2012年02月01日

鶴太屋劇場 第31回


火の鏡

作・鶴太屋


曇り日の鏡に沈む海鼠かな愛をむさぼるその虚無の口



冬の鏡に枯れ蔓つたひ鷹睡るこの生命の愛(いと)しきろかも



鏡のごとき春の泉に膝折れば惑ひの水精もいつしか水仙



女鳥羽川、寒の流れの泡寄せる泉鏡花を読みそめて冬



火の鏡に数瞬の夏封じこめオリーヴの実を眼に埋づめ去れ



合はせ鏡の無限にわれら遠ざかり夢幻の桃を欲る終身刑



夏の鏡に髪梳(と)く乙女 兄われに薄紅色の雨ひとしきり



われらが祖(おや)の霊は満ちたり係累の血の鏡から虚無が滴る



タイトルと選・笹公人

お題「鏡」
posted by www.sasatanka.com at 06:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 鶴太屋劇場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。