作・異能兄弟
白龍の逆鱗のごと夏の陽にきらめく父の無精髭なり
河童への転生を乞い入水せしホームレスの頭(ず)の紙皿哀れ
ヒバゴンは泣いてた黒い雨に濡れ(昭和20年8月のこと)
ゴミヤシキオオイエネコが棲むという噂の家の老婆死にたり
少年は昭和の原っぱ駆けていたUMAみたいな青洟垂らし
「身の内のUMAを見つけてやるのよ」と少女はリスカ繰り返したり
イエティという名のバンド、足跡を残すことなく消えてしまえり
ひとりでにブランコ揺れて鵺(ぬえ)の啼く声で軋めり満月の夜は
タイトルと選・笹公人
お題「UMA(未確認生物)」