「総評」です。
えー今回の「建物短歌」
工夫されている歌が多くて、
おもしろかったです。
何度も言ってますが、
良い短歌をつくるコツとは、
「歌の中にはっきりとした答えを出さない」
ことだと思います。
答えに有無を言わさぬ破壊力があれば、
読ませる歌にもなるのですが、
そういう作品にはなかなかお目にかかれません。
道歌のようなジャンルもありますし、まぁ例外もありますが、 最初から答えが全部出ちゃっている内容は、
短歌ではなく、評論やエッセイ、
あるいは小説などにすべきだと思います。
7〜8割くらい答えがわかっているけど、
最後の最後まではわからない。
だから最後の判断は読者に委ねる
というような歌が理想だと思います。
答えを誘導していって答えが出る直前で止める。
これが短歌をつくるコツのようなものではないかと思います。
なるほど!
答えが出ちゃっている歌というのは、
今回の投稿作品では、
・あこがれのお菓子の家の現実は暑さに弱く雨には溶ける
(ユーリーボ)
「現実は」といって、
「暑さに弱く雨には溶ける」という答えを全部説明してしまっています。
こういう場合は、
お菓子の家が暑さと雨でドロドロになっている光景を
ストレートに詠めばいいのです。
そのほうが作者の意図である「現実の無惨さ」が何倍もよく伝わります。
・江戸城に天守閣まであったのは家綱までの4代限り
(江戸検1級秋葉文人)
この歌も、事実というか作者の雑学の知識を
そのまま31文字にしただけの散文です。
学研の『まんが日本史』とかのページの端っこにある
「豆知識」のコーナーそのままです。
そういう「豆知識の歌」というのは、
よほど変な珍しいものでないかぎり、なかなか歌になりません。
初投稿の人が多かったので、
基本的なことを書いてみました。
作歌上つまづいた時は『念力短歌トレーニング』を読めば、
きっと何かヒントを得られると思います。
ぜひ隅から隅まで読んでみてください。
わかりました!
では、「総評」にいきます!
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まずは、
はせがわゆづさんです。
・真新しい私になってく日曜日コインランドリーのひなたの匂い
(はせがわゆづ)
春っぽい、良い歌です。
・教会の鐘を遠くに聞きながらキスした甘いバニラみたいな
・海の家で愛を誓ったばかりです 雪どけはまだ遠いねほら貝
・飛行機雲追いかけていく梅田スカイビルから君まで一直線に
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めぐみさんです。
・闘わないことを非難されている気がして仰ぐ安田講堂
(めぐみ)
・火炎瓶を投げてたひとが壇上で文学を説く900番教室
・時計台から見下ろせばキャンパスは外の世界と地続きだった
・闘わない我等を非難する大人は安田講堂に立ち入り禁止
・白黒の写真でかつて見たよりもぼやけて見える安田講堂
道浦母都子さんの歌集『無援の抒情』を彷彿とさせる一連。
実体験でしょうか?
それともなりきり詠でしょうか?
いずれにせよ実感がこもっていて、読ませます。
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イマイさんです。
・雨ごしに数多の血管見下ろして答えにつまる東京タワー
(イマイ)
道路を血管に見立てているのでしょう。
・これからはここが日常 一軒家の瓦の屋根は白光りする
・一日で気配の消えたアパートは空き家のにおい溢れ出てくる
「空き家のにおい」が
おもしろかった。
・吹き荒ぶ風に途方に暮れている寄り添うだけのショッピングモール
・図書館の閲覧室の大人たち行く充てのない平日にいる
「行く充てのない」は、
余計な説明でしょう。
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山口ヤスヨさんです。
・歌舞伎座を裏の路地から眺めれば太き電線はらわたのごと
(山口ヤスヨ)
「はらわた」が、
歌舞伎の切腹の場面を暗示していてよかったです。
・もう誰も通って来ない学び舎のちりがみの花を濡らす春雨
・学校が解体されても消えないで黒板のすみ君の告白
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富田林薫さんです。
・頑張っても3号までと知りながら買ってしまった『週刊 安土城をつくる』
(富田林薫)
富田林さんらしいオリジナリティがあります。
・金融の神の怒りをかったブルジェドバイ崩れ落ち結局はもとの砂漠
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深森未青さんです。
・ゆふさりのひかり湛へるネット内墓地トツプペエジの金字塔
(深森未青)
いずれネット墓地が主流になるかも……。
・登るより下りるが難しいのよとフエイ・レイ言ひて王(わう)は哭きたり
・狂王の湖(うみ)にしづみて白鳥(はくてう)の城はくづれつなほくづれつつ
・島となり軍艦となり島となる千年生くる魚(いを)は知らずも
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暮夜 宴さんです。
・ハチミツをもらいに行けばプーさんの家は春までCloseのまま
(暮夜 宴)
秀逸なディズニー短歌。
・しあわせは竜宮城に眠らせていつかあなたもロマンスグレー
うまい。
・信念と書かれた額が燃え上がる極真空手道場の夜
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てこなさんです。
・フライパンに入れたあさりのように泣く余熱のZeppTokyoを背に
(てこな)
絶妙な比喩だと思いました。
・この日々に飾り包丁いれるごと裂いてホテル ザ・マンハッタンで
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松木 秀さんです。
・「人形屋佐吉」の黒い店先も覆い隠して春の雪降る
(松木 秀)
・宝くじもし当たったら全力で再現してみたい二笑亭
・函館の近くと炭鉱の近く巨大仏像の残骸はあり
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やすたけまりさんです。
・「今月の組み立てふろく」のりしろがずれてゆがんだ太陽の塔
(やすたけまり)
・のりしろのしろは白だと思ってた 住友童話館は虹だった
絶妙な下の句によって、
上の句のモノローグが活きました。
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虫皮さんです。
・頓挫せしリゾートホテル屋上の錆ゆく重機に鳥憩いけり
(虫皮)
近未来のドバイの風景。
・星月夜 蟻塚あまた並び立ち人類はもう滅亡しました
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文月育葉さんです。
・楳図ハウスを知らぬ夫に紅白のシャツ着て両手を広げていたり
(文月育葉)
寺山修司本歌どり。
よくできています。
・午前九時開館告げる美術館『種まく人』は背筋を伸ばす
絵の中の人が、
客が来る前に準備をしているという歌。
・海沿いのホテル『エーゲ海』で処女を捨てシーツの海に溺れる人魚
・ほろほろと鱗を落とし教会のバージンロードを人魚は歩く
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星野ぐりこさんです。
・建物に守られながら生きてきた君の野性に期待はしない
(星野ぐりこ)
・足元に頭を置かれそういえば2人だっけ、と思うアパート
「置かれ」がちょっとひっかかりました。
・団地にはカレーの匂いが良く似合い「母さん」なんて呼びたくもなる
・死んでいく声ばっかりを聞いていた白さが目立つ病院の中
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酒井景二朗さんです。
・100tの鐵の鎖を搬入する 天使立入禁止の塔に
(酒井景二朗)
・エボラ熱大感染を省みず宇宙へ去つて行つた都廳舍
・死ぬのなら昆蟲館と決めてゐるこの身全てを蛆にあづけて
イメージが浮かんできて、
気持ち悪かったです。
・天空に一瞬見えた樓閣が崩れた 夏を拂ふ夕立
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真風さんです。
・見晴るかす平屋ばかりの町並みをスパイダーマンとぼとぼ歩く
(真風)
・摩天楼空に浮かびしへリポート ルパンの影が夕日に消える
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滝沢勇一さんです。
・午前二時渋谷の巨大液晶が光ってテストテストテスト
(滝沢勇一)
謎めいていて、よかったです。
・電車から見える送電鉄塔が怖いからもう、どこにも行けない
・純粋な気持ちで廃墟を見に行って卑猥なことを少ししようよ
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都季さんです。
・青空に一番近い場所だったジャングルジムは小さくなって
(都季)
・廃墟にも夏の影濃く足元でいつかの光が音高く散る
・紫に一瞬光る電波塔 都市伝説が配信される
うまい。
・博物館地下収蔵庫の梟の瞳に流れ星は瞬く
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104heroさんです。
・真下からエッフェル塔を覗き見るカメラ片手にタシロのキモチ
(104hero)
・父のいた古アパートが壊されて青空増えた景色ただ見る
1回休んだ間にパワーアップされてますね。
とてもよかったです。
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新井蜜さんです。
・少しだけ丈の短い棺に寝るロンドン塔で首をはねられ
(新井蜜)
・先立ちし者も後追う者たちも集いてホテル・カリフォルニア燃ゆ
・白抜きのワールドトレードセンターに突っ込んでいく零戦の群れ
会田誠さんの絵「紐育空爆之図」を彷彿とさせる歌。
同じ発想の歌に大辻隆弘さんの
・紐育空爆之図の壮快よ、われらかく長くながく待ちゐき (大辻隆弘)
という有名な歌がありますが、
想い・心情がこもっている分、大辻さんの歌のほうが上です。
たとえ空想の歌であっても、
それを良いと思うのか、悪いと思うのかが
伝わるくらいの「想い」は漂わせなければいけません。
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水野加奈さんです。
・ゲゲゲの家とよびたきツリーハウスよりおとこのくさめ聞こえくるなり
(水野加奈)
・カーラジオ眠りつつ聞く海沿いのドライブインの破れたひさし
・〈太陽の塔〉なる記憶スケッチにクリオネですかとナンシーの声
絵が浮かんできます。
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団地ファンの
虫武一俊さんです。
・農機具の倉庫の壁に錆びついた鶏がいて静かなる夏
(虫武一俊)
・ゆうぐれに隅のソテツがざわめいて校舎の影は人を襲えり
・夜の果てにスターハウスが沈むとき肩からほどけ落ちるふろしき
・耳をすませば坂のむこうに群がれるビルとビルとが睦みあう春
余談ですが、団地ファンのひとりとしてみなさまに「スターハウス」を一度は見ていただくことをオススメしたいです。
現在各地で建て替えが進んでいるので……
あの、どの角度から見ても飽きないフォルムは必見です。
なるほど。
グーグルの画像で見ましたが、
たしかに味わい深いですね。
「ふろしき」が昭和っぽくて効いてると思いました。
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さやさんです。
・鐘のない寺から僧がいなくなりひっそり死んでゆく僕の村
(さや)
・鉄塔のようねと言ってほほえんだ水着の白を思い出せない
・思い出せ 血みどろの校舎裏の俺 今よりたぶんマシだった俺
どの歌もおもしろかったです。
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憂太郎さんです。
・3Fの2年2組の教室の窓側だけが圏外になる
(憂太郎)
・午後9時の横浜駅の構内で違ふ制服着てゐたA子
・三本のオバケ煙突一本に重なる路地にポン引きが立つ
・第4期造成されしニュータウンに往時のままの団地妻をり
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佐々一竹さんです。
・鉄路果て海とのはざま門司港という名の駅舎たたずみにけり
(佐々一竹)
・火の消えし窯の煙突見上げたり或る若者の死を悼むため
笹井宏之くんを追悼する歌でしょう。
・雨けむり人まばらなる天主堂被爆マリアの像は黙しぬ
・清正公の築きしあげにし石垣を蟻一匹が登りつめたり
・いにしえの島津を知りし館かな桜島をも借景として
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小野伊都子さんです。
・ドイツ菓子みたいな形の校舎から甘い明日を夢にみている(小野伊都子)
ドイツ菓子といってもたくさんあるので、
具体的な菓子名にしないといけません。
おそらく「シトーレン」のことだと思いますが。
・病院は紙ひこうきを飛ばす場所 ハロー神様お元気ですか
・こんなにも揺れるだなんて あのひとのひと言だけでワラのおうちだ
・あのひとのビルを支えるたくさんのネジのひとつになれますように
鉄郎(銀河鉄道999)っぽい発想。
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わだたかしさんです。
・放課後の影にのまれた西館が七つの謎で動き始める
(わだたかし)
・アカサカのアカサカサカスまえのサカ アカサカサカスサカで差す傘
言葉遊びの歌ですが、お上手です。
・ジュリアナの地下に隠れたボディコンがアラフォーになりまた扇子ふる
・例えれば東京ドーム十個ぶん愛しているよ からっぽだけど
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つぼねさんです。
・駅前の高層ビルが建ってから我が家の日の出は2時間遅れる
(つぼね)
・「みぃちゃんは大きくなったら王子様とお城へ行くの」とラブホ指さす
ちょっとありがちか。
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岡本雅哉さんです。
・足元に伸びる巨大なギロチンの影をたどれば凱旋門が
(岡本雅哉)
・たわむれる親子のあいだ石垣もお堀も消えるこどもの城で
・常磐の温泉テーマパークにはフラのリズムで粉雪が降る
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伊藤夏人さんです。
・西本願寺御影堂の瓦の裏に君の名をそっと書きます
(伊藤夏人)
・柱にはちょうどいいのでガチガチのままでお席でお待ち下さい
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西野明日香さんです。
・ぼくたちはどうせちぎれてしまうからエッフェル搭の風はいらない
(西野明日香)
・聖堂に張り付く膝が動かない 眩しきマリア遠すぎる道
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伊藤真也さんです。
・足音に耳をそばだて唇でリコーダーに触れた旧校舎
(伊藤真也)
・時計台のどこまでも長いシルエット もう少し好きでもいいですか
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花関索改め単子さんです。
・父母(ちちはは)と子のアルバムを岸に置き夢の砦は水面(みなも)に消ゆる
(花関索改め単子)
「岸辺のアルバム」(山田太一・作)への
オマージュとして読みました。
・高楼の叢林の底にある光ヘプバーン忌の緑の舘
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蜜さんです。
・見ないふりしてあげるから屋上の鍵を盗んで告白しなさい
(蜜)
・制服でもう学校に来ないでよが最後の言葉の卒業式
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ひいらぎさんです。
・思い出はそれ程ないけど子供にもいずれ見せたい京都タワーを
(ひいらぎ)
・京都タワー見えなくなると不安だしやっぱり結婚取りやめようか
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加藤サイさんです。
・「離さない」真っ赤な嘘で染められた東京タワーを君とも登る
(加藤サイ)
・かみさまがいるかどうかもわからずにうたっていたましろいおみどう
・休館の美術館ではルノワールの少女が雨と踊っている
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そう蛸さんです。
・粘質の春一番が吹き抜けるぎろちんみたいな風水ビルを
(そう蛸)
「ギロチン」とカタカナにしたほうが、
ビルっぽさが出ると思うけど。
・鐘が鳴る鐘が鳴るはかいしに空のひろさをつたえるために
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柚木良さんです。
・書庫深くブーツを磨く老司書の階級章のごとき目のしわ
(柚木良)
・はじめての跳躍のとき手をついた跳び箱深く倉庫に眠れ
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船山登さんです。
・「WC」と住宅地図に載っている角の御手洗さんのお屋敷
(船山登)
・人の世の新陳代謝(メタボリズム)か「建て替え」で消える中銀カプセルタワー
中銀カプセルタワーとは、
メタボリズムを提唱した黒川紀章さんの代表作です。
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ウクレレさんです。
・枇杷の実のごとく明るき太陽の塔の瞳に男の影あり
(ウクレレ)
立てこもっているのでしょうか。
・バリアフリーになってしまえり大阪城 諸人こぞりて攻め落とされる
・ピサの斜塔よりも傾く本社ビル派遣社員がころがり落ちる
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穂ノ木芽央さんです。
・気がねなく咲く満開の桜木を無人の社宅の柵越しに見ゆ
(穂ノ木芽央)
・踊り場のコンクリートのつめたさを知ることもなく大人になりて
・さいごだよグラビア真似て赤煉瓦もたれて笑ふ液晶画面
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楓さんです。
・少年や淫語の夏の後始末産屋の木綿カーテンを濯ぐ
(楓)
・僕のび太君は道造僕は君愛を歌いて犬小屋に棲む
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かわらさんです。
・安土城のプラモをつくる母の目が一瞬光りぬ 「光秀」を聞けば
(かわら)
・東大寺の巨大な微笑みふくらみて今宵ひとつの死は成就せり
・水筒の黄金水を返したまえ 清水寺から飛び降りし友
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・子規記念博物館の上空に
穴
石ころが
落ちてきました
(MC・E)
正体バレバレのMC・Eです。
子規記念博物館で作者がわかった。
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☆ビーチャの1首劇場☆
・直ぐに建つ東京タワーや大橋もあやとり紐で一瞬のうち
(おはぎ)
・宇宙へと羽ばたくためのエネルギー蓄えし豊田スタジアムの屋根
(魚虎)
・たくましく成長したね子供たち 不敵に笑う太陽の塔
(ユーリーボ)
・石三つ重ね小さき手を合わす白猫鳴きて雲かけて消ゆ
(中宮清子)
・地下深くゆるゆると降り別れ際互いに触れずこれからのこと
(あげはた)
・4号館うらの廃棄パソコンに保存すきみとのわずかなデータ
(空山くも太郎)
・蔦が這う暗く汚れたマンションが幼なじみにすこし似ている
(雪千代)
・片割れの靴があちこち転がりて人待ち顔すシンデレラ城
(たみ)
・駅名でつぎ住む町を決めようか 読めない駅を読む きれんうりやぶり
(木村比呂)
・泣きもせず笑いもせずに七色にかがやくタージマハールのきもち
(わたつみいさな)
・青空に京都タワーの嘘くささ 転居通知は破り捨てます
(月下燕)
・生真面目なサトルは今も廃校の廊下で校内放送を聞いてる
(やましろひでゆき)
・子供らにお化け屋敷と呼ばれてた誰かさん家のただ古い家
(江戸検1級( ´・ω・)秋葉文人)
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あきえもんさんです。
・捨て犬を拾うがごとく鉄屑を集めてゴミの屋敷は賑やか
(あきえもん)
いいとこと突いてます。
・「天地無用」悟りのように貼り付けて命を包む段ボールハウス
・私なら屋上に居ます大丈夫最短距離で降りませんから
・キシキシの髪からがさがさの踵まで褒めて「建物探訪」の人
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鶴太屋さんです。
・校舎ごと時空を漂流するならばぼくは噛みくだく白き錠剤(タブレット)
(鶴太屋)
・グワシして指攣(つ)る日本は花冷えの楳図ハウスを訪なふ神神
・あめーばの分裂してゆく夜のシャーレ旧館奥のピアノは透きつつ
・東京タワー裡(うら)に鎮座せしUFO覗けばDEVOのさてぃすふぁくしょん
・マチュ・ピチュの遺跡しづかに炎えやすく乾季待つこころの花まつり
・エッフェル塔離陸する刻(とき)百人の吟遊詩人の黒焦げのギター
・世界貿易センターのかけら刃のごときを握りて奔る新聞少年
・ジョン・ベリマン詩集にうすく凍りたる雪を払ひて図書館の冬
・アラミーダ・ホテルの微塵の空焼けてエリオット・スミスは翳を歌ひき
・千枚の翅の顫へる蝶の吻(くち)、塔に縊(くび)れし屍(し)に群がりて
・ピサの斜塔きぬぎぬのごとかたむくを裸のままに剥きゐる林檎
・夏の港の倉庫に犇く貘たちの夢は凛(さむ)くて一屯(トン)の氷塊
・後架わきの早咲きの薔薇 枯草熱のぼくは洟かむ春の館に
・大理石にうるはしき接吻(キス)刻みたるタージ・マハルは熱く冷えゐる
・麗(うらら)かなるパルテノン神殿の朝焼けは青く燃えつつ眠れる水夫
・玉葱齧るごとし眸(ひとみ)に沁みとほる甘き曇天のサグラダ・ファミリア
・春は痩せ犬、夏片眼猫 億万の涙(なんだ)を歌ひて万里の長城
・素寒貧、胃の底までも風沁みれば皇居の堀の鳰(にほ)裂き啖(くら)へ
いろんな国の建物を詠んでいて、
どの歌も楽しめました。
いつもながら鶴太屋さんの守備範囲の広さには驚かされます。
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かんなさんです。
・夏の日のビッグエッグを飛び跳ねるオレンジ色のスーパーボール
(かんな)
・巻き貝のなかをたどってゆくような古灯台の螺旋階段
・たんぽぽの綿毛ほわんと六本木ヒルズの上に花を咲かせる
・コンパスを優雅にまわす丸ビルの設計技師の細い指先
・取り壊し期限が迫るアパートの外階段に腰掛け眠る
・少年は太陽の塔の影の下、時限爆弾胸に抱えて
・ポッキーを並べたような影が消え高層ビルは闇へと溶ける
・はりぼてのケーキのような教会で確かめられる「真実の愛」
・「その昔、耐震偽装があったとさ」古い厨で蓮根を切る
安定した実力を感じて、頼もしかったです。
直喩にもうちょっと意外性がほしいという気もしました。
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お疲れ様です!
今回、力作が多くて全体のレベルが高かったです。
1首も採られなかった人もけっこういましたが、
どの人にも惜しい歌というのはあったので、
がんばってまた投稿してください。
「優秀作品」の発表は、8日以降になります。
よろしく哀愁☆
今回は投稿した四首全て紹介してもらいたい一心で詠んだので、嬉しいです。<br />
(本歌どりの楳図ハウス短歌は怒られないかドキドキしてました)<br />
<br />
祖母と母親に報告したいけれど、後半がアダルトな内容なので…どうしようか悩んでます(笑)。<br />
<br />
旅の安全をお祈りしてます。<br />
ぜひとも角川先生と笹師範の念力でこの不景気を吹っ飛ばしてください。<br />
日本をよろしく哀愁☆
2首とっていただきありがとうございました。<br />
勉強がてら、皆さんの投稿から自分の好みの歌を5首選んでおいたのですが、笹師範と2首しかかぶらなかった(゜-゜)<br />
<br />
お題ですけど、季節柄今じゃなくてもよいかもしれませんが<br />
「病気・怪我」ってのはどうでしょう。<br />
いやー、花粉症がひどくって。<br />
今後ともよろしくお願いします。
<br />
ほぼ実体験(というか、実感情?)です。<br />
ものすごく実感込めました(笑)<br />
<br />
わかりたいとは思うのに、わたしたちには彼らが何で闘ったのか、ちっともわからないのです。<br />
<br />
ちょっと思い入れのある歌だったので、採っていただけて嬉しいです。
まだ三回しか投稿出来ていないのですが、笹短歌ドットコムのテーマは自分がいつも詠まないようなタイプの歌ができて面白いです。<br />
<br />
前回コメントしようか迷ったのですが、私の名前は「都季(とき)」といいます。<br />
総評で「季」が「李」になっているのを見て、ちょっと中国っぽい香りがしていいかもとか思ってしまいました(笑)<br />
分かりにくい名前ですみません;
4首取っていただきありがとうございます。<br />
前回全ボツだったので、反省とともに歌へのアプローチをあらためて考え直した成果が出せたと、自分では解釈しています。<br />
<br />
スターハウス、やはり惜しいですね。なくなっていくのは。<br />
そんなさびしさが出せたらということで「ふろしき」ともってきたのですが、効き目があったようでうれしいです。
<br />
ようやく“一首ルーム”から帰還を果たしました……「念力短歌トレーニング」を読んで安定して詠めるようにがんばります。<br />
<br />
自分は発想を形にする時点でひとりよがってしまう傾向があるので、冒頭の“答えを誘導していって答えが出る直前で止める”というアドバイスも非常にためになりました……
特に辛い日々を送っているわけではないのに、「建物」のお題でなんだか暗いものが出来上がったのには自分でも驚きました。<br />
取っていただいたのは4首でしたので、取っていただけないものとの違いをゆっくりと考えてみたいと思います。ありがとうございました。<br />
次回のお題に引き寄せられて、どのようなものを考えられるのか楽しみにしております。次回もよろしくお願い致します。
<br />
最近は頭に浮かぶ景色が少なくて、5首出せなかったのが残念です。答えを見せずに、というのはいつも心掛けているのですが、それだと自分よがりになりがちで、わけの分からない内容になってしまう傾向があります。(まあ、そういうのもよいのかもしれませんが)<br />
<br />
精進します!<br />
<br />
旅中お気をつけください。
今回初挑戦にして、こんな結果になってしまって、本当に悔しいというか、申し訳ないというか、自分が情けない気持ちです。<br />
あとから見直してみても、僕の歌は軽いというか、浅いというか、まだまだ精進が足りないなと思いました。<br />
今回の笹師範のお言葉をしっかり心に刻んで、次回頑張りたいと思います。
<br />
いつもながら丁寧な評をありがとうございます。<br />
なかなか建物を自分の方に引き寄せられず、難しいお題でしたが、色々と勉強させていただきました。自分らしさを見つけられず手探り状態ですが、次回お題も楽しく詠ませていただきたいと思います。<br />
よろしくお願いします。
春の京都でお花見なさったのでしょうか。<br />
<br />
社宅育ちなので、一首目は実在のものです。ただ先日通りかかったらもう跡形もなくなっていました。<br />
というのもあって、この歌だけでも採られればいいなと思っていましたところ、三首全部採られていて、ひとまずほっとしました。<br />
相変わらず数が詠めませんが、次もがんばりますので。<br />
<br />
お忙しい中ありがとうございました。
<br />
楳図ハウスの歌、おもしろかったです!<br />
しかし寺山さんのあの歌をパロディーにする人って多いですね。
<br />
次の「お題」も楽しみにしていてください!
<br />
江戸にこだわる姿勢は良いと思います。
<br />
やはり実体験だったのですか!<br />
どうりで迫力があると思いました。<br />
道浦母都子さんや福島泰樹さんに見せたい歌です。
<br />
名前の誤植、何度も失礼いたしました。<br />
次回の歌も楽しみにしてます!
<br />
今回の4首、とてもよかったです!<br />
短歌のコツをつかみつつありますね。
<br />
ありがとうございます!<br />
<br />
そう書きつつも、答えが出ている歌で好きなのもたくさんありますけどね。
<br />
好調ですね。<br />
この調子で次回もがんばってください!
<br />
今回、パワーアップされてましたね。<br />
次回も楽しみにしてます!
<br />
3首目と4首目が惜しかったです。<br />
次回作に期待します!
楽しく詠むのが一番です。<br />
次回作も期待してます!
<br />
それはそれは。<br />
大変だと思いますが、こういう時こそたくさん短歌をつくって頂きたいです。<br />
<br />
『月蝕書簡』はもっと評価されてもいい歌集だと思います。<br />
オカルト系の歌が興味深いです。
<br />
今回の歌もおもしろかったです。<br />
3首目の歌は最近の中国でよく見られる光景だと思いました。
ハルキ先生と笹師範の強力念力タッグのおかげさまで<br />
かの国からの飛翔体も無事海に落ち平穏な春の日を過ごしております。<br />
深く御礼申し上げます。<br />
<br />
また今回の投稿歌から一首採っていただきありがとうございます。<br />
以前より『念力短歌トレーニング』を愛読しておりますので<br />
笹師範に採っていただけたことはとてもうれしく思っています。<br />
<br />
採られなかった歌のなかに、<br />
自分的には気に入っているものもあったので<br />
今回の総評と『念力短歌トレーニング』をよく読んで<br />
その歌を再度たいせつに推敲してあげたいと思います。<br />
<br />
ありがとうございました。<br />
今後ともよろしくお願いします。
<br />
ほかの皆さんのコメントを読み、「採られなかった歌との違い」についてじっくり考える作業を忘れていることに気づきました。<br />
<br />
これまでの投稿を見直し、また「念力短歌トレーニング」を再読してみます。<br />
<br />
本当にありがとうございました。
<br />
※今度のケータイ短歌、芋洗坂係長さんとご出演なのですね!<br />
たのしみにしています。
<br />
ほかの京都タワーの歌も悪くはないので、気にしないでください。<br />
一番良いと思う歌を代表で選びました。<br />
次回も楽しみにしてます!
<br />
「リコーダーを舐めた」と表現しないところに<br />
工夫を感じて良いと思いました。<br />
次回作も楽しみです!
<br />
ありがとうございます!<br />
係長さんの絵本もおもしろかったですよ。
<br />
最近やたらとレベルが上がってきているので、<br />
「1首劇場」でも堂々としていいと思います。<br />
次回作も期待してます!