作・松本響
パレットのザク色を見て少年の手に持つ筆に力が入る
夜空には夜空としてのプライドがあるから黒はそのままでいい
青白い表情をして廃校に体育座りの柳生一族
青筋が立たない君はロボットで怒怒怒怒怒怒と十六連射
未来から来た子が描く海の絵に必要なのは赤いクレヨン
むらさきに生まれてきても食べるからきみと見上げるりんごのなる木
玉手箱の蓋をあければ視界には筑紫哲也の鮮やかな銀
縦笛の音色でひらくパンドラの箱にあなたの温もりがある
さよならのチャイムが鳴れば空腹の赤いクジラが街を飲み込む
手がかりはきみの前歯にしがみつく最高級の青海苔だけで
タイトルと選・笹 公人
お題:「色」