2009年11月23日

「人形・ぬいぐるみ」総評

どうも、シルバニア村出身の笹師範です。

そんな話初めて聞いたよ!

あれはいいコミューンだったな……。

コミューンじゃねえだろ!
怪しい方向に話を持ってくな!

ということで、
今回は「人形・ぬいぐるみ」短歌です。

どうでしたか?

おもしろい歌もありましたが(特にベテラン勢)、
いかんせん表現に隙のある歌が目立ちました。
文法の誤用や「てにをは」の使い方が間違っている歌も多かったです。
そういう歌はいくら内容がおもしろくても、コンテストなどでは容赦なく失格にされるので、気をつけたいところです。

あと、短歌をつくったあとに、
「歌意が相手にちゃんと伝わるかどうか」
を客観的に厳しく読み直す習慣をつけてほしいです。

なるほど。
ほかには?

えー、何度も言ってますが、
『念力短歌トレーニング』
を何度も読み直してほしいです。
ほかに初心者の入門書としてお勧めなのは、

『短歌を楽しむ』
栗木京子・著

『考える短歌』
俵 万智・著

の二冊です。
この二冊は初心者にも非常にわかりやすく書かれています。
それでいて上級者にも読み応えのある内容です。

とにかく表現の基礎をしっかり身につけてほしいと願っています。

今回は、「総評」が遅れてしまった(サボっていたわけじゃありませんが)お詫びをこめて、
いつもより丁寧に批評しています。
熟読してください。

それはありがたいです!

では、冬のクラクションを鳴らして
「総評」に移りたいと思います。

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まずは、
憂太郎さんです。

・ぱっとみてムックの方が愛情を受けて育った顔をしている
(憂太郎)

目の付け所が良かったです。


・会議には勝負ピカチュウ左胸の内ポケットに忍ばし臨む

ピカチュウグッズは金運を上げるか?


・赤ちゃんの人形あやすオバさんの独り言なぞ聞いてはいけない

・冗談のつもりで作ったわら人形机の奥から今夜取り出す


上の句が説明的で惜しいですが、発想は良いと思います。
実際にありそうな話だし。

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みうらしんじさんです。

・芽の出ないわたしがここにいるごとく髪ののびない人形ならぶ
(みうらしんじ)

・自傷癖ある青年の引出しに包帯巻いた少女のフィギュア

・年とらぬ少女人形みつめつつ愛らしかったアイドルおもう


伊藤つかさにかけてるのかな。


・いつの日か着ぐるみを脱ぐときが来て静かにぼくは旅立つ空へ
 
肉体を着ぐるみと表現しています。

なかなかよかったと思います。

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HYさんです。

・ミッフィーを小脇に抱え14才次女の読んでる「暗黒童話」
(HY)

微妙な年頃の娘の行動をリアルにとらえた1首。
でも、「14才次女」は、
「14才の娘」でいいんじゃないでしょうか?


・マネキンの上向き乳首憎らしくシャツの上から挑発している

・綾波の妙に安産体型な臀部のフィギア居間に鎮座す

・大トトロ抱き人形にて安眠すSEXレス歴5年の妻は


正しくは、
「大トトロのぬいぐるみ抱き眠りいる〜」
という感じでしょう。
細かいところにも注意を払いましょう。

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「異界のさびしんぼう」こと
酒井景二朗さんです。

・嗚呼華奢な肉人形に逢ふ爲の哀しい人の列につらなる
(酒井景二朗)

年季の入った一流の怪しさを
見せつけてくれました。


・戰場に空しく散つたおもむきで砂に埋もれてゐるミクロマン

絵が浮かびます。
R30にはたまらない風景。


・電源が呪詛をうそぶくさう今こそ學天則が暴れだす秋(とき)

「帝都物語」っぽい1首。
學天則、不気味な味わいがあります。


・にやんまげにとびつくほどのいきほひで戀を探つてみたらどうだい

「どうだい」って言われても……。


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3年C組鬼畜先生こと
深森未青さんです。


・さくらばな盛りて供せし人形は生家の庫に飢えてをりなむ
(深森未青)

・ありえざる睦まじさにて添ひて死ぬ事故実験車のダミーの家族

不気味ですなぁ。


・いとせめてかなた在りまさむ海なれど〈人形(ひとがた)流しご遠慮ください〉

上の句、これでいいのか疑問。


・埴輪馬のいとど大きに巨人族の説思はぬか宗像教授

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はせがわゆづさんです。

・ひだまりのなかにとけてくリカちゃんの髪が小指に絡まっている
(はせがわゆづ)

・リカちゃんの瞳の中の星ひとつこぼれるような君のまばたき

・ウェディングドレスのままで待っているリカちゃんの赤いくちびるは笑む

・リカちゃんの睫毛はやさしい色をしてきめこまやかに夜を縫ってく


ゆづさんの歌は、
作者名を見なくてもそれだとわかるところがいいです。

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空山くも太郎さんです。

・とび色の瞳は静か アンティークドールはずっと泣こうとしている
(空山くも太郎)

・鏡越し私の部屋の人形に会釈をされて振り返れない

「鏡越しに」としてください。
それにしても怖い歌だなぁ。


・人形を赤ちゃんみたいに抱く人の病歴にあるわずかな現実

「わずかな現実」が惜しい。


・覗いても硝子の瞳は反射する あの子は僕を見てくれたのに


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山口ヤスヨさんです。

・ちまちまと雛人形を飾るのはあれは何かの訓練でした
(山口ヤスヨ)

そうかもしれない。


・シルバニアの町に住んでる夢を見た先生にギュウしたら固かった

シルバニアファミリーのCMって、
しつこいくらいやってたよね。
売れてたんだろうなぁ。

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イマイさんです。

・大きさの異なるふたつのてのひらは綿のつまったかめの甲羅に
(イマイ)

なるほど。


・同僚の着ぐるみバイトの話きくラー油の瓶まで薄暗い梅雨

・いもうとは静かに泣きはしなかったミッキーマウスのとれかけた鼻



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てこなさんです。

・言えぬ恋封じて〈母〉にもどるためぬいぐるみ用縫い針を買う
(てこな)

てこな調の、とれたての短歌です。


・初恋のさなかの子らが見ておりぬ少し黄ばんだウエディング・ベア

・子に似せたマジパン人形つくる昼 恋を産まない〈母〉になりたい            

・ぬいぐるみのように縫ったの?はなちゃんは自分のお腹の手術痕見る



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猫丘ひこ乃さんです。

・目を貼れど鶴瓶のように見えるから仕上げられずにいるスヌーピー
(猫丘ひこ乃)

正しくは、
「目を貼ると」でしょう。
無理に文語を混ぜると
おかしくなりがちなので気をつけたいところです。


・15体3列にしたこけしらに歌ってほしい「WE ARE THE WORLD」

怖いなぁ。

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広瀬智深さんです。

・シェーをする人形の歯の黄ばみには昭和の路地の残り香ただよう
(広瀬智深)

「残り香ただよう」ではなく、
「香り漂う」でいいと思いますが。


・嘘をつくたびに小さくなっていくマトリョーシカの中身のように

深いですねぇ。

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ユーリーボさんです。

・生徒等が見てないことを確かめて「ナナちゃん」くぐる高校教師
(ユーリーボ)

・世間から忘れ去られた悲しみを踊りに注ぐフラワーロック

フラワーロック流行りましたねぇ。
バブルの匂いがします。


・サトちゃんとケロヨン並ぶ薬局を向かいの店のニッパーがのぞく


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たみさんです。

・飽きられたことを悟れば永遠に閉じることなきドールの瞼
(たみ)

・我も娘(こ)も優性遺伝を受け継ぎてくせ毛の雛の無きぞかなしき

・くるみ割り人形堅い意志もちてその実味わう夢も砕けり


プロに徹してるわけですね。


・人形の髪に留まった赤トンボ震えるリボンとなる影法師

なるほど。


・きしきしと肩の関節軋ませてリカちゃんパパの手旗信号

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船山登さんです。

・「左手」も見つかるように敵ながら祈っています 橋の上より
(船山登)

カーネル?


・ミッキーの中にバイトで入ってた吉野君たら細かったよね

リアリティを感じる会話です。


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しまやまひかるさんです。

・シルバニアファミリーたちと同居した頃のぼくらとアイドルの死
(しまやまひかる)

作者の年齢がなんとなく見えてくる1首。


・「好きだよ」がいつも遅れるあなたいついっこく堂に弟子入りしたの?

おもしろい。

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松木 秀さんです。

・藁人形販売広告載っていた昔の「GON!」に執着をする
(松木 秀)

・使用済みダッチワイフはリサイクルショップになぜか売ってはいない


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西畠勇氣さんです。

・ヌイグルミ魂こもったかわいさは過剰に正しく死体に見える
(西畠勇氣)

・みぞおちを子どもに殴られしゃがみこむミニーから出たうめき声が雄

そんなもんでしょう。

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富田林薫さんです。

・また冬のサンタクロースのカッコしてケーキに乗るの不二家のペコちゃん
(富田林薫)

「冬の」は省略すべき。


・忘れられたリカちゃんハウスの片隅でわたるくんと抱き合って朽ちてゆく

・堂島ロールあきらめて何故あなたは太らないのとバービーに問いただす

・同窓会にて「仕事なにしてんの?」と聞かれ口ごもるミッキーの中のひと



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中村成志さんです。

・あたま無しアンパンマンをぶらさげたバックミラーに張りつく視線
(中村成志)

・大辞林の横で微笑むリカちゃんは髪の右半分だけ灼けて


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小林ちいさんです。

・プーさんがいると言われて向かう部屋さわりたいのはクマじゃなく君
(小林ちい)

・わたを入れ髪を縫い留め目を入れてあなた首の後ろを閉じる

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乙女座☆星子さんです。

・ともだちに言えないひみつ口のないキティにだけは話しておこう
(乙女座☆星子)

キティちゃんの人気の秘密は、
口のないところ。


・銀色のあなたの腕がもう少し強かったならいないこの部屋

・偽りの出張させて温泉にあなたを浸けてゆるキャラにする

・もう何も脱ぐもののないわたくしの最後のファスナーおろしていいよ



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ユメバクさんです。

・押入の奥に増えゆく問題はケロヨンサトちゃんカーネルサンダース
(ユメバク)

・リカちゃんの髪が伸びたと言い張りて君はひとつおとなになった

「言い張って」と
口語で統一したほうが良いです。

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前回のチャンプ、
かんちゃんさんです。

・君に似た人形のいた蝋人形館への地図を捨ててしまった
(かんちゃん)

・大道具倉庫で眠るゴン太君の目が開くとき奇跡が起きる

ゴン太くんはたしかに神秘的なキャラだな。
何科の動物なのかもわからないし。


・日に2ミリ鼻毛の伸びる人形を前よりもなお愛しく想う


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佐々一竹さんです。

・春浅し岩槻の町いっせいに人形の瞳が入れられ始む
(佐々一竹)

・死期悟る女男に涙のこぼれたる人形浄瑠璃曽根崎心中

・安っぽい人形焼きであるけれど精一杯の父の手土産

・焼け焦げた藁人形が甦る封印された過去をともない



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かわらさんです。

・みずからの手にマヨネーズをかけていたキューピーちゃんはどこにもおらず
(かわら)

・床の間の金太郎の耳もとに「言ってやった」と囁く兄貴

・前のめりに倒れし弥次郎兵衛の頭(ず)を潰したき心をころせど殺せど



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キタパラアサメさんです。

・もう一度ゼンマイ巻いてオルゴール人形みたく愛をつたえて
(キタパラアサメ)

・生きるのも死ぬのも嫌よ 血液の温度を知らず眠るマネキン

・「穢れろ」と言わんばかりにストーブの熱で溶けゆくリカちゃんの髪

・心臓を盗まれたまま理科室でわたしはただの人体模型



好調ですね。

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貝柱ひとみさんです。

・泣きながら薄紙に包(くる)む雛飾り あの日の吾も包んだままで
(貝柱ひとみ)

・愛失せて親切だけが残るなら外反母趾まで等身大に

・薬屋の赤うさぎ、甘美の目眩。熱は暫く下がらなくていい



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佐々木優さんです。

・一昨日の火事場の跡に残された焼け焦げたザク 尊い平和
(佐々木優)

・まだ出しておくお雛様 姉さんの未来の人に嫉妬していた

あまり見ないタイプの歌で、
おもしろかったです。


・愛すこと 人とはどこも違わない 叶わぬまでも傀儡師の夢


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高羽佐兎子さんです。

・壊されるために生まれる存在と知れば砕けるクラッシュダミー
(高羽佐兎子)

・人形(ひとがた)が人形(にんぎょう)となる歳月に寂しきものは降りつもりゆく


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柴田菜摘子さんです。

・ぼくの仮面ライダーは「もう時間」だと休憩室へ入っていった
(柴田菜摘子)

・ぬいぐるみのお腹の中に入ってるきみとわたしの隠れ家の鍵

「マルサの女」か!


・蝋人形微笑んだのが見えたのは自分だけかと逃げ出した友

・通夜のあとテレビつけるとぬいぐるみ振り回してる鳥居みゆきが



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小野伊都子です。

・おやつです ペープサートのおおかみが大きなかすてらたいらげている
(小野伊都子)

・ひみつとか涙をじゅっと吸いこんだ人形たちは甘く湿って

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ケータイ短歌でもおなじみ
おはぎさんです。

・此れは何皆に聞かれ「どうもくん」貰い手も無くあれは何者
(おはぎ)

・乾燥しコケシ人形ヒビ入り怨まないでね頭割れてる


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文月育葉改め文月郁葉さんです。

・リカちゃん派?ジェニーちゃん派?の問いかけに睫毛を伏せるブライスがいる
(文月郁葉)

・レプリカのジュモーは祈る もう二度と誰かの代わりをしたくないのよ

・傷つけあう覚悟はできたシュタイフのくまより弱い君といること



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ミボツダマさんです。

・にらめっこしましょブライスわらったらぱっちりおめめひとつちょうだい
(ミボツダマ)

・ひかりぐみ時代の嘘とリカちゃんの右腕はあの下駄箱の中

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都季さんです。

・「人形を愛しすぎてはいけないよ、情が宿る」と十歳の言う
(都季)

・抱き枕に出来るくらいのカピバラさん残業越えたら買うんだ泣かない

・恋人にするならムック掃除とか得意そうだし枕にできるし


答えを出しちゃってるところが惜しい。


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ひいらぎさんです。

・溜め息が誰のせいかも言わないしぬいぐるみだって捨ててしまえる(ひいらぎ)

・無造作に部屋に転がるウルトラマン今朝は確かにヒーローだった

・引出しの奥にピンクのクマがいて見て見ぬふりを決め込んでいる



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そう蛸さんです。

・古ぼけた超合金をもてあそぶ機械油の滲みた指先
(そう蛸)

・上の子は今度小学生ですよ イオンモールのマネキンのパパ


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岡本雅哉さんです。

・孤独ゆえまたカップルを脅しては河原に眠る空気人形
(岡本雅哉)

・コスプレでPerfumeライブに集ってはアンドロイドになる少女たち

「Perfume」と「アンドロイド」って、
ちょっと即(つ)きすぎでしょう。


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鯨井五香さんです。

・留守電のランプ見つめる文机のマトリョーシカの2体目がない
(鯨井五香)

・「すきだよ」と、教えた言葉くり返しアンドロイドは蛇腹をたたむ


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ボジョレーと女優と1首劇場


・デート前リカちゃんみたく着替えては無難な服を結局選ぶ
(中森つん)

・人形は右手に愛を受け止めて左手は涙拭くためにあり
(ごましお)

・ユーフォーキャッチャー人形選ぶ目つき似て面接官の優しい眼差し
(草蟲)

・行列が行き着く先にカリスマの美容師チャッキー鋏を握る
(たたこにゃん)

・ものいえぬ君の人形やめたとき清々しさと涙あふれて
(ふふ)

・世間体というきぐるみ着続けつまらぬ劇を演じ続ける
(人間失格)

・ウシくんとカエルくんとが共謀し頭巾の人の眼球を食む
(蜂谷希一)

・バースデイテディベアを川に流し自分探しの旅の了(をは)んぬ
(やましろひでゆき)

・さいごの日もう片方の目を入れてだるまは両の眼みひらく
(はづき生)

・螺旋(ねじ)巻けば少女ふたたび歌いだす『私は夢見るシャンソン人形』
(魚虎)

・人形のチョッキを編むのとわらう母わたしの身ごろのサイズをはかる
(ぱらん)

・服を買いメイクほどこす自分よりドールに費やす金も時間も
(あお)

・初投稿送信ポチと押す間際人形になる私の右手
(碧)

・街角のマリオネットの一幕劇おのれの糸をひたかくしにして
(穂ノ木芽央)

・おさなごのさみしく撫でるリカちゃんのひかりふぁいばぁみたいな髪よ
(逆巻なじ)

・もう何も感じないから大丈夫、喰い千切られても綿が出るだけ
(滝沢勇一)

・完璧な絶望なんてできやしない首から綿が出ないかぎりは
(虫武一俊)

・頬のとこ孫とそっくり微笑みて老女は喰らう人形焼きを
(佐井永)

・脱水後スヌーピーは両耳を洗濯ばさみで釣られゆらゆら
(惑星)

・人形のふりでベッドに腰掛ける 拐われるのを期待しながら
(佐藤愛)

・わたしでもわたしでなくてもかわらない人に抱かれて記号となった
(尾崎陽子)

・キン消しを机の上で戦わせ超人になる日を夢見てた
(わだたかし)

・その昔あいつがくれたうさぎさん実家に残して夫に嫁ぐよ
(おおにしあやこ)


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あきえもんさんです。

・グランプリおめでとうその階段を登って人形の家においで
(あきえもん)

・夢を見る人形はもう四十(しじゅう)過ぎ 浅い眠りで夢ばかりの夜

・ピノキオが鼻伸ばしつつ人になるステキな呪文は「カイゴノシゴト」

・着ぐるみのキティのような子は我の目を避けながらオフクロと云う

・待ち人はもう来ないからナナちゃんの汚物のように丸まっている
(ナナちゃん=名古屋駅前の巨大人形)



ひさしぶりの「あきえもん調」
うれしかったです。

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鶴太屋さんです。

・露の玉しとどなりけり流し雛暁(あけ)の空ゆけ悲の紺を薙ぎ
(鶴太屋)

・冬の浜辺に打ち上げられしキューピーを幻覚しをり位牌を担ぎ

・はに丸ののたれ死にをる花野にて白ききのこを踏み躙りゐる

・脣(くち)紅きからくり人形茶を運ぶ閑日の机(き)に黄昏の相

・おきあがりこぼし倒れて返らぬまま泉水の亀が火を喰ひ散らす

・藁人形火に焼(く)べ身命保ちたり二月の寒燈わが貌(かほ)映し

・首もげしバービー悼みドーナツ食ふ睫毛きらりと蒼穹を刷(は)き


下の句のオリジナリティに注目しました。


・ぬひぐるみのお腹ほつれてふはふはと六腑真綿の陀羅尼をなぞる

・九字切ればペコちやん人形あらはれりわが遠天(をんてん)の祈り揺るがせ

・くれなゐの血と肉持てるわれなるかマネキン銃弾撃ちこまれ冬

・マネキンに銃痕三つ虚空(そら)が視えぼくがみえちちははがゐる

・マネキンの罅割れに舌挿し入れて夜毎堕ちゆくわが海のあり

・マネキンに体温ほのと移るとき抱きしめてゐる乳房重たく

・手にとりてずつしり重き銃弾と何も見てゐぬマネキンの眸(まみ)

・膨らみゆくヒヤシンスの球痛ましく春愁ひのマネキンに備はざる

・マネキンの両腕縛る春宵は自涜の花粉に渇きゐしわれ


どこか寺山っぽい。


・廃ビルの庫(くら)にぎつしり詰まりゐるマネキンどれもどこかが欠けて

・首筋に淡き愁ひの蜘蛛の子とぼくが見てゐる水着のマネキン

・マネキンの朱き唇夢に顕ち褪せゆくままに冬ざれのデパート



新境地の歌もあって、とてもよかったと思います。
殿堂入り投稿者ではありますが、
特別賞として『活弁士、山崎バニラ』山崎バニラ・著
をプレゼントいたします!

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かんなさんです。

・セルロイド人形を抱きおかっぱの祖母は五歳の夏の中へと
(かんな)

・百体のリカちゃん人形並べられどの体にも空洞がある

・さようなら、3月の風は理科室の人体模型の胸を吹き抜け


抒情的な歌。
3月っぽさがよく出ています。


・のびのびと両手をひろげ廃村の田圃の案山子が朽ちてゆく秋

・着ぐるみのジッパーを閉めまた時給800円のヒーローとなる

・ぬいぐるみ作家の部屋の幾百の眼に睨まれて動けない夜


辻村ジュサブロー先生の部屋は
生き人形がたくさんいて凄いらしいですよ。


・少年が右足首に眠る夜ナナちゃん人形光を放つ

・抱き人形のパンヤほぐせばほろほろと子供の頃の夢がこぼれる



安定感があってよかったです。
毎回新作が楽しみです。

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お疲れ様でした!

今回の「優秀作品」の賞品も豪華なので、
楽しみにしていてください!

では、新型インフルエンザなどに気をつけて
お過ごしください。

よろしく哀愁☆


posted by www.sasatanka.com at 23:47| Comment(12) | TrackBack(1) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
総評ありがとうございます。<br />
そうとう久しぶりに4首もとって頂いたような記憶です(遠い……。<br />
あらためて考えますと冬は字数あわせのために入れてしまったよな感じです。<br />
サンタクロースで冬は十分わかりますところでした。<br />
やはり別の何かを考え付かないといけないのであろうと思うところです。<br />
このところ個人的にはそこそこ銚子いいのですが、まだまだ学ぶべきことが多いとも思うところです。<br />
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
Posted by 富田林薫 at 2009年11月24日 20:30
笹師範、お忙しい中、總評どうもありがたうございました。<br />
それにしても何故私が異界暮らしだといふことが見透かされてしまつたのでせう?こちらはもう、本當に(以下略)。
Posted by 酒井景二朗 at 2009年11月24日 20:39
ご多用中のところ、ご総評頂きまして、有難うございました。<br />
<br />
2首選んでいただきまして、大変感激しております。<br />
「貼れど」のところ、気づかないまま投稿してしまいました。<br />
(別のところを後で訂正を入れている途中で誤送信してしまったり、おっちょこちょいでした。。反省)<br />
<br />
見落としがちな大切なポイントを教えていただき、また皆様の素晴らしい作品から学ばせていただける場として拝見しております。<br />
<br />
まだまだ初心者ですが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
Posted by 猫丘ひこ乃 at 2009年11月25日 00:55
笹師範、総評おつかれさまです。<br />
特別賞ありがとうございます!!!<br />
励みになります!<br />
今回の投稿歌、推敲が足りなくてちょっと悔やんでいましたが、バニラ本を賜ることになり光栄です。<br />
<br />
話は変わりますが、「海」総評のとき、笹師範のぼくの歌に対するコメントを読んで、どう応えたものだろうかと考えているうちにコメントする機を逸してしまいました。<br />
笹師範のいつも言っている、短歌は幕の内弁当ではなく、豪華一点主義であるべきというのは、そのとおりだと思いますし、物語を詰め込みすぎなのでは、という評言にも首肯できるのですが、どうしても言葉を詰め込んでしまうぼくの癖は、多分、エズラ・パウンドの"Literature is language charged with meanings at most possible degree."という『ABC of Reading』という本のなかの言葉が常にぼくの頭にあるからだと思います。<br />
このパウンドの言葉をどう解釈すべきか。ただ単に言葉を詰め込んだからといって結果として印象が散漫になれば、パウンドの言を裏切ることになってしまいそうです。一首を「可能なかぎり意味で充填する」とは、はたしてどうすべきなのか?このことに関してはこれからのぼくの宿題としたいと思います。最近読んだ鷹羽狩行の『俳句の秘法』という本のなかでも、鷹羽氏は、笹師範と同じ意味のことを述べていて、ことは短歌と俳句両方に通底する問題のようです。<br />
パウンドは"Literature is news that stay news."とも述べていて、たとえば塚本邦雄の『緑色研究』なんかはその言葉に値するのではないかと思います。いつの時代になっても、未知の情報を蔵した短歌というものがあるならば、それを目指して邁進したいと思うばかりです。
Posted by 鶴太屋 at 2009年11月25日 09:46
笹師範<br />
ご多忙の中、評をありがとうございました。<br />
ジュサブロー先生の生き人形に囲まれて眠りたいです。<br />
私的にどたばたバタバタしていた為に作歌数も推敲時間も少ないままの投稿になってしまいましたが、なんとか及第点をいただき、ほっとしています。<br />
次回はじっくり腰を据えて詠みたいと思います。またご指導よろしくお願いします。
Posted by かんな at 2009年11月25日 11:28
お忙しい中、総評頂きありがとうございました。<br />
またコメントも頂きとても勉強になりました。そして何よりとても励みになりました。本当にありがとうございました。<br />
次回までには、教えていただいた点をきちんと吸収していきたいと思います。
Posted by 空山くも太郎 at 2009年11月25日 13:35
笹師範、総評ありがとうございました。<br />
<br />
批評、とても勉強になります。<br />
改めて、しっかり基礎を見直そうと思いました。<br />
そして、この好調を維持できるようにしたいものです。<br />
これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by キタパラアサメ at 2009年11月26日 04:32
お忙しい中の総評、ありがとうございました。<br />
時間が無いわけではないのですが、なかなか短歌と向き合う時間を取れない毎日のなかで、どのように作っていくかを考えてみたいと思います。次回も、作る、ということを目標にして、頑張りたいと思います。ありがとうございました。
Posted by あきえもん at 2009年11月26日 05:25
今回は初めて三首も拾って戴き改めて勉強への意欲が湧きました。ありがとうございます。
Posted by 貝柱ひとみ at 2009年11月27日 06:57
笹師範、総評お疲れさまでした。<br />
<br />
今回、推敲が甘く、選んでいただいた歌にも気になるところが残ってしまい残念です。<br />
空気人形の歌も見返してみると“孤独”とかいっちゃってて、あちゃー……と思いました。しかも、Perfumeの歌もまんますぎなところにいっちゃって、あ〜ちゃん……と思いました。<br />
が、かろうじて総評に残して下さってありがとうございます。次回は、この反省を活かし、心にずっきゅんとくる歌を詠めるようにがんばりたいと思います。<br />
どうもありがとうございました。
Posted by 岡本雅哉 at 2009年11月27日 09:48
笹師範、総評ありがとうございました。<br />
2首も選んでもらい、このまま末席に居座る野望は進行中です。(とても励みになります)<br />
今回はコメントを頂き、口語に統一するはまったくの想定外でしたので、改めて脇の甘さを認識しました。<br />
密かに自信のあった歌はさくっと切られたので、どこに問題があったか、只今検討しています。<br />
次に絶対生かしたいと、改めて意欲が沸き立っているところです。<br />
ありがとうございました。
Posted by ユメバク at 2009年11月27日 11:53
>富田林薫さま<br />
字余り短歌はポリシーでしょうか?<br />
先日、和田誠さんの個展オープニングで奥様にお会いしましたよ。<br />
よろしくお伝えください。<br />
<br />
<br />
>酒井景二朗さま<br />
アヤシサ∞(無限大)でしたね!<br />
ぜひこの路線で狂い咲いてください!<br />
<br />
<br />
>猫丘ひこ乃さま<br />
「夜はぷちぷちケータイ短歌」でも大活躍ですね!<br />
この調子でがんばってください!<br />
<br />
<br />
>鶴太屋さま<br />
今回の作品、とても魅力的でした。<br />
個人的には幕の内弁当短歌でも美味しければアリだと思っています。<br />
塚本先生の『緑色研究』なんかは詰め込み具合が気にならないくらい<br />
パワーで押しきってるし、なんといってもおもしろいですからね。<br />
鶴太屋さんの歌人としての使命は、<br />
幕の内弁当短歌を広く認めさせることにあるのかもしれませんね。<br />
今度、塚本青史さんをご紹介しますので、<br />
そのあたりについて語り合いましょう!<br />
<br />
<br />
>かんな様<br />
今回の作品もよかったです。<br />
次回作も楽しみにしてます!<br />
<br />
<br />
>空山くも太郎様<br />
ホラー系の歌でおもしろかったです。<br />
次回作も期待してます!<br />
<br />
<br />
>キタパラアサメ様<br />
今回も良かったです!<br />
マネキンと人体模型の歌は佳作クラスの歌です。<br />
なぜか取り逃してました……。すみません。追加しておきます。<br />
次回作も期待してます!<br />
<br />
<br />
>あきえもん様<br />
生活第一で短歌に取り組めば良いと思いますよ。<br />
短歌オタクになる必要なし。<br />
このまま楽しくつくっていってください。<br />
<br />
<br />
>貝柱ひとみ様<br />
どの歌も少しずつ惜しかったのですが、素質はあると思います。<br />
ぜひ続けていってください。<br />
ペンネームもいいですねぇ。<br />
<br />
<br />
>岡本雅哉さま<br />
「LOVEずっきゅん」でがんばってください。<br />
あれは相対性理論か。<br />
<br />
<br />
>ユメバクさま<br />
コメント頼もしいです。<br />
次回作も期待してます!
Posted by 笹師範 at 2009年11月30日 01:58
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