2010年01月05日

「石」 総評


ところで、今回の「石」どうでしたか?

今回はちょっと難しかったかな。
靴の中に小石が入ったという歌がやたら多かったのが印象的でした。
そういう時代なんでしょうか……。

では、
では、
「総評」にまいります!
(コメントを付け足す歌もあると思うので、ちょくちょく見に来てください)

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まずは、
酒井景二朗さんです。

・インチキなテーマパークの石像に酸をぶつかけ泣かせてみたい
(酒井景二朗)

・成人に滿たず逝きたる友の部屋にいとも拙き投石機あり

・山路來て石より生ふる松見たり我は辛抱足らぬ者なり


オーソドックスな短歌ですが、
良いと思います。


・なめらかな團栗ひとつ石ひとつ冬枯れ森の土産物なり

・石の上鱒は見事にさばかれて爺樣と僕の夏は終つた



今年も酒井さんの活躍期待してます!

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松木 秀さんです。

・誕生石が胆石のようなおじさんが両手を上げる新橋駅で
(松木 秀)

おもしろい!
新橋が効いてます。


・偶然に辞世のうたが犬のうた石川啄木、島木赤彦

それは知らなかった。


・プログレの名曲「石をとれ」聴きてまだ痩せていた中学のころ

・札幌の白石区には競走馬ホワイトストーンのファン多かりき


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蜂谷希一さんです。

・名物とすべくトトロを切り出した石工の眼から光が消える
(蜂谷希一)

おもしろいし、説得力のある歌です。
目先の儲けに気を取られて初心を忘れてはいけないという
戒めの歌として読みました。


・微笑んでいるお地蔵さんの耳元で「しぬのがこわい」と言う小学生

・お遊戯の木の役と岩の役だけが使える三十分のテレパシー


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鯨井五香さんです。

・脳髄にみどりのひかり巡らせて原石だよってまだ思ってる
(鯨井五香)

「人はみんな磨けば輝くダイヤモンドの原石だ」
なんていう言葉がありますが、
それを肉体に当てはめて、しかも脳髄というパーツを出したところに
センスを感じました。


・ほがらかな冬に歌えばドロップの缶にまじっている飛行石

・朝まだきレールに冷える置き石のごとく静かに待っていようと

・心音は眠りてもなお冷えざりき よりしろのごとクオーツを抱く



上手ですねぇ。

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猫丘ひこ乃さんです。

・火打石をこころで打って送信す朝一番の「いってらっしゃい」
(猫丘ひこ乃)

・「撫で牛」に集まる人の温もりが重なるところ冷やさずにいる

・裾上げのごとく石づき切り落とす7ミリほどの椎茸の丈

・君がまた石に戻った日が来たらムアツふとんになってみせるわ


おもしろい。
猫丘さんの歌はやさしいですね。

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ユーリーボさんです。

・ご近所のおばさん達の集会に少し似ている環状列石
(ユーリーボ)

・ 人生に少し疲れたふりをして石狩川の鮭を見つめる

・ ラッパーを卒業したりその後は仏足石歌に挑戦したり


取り合わせがおもしろかった。

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伊藤夏人さんです。

・3人の時には君を石川と呼ばなきゃならない2人のルール
(伊藤夏人)

複雑な関係を匂わせています。


・対岸に向かって石を投げるとき山田久志のアンダースロー

・一人くらい失ったって泣くな俺 石を投げれば美人に当たる


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富田林薫さんです。
 
・カツカツと挨拶を繰り返しながら石畳と踵が出逢う夕暮れ
(富田林薫)

・石段を疾風の如く駆け下りて伊賀忍者専門学校に入学する

・明け方の川奈ゴルフコースで幸せの靴下を見つける石田純一

・水切りの達人になりたかった暮れるまで水面に投げつけた小石


好調ですね。

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西畠勇氣さんです。

・隕石がかつて壊した海岸で日本列島の破片を拾う
(西畠勇氣)

・人間の血にも肉にも驚かぬ殺人現場の方位磁石は

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ジオングさんです。

・石よりも静かに眠る廃村に夜な夜な響くうらべ唄かも
(ジオング)

うらべ唄?
わらべ唄じゃなくて?
そういうのもあるのかもしれませんが。


・ガンタンク通れぬからと石多き道開拓する公共事業

ガンダム短歌でました。

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愛媛県は今治のエロ事師
MC・Eです。

・君の眼を見れば誰でも石になる男ってのは悲しいものさ
(MC・E)

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人間失格さんです。

・道端で拾った石が宝石のように思えた頃が懐かし
(人間失格)

・「イシ」と聞き「縊死」が頭に浮かぶほど子供の頃は遠くなりけり

・石ころや火炎瓶など思いきり投げる気力も出ない平成


でもまぁ、そのおとなしさ・穏やかさが
平成の良いところでもあるのでしょう。


・人間は石ころ以下の存在と金高騰を見つつ思えり

歌がペンネームに合ってます。

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わたつみさんです。

・水面を弾き飛ばして行く石よ何をそんなに振り切りたいのだ
(わたつみ)

・墓石にちょろり水かけ手をあわせ ほんとだここに誰もいないよ

「千の風になって」への返歌として読みました。
いいとおもいます。

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虫武一俊さんです。

・靴下のなかの小石にさえおれはさらせさらせと諭されている
(虫武一俊)

・浮き沈む石の小島よ 駆けてさえいればなんとかなるはずだった

・見つけ出してくれるはずだと待っていてかくれんぼから化石ごっこへ


なるほど。

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中村成志さんです。

・海岸の小石を口に入れるなら黒く平たくなめらかがいい
(中村成志)

たしかに。


・ああ前兆がやってきた右側の睫毛からまた石になるんだ

・水面の影を波紋が追ってゆくサイドスローで投げ入れた石


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おはぎさんです。

・青空の飛行機雲を見上げつつ思い出す旅石につまずく
(おはぎ)

・宝石を耳首指にありったけ付けてテレビに出てる妖怪

HOSOKI女史?


・河原でカッコイイ石見つけたが漬物以外用途浮かばず

好調ですね。


>失礼ですが先生がお悩みの「尿路結石」には漢方薬「ツムラの「チョレイトウ」がよく効くようです。

貴重なアドバイスをありがとうございました!

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佐々一竹さんです。

・石貫の頑固親父が立ちまわる昭和は遠くなりにけるかも
(佐々一竹)

「寺内貫太郎」のことでしょう。


・石臼は我が腕で碾くしみじみと濃茶を点てて愛おしむため

・師の歌碑の礎がやや欠け始む岩は石経てやがて礫へ



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瀧口康嗣 さんです。

・光差すトースト冷えて石板のその一面に野イチゴ史あれ
(瀧口康嗣)

・たわむれに翡翠を語り尽くしたるパパこそ永遠(とわ)に夏のクオリア


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高羽佐兎子さんです。

・石段で「ちよこれいと」と言いながら駆けだす君が冬空を切る
(高羽佐兎子)

・書割のような町では迷えない方位磁石をなくしてみても

・深層の化石をさぐる指先にほどかれてゆく二重のらせん

・みずからを盤石なものにするための布石もあれば捨石もある


なるほど。


・石つぶて投げたつめたいてのひらで何をこわした駿河台下


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久哲さんです。

・尖ってはだめよ それではこの先の賽の河原で積み残される
(久哲)

暗示的な歌です。


・ゆっくりと午後の染みこむ英国にストーンヘンジと言う椅子がある

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小野伊都子さんです。

・ポケットの石はおみやげ 公園の小さな右手ゆれる12時
(小野伊都子)

・ひだまりのピアノの音でほどかれる 私の胸の小石いくつか

・走るのをやめてしまった足元に石と光と花びらがある



どの歌もよかったです。
方向性が見えてきましたね。

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深森未青さんです。

・狛犬であることが気に入らぬ石ほんとはもつと美人よあたし
(深森未青)

・あてどなく知らぬ河原を往くときも踏むと踏まぬの石選びつつ

・ふいに思(も)ふイースター島の巨石群見ぬままにこの生は果つると


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魚虎さんです。

・隕石が落ちてきたって僕らには片手で止める楢崎がいる
(魚虎)

・三畳紀中期ごろからやり直せアンモナイトの化石とともに

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広瀬智深さんです。

・口許の黒子艶めき少年を振り返らせる石川さゆり
(広瀬智深)

・石段にアジャリ見かけた夏の朝クマゼミの音の大きく響く

・砥石にて包丁研ぎし君の眼が昨夜はやけに血走っていた



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碧さんです。

・どうせなら4月生まれが良かったな ダイヤモンドが一番高いし
(碧)

・石切りを教えてもらうのホントはねどうでもいいの一緒にいたいの

淡い恋心を詠った1首。

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ふふさんです。

・思うまま小石ばらまく君の愛わからなくってすべって転んで
(ふふ)

・柔らかい石のようだよ父の肩固まりかけた会話もほぐれ


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柴田菜摘子さんです。

・誕生日プレゼントには石磨きセットをくれた叔父は無職だ
(柴田菜摘子)

悲しすぎる……。


・川べりで小石を投げる少年も必ずおじいさんになるんだ

・「コノイシニハパワーアルヨ」と隣人のフィリピン人が日々売りに来る


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104heroさんです。

・「医者になるっ!」石屋のせがれ反抗期「や」を縮めて密かに始まり

・「ローリングエメラルドぉ」って叫ぶ彼意味不明だがカッコよかった


その気持ち、わかる。

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てこなさんです。

・ふるさとの夜泣き石伝説話しやるもう抱っこせず眠れる子らに
(てこな)

てこなさんは、実にいろいろな角度から
子育て短歌を詠まれています。


・4℃の店内冷えて石たちに見透かされているマリッジ・ブルー

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しまやまひかるさんです。

・“この町は石倉三郎だらけです、思ってたよりあたたかいです”
(しまやまひかる)

手紙の一節でしょう。
あたたかい歌です。
目の付けどころもよかったです。


・ストーンズがなくなるときのことなんか考えないでもう朝なのに

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空山くも太郎さんです。

・スニーカーの裏の取れない小石ほどの主張もできずにボーナスカット
(空山くも太郎)

・「靴の中に小石があるはず。痛いんです。」営業マンのストレス幻覚

ほんとにありそう。


・石を呑んだカナリヤみたいな失声の少女が飛び立つ窓には虹を

・川原には小さく積まれた石の塔 誰かを想い崩れずにいる


下の句がよかった。

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はせがわゆづさんです。

・ベランダにトマトが実った朝しずかに石鹸水から飛びだしたシャボン
(はせがわゆづ)

・大切に泡だてていた石鹸からゆっくり香りがこぼれおちてく


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みうらしんじさんです。

・ポケットの中の小石をほうりなげ「自由さぼくは」とつぶやいた夜
(みうらしんじ)

・靴底にはさまっている石ころのように運ばれたどり着く闇

・童貞の頃のおいらが萌えていた石野真子似のあの娘の八重歯


この場合、石野真子本人にしたほうが
良いと思います。

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はづき生さんです。

・かへりみち路傍の石をけつとばすくらやみのなかに埋まつてしまへ
(はづき生)

・玄関のわきには漬物石のあり祖母のつかひし大きめの石

・みづうみの崩れ斜面に音のして石とびこへて石みづに入る

・たひらなる湖面を打ちて石はねて波紋をのこし水わたりゆく

・おばさんの抽斗のおく南極の石五十年入れつぱなしだ



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とおやまりんさんです。

・なんだってこんなところに ノジュールになれざる石がここにも冷えて
(とおやまりん)

・君の部屋のポトスライムのさみどりのいろですピンキーリングの石は


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佐々木優さんです。

・僕たちは流されやすい 生協の白石さんの今を知らない
(佐々木優)

白石さん、ケータイ短歌に出演中ですよ。


・Googleも役立たず ぐるぐる廻る君の石兵八陣の中

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中森つんさんです。

・結石を落としたくって父さんがとんととんっと踏んでるタップ
(中森つん)

経験上、そう簡単には落ちません。


・豆ほどに小さくなって石鹸は東京湾へ旅に出ました

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たみさんです。

・七歳が小さな下駄を瞬足に履き替えのぼる長い石段 
(たみ)

いま流行りの「瞬足」を詠み込んでいます。


・水底に沈むオオカミ引き上げてヤギが取り出す光るイシたち

なんとも怪しげな魅力のある歌です。


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やましろひでゆき改め
山城秀之さんです。

・悪しきもの石になりぬと我が妻のうすく笑ひし夏の夕かな
(山城秀之)

・真夜中の逢瀬を好む女にて猫目石なる二つ名持ちぬ

・石垣の隙間を出でし蛇(くちなわ)の妻を見しより忽然と消ゆ


3首とも怪異を詠んだ歌です。

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滝沢勇一さんです。

・海底に沈む石像にお参りをしに行くような入水自殺
(滝沢勇一)

・石像のハチの顔して内定を待つ六畳の部屋にも夕暮れ

・三匹のこぶたのウーより生真面目にレンガを積むから一緒に住もう。


いいんじゃないでしょうか。

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憂太郎さんです。

・同調の圧力かかる教室で生きぬくために岩石となる
(憂太郎)

・保健室も居づらくなって石膏のレプリカ群と語りはじめる

情景が浮かんできます。


・ポケットのなかの原石僕たちはよくわからない比喩で呼ばれる

・朝はやく石器を埋めた少年が大きくなって神の手を持つ



回を重ねるごとに良くなってますね。

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佐井永さんです。

・夕焼けをゴールと決めて蹴り上げる小石や汗や青春とかを
(佐井永)

・河原には丸い石などころがって傷つけながらたどりついたの

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船山登さんです。

・石女(うまずめ)とオカマばかりにあらねども人が減りゆく釜石の街
(船山登)

・釜石の寂れし鉱山(やま)に湧く水にトロッコ線の鉄錆びぬなり


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あげはたさんです。

・携帯を手にしたことが無いだけで石器時代の人と呼ばれる
(あげはた)

ベタだけど、おもしろい。
静かな怒りが込められています。

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ミボツダマさんです。

・グランドを走る君には届かない石灰まみれの手を陽にかざす
(ミボツダマ)

・存在を吸い込むようにその人の墓石にそっと触れる左手

・ぽろぽろと心が欠けてゆくたびに夜な夜な積み上げる石の塔

・永遠を失うふたりにのしかかる小さな小さな四月の石よ


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ひいらぎさんです。

・笑ったり泣いたりしている石ころを拾って帰る夕暮れの道
(ひいらぎ)

・ポケットにしまった小石はからからと涼しい顔で洗濯機の中

いい感じです。


・幼子の二人が順に投げ入れる石の波紋が重なってゆく


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山口ヤスヨさんです。

・教室の窓から摘みし石榴の実その酸っぱさは初恋に似て
(山口ヤスヨ)

・その頬に触れる代わりに描いてる石膏のマルス君にそっくり

・痴呆初期の母との話は繰り返し賽の河原に石積むようだ

・「ねぇわたし家の鍵すらわからない」石油ストーブの香漂う母は


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小林ちいさんです。

・投げ込んだ言葉の小石 冷静な君の水面を崩してみたい
(小林ちい)

・雨垂れのように繰り返し愛を説くあなたの固い石穿つため

石は固いので、
「固い」は言わずもがなです。

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ムラサキ・ピープルさんです。

・石臼を早く廻して挽く人の この歳までにこぼしてきたもの
(ムラサキ・ピープル)

・想いなら海に沈めてしまいましょう 目に触れぬよう石へと変えて


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2010年宇宙の1首劇場


・抵抗の石を握りしてのひらを癒すをとめのやはらかき頬
(アスター)

・春になり雪だるまいた地面には墓標となったふたつの石が
(青田)

・デートではいつも小石がちくちくと転がる靴を買う人生さ
(帯一 鐘信)

・手のなかのロウセキあの子のぬくもりも握りしめてるおわかれの会
(穂ノ木芽央)

・石垣の下段に彫られた十字架はこれから先も城を見上げて
(イマイ)

・川底で傷つきながら丸まって今日もだれかにやさしくできる
(キタパラアサメ)

・神様が書き初めの際に使用した重石(おもし)としてのストーンヘンジ
(劇団☆MMP主宰)

・何気なく拾った石の残留思念読めば子供の頃の父と出会いぬ
(草蟲)

・玉石は所詮混じらず玉置浩二と別れし石原真理子は
(HY)

・ガラガラガラとわれらの頭に石落とす青いみ空をわれは憎む
(かわら)

・愛の石、道ゆく人にぶつけよう 満たされながら殴られてみよう
(花岡賢)

・石の花 紛争あるたび思い出す憤怒の銃口誰に向かわん
(ユメバク)

・踏みしめる十三段の石畳 君を無罪にできるのならば
(貝柱ひとみ)

・締め切りが近いの「石」で連想するは何?と甘えてみせる今宵
(おおにしあやこ)


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「笹短歌ドットコム」きってのインテリゲンチャ
鶴太屋さんです。

石に刻む少女(をとめ)風中そのむかし縊れし傀儡女(くぐつめ)の一人かは
(鶴太屋)

飢ゑ充たすとて石ねぶれども舌寒し クヌート・ハムスン忌の紫雲英田(げんげだ)

実石榴の熟るる季節に息吹きかけ琥珀少女(をとめ)のパッション・フルーツ

錐揉みの銀機絶巓をけずりたれば蜘蛛匍(は)ふ石にはしれる白露(はくろ)

大寒の鶏(とり)の蹴上ぐる凍土かなくちびる噛みて漱石の坐(ま)す

石動(いするぎ)の寒の市ゆく葱の香や雉子(きじ)の首提げ哭(な)けり美丈夫

骨壺のうたひをどれり大泉滉(あきら)の父たる黒石(こくせき)の骨

湧き来(きた)る数瞬の霧スコッチ乾(ほ)し石原裕次郎のにがわらひ

魚(うを)の棲む石あるべしや石を売るつげ義春に犬狼星(シリウス)ささぐ

浄夜なり道道の石響(な)り交へば紫水晶(アメジスト)の息吐ける少女子(をとめご)

石廊に花の葬儀のデジャ・ヴュ再(ま)た 砂糖漬けの父ほろにがき母

ギャングたち誰より死ぬる愛に死ね海石榴(つばき)咲く野にかぎろひの骨

オランウータン無心の眼澄みとほり宙(そら)への石段のぼらば楼蘭

祭囃子の記憶遙かに齢(よはひ)ふる 宝石の脳髄(なづき)飴いろに痺れ

墓標踏み倒し末枯(すが)るる故郷かな水晶石のうちの寒鮒(かんぶな)

ギリシアの裔の石殿炎ゆる日を伽藍ささふる女人柱(カリアティド)の黙(もだ)

石窟の画(ゑ)の馬駈くる形(なり)のままつぶらなる眼(め)は夜に濡れゐしか

ジェーン・バーキン歌へば熱のゆりかごに届けよ雪花石膏の詩(うた)

猫目石の釦(ぼたん)澄みたり精霊にゆき逅ひしのちのたかぶる炎

アヴェ・マリア聴きつつ凛(さむ)し石の薔薇けさ渾身の露湛へたる

囀り石のするどき傷や父(てて)なし子ひとり遊びに折る曼珠沙華

逢魔ヶ刻と笑ひて別れひとり蹴る小石のさむしあをき没陽(いりひ)よ

青き鬱のビタミン剤嚥(の)み夜をこめて読むなる明石海人のうた

紫苑雪野のしろたへ被(かづ)き枯れわたる点鬼簿焚けば石川淳の忌

石筆(せきひつ)を売るよろづ屋の世も過ぎて焼き茄子串に刺せば晩涼

石妖に憑かれ石工(いしく)の鑿(のみ)打てる火花と散ればひもじき蛍

根こそぎの夭(わか)き石楠花移し植ゑ鬱金(うこん)の鳥が花に溺るる

月光に碧(あを)き石筍きしりたれ薄氷の湖(うみ)わたる若僧(にやくそう)

娶らざる兄(え)に桜雨ふりそそぎ婚姻色の石斑魚(うぐひ)一尾や

他界の石ノ森章太郎ゑまひつつ草むす脳髄(なづき)のそよぐ少年



推敲してちゃんと良くなっているところが流石ですね。
しかし鶴太屋さんの創作の泉は枯れる気配がないですね。
そのあたりも頼もしく思っています。

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かんなさんです。

・あの夏の匂いを放つ引き出しの紙石鹸のケースを開く
(かんな)


・錆びついた線路に石を置いたこと咎めるような風に吹かれて


・靴底の小石と共に言いたくて言えないことを振り落とす朝


・川底の石踏みしめて歩くごと十五の君の揺らぐ六月


・失ってゆく事をしるポスターの石野真子には八重歯があって


・十月の野原が見える忘れ物みたいな形の石を拾えば



抒情的な少女漫画を読んだあとのような後味、
素晴らしいです。

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お疲れ様です!

全体的にレベルが高かったんじゃないでしょうか。

どこまでいっちゃうんでしょうか。

末恐ろしいです。
では、僕は仕事があるのでこのへんで。
2回目の日経新聞「読書日記」は何を書こうかな……。

まだ決めてないんですか?!

うん。
いつもギリギリ人生だから……。
今日が締め切りなんだけど。
急がねば……。

ということで、よろしく哀愁☆


posted by www.sasatanka.com at 23:10| Comment(15) | TrackBack(0) | 総評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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