主よ雪の道に行きなずむわれなれば蝋燭くはへし痩せ犬の飢ゑ

・主よけふも麺麭(パン)を齧れり願はくば鹹(から)きなみだの泉に浸し


意表をついた結句に驚きました。


・ウェブ司る神はあらねど「天安門」ググれば五百万の魂

時事詠です。
うまいですねえ。


・神の留守何し莨の火はかをる罪なる夜にながらふを許せ


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酒井景二朗さんです。


・雜穀をたつぷり投げて清めよう神と雀が遊ぶ庭先
(酒井景二朗)

・醫師は行く道具と涙携へて神がそつぽを向いた荒野へ

・丁寧に神籤を結ぶ指先にネイルアートが無いのに氣づく

・「珍しく怒つた顏の道祖神なんです」と言ふ老いた寫眞家

・七福神巡りの途中猫に逢ひ布袋以降に詣で忘れた

・書棚から精神科醫の診斷書はみ出してゐる空つぽの部屋

・あちこちの路上に眠る人々に神がつまづくガラクタの國



殿堂入り後初の作品です。
3首目と4首目がおもしろかったです。

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お疲れ様でした!

今回は力作が多かったので、
優秀作品を選ぶのに悩みそうです。
では、「優秀作品」の発表を
楽しみにしていてください!

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 17:06| Comment(16) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月23日

「アニメ(2010年度版)」 総評

先に謝っておきます。
今回は「アニメ」をお題にした自分が悪かったです……。
4年前よりも、J−WAVE時代よりも
おもしろい歌が少なかったです。

出尽くしちゃったんでしょうか?

それもあると思うけど、
今回は、思い入れのないアニメに対して、
むりやりがんばってつくりました的な
オーラを感じる歌が多かったね。
よって、あまり熱気が感じられませんでした。
僕の「模範短歌」も4年前とまったく同じだったくらいなので
(アニメ短歌はつくるのが難しいので)
まぁ無理もないでしょう……。

気持ちを切り替えて、
一部の投稿者のスランプも感じたので、
短歌の「型」についての話をしたいと思います。

誰でも短歌をはじめた頃は噴き出すように歌ができるものです。
本人に自覚はなくても、マグレで短歌ができちゃう場合が多い。
それは、これまでの人生で潜在意識にひそかに蓄えられ、
熟成したフレーズやら妄想やらが
短歌形式に出会うことによって一気に噴出するからで、
そのパワーによって、読ませる歌ができちゃうんですね。
(だから歌人を目指す人は、twitterとかで
つぶやきを小出しにしないほうがいいような気がします)
もちろん全員ではないけど。
で、3年くらい経つとたいていの人は
燃料が切れて急に書けなくなってしまう。
書いても書いてもただの散文になっちゃう。
ここでやめちゃう人が一番多いですね。
うちのブログの投稿者でもやめちゃった人たくさんいます。

一定のレベルを保ちながら歌をつくり続けるには、
あるいはスランプを脱出するにはどうすればいいんですか?

それはいままで何度も書いてきたけど、
いくらでも短歌ができちゃう噴出期(モラトリアム期ともいえる)に、
しっかりと短歌の「型」を身につける。
これに尽きます。
「型」さえしっかりと身につければ、
少ない燃料でもちゃんとした短歌を詠むことができるようになります。

型を身につけるとは具体的にどうすればいいんでしょうか?

いままでこの質問に対して、
「とにかくいい歌をたくさん読むこと」と答えてきたけど、
今日は具体的なことを書きます。

上の句5・7・5
で情景(場面)を描いて
下の句7・7
で思い(内面)を述べる。

これが短歌の代表的な「型」です。
この作歌法に縛られて、
同じパターンの歌しか書けなくなるのも困ると思って、
いままで書かないでいたのだけど、
書けなくなってしまうよりはいいので、
この方法をお勧めします。

僕が多大な影響を受けた寺山修司もこの「型」で
つくっているものが多いです。


マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
(寺山修司)

一つかみほど苜蓿うつる水青年の胸は縦に拭くべし

※誤植直しました。

そら豆の殻一せいに鳴る夕母につながるわれのソネット


以前、馬場あき子先生らと公開講座
をさせて頂いたときに、
馬場先生が、
「寺山修司の三句切れ上下二句仕立ての短歌の韻律は、
百人一首の影響なのよ」

とおっしゃられていて、
「なるほど! そういえば!」と唸ったのですが、
韻律を含めて、これは万葉集以降の短歌の一番メジャーな「型」といえそうです。

他の大家の歌で該当するものをご紹介します。


うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しもひとりし思えば
(大伴家持)

清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき
(与謝野晶子)

あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり
(斎藤茂吉)


師範の歌にはないんですか?

あるよ。

黄の財布持つおばさんが列なせりイエローマジックあるといいよね
(笹公人)

この並びで紹介するのは
非常に恥ずかしいんだけど……。

たしかに……。

文語と口語の混用文体でも、
完全な口語文体でも
この「型」は生かせるというわけです。

短歌というジャンルは、
古典を知る者が祝福される
とか、
古典に助けられる
などと言われますが、
それはつまりこういうことなんですね。

なるほど!

先日発売された、
三枝昂之さんの
『作歌へのいざない』(NHK出版)
では、
冒頭からこの「型」についての説明があり、

この形に沿った歌い方をすると、
初心者でもなんとなく短歌らしい表現になります。
短歌らしさに近づくための早道というわけです。


と勧めていて、
これは凄いぞと思いました。

たいていの入門書が「型」の問題をスルーして、
名歌秀歌をスペースのかぎり紹介して、
「良い歌をたくさん読みましょう」なんて書いて
お茶を濁している中で、
冒頭から一つの「型」に対する具体的なレクチャーから
入っていく入門書を読むのは初めてだったので、驚きました。
三枝さん、おもいきったなと思うと同時に、
こんな入門書を待ってました!!
と感銘を受けたのであります。
この入門書はおススメです!

ただ、この「型」に縛られないように注意してください。
野球のピッチャーにたとえるならば、
いろんな球種を身につけてほしいのです。

了解しました!

では、総評にまいります!


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まずは、
ムラサキピープルさんです。


「サザエさん」
・川の水が留まらぬよう 磯野家の中も静かに変わり続けて
(ムラサキ・ピープル)

「ゲゲゲの鬼太郎」
・鬼太郎も親父の居ぬ間に物思い 毛針で壁に留めたピンナップ

「物思い」が説明になっていて、
惜しいです。
下の句はとてもいいです。


「ときめきトゥナイト」
・変身は出来なくてもいい 無防備な貴方の頸に咬みつけるなら

「一休さん」
・一休よ、この場合は出さなくてよい 液晶画面の二次元の嫁

初句は原作通り
「これ、一休」
としたいところ。


「うる星やつら」
・セーラー服の裾からシミーズが見えてた頃の男女の駆け引き


目の付け所はよかったです。

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「となりのトトロ」
・突風はトトロの溜息かもしれずメイが「とうもろこし」と言えた日
(たみ)

「ムーミン」
・ヘムレンの網を逃れし一匹の蝶々ミーの吐く毒に墜つ

・旅人が未だ戻らぬ谷の春伸びゆく若芽、ムーミンのくび

・母である証は固く結ばれて 縦縞模様のエプロンの紐


「デビルマン」
・頑強な鉄骨はあり もの思うデビルマンの止まり木として

鉄骨は頑強に決まっています。
よって、上の句は改良の余地あり。
下の句は素晴らしいです。

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「ハチミツとクローバー」
・シーソーは傾いている片恋の重さはかなさすべらせながら
(高松紗都子)

「ドラえもん」
・凱旋門に切りとられたる青空はどこでもドアのように眩しい

下の句が疑問。
「どこでもドア」が開いている描写を
入れたほうがよさそうです。


「スラムダンク」
・あきらめぬ心が道をひらくことバスケコートに天啓は降る

「デスノート」
・掌中の生殺与奪ひとという存在ゆえの過ちはある

「サザエさん」
・永遠と刹那の見える不老不死イソノ一家は昭和を穿つ

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「重戦機エルガイム」
・眼の前に機械があつて友がゐて戰爭がある俺の青春
(酒井景二朗)

「巨人の星」
・傳説のひとつひとつを噛みしめてコンダラを牽く新入部員

「キン肉マン」
・友情の熱き息吹にあふられて遙か虚空を行くアデランス

「Theかぼちゃワイン」
・JIS規格適用外の二人なら戀も唯一無二になる筈

漫画のコピーとしても
使えそうですね。

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「機動戦士ガンダム 」

・それは傷ついたホワイトベースの欠片 ア・バオア・クーに降り積もる雪
(富田林薫)

とてもいい感じです。


・ミノフスキー粒子の霧が晴れたなら平和な宇宙へ出かけましょうね

・意外かもしんないけどあたしキシリア二十四歳 サザエさんと同い年



もはや「ガンダム短歌」といえば、
富田林さんですね。

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「アニメにかかわった人」
・セル塗りの内職無いと泣く母にもういいんですそっと手を置く
(横田ダイヤ)

「サザエさん」
・テレ朝で町子の霊が憑いて言う一家すべてを海に帰せと

「銀河鉄道999」
・生きてるか機械のからだ夢想せず機械のこころ欲しがった君

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「サザエさん」
・初恋をしたころはまだ磯野家のお隣さんが浜さんだった
(松木 秀)

・波平がカツオ殺害「いつまでも成長しないのにカッとなり」

「キン肉マン」
・三百年前牛丼があったのかわからないけどひと筋である

「魔法のプリンセス ミンキーモモ」
・ケータイがぴぴるまぴぴるまぷりりんぱフェナリナーサははるけきかなた

「Dr.スランプ アラレちゃん」
・酒鬼薔薇聖斗のせいで首外ししゃべる演出禁止されたり

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「新世紀エヴァンゲリオン」
・日比谷線ホームは揺れて目の前に雨滴をもてるNERVのバッグ
(鯨井五香)

・芝浦に包帯ゆらし流れよるこよひ幾たり目かの綾波レイ 

・友達のシャツのにおいが雨音にほのめく朝の見知らぬ、天井


「おじゃる丸」
・弓張りの月夜プリンのカラメルを揺らす小さきものの足音

「美少女戦士セーラームーン」
・「敵よりも海野がきらい」と親友の真顔よ木漏れ日の通学路

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「涼宮ハルヒの憂鬱」
・アキハバラ懐炉を胸にビラ配る涼宮ハルヒになれぬ少女ら
(如月悠帆)

涼宮ハルヒって、
角川春樹先生がモデルだって話ほんと?


「セカイ系アニメ全般」
・世界の危機にも乗り込むことなく忘れ去られたあのコクピット

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「とっとこハム太郎」
・「ハムちゃんがペストで死にませんように」テレビ画面に唱える少女
(蜂谷希一)


・「イササカは海に居ますか?」炎天に幻聴聞こえし純白の浜


「火の鳥」
・火ノ鳥モ死ヌトキクレバ快楽ヲ覚エルヤロカ 焼鳥屋ニテ

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「魔法のプリンセス ミンキーモモ」
・事故現場にミンキーステッキ供えてもあの娘はもう大人にはなれない
(魚虎)

「電脳コイル」
・触れられるものが全てじゃないのだとデンスケあなたが教えてくれた

「ドラゴンボールZ」
・延長の末のPK戦を経てスーパーサイヤ人と化す楢崎


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「天才バカボン」
・秋やあはれ庭木の切らる新宿は都の西北早稲田のとなり
(深森未青)

・冬やあはれ霜夜に眠る警官の目玉はさても繋がつたまま

・夏やあはれ日はいつしかに西の空のぼりて見守(みも)る者すでになし



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「ウルトラマン・コスモス」
・コスモスの咲く庭園で孫が言うウルトラマンはいつ現れる
(おはぎ)

「ゲゲゲの鬼太郎」
・学校も試験もないし妖怪に成れるものならねずみ男に

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「銀河鉄道999」
・月へゆく銀河鉄道見送りぬ歩き出せない河原にふたり
(西野明日香)

「犬夜叉」
・会いにゆく選択はせずここでみる四魂の玉のような日食

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「ムーミン」
・「ノンノン」が「フローレン」へと名を変えた大人の事情を今の子知らず
(ユーリーボ)

「鋼の錬金術師」
・ユーキャンの通信講座にありそうな「錬金術師 資格への道」 

たしかにありそう。


「アルプスの少女ハイジ」
・そり競技スイス選手の横顔にアルムおんじの面影やどる

「タッチ」
・夢見ても現実からは逃げられぬ「いとうあさこの朝倉南」

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「ドラゴンボール」
・幼い日みんなで作った元気玉 打てる場所なく捨ててきました
(魚男)

「パーマン」
・正体がばれると銃で動物に 傍で聞いてるパーマン2号

「銃で動物を」
が正しいと思います。


「天才バカボン」
・通勤路 41歳の春になり タリラリラーンと駆けだしてみる

「藤子不二雄原作のアニメ」
・ジャイアンと カバ夫とゴジラ ブタゴリラ 空き地の決闘 息飲む群衆

「息飲む群衆」が説明的です。
下の句は、
「空き地の決闘(バトル)に息を飲みこむ」
くらいにしたほうが良いです。

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「銀河鉄道999」
・戻らない旅をするほど若くなく999の往復切符
(わたつみ)

「となりのトトロ」
・いつの日か見えなくなるのが怖くって見えないふりしたまっくろくろすけ

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「ケロロ軍曹」
・薬局の前のケロヨンぺこぽんと殴って地球を守る練習
(104hero)

「ブラックジャック」
・がめついと言われ思われ黒マントメスには映るやさしい瞳

下の句がよかったです。

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「となりのトトロ」
・猫バスが通り過ぎたと病室で娘が微笑(わら)う 一陣の風
(虫皮)

ちょっとずつ惜しいです。
「で」とか「が」とかいう濁音は、
なるべく使わないほうがきれいです。
「病室の娘ほほ笑む」
とかにしてみては。


「もののけ姫」
・背を丸め最後の老婆立ち退きて限界集落木霊満ち来る

「天体戦士サンレッド」
・豚鍋に予備校生の涙ぐむ ヴァンプのレシピ母の味に似て

「北斗の拳」
・春の庭 北斗神拳稽古する祖父の気合に桜花散る

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 「サザエさん」
・波平の髪の毛一本つかみおるフネの喪服に雪の舞い落つ
(かわら)

 「あしたのジョー」
・サツマイモを焼きおる冬の火のなかに「あしたのジョー」をなげつけており 

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「ポケットモンスター」
・モニターに見入る子の短パンの中ふくらんでゆくポケットモンスター
(山城秀之)

「宇宙戦艦ヤマト」
・父が買ひしコスモクリーナーDでさえカード地獄の母を救はず

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「ドラえもん」
・成長をしないのび太がずっといて。未来はいつも同じだけ遠い
(滝沢勇一)

下の句のフレーズ、
深いですね。


「新世紀エヴァンゲリオン」
・赦されて拒否して求めて結局は世界はみんなでひとりぼっち

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「GU−GUガンモ」
・変声期突入かしらおとうとの「GU−GUガンモです」は掠れて
(猫丘ひこ乃)


「ときめきトゥナイト」
・「第六感コンピューター」の誤作動で起きたときめき強制終了

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「うる星やつら」
・豪快に電撃を打つ鬼っ娘も海を渡れば福星小子
(憂太郎)

中国版のタイトルでしょう。


・ゆらゆらと浮遊してをりラムちゃんの語尾のダッチャはJAZZの調べ

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「クレヨンしんちゃん」
・この先の山です先生が落ちたのはシロの形の雲の下です
(山口ヤスヨ)

「くまのプーさん」
・ディズニーに飼い慣らされて小利口になった君など知りたくなかった


「極上めちゃモテ委員長」
・娘(こ)よdrugstore(ドラッグストア)で極上めちゃモテシャンプーと発する吾の赤面思え

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「風の谷のナウシカ」
・ナウシカが来るあてのない村にいて春風を呼ぶオカリナを吹く
(小野伊都子)

「アルプスの少女ハイジ」
・青空にハイジのぶらんこ揺れていて私を誘うはじまりの朝

「天才バカボン」
・お金では測れないのよしあわせは ママが微笑む日溜まりの庭

「機動戦士ガンダム」
・かっこいいスーツのことだと思ってたモビルスーツで出勤します

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「アニメ
・夕食のお供は12チャンネルのアニメアワーな昭和のかぎっ子
(本荘ゆり(HY改め))

「スヌーピーとチャーリーブラウン」
・不器用で内気な子等もアメリカにいる事知って何故か安堵す

たしかに。


「ムーミン」
・この谷に君が来なけりゃ本当の春は来ないよ ねえスナフキン

「ガンバの大冒険」
・負けそうな時は奴等を思い出し奮い立つのさ「シッポを立てろ!」と

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「ちびまる子ちゃん」
・「この恋はかくして破れるのであった」ふと思い出す君のまるがお
(佐々木優)

「マジンガーZ」
・殴るのは殴られるより痛いんだ 失くした右のロケットパンチ

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「巨人の星」
・いつまでもきみへの重いコンダーラ引きずっていて恋ができない
(ウクレレ)

「キューティーハニー」
・変わりたいのに変われないカラオケで午前零時のキューティーハニー

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「風の谷のナウシカ」
・森ガール 腐海レディと成り果てて 青いドレスの夜がまた来る
(貝柱ひとみ)

「忍者ハットリくん」
・昼休み君を探して覗きこむ竹輪の向こうに獅子丸がいる

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「ドラえもん」
・僕たちはどこでもドアを手に入れてついにどこへも行けなくなった
(ミボツダマ)

うまい。


「天空の城ラピュタ」
・入道雲もくもくたって僕たちはバルスと叫び落ちてゆく 空

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「宮崎アニメ」
・なんとなくよさげだけれど好きじゃない人みたいです宮崎アニメ
(野比益多)

「アニメ全般」
・アニメとは一緒に育った仲なのに遠くで会釈する間柄

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「機動戦士ガンダム」
・SMが実は大好き監督がMS(モビルスーツ)をズタボロにせり
(人間失格)


「ひぐらしのなく頃に」
・ナタを手に撲殺をする美少女は美少女ゆえに許されており

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1首でやんす劇場 
〜赤塚先生ありがとう〜



「ドラゴンボール」
・七個目のドラゴンボールが手に入る寸前君に告白される
(伊藤夏人)


「ハローキティ」
・描かないはずのお口で“アニメ化に際するお詫び”を語るキティちゃん
(高橋徹平)


「オバケのQ太郎」
・オバQが居たと言い張る叔父が居て 52歳で亡くなりました
(ズオウとトラー)


「サイボーグ009」
・サイボーグ009よく見れば人間以上補いあいて
(夕夏)


「宇宙海賊キャプテンハーロック」
・海賊はマントを纏う やがて来る別れに翻す為だけに
(岡本雅哉)


「風邪の谷のナウシカ」
・花粉舞う春風吹けば裏山に虫があふれてナウシカを待つ
(帯一 鐘信)


「妖怪人間べム」
・ベラの指マニキュアのあと真似てみた ヒトの憎しみほじくるように
(台所のキフジン)


「起動戦士ガンダム」
・出産と仕事と結婚生活で初恋の人はゲルググと化す
(西畠勇氣)


「花田少年史」
・悪ガキで鳴らした夫もいっちゃんも今ならADHDだろう
(アスター)


「ルパン三世」
・裏切りのアクセサリーが似合うまで何度あなたへ帰るのだろう
(文月郁葉)



「花さか天使テンテンくん」
・才能を咲かせてくれてありがとう おかげで二十五年、無事でした
(花岡賢)


「クレヨンしんちゃん」
・「オラはもうこどもじゃないゾ」と作者元(おやもと)を離れて歩み始めたしんちゃん(ももや ままこ)


「ワンピース」
・伸びる手が自分の首に絡まって見えるあの世が伸び縮みする
(夏川ゆう)


「巨人の星」
・野茂さんに教えてもらったことですがメジャーリーグは意外と普通
(広瀬智深)


「超時空要塞マクロス」
・あっさりと何億人を殺しても私の彼は文化部だから
(久哲)


「化物語」
・きみに憑く怪異の多くは少女らの心の揺らぎ 放課後のまま
(瀧口康嗣)


「サザエさん」
・んがぐぐを知らない子らを前にして教師は言葉を日々呑みこめり
(虫武一俊)


「アニメ」
・ヒーローになるのはやめた 日曜の朝はゆっくり眠っていたい
(キタパラアサメ)


「タッチ」
・アラフォーの浅倉南に出会ったら顔をうずめて泣くよ腹にて
(みうらしんじ)


「科学忍者隊ガッチャマン」
・あしひきのベルク・カッツェに似し友のKのその後の行方知らずも
(船山登)


「涼宮ハルヒの憂鬱」
・日に焼けることも忘れた夏服で常識どおりの九月一日。
(しまやまひかる)


「銀河鉄道999」
・遠ざかる地球(ホーム)見つめしいまはまだ降りる日のこと考へもせず
(穂ノ木芽央)


「もののけ姫」
・君は今生きているかとたずねられ もののけ姫を見て考える
(篠原謙斗)



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あきえもんさんです。

「ちびまる子ちゃん」
・女なら分かる 男はたまちゃんが優しい子だと思ってるけど
(あきえもん)


「タイガーマスク」
・ミクシィと2ちゃんを回し読みしてるちびっこハウスの子らは知ってる

パソコンを「回し読み」って言いますか?
こういうなんとなくの表現は禁物です。


「ポケットモンスター」
・ポケモンの進化はラ変活用のごとくルリリーマリルーマリルリ


「ハートキャッチプリキュア」
・プリキュアをもう見ていない八時半 好きな子はいるか訊ねたくなる

これはよかった。

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鶴太屋さんです。

「ゲゲゲの鬼太郎」

・平和祭 下駄の音ひびき鬼太郎が焼き鳥食らふときの眼の夜
(鶴太屋)


・鬼太郎の浅き眠りに黄砂降り命奪(と)る魔(もの)の余韻ありき


・ぬりかべに塗り込められし思ひ出や明るき日差しに佇(た)ちゐる母


・紫雲英田(げんげだ)を鋤く黒牛の暗き春砂かけ婆に愛されたかり


・ねずみ男になりたし裸一貫を知らず海月(くらげ)の日日をただよふ


・嬰児くるみて一反木綿の耐ふる冬遍路の鈴に夢まで凍てて



鶴太屋さんの鬼太郎へのこだわりは凄いですね。
鬼太郎だけで歌集をつくれそうな勢いです。

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お疲れさまです!
今回はちょっと厳し目でしたね。

そうだね。
そのほうがいろいろ見えてくるんじゃないかと思って
心を鬼にしてハードルを上げてみました。

では、「優秀作品」発表をお楽しみに!

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 22:26| Comment(20) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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