2011年08月26日

「花」 入選作品発表!!

お待たせしました!


まずは、お知らせです!


福島県喜多方市熊倉公民館主催

第7回 恋人坂と恋人岬「愛の31文字」コンクール 

審査員:笹公人 ほか

締切:9月30日(消印) 
発表:10月中旬、入賞者に通知

●規定 用紙自由。作品、氏名、年齢、〒住所、電話番号を明記。
小中高生は学校名を併記。
FAX、メールでの応募も可。応募点数制限ナシ。ただし1枚につき1点。

喜多方市熊倉公民館
〒966-0024
福島県喜多方市熊倉町熊倉字壇ノ前1511
TEL:0241-22-1801(FAX兼用)
E-MAIL:k.kum@city.kitakata.fukushima.jp


短歌で福島と喜多方を元気に!
今回はぜひみなさんにもぜひ参加してほしいです!

3年前は、文化庁の仕事で、
毎月のように喜多方に通っていました

大変なことになってしまったけど、
みなさん元気にやってるか心配してます。


『短歌』9月号 発売中です!

前衛短歌とは何だったのか
「前衛短歌の秀作」座談会
にゲストとして登場しています。

三枝昂之・佐藤弓生・松村正直・笹公人



日本現代詩歌文学館(岩手県北上市)

「鉄道と詩歌」展
(2011年3月8日〜2012年3月11日)

にて、笹公人の短歌色紙とエッセイが展示されています。


では、入選作品の発表です!!


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特選


いつだって通り過ぎてから気がついた沈丁花の香 たいせつなひと
【小野伊都子】


哀愁が漂っていて、とてもよかったです。


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秀逸


自宅よりともだちの家は懐かしい 玄関脇に造花のミモザ
【いつも翠】


上の句、真理をついています。


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佳作


そこに花があるだけでいい 駆け出しのマジシャンひとりいるだけでいい
【しまやまひかる】

味わい深いです。


花柄のスカートの裾くるり舞いわたせせいぞうの涼風を見ゆ
【ユメバク】

絵が浮かんできます。
正しくは、
「涼風の見ゆ」か「涼風を見る」
だと思います。


菜の花をきれいに食べる一家からいまなめらかにあふれる善意
【虫武一俊】


わたしからひかりの花を送るためいま海ほたるあつめる渚
【富田林薫】


冬を終え一度に桃、梅、桜咲く故に三春と避難所で聞く
【高橋徹平】


恋愛は狂ってなんぼと嘯いて曼珠沙華なお赤々と咲く
【本荘ゆり】


白妙の水仙たちが柵ごしにただみつめてる「自由」な世界を
【坂寿曙光】


あの花は何と問われて木蓮とこたえる春がうごきはじめる
【高松紗都子】


花吹雪 祭りみたいに騒がしく降り注いでた君の肩にも
【清水海斗】


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ということで、
よろしく哀愁☆
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2011年08月19日

「花」 総評

いろいろありすぎて
何から書けばいいのかわかりませんが、
みなさんお元気ですか?

師範、おかえりなさい!
ボクはこの半年間、掛川の花鳥園でバイトしてたんですよ……。

動物園じゃなくて花鳥園! 
優雅よのう。

優雅って、別に動物園と変わらねえよ! 
エサの種類だって。

えー、諸事情(サーバーの故障も含む)あり、
大変遅くなってしまって、申し訳ありません。

ここまで遅いと
リアクションが見つかりませんよ……。

待たせたねぇ。
で、「序文」ってどんな感じで書くんだったっけ……?

知るか!
自分で思い出してください!

さて。
震災と短歌について思うところを書こうかと思ったのですが、
気づくと、どんどん長くなくなり、
書いては消し、書いては消しを繰り返した挙句
書くのをやめることに決めました。

被災者以外の人は今回の震災をどう詠めばいいのか、
中途半端な気持ちであれば読まないほうがいいのではないか?
と迷っている人もいるでしょう。
短歌を詠む暇とエネルギーがあったら募金しに行け!
という意見もあるでしょう。

短歌雑誌でもいろんな歌人がいろんな捉え方をしていますが、
他人の意見は気にせず、
自分の信じる道を行くしかないのではないでしょうか。

震災詠ではないのですが、
常連投稿者の104heroさんの詩(朝日新聞で採用されたそうです)
が心に響いたので、紹介させて頂きます。


「かめら」 104hero


小さい頃の写真がないのは
うちにカメラがなかったから

遊園地の思い出はあるのに
遊園地の写真はほとんどない

かあさんと一緒に
写ったのはないけど
かあさんと食べた
オムライスのことは覚えてる

とおさんとぼくを
撮ったのはないけど
ふたりで球場にいったことは
覚えてる

むかしの写真が少ないのは
うちにカメラがなかったから

むかしの写真はなくっても
夢にはときどき現れる

セピア色にならない
あの時の空



家族のご遺体だけでなく写真さえ見つかっていない方たちの悲しみは想像を絶するものがあると思います。
104heroさんのこの詩は、
そんな方たちを勇気づけるかもしれないと思いました。

泣けました。

こういう短歌も詠めたらいいですね。

この度の大震災は、
「時事詠」の範疇に収まるものではありませんが、
震災詠を作る際も「時事詠」を詠むときの注意点が参考になるかと思います。

まずは、震災の直後に集まった「花」短歌の総評にまいります。
犠牲者、被災者に思いを寄せた歌が多くてしんみりしちゃいますが、
その分しっかりと鑑賞していきたいと思います。

var_20110322160228.jpg 「花」イメージイラスト
by・日野小豆

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まずは、高橋撤平さんです。


・頑張っぺラジオで聞いてる国ことば月下美人の花閉じる頃
(高橋徹平)

東北弁ってあったかいですよね。


・阿武隈の川原一面咲いているアワダチソウの黄色よ燃えろ

・冬を終え一度に桃、梅、桜咲く故に三春と避難所で聞く


「三春」という地名の由来を初めて知りました。
むかし、三春の玄侑宗久さんの家に
遊びにいったことがあります。枝垂桜が見事でした。
宗久さんは、三春に残って放射能汚染の問題と
命がけで向き合っていらっしゃいます。


・大正の桜の押し花 古本で花袋が相馬を訪ねし頁


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・秋たけて町の風呂屋の裏庭に百日草はむきむきと咲く
(鯨井可菜子)

「むきむき」がいいですね。


・好きな花の分からぬままに君がため編む花束よ冬の駅前

・消しそこね一文字残るグーグルの窓に霞の花揺れており

・もう一度歩きはじめよあぜ道に風吹き渡り揺れるたんぽぽ

・つぼみたちは祈りのごとしはつ春の光まぶしき木蓮の枝



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・わたしからひかりの花を送るためいま海ほたるあつめる渚
(富田林薫)

「ひかりの花」が決まっています。


・気がつけばあなたは遠く振り向けば小さな百合の白い祭壇

「ば」が続いて、意味不明になっているので、

「遠く振り向いて」

にしましょう。


・うすももの記憶を辿り春の日のあなたが花であったかのよう


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・恋愛は狂ってなんぼと嘯いて曼珠沙華なお赤々と咲く
(本荘ゆり)

曼珠沙華の本意本情を
うまく活用しています。


・今はもう昭和の夢の中にだけレンゲ畑よ永遠に咲け

・海からの水被りてもチューリップ 淡きつぼみで卒業祝う

・鎮魂の願いを込めて吹き飛ばすたんぽぽ綿毛天へ届けと

・この国のすべての桜風に乗りその花びらをかの地に降らせよ



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・花柄のスカートの裾くるり舞いわたせせいぞうの涼風を見ゆ
(ユメバク)

下の句が魅力的でした。


・鎮魂の風は向日葵群をそよぐ遠き原発の柩を避けて

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・たくさんの固いつぼみのため息を夜半の烏は目を閉じて聞く
(須田まどか)

いい感じです。


・モノクロの荒れ果てた庭に色を差す一本のバラそして青空

・流されて棺に入れる花もないそれでもいつかここに花咲け



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・菜の花をきれいに食べる一家からいまなめらかにあふれる善意
(虫武一俊)


・行き止まるたびになにかが咲いていてだんだん楽しくなるいきどまり


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・しゃぼんだま空に消えたらまた飛ばす 花は何度も咲くはずだから
(小野伊都子)

下の句のモノローグ、
とてもよかったです。


・切株に新芽を見た日 まだ先の桜便りを祈りつつ待つ

・たんぽぽの強さで笑うきみだから見守りたくてはかない綿毛

・いつだって通り過ぎてから気がついた沈丁花の香 たいせつなひと

・ゆっくりと開いていったチューリップ ちいさな指が春をめくって


>桜の花びらを象った紙に
>被災者の方へのメッセージを集めて
>支援物資といっしょに送る活動を始めました。

メッセージも喜ばれるみたいですね。
ぜひ短歌も添えてみては?
活動の順調をお祈りしてます。

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・夕顔の花の蕾のひらくごと魔法少女は魔女となりたり
(魚虎)

結句は「魔女になりけり」
にしたほうがいいかも。


・お使いにゆく子狐の足元を蛍袋よ照らしておくれ

・置き去りにされし真昼のバス停の錆びたベンチの下にたんぽぽ

・一面にヤナギラン咲くこの場所で君が帰る日を待っている


「ヤナギラン」の花言葉は「集中する」とあります。
それをかけているのかもしれません。
魚虎さんは植物に詳しいんですね。

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仙台在住の猫丘ひこ乃さんです。

・閉ざされた小手毬の花咲く通り足跡ひとつ増えて繋がる
(猫丘ひこ乃)


・卯の花の炊ける匂いに集いたる人らに浮かぶふるさとの顔

・枯れるなと胸に開きし魂の花にきかせる君が詠む歌


いい歌です。

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・サボテンも枯らしてしまう弟が毎日水を与える初恋
(小林ちい)


・「チビだから咲くの遅いな」と笑われた私がママでごめん朝顔

・製氷器に矢車菊を凍らせて青紫が永遠になる



>私事ですが地元宮城に住む家族が無事と分かりほっとしました。

地元でしたか。
ご家族が御無事でなによりです。

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・雷が遠く聞こえるキスだった 梓の花の咲いてた下で
(佐々木優)

うまい。


・君は馬 駆け抜けていく黒馬が目立ち過ぎてる蘆花のざわめき

・向日葵に抜かれた背丈 この道はあの夏を逃げ出した続きだ

・好きだった君が笑ってくれるなら花びら付けておどける別れ



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・一輪の花はきいろい薔薇であり眠れぬ夜に散りはじめたり
(新井蜜)


・春風に困つたやうな顔をして真つ赤に咲いてゐるボケの花

・白い花につつまれぢつと目を閉ぢて冷たくなつて何を思ふの

・さざんくわに鴉が寄りて見てをりぬ鍋の材料買ひし帰りに


上の句が凝っているので、
下の句は
「買い物籠の鍋の材料」
くらいにしたほうがいいです。


・細かつた桜の若木を思ひだす長い会議の終らぬ夕べ

※新井さんの歌は、3月10日に投稿されたものです。
3・11以降、歌の解釈が変わってくるかと思いますので、
作者に代わって書いておきます。
新井さん以外の投稿作品は、すべて3月11日以降に投稿されたものです。

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・木を見ずに花語る人あまたいて燃やした薪の前に根おろす
(帯一 鐘信)


・流木に語っていたら春になり花は咲かねど四葉になった

・春を待つ瓦礫のなかのピアノから空に向かって開きだす花


生々しいです。

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・自宅よりともだちの家は懐かしい 玄関脇に造花のミモザ
(いつも翠)

上の句のモノローグ、とても鋭いです。


・何の花ともわからないモチーフのネクタイのあの人が担任

・それぞれに色づいてきたあじさいは雨の後ろで小さく歌う



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・名前では絡めん弄られへんけれど 俺は好きやで可憐な木瓜が
(壮太)


・「俺のさあ、人生なんか足んなくて」「それは華よ」と秒殺の妻

これは切ない……。


・小雨降り人気の失せた遊園地 菊人形も脱髄したり


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・真夜中の冷めたディナーに花散らす薔薇に罪などなかったけれど
(海月)

欧米風。


・眠ってる間にほろり落ちてきた銀木犀は片恋の星

・薫風にハイビスカスが揺れており違う恋にも目覚めはじめて



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・三代目引田天功消えにけり銀龍草の花弁のなかに
(夏実麦太朗)

「消えてゆく」
でいいと思います。


・振られても振られてもまた振られても久美子の庭に桃の花咲く

なにか暗示的です。


・毒水を集める係じゃないけれど桔梗の花をこじあけている

謎めいています。

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・ふたしずく蜜をすすって少年はまたサルビアの花弁をむしる
(喜楽熊)


・雪原のなかで花瓶を抱くようにあるきつづける無塵の廊下

・大輪に爆ぜ散った種子あとわずかの地目指し燃ゆ流星として

・紫陽花が絵文字リストに欠けていて送れぬメール『雨だね_』のまま


「 _ 」がうまく生かされています。

これは新しいかも。

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・孤独だと思い俯く足元にホトケノグサの蕾が一つ
(ぐるぐるフルール)

ちょっと予定調和かな。


・雑草と言われてしまう花たちへ学者気分で名前を付ける

・工場の片隅に咲くヒマワリは太陽探し首を傾げる



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・微睡みの中で女は花となり朝の雫を静かにこぼす
(ヒーロ)


・花を踏むまた一歩づつ花を踏む コンクリ歩く人の数だけ


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・裏庭の名もなき花に名をつけて晩酌相手今日も一献
(黒髭)

さみしすぎる!


・義憤だと思うことこそ私憤だと諭すよに降る花見の雨よ

奇抜な発想の歌でおもしろいです。
とってつけたような「よ」が気になるので、
「花見の日の雨」
くらいにしたほうがよさそうです。


・ほころんだ蕾みが運ぶ幸せよ桜前線急いで北へ


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・白妙の水仙たちが柵ごしにただみつめてる「自由」な世界を
(坂寿曙光)

こちら側から見たら、
水仙たちこそ自由に見える時もあるでしょう。
そんなことを考えさせてくれる歌です。
最後の「を」はいらないと思います。


・白妙のちりゆく梅と打ち靡く咲き乱れてる春の野花は

・白妙の梅の花びらふみながら通学路行く修了式の日

・こけむしろ青い小さな犬フグリ強固な土さけあちらこちらに

・冬ごもり春の雨さえ宝石にかえてかがやく名を知らぬ花



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・アザレアは浅く根を張る大丈夫やりなおせるとあなたが言った
(高松紗都子)


・失踪の話のように失恋を語る窓辺に芽吹く木蓮

・あの花は何と問われて木蓮とこたえる春がうごきはじめる

・木蓮が咲きそめている地の揺れにうつむく人のはるか高みに

・花散らす風吹きやんだ耳のなか君の言葉がひとつこぼれる



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・年聞かれいつも笑って「紫陽花」と答えたきみをおもう六月
(みうらしんじ)

「アジ歳」か。なるほど……。
どこか青春フォークっぽい世界。


・蒼い薔薇胸にたずさえかの人が迎えに来ます夢のなかでは

ベルばら風?


・こきざみに風にゆれてた恋がありアルバムに挟む三色すみれ

・春が来て花は咲くからぼくたちは永い冬でも乗り越えてゆく


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・灯の消えた夜道の先に白木蓮 標(しるべ)無ければ標探らむ
(穂ノ木芽央)


・百年に一度の花のために継ぐ魂(たま)の系譜をひろげつづけて


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・ひまわりが好きな花だと言えていた影なんてまだ知らない頃に
(都季)


・ひと夏の光の中の向日葵に無限大型のリボンを結ぶ

・薄桃の春の吹雪に包まれて君は光の中へ溶けゆく



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・菜の花の黄色に溺れ もがくほど沈む気持ちは恋に似ている
(清水海斗)


・花吹雪 祭りみたいに騒がしく降り注いでた君の肩にも


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・懐かしきマンドラゴラの叫び声 イチカワ青果店の奥より
(山城秀之)


・川べりを歩く天人唐草をずかずか踏んで蹴散らしながら

・夕闇のあの排水溝から流れくる赤い椿を合図とするか


「椿三十郎」?

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・白煙をあげる瓦礫の片隅にいまだ小梅は花をゆらしぬ
(かわら)

・灰となるその僅かまえ白菊のまぐわいありとつぶやく炎

・紫陽花に埋めたき頬を幾十度(いくそたび)打つ討つ鬱わが妻なりき


森駈けてきてほてりたるわが頬をうずめんとするに紫陽花くらし
(寺山修司)

を踏まえた歌で、おもしろい発想ですが、
下の句は改良の余地あり。

_________________



・看板の灯りを消したコンビニは街の喪章だ野の花飾る
(山口ヤスヨ)


・泣き声とサイレンばかり耳につく夕暮れ迫る花冷えの街

・これが咲くころにはきっと笑顔だろうベランダに蒔く早生(わせ)のひまわり

・大地震(おおない)で棚から落ちた天花粉舞い立つ香りに亡き祖母想う

・真っ白な前掛け隣のお嫁さん乙女椿の生け垣越しに



今回とてもよかったです。

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・生かされた梅が地を這い咲いている。龍の体の少女の顔で
(飯田和馬)


・蜜蜂は菜の花だけを気にしてる。飛び込みたくて生きてきました。

・不器用なハモニカみたいなフリージアわたせなかった 手紙とともに

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・食卓のめだつところに咲いている解答用紙の赤い花マル
(岡本雅哉)

なるほど。


・ひとしれず一輪ざしのガーベラが花占いをはじめる窓べ

・やわらかなバラの花弁をおもわせる試食のハムの薄切りかげん

・さようなら 船尾の白い波めがけデルフィニウムをちぎって投げる

・集まるとかわいく見える女子たちにスプレーバラはとてもお似合い


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・花摘みの王子様たち空を見てみんな故郷が恋しいと言う
(しまやまひかる)


・そこに花があるだけでいい 駆け出しのマジシャンひとりいるだけでいい

妙に味があります。

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・桜もちの葉っぱをむしる人を視て「なんて野蛮」ともごもご思う
(ムラサキ・ピープル)


・開花前、樹皮が一番朱くなる 貴方をみつめる躯(からだ)が熱い

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・この世では会えない人に会いたくて桜吹雪と共に散りたい
(おはぎ)


・夜の間に椿の花がぽとり落ち朝露に濡れまだ生きている

散った椿の花びらの生々しさを、
「まだ生きている」と表現しています。


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・根元には誰が埋まっているのだらふ桜紅色月に微笑む
(螢子)


・「サイタ サイタ サクラガ サイタ」教科書を開けば春が飛び出してくる

ずいぶん昔の教科書ですが、
螢子さんは戦中派世代でしょうか?
だとしたら「おはぎ」さん以来です。

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・出産のお見舞いだよとカスミソウ抱えてきたね新米パパわ
(台所のキフジン)

「パパは」にしましょう。
貴婦人らしく。


・アナタへの便りに萩を摘んで入れ澄みわたる空届けと祈る


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がんばっぺ1首劇場


・再建の礎として社を去るも両手に花とはまいりませんね
(おおみはじめ)

リストラ短歌。
下の句の皮肉たっぷりのモノローグが味わい深いです。


・九日にキンモクセイのつぼみから生まれた女が香りすぎてる
(人々)
 

・水仙の配達終えて近頃はのすたるじあが抑えきれない
(ヤマー)


・悲しみの涙で濡れた言の葉はかがやく言の花の前兆
(西畠勇氣)


・なにもかもわすれさせてしまいはるのやさしさがこわいさくらのさく
(夕夏)


・焼け野原からの隆盛ふたたびと被災の林檎あかくあかるく
(たちはらそう)


・向日葵の咲いた植木鉢がマンションの十二階から飛降り自殺す
(霧野烏紅)


・したたかに茎が地をはうジシバリの黄の花群れが風に乱るる
(いのさん)


・吊る吊らない吊る吊らない花びらを散らして決める首のゆくすえ
(小日向)


・わすれないようにするから僕達が世界に一つだけの花でなくとも
(長田絵理子)


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鶴太屋さんです。

ひまはりの首断ち切れば耳もとに氷のきしる氷河の呼びごゑ
(鶴太屋)

下の句に意外性がありました。


・さるすべり夏空占めて輝けば頬を掠めて黄金(きん)のクラゲよ

・茄子の花むらさき零す夏の光(かげ)露とばかりにいちにんの訃

・夏色の少年兵のゑがほなどピンで留めおけ高きたかきカンナ

・青き菊を風に挿したり鉄にほひわれの骨壺歌ひだす日に

・断弦のギター炎やせよ狂院の桜鯛煮(た)く死後のキッチン

・師の墓の侘助椿ふるふると淡墨(うすずみ)の風に怺へゐるのみ

・紅梅の一輪冱える羞(やさ)しさに雪明りするこの傘の中



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かんなさんです。

木蓮のような日傘を傾けて少女は春の終わりを歩く
(かんな)

木蓮と少女の響きあいがいいですね。


残るのはハマボウフウと六月の雨と止まったままの時計と

早すぎる春の別れに薄紅のスイートピーはふるえ続ける

花びらの形に涙は切りとられ四月の海に向かうのでしょう

色褪せる押し花のごと思い出の輪郭だけが今は残って



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酒井景二朗さんです。

・少年のはにかむやうに咲いてゐる冬は骸骨だつた紫陽花
(酒井景二朗)

「骸骨」が絶妙でした。


・病院の事務職員がつきつける厚い書類はチューリップ色

・咲きほこる皐の下に開けられた目白一羽の爲のトンネル

・うつむいて咲くのが菫 うつむいてゐてはならない我ら人類


この言い切りが気持ちいいです。


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お疲れ様でした!
半年ぶりの「総評」いかがでしたか?

祈りの込められた歌が多くて、よかったと思います。
初参加の人の作品でもおもしろのがけっこうありました。
あと、やればできるじゃんって思う人も何人かいたね。

うれしいことです!
Blog、また昔のペースでやってくれますよね?

う〜ん……。
わからないけど、
もうちょいがんばります。

ところで、
たぶんみなさんのことですから
既に2冊は買ってくださっていると思いますけど、
念のために宣伝。

var_20110819023907.jpg target='_blank'>『遊星ハグルマ装置』朱川湊人 笹公人・著 (日本経済新聞出版社)

絶賛発売中です!!

8月22日(月)の「読売新聞」夕刊の
「編集者発」というコーナーで、
『遊星ハグルマ装置』が紹介されるようです。
(以前も記事を載せて頂きました)
ぜひご覧ください!

9月9日(金)
青山CAY「名物かいぶつ祭り」

僕は、佐野元春さんの詩のパロディや新作短歌などを
「杉ちゃん&鉄平」の杉浦哲郎さんとのピアノセッションという形で朗読します! 

他の出演者も豪華です。 
予約受付中です。興味のある方はぜひメールをください!

ということで、みなさん
猛暑に負けずがんばりましょう!

よろしく哀愁☆
posted by www.sasatanka.com at 01:38| Comment(16) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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