2012年03月05日

「枕詞を使った歌」 総評

sasa-7.gifえー、どうも遅れてすみません!


kanta_12.gifこれだけ更新が遅かったのは
「お題」の関係でしょうか?


sasa-3.gifまさしく。
知らない枕詞や、枕詞の使い方が正しいかどうかを
調べるたびにググったりしてたんだけど、
だんだん調べる内容そっちのけで
ネットサーフィン(死後)をはじめてしまって、
それで気づいたら1時間30分経ってたとか、
そういうことが多くて、大変遅れてしまいました。


kanta_09.gifダメな浪人生みたいですね。


sasa-6.gifまぁね。
しかし、ひさしぶりに後悔した「お題」だったな。
「あしひきの」とか「ぬばたまの」とか
メジャーなものばかりくると思ってたんだけど、甘かったね。
まったく師範よりも勉強熱心な人が多くて困りますよ。


kanta_07.gifご苦労様です!


sasa-6.gif誤用も多かったね。
わざとだとは思うけど、


細波の志垣太郎

石の上フリーメーソン

飛ぶ鳥の「明日から来るな」


とか、こういうのは今回は採りませんでした。


kanta_07.gifダメですか?


sasa-6.gifうむ。
おもしろいとは思うけど、
今回は正しい使い方をしている歌のみ採らせて頂きました。
なんでもありだったら、
新しい枕詞の創作コンテストをやったほうがいいからね。
それもいずれやりたいけど。


kanta_02.gifおもしろそう!


sasa-7.gif今回、1首も採ることはできませんでしたが、
富田林薫さんが7年くらい前に、


風立ちぬ松田聖子の〜


という歌を投稿してくれて、
おもしろいなと思ったのですが、
これは「新しい枕詞」に加えたいくらいです。
ま、アラウンド40にしかわからない枕詞だとは思いますが。


kanta_05.gifたしかに!


sasa-4.gifということで、
復活後初の「総評」です!


___________________
___________________



まずは、林いずみさんです!


・いさなとり海浜駅の改札にサーファーカットの老猫棲めり
(林いずみ)


・垂乳根の母の糸きる歯のかげに水子供養の刻印ありや



・露霜の秋の円卓チョロQが墜死のきわに浅く喘鳴




____________________



・蝉の羽の一重まぶたで遮断する27時の煙の世界
(飯田和馬)


・兄帰るたびに私は白雲の立場失う。長く歯を磨く


・魂極る生命保険「34歳のあなた」に一瞥をせり




____________________



・たらちねの母の形見の金時計今売り時と天の声あり
(おはぎ)

世代を感じる歌でした。
とてもいいと思います。


・あしびきの山さえ割れん十戒の神をも超えし自然の威力



____________________



・スピノザになってレンズを磨きたいちはやぶる神に愛されぬまま
(松木 秀)


・あしひきの大雪山にヤマノボリハナアルキなる鼻行類おり


_____________________



・ぬばたまの髪梳く指の長き夜眠る乙女よ何を夢見る
(海月)


・空だけが見ていた二人夏草のかりそめの恋あおく染まって


・むらぎもの心変わりを責めたとて戻りはしない輝く日々は




_________________________




・みすずかる信濃の風に吹かれたき秋桜の花に生まれ変わりて
(よかめいさん)


・ たらちねの母には見せぬ笑顔にて児が花嫁を振り向き歩む


_______________________




・烏羽玉の黒木メイサの肖像画 依頼されたい天野喜孝
(岡本雅哉)


・岩走る滝川クリステルの手にだらしなく崩れおちるエクレア

これはいい感じですね。


______________________




・風の音に耳すましつつ射干玉の夜は無慈悲に過ぎてゆくなり
(魚虎)


・テクニカルエリアに佇てり千早振る神ならぬ身のストイコビッチ


・あられふる鹿島スタにて連敗を止めて迎えし朝ぼらけかな



________________________



・ひさかたの光にかざす千円札富士山に目が重なるを見ん
(猫丘ひこ乃)

フリーメーソンの都市伝説を
モチーフにした作品でしょう。
おもしろかったです。


・躑躅花にほふ舗道のガス灯の明かり恋しや節電の夜


__________________




・参道をゆく花嫁はいさなとり海を見つめるときのまなざし(いつも翠)


・しらやまの雪見だいふく少しずつ呼吸の熱にくずれるからだ



___________________



・安全を枕詞にすることで意味は考えないようにした
(カー・イーブン)

枕詞というお題を逆手にとった作品。
時事詠としても読めます。


・氷上に傷はきらめくぬばたまのポニーテールの揺れにこがれて



________________



・天飛ぶや鳥より軽いポイポイピーあやまんじゃぱんに合わせて躍る
(須田まどか)


・あらがねの土に去年の夏の恋なくしたはずのパールのピアス


・コラーゲンコンドロイチングルコサミン空蝉の世に吾も闘う


うまい。


____________________



・ぬばたまの夜行バスから手を振って吾の時間に帰るハイウェイ
(手乗り文鳥)


・節電を高く掲げて敷島の日本列島発熱の夏



____________________________________



・行く水の流れる律の楽しさに草魚の口は音なく歌う
(ユメバク)


・鯨取り浜に集まる男衆のお尻の肉(しし)に密かに萌えて


____________________



・千早振る神よ助けてあられもない娘のツィートは嘘だと言って
(山口やすよ)

どんなツイートだったのか気になる…。


・ははそはの母の心に沿えぬままグループホームへ送る黄昏


______________



・から衣袖をつかめば曇る目に照らされさらに影は濃くなる
(小林ちい)


・花ぐはし桜香し花びらがひらひら扉から帰り来る


______________________



・久方の光あつめて手のひらは希望の花を明日咲かせる
(小野伊都子)


・天つ風雲の上には青空があることを今教えてほしい



_______________
_______________



三日月枕で1首劇場三日月



・ひさかたのピカチュウ放つ電撃に倒れた弟を運び出す
(船山登)

ぎりぎりアリと判断しました。
おもしろい!
あの事件、もう忘れてあげてください。



・柏崎と浜岡に挟まれてますみすずかる信濃の国よ我がふるさと
(長田絵理子)


・月草の仮の免許を手にすればはるか心は旅路に浮かぶ
(高松紗都子)



・あしひきのやまのすそのにがきのすむぎじのやかたになにみなさるか

(夕夏)



・あかねさす昼間の月は味気なく真昼の月はなお味気なく
(夏実麦太朗)



・真金吹く吉備団子食む縁側で君とふたりの時はゆるやか
(螢子)



・水薦刈る信濃の国を声あげて唄ふ者こそ羨ましけれ(佐々一竹)



・生黄泉のうちの甲斐犬ひし餅をのどに詰まらせ大手術せり
(あまみず)

黄泉の国を彷徨ったのでしょうか。



・「症状が出てから来なさい」白妙の衣を着ける医師と向き合う
(やまだよう)



・白妙のセーラー服に結ばれたリボンゆるめて我に問ふ君
(憂太郎)



・しかばねとかばねのあいだうつそみのひとはなみだをもちてあゆめり
(飯田彩乃)



・いそまつの常に魔の手が狙ってて炎を焚いてないといけない
(人々)



・空蝉の命ちらして逝く虫(もの)と新参虫(もの)の声きく夕(ゆうべ)
(坂寿曙光)



・あかねさす海をみわたす いつ死んでもいい人なんていない陸地で
(みうらしんじ)



・ぬばたまの黒木瞳の目にうかぶあれは失くした深紅の浮輪
(樹林)



・あしびきの山犬の群に護られるオカルト少女のネイルの勾玉
(ムラサキ・ピープル)



・ぬばたまの口をひらけばねばねばと女の愚痴は百足の匂い

(ヤマー)



・あしひきの「峰」吸う祖父の指先にたゆたう煙菊と変わりぬ
(しまやまひかる)



・ぬくもりがすべてだった手ぬばたまの夜におぼれていくような冬
(はせがわゆづ)



__________________
__________________



鶴太屋さんです。


・かぎろひのスコット・ラファロ死の後も翡翠のベースまだ響(な)りやまぬ
(鶴太屋)


・あづさゆみ春の愛恋はかなくて木瓜(ぼけ)の花のみ咲き雪崩るるよ


・フェルメールのひかりにふれて濡れ佇てるかな玉藻刈る市川実日子


・なまよみの甲斐の温泉(ゆ)に入る神無月戞戞と征く魔(もの)の跫おと


・たまきはるバッハの楽は雲母(きらら)刷くわが耳に棲む蜥蜴を嘉し


・精液・銃・泥・血・戦争・馬の子宮、ああ風の音(と)のクロード・シモン


・うづらなく郷里も棄てて橋歩(あり)く突如わが肉透かす月光




ひさしぶりに読んだ鶴太屋作品。
独特の美学を感じます。


______________________________________



酒井景二朗さんです。


・三枝の水にくるぶし浸す兒の笑へば夏の轟く光
(酒井景二朗)


・男等はまなこ閉ぢたり麻裳よし風紀委員の立ち去りし後


・美少女のフィギュア作りの水無瀬川下着に凝れば朝明け早し


・磯松の常に起き臥すこの部屋に開けず舊りたる書のうづたかし


・白眞弓春になつたら會ひませう大人の惡いとこを削つて


・子を包むタオル展げて垂乳根の母は雨降る軒下に立つ


・ささやかな言葉綴つてゐるのです葦の根の世を明らめかねて




ブログ休止中に腕を上げていらっしゃいます。



_____________________
_____________________



kanta_02.gifいや〜、おもしろい歌多かったですね!!


sasa-7.gif多かったね。
これだけ難易度の高い「お題」なのに、
健闘したと思います。

凄くひさしぶりな上に、
このブログの操作に慣れていないので、
今回はコメントを少な目にさせて頂きました。


kanta_07.gif次の「お題」は?


sasa-6.gif考え中。
とりあえず、いちいちググって調べないといけないような
「お題」はやめようと思ってます。


kanta_05.gif今回の教訓ということで。


sasa-7.gif「未来短歌会」
の笹公人選歌欄、
続々入会希望者が集まってくれています。

旗揚げメンバーは夏頃まで受け付けていますので、
気軽にメールしてください。
twitter
で「入ります!」と話しかけてくださっても大丈夫です。


kanta_01.gif優秀作品の発表もお楽しみに!!


sasa-4.gifということで、
よろしく哀愁☆


posted by www.sasatanka.com at 23:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
笹師範、総評お疲れさまです。
ブログ復活に協力した甲斐があります。
ぼくは枕詞を使った歌は今まで作ったことがなく、塚本邦雄が使っている枕詞くらいしか知らないので、古語辞典巻末の枕詞一覧などを見ながら苦吟しました。
塚本邦雄は枕詞の正統な使い方もしていますが、「たまかぎるリルケ」などの実験的な使い方などもしてますので、そういうところも学びました。
今回、一番実験的だったクロード・シモンの歌が採られていたのには驚きましたが。
他の方では、酒井さんの歌に一番注目しました。酒井さんの歌は実感が籠っているところがいいですね。
次回のお題も楽しみにしています。
Posted by 鶴太屋 at 2012年03月06日 05:00
鶴太屋さま

この度は本当にありがとうございました!

「たまかぎるリルケ」いいですねぇ。
塚本先生では、山川呉服店の連作も好きです。

次回作も楽しみにしてます!


Posted by 笹師範 at 2012年03月07日 22:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック