えーっ!
これだけ待たせておいて第一声がこれ……?!
それに、もっと歌人らしい発言をしろ!!
えーと、じゃあ……
きゃりーぱみゅぱみゅって、
原阿佐緒にちょっと似てない?
今のは歌人ぽい発言ですし、
たしかにちょっと似てますけど、
「何かが間違ってる!」とだけ言っておきましょう。
りょーかいぱみゅぱみゅ
ぱみゅぱみゅはいいから!
10月から「未来」の選者に就任されるとのことですが、
準備のほうは順調ですか?
思ってたよりも大変な仕事だということが判明してね……。
子を持って知る親の恩的に師匠への感謝の念が湧いてきましたけど、
同時に、会に誘うのも勇気がいるなぁと思いましたよ。
まぁこのブログの作業に比べたら、だいぶ楽だけど。
そうでしたか。
がんばってくださいね!
「未来」の広告にも師範の名前が加わりましたね。
ああ、この戦後の匂い漂う広告ね。
13年前の6月、短歌雑誌に掲載されたこの「未来」の広告を見て、
問い合わせの電話をしたんですよ。
それで歌会を見学することになったんだけど、
歌会会場の中野サンプラザで
「こんな若者(当時23歳)が来るわけがない」って
受付の女性に追い返されそうになってね。
で、どうしました?
「間違いあらへーんっ!!!」
って叫んだよ。
なぜに関西弁!?
そしたら会場の奥に座っていた近藤芳美先生が
「お若いの、来なされ……」
って言って杖で招いてくださってね。
杖で!
それで、
「自信作を二首書きなさい」
って言われたから、
ホワイトボードに汚い字で秘密基地の歌と山の歌を書き込んだんですよ。
で、反応は?
「うむ、おもしろい」と言われたよ。
近藤先生に褒められたのは、これが最初で最後だったね。
いい話ですねぇ。
そんな思い出の広告に自分の名前が載ってるというのが不思議な感じですが、
笹選歌欄の旗揚げメンバー募集、
今月いっぱいで締め切る予定です。
おもしろいメンバーが集まっています!
入ろうかどうか迷ってる人は、
気軽に見本誌(無料)を取り寄せてください。
「笹短歌ドットコム」の常連には、
結社&短歌界で活躍できそうな人がたくさんいますから、
どんどん入ってほしいです。
投稿歌人で終わってほしくないです。
ということで、楽しい場にしたいと思います!!
期待してます!!
ところで、選者になって忙しくなっても
「笹短歌ドットコム」やめませんよね……?
うん……たぶんやめないよ。
季節ごとにやる小さなお祭りみたいなもんだからね。
祭りでもいいから、続けてくださいよ。
オッケー!
季節外れの祭り太鼓が心に鳴り響いたところで(?)、
「楽器」の総評です!
今回はニューカマー(死語)の活躍が目立っています!
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まずは、
はせがわゆづさんです!
・新月の道しるべとしてどこからかひっそりと鳴るトライアングル
(はせがわゆづ)
新月とトライアングルの組み合わせが
絶妙でした。
・夕暮れを隠してきましたハモニカの重なる音のどれかひとつに
・フエラムネをのぞきこんだら君がいて変わることない初夏へと向かう
フエラムネは、
食べられる楽器。
・ひとりにだけ聞こえるような口笛を雑踏のなかで吹きつづけている
どの歌もよかったです。
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・水底の魚人に思いを馳せながらステールドラムに身体を揺らす
(須田まどか)
たしかにスチールドラムの音色が似合いますね。
でも、ふつうに「人魚」にしたほうが
美しくていいと思います。
・ロートルのアコーディオンは新しい空気をあゝと旨そうに吸う
鋭い感覚。
・ヤクルトの容器の米は涼やかにリズム奏でるシェーカーとなり
・先人は骨と骨とを打ち合って閃いたのかクラベス鳴らす
・合わさって不思議なリズムを奏でてる君の心臓吾の心臓
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・ポロポロと爪弾くように手遊びに 女の名前は確かマリールー
(ムラサキ・ピープル)
そして、それを見守るマダム・ヤン
なんじゃそりゃ!
・円いバニティにはタンバリンが一つ いつか踊りたい夜に備えて
カラオケでも重宝しそう。
・パイプオルガンに吹き飛ばされた決意 ダスティン・ホフマンになれなかったよ
・午後九時四十二分大阪駅前歩道橋上草笛を吹く
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・おねえちゃんがはがし忘れたドのシール ドキドキのドだ けんばんを弾く
(小野伊都子)
・オルガンは野原の風の音がした バッタのみどり色のこくばん
・ロールパンたて笛にして吹いたんだ 今日きゅうしょくはホワイトシチュー
・たんぽぽの色の帽子を弾ませて打楽器になるランドセルたち
>今回は、小学生になった末っ子の
>あたらしい日々を題材にしてみました。
よくできてますよ。
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・黒鍵と白鍵のその間にはついに見ることなき音眠る
(鈴木午後)
・ヴィオロンの母のようなる胎内に蝌蚪はつぎつぎ生まれ放たる
シュールな絵が浮かびます。
・ピアニカを咥えて少女まっすぐに指揮棒を見る明日の夢見る
・担当はトライアングル 一曲に三度鳴らせば光を集む
・カスタネット赤青何度も打ち鳴らし指むらさきに染め上げている
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・ヒカシューを好んで聴きし祖父遺す形見にスイスの口琴ありぬ
(広瀬智深)
「遺す」とあるので「形見」は省略して、
スイスの口琴の形状などを描写すると、
もっとよくなります。
巻上さんの口琴、
目の前で聴いたことあります。
・プロフェットの音色をきわめようとした叔父が悟りをひらいたらしい
たしかに神秘的な音色。
・リコーダーでRYDEEN吹く帰り道ぼくらは魔術楽団だった
黄色魔術。
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・チェンバロの音色は翅を震わせて羽化せし蝶のやわらかき伸び
(手乗り文鳥)
・長き夜のトンネル抜けて産声は春あけぼのの金管楽器
・無機質な都会のビルの一角にチェロの音色で夢を売る店
「無機質な都会」
を他の言葉で表現すれば、
もっとよくなります。
・マラカスをドレッシングに持ち替えて鮮やかに振る君と三年
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・一人だけ鳴らせなかった口笛のようだねきみのこの悲鳴
(長妙理子)
・金属を繰り抜く空虚あんなにも綺麗な音を鳴らすため
・草笛は合図だったよ 人間の作り方など知らなかった頃
・無人駅脆く錆びたる柵に下がる「ピアノ教室 生徒募集中」
絵が浮かびます。
______________________
・12弦ギターのごとき木洩れ日にさらされて叔父は七三を梳く
(しまやまひかる)
・「野田ピアノ教室(仮)」という看板掲げてバツイチの姉
・チューバに絡みつかれてムツゴロウさんのメガネも割れているセレモニー
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・憧れのトランペットを金持ちにかっさらわれるような失恋
(山本左足)
わかる。
・犬笛を聞き分けられる斎藤がやたら怯えている夜明け前
・ボーカルの母とギターの父が今日、音楽性の違いで離婚
・見くびるな!ぼくはあの娘の縦笛じゃなけりゃ舐めたいとは思わない
・豆腐屋のチャルメラはもう響かない 夕陽に染まるすべての路地に
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・時計屋が楽器屋もするこの町に一羽も鳩を見かけていない
(虫武一俊)
・ハーモニカの穴それぞれに人が住み子を眠らせるそれぞれの唄
黒川紀章のメタボリズム建築を彷彿とさせます。
_____________________
・愛なんて信じてみたい もう一度チューニングからはじめてみたい
(きたぱらあさみ)
・リコーダーやピアニカじゃないとくべつなひとになりたかったのわたしも
・ちはやぶる神の右手のかき鳴らすテレキャスターにより感電死
山田かまちか!
・からっぽのほうがきれいに鳴けるからわたしは楽器だから さわって
・愛でした それはやさしく臆病でしずかにふるえる音叉のような
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・チャルメラが鳴り響いてた昔日の面影のない町に住みたり
(ニルソニア)
・神業のドラマーの腕二本には見えず千手観音如し
「の如し」
と
「の」
を入れましょう。
・捕まえた子ねずみセロに入れて弾く男の趣味は動物虐待
・そう俺は無用の長物スネながら男が吹いてるアルペンホルン
____________________
ゆづさんではなく、ゆかさんです。
・佳い音で鳴らしてみせてその舌で私の弦を奏でて欲しい
(はせがわゆか)
・台北の士林夜市のカラオケは一曲10円マラカスもあり
・ヴァイオリン奏でて募金つのる人台湾旅行の旅情彩る
・風神の怒りの太鼓鳴り響き竜巻街を破壊してゆく
「W浅野」(古いっ!)ならぬ
「Wはせがわ」として活躍してほしいです。
_____________________
・尺八の白き音色に共鳴りしたんぽぽの穂崩れ散りゆく
(渡邊単子)
「尺八」と「たんぽぽの穂」の取り合わせが、
新鮮でした。
・イルカ鳴く海に草笛吹いている終わりの雨の後の箱舟で
・賢治ケンジひとりのおまえ石原のひかりのオルガン天へと鳴らせ
______________________
・新緑を透かして光るサイダーの泡となりゆくウィンドハープ
(アイダ)
・きららめく魔法の粉は舞い散れり金のふるうと「愛の挨拶」
・キンコンカンつゆ迷ひなく飛び立ちぬ真白き鳩にウエディングベル
いい感じです。
・ひたぶるに目に見えぬもの待ち焦がる水琴窟は密やかな声
どの歌も一字空けの必要がなかったので、
詰めました。
____________________
・その中に並んだ管の色合いを思い描いて鳴らすオルガン
(小林ちい)
・随分ぼくら歳をとったねセロ弾きのセロがチェロだと気がつくまでに
なるほど!
____________________
・君のこと今は愛していませんとトロンボーンの音色で伝える
(夏実麦太朗)
たしかにそういう音色。
・丹念にフォークギターを燃やしても燃えないゴミはいくらか残る
青春の残滓。
・オカリナの穴やわらかくふさがれて漆黒の世に風ふきわたる
_____________________
・鉱石がイーハトーブを穢すとは賢治のチェロの無声慟哭
(壮太)
・銅鑼響き護岸離れし船尾から手を振る父が今もまぶたに
・ユーミンがピアノとジャケに写ってたあの頃波は穏やかだった
名盤「MISSLIM / 荒井由実」の
あのジャケットです。
_______________________
・笛ラムネ噛むか舐めるか決めかねて噛んで漏れ出る音の鈍さよ
(蜂谷希一)
・テルミンに蝶舞わせれば五線譜を引く由も無く音だけが在る
・犬笛も聞こえるような聴覚で悲しみを聴いてるんだね、お前
______________________
・コントラバスのようなあなたはいつも寡黙でビターなルサンチマン
(キョースケ)
・夕焼けがよく似合う彼女は今日もカスタネット鳴らして渋谷を闊歩する
・あの子が吹いたハモニカを放課後にひとりで吹けばゴーヤーの味
・リコーダーの口先の強い噛みあとぼくは何が悔しかったのだろう
_______________________
・愛の歌にはまだ上手く馴染めない けつポケットのブルースハープ
(佐々木優)
・チーンって音をならして荼毘に付す悲しき恋のトライアングル
・なぁ尾崎 自由ってなんだろうなぁ? アコギと三十五の夜の帳
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・遊び終へて家路を歩くとき響くコーラングレは夕暮れの音
(憂太郎)
・ほのかなる妖気感じて立ち止まる君の背後にテルミンが鳴る
・飽くこともなくパットドラムでリズム打つ試験前夜の兄貴の儀式
・私の思ひ浮かべるアイデアの効果音は所詮ベルリラ
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・VOCALOIDも電子楽器の一種なりされど初音ミクは俺の嫁
(松木 秀)
・「けいおん!」の影響でギターはじめたる姪がイングヴェイのように太りき
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・朝早く教室に来てきみの席すわって吹いたきみのたて笛
(みうらしんじ)
・夕暮れの校舎の前にたたずんで空からこぼれるハモニカを聴く
放課後抒情が漂っていて、
いい感じです。
・空洞の胸を響かせふるえてたあの日の俺がかき鳴らすギター
・雨音とピアノがコラボしたような声あげて泣く隣りできみは
>ところでご存知かもしれませんが、以前この記事(http://www.sasatanka.com/article/245430053.html)
>で取り上げられた若山牧水記念文学館のギリギリで収まってた牧水像は、今は日向市駅舎内に移設されています。
> http://www.yukan-daily.co.jp/news.php?id=25370
>駅に行かれた時はぜひご覧になってください。
先日、伊藤一彦さんと牧水像移設の話で盛り上がりました。
ぜひ見に行きます!
みうらさんにもまたお会いしたいです。
メールをください。
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・三味線に姿を変えた猫想い弾くまえの膝あたためており
(猫丘ひこ乃)
・見るだろう走馬灯には君の顔ストリートオルガンの音にのせ
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・青空のせまさが君の窓でした 象牙の色の鍵盤たたく
(ヤマー)
・漆黒の片翼ひろげ鳴り響くピアノが果てにある滑走路
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・高音のチェロは命を削る音きみの言葉に背筋をただす
(高松紗都子)
・「ねむるのがこわいの」という人の弾くマリンバの音は木々のざわめき
・オカリナを卵のように包む手にあたためられて音は生まれる
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・雨音の奏でる歌もかき乱す夜と朝とのつなぎ目の熱
(台所のキフジン)
・連弾のキミとの距離が近すぎて苦しいよ僕恋したみたい
連弾ってところがいいですね。
・お下がりの父さんのギター傷だらけ指先にふと17の父
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・黒いとこさわらないまま消えちゃったおもちゃのピアノのソドミの和音
(西畠勇氣)
・雨の日に隙間をつくる傘たてにすやすや眠る青いブブゼラ
・てなわけで今日はギターを持っていく方位磁石はわざと忘れて
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・マヌーシュは過去を持たない弔いの花に塗(まみ)れてギター燃やさる
(魚虎)
・幼子がメッタ打ちする出鱈目のキャンキョンカリキョレおもちゃのピアノ
・風のごとき乾いた音の出るばかり桟橋でマウスピースを吹けば
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・初音ミク、初音ミクになる前の少女の声で歌っておくれ
(岡本雅哉)
笹井くんの「スライスチーズ」の歌の本歌どり。
おもしろいです。
・夕立が地面をたたく音にまぎれアップライトのピアノをこわす
・めちゃ猫背のヴォーカリストの首にかけられて歌いだすタンバリン
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・遺言を守る賢き少年よ土饅頭に竪琴添へて
(穂ノ木芽央)
・黄昏に響くカリヨンこの指のやはらかさもまた忘れていくよ
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・楽器虫潰して鳴ったシの音は町の教会のオルガンの音
(滝沢勇一)
・すきっ歯で吹くハーモニカ「フェー。」って鳴ってボブ・ディランとおんなじおんなじ。
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・怒りため基地へと歩む少年にとうふ屋のラッパ高らかに鳴る
(ユメバク)
・誘惑の緋はひるがえり情熱のカスタネットを激しく打てり
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・足踏みドン手拍子パーンお腹がグウお尻がプウで口笛ヒュー
(螢子)
・刻まれるドラムのリズムぶれもせずラベルのボレロ佳境に入る
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・さみだれがこっぱみじんにはじければたいこのひびきいまもありあり
(夕夏)
・けいかいなたっぷだんすのちゃっぷりんじだんだふむかえいがきわめて
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・あの窓もこの家からも聞こえ来るリコーダー吹く子の変な音色が
(おはぎ)
「あの窓やこの家からも」
としましょう。
・朝六時僧の代りに鐘を撞き昼はオルガン幼児と遊ぶ
>住んでた家お寺で保育所でした。
>番僧は何時も遅刻起きてきません。
苦労してらっしゃる。
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・野球場トランペットの音にのって 僕らの席まで白球届け
(大久保 浩)
・ギターでの彼の弾き語り聴くたびに 天は二物を与えるんだと思う
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☆1首を奏でる☆
・ほとんどの人が箸と茶碗から抜け出せなくてドラマーでない
(飯田和馬)
・ピアノからジムノペティが流れてる 他人事みたいに聞く「別れよう」
(山口ヤスヨ)
・野に立てば草笛の音がどこからか聞こえる日々を昭和と呼ぶよ
(文月郁葉)
・弾けもしないビオラを買って永遠のくびれを撫でる不器用な指
(富田林薫)
・テルミンの音色のような春の日に追いかけているきみのゆびさき
(嶋田電気)
・ひすらあと壊れた笛を吹く少女捨てられた人形(ドール)のごとき笑顔で
(104hero)
・表現ができていないと止められるピアノの鍵盤ひとつ押すたび
(くどうよしお)
・荒ぶれる和太鼓に身を浸しゆく時は恍惚性愛よりも
(海月)
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鶴太屋さんです!
・漣(さざなみ)の輝き響(とよ)む春潮のヴィオラ・ソナタのあなたを聴きたい
(鶴太屋)
・月夜茸あはく光れる夜の森チェレスタの音(ね)が星より届く
・浜木綿忌箏(こと)の響(な)り来る邸宅の襖を開けてもあけても燕
・校塔の鳩は睡りの死に墜ちて月光が敲く銹びし鉄琴
・掃海艇しづかに沖を移りゐるこの夏の日を奏でるフルート
・街角の恋人たちのおしやべりが鍵盤鳴らすチェンバロの夢
・水くぐる碧(あを)き河鴉を視たる一瞬の後(のち)炎(も)えあがるチェロ
・泥鰌鍋啖(くら)ひてゐたり春雪の戸外を響く幽(くら)き尺八
この歌、とても好きです。
・透きとほる泪の河に翡翠(かはせみ)が餌(ゑ)を漁りゐしあの黄昏の笛
・夕雲にチャルメラ消(け)入り行商の蜆の鳴くこゑのみの裏町
・欅の蔭に牧童のリュート残されて花咲くをとめは海光の中
・血より濃き涙は知らずうすぐらき家系の暗渠を壊せよギター
パンクですね。
世界観は寺山っぽい。
・クラリネット・ソロは虚空に掻き消えれど音楽とふは回帰する魔
・鳥のカタログ飽かず聴きゐる冬の夜のヴァイオリンめき咳する家妻
・うち濁る魂の柵跳び越えむ銀のサキソフォンたをやかに掴み
・喉元ひかるホルン奏者のあはき恋青き蝶くちびるにさまよひ
・黎明に生(あ)るる光の泡零(ふ)ればコントラバスを奏でゐる初夏
力作揃いで圧倒されました!
めちゃめちゃ気合入ってますね。
どの歌もいいです。
鶴太屋さんの攻めの姿勢、見習いたいです。
10月からは「未来」での活躍も期待してます!
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未来のキツネツキ(ex青春エスペランサ)
こと
酒井景二朗さんです!
・狼を追ふな資本を疑へとがなり續ける巨大テルミン
(酒井景二朗)
・滿天星(どうだん)が血のやうに咲く春なのにピアノヶ岬で自殺のニュース
「血」と「自殺」のニュアンスが若干重複するので、
「血」を他の言葉に変えたほうがいいです。
・忸怩たるものを抱へて景品の白いギターを捨てる旅に出る
・プリペアド・ピアノの中で死んでゐる小學五年生を救ひ出せ
・轆轤首(ろくろくび)映る障子を開け放てば篳篥(ひちりき)千切る一陣の風
・愛のこと何も受け付けない君はただ横たはるシタールだつた
うまい!
・大人ならやるべきことがあるだらう早く歸れとカリヨンが鳴る
・ナナハンを樂器と言ひ張る男達なんか夕日に燒かれてしまへ
・遠い日のでんでん太鼓聞くやうに眠れば去るか今日の不遇も
・抱き難いぜ シンクラヴィアに成る爲の手術を受けた後のお前は
このわけのわからなさがいい!
・土星人でしたか夕べ訪れてオンド=マルトノ彈いたあなたは
・銀色の古いSF服を着てミブリ操る人の若白髮
・熱い海に沈沒していくメロトロン ダリの最後の叫びを鳴らし
・ギュロを彈く要領だよと燒きそばをかき囘す手に惚れてしまふな
・もう一行書かない譯にゐられない奴のチューバの風を受けたら
・蓮の花開く三味の音 この町で僕は退化を始めるでせう
あいかわらず怪しい世界で、とてもよかったです!
今回はちょっと鶴太屋さんの影響も感じました。
酒井さんも明日のスター候補ですね。
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お疲れ様です!
いい歌がたくさんありましたね〜。
どうでしたか?
予想以上におもしろい歌が多かったです!
まだまだこの短歌ブログから
短歌界の未来を背負う人材が出てくるだろうと確信しましたよ。
頼もしいです。
やっぱり、まだやめるわけにはいきませんね!
入選作品の発表も楽しみにしていてください!
よろしく哀愁☆